『月と狼』と私
あれから私はギルドマスターからの依頼を受ける事にした。
田舎に戻って、農業でもしながら残りの人生を過ごしてもよかったけど、幼馴染でもある彼を放ってはおけない。
それに彼の英雄譚を何としても書きたい。
「ノベルちゃん、宿は取ってないよね?それならウチの拠点に来なよ。」
拠点?
「クランハウス。王都の方に在るんだよ。期間限定とは言え、メンバーになるんだし、皆にも今すぐ紹介したい。」
この町からだと馬車でも10日掛かりますよね?
まさか、瞬間移動が可能とか?
「それが、可能なんだよね、ヴァンプ。」
ヴァンプさんは頷き扉を召喚して見せた。
「オフレコ・・・内密で頼みますぞ。」
ヴァンプさんが扉を開くと謎の空間に繋がっており、その中へ入ると沢山の扉が存在していた。
「えっと、コレだっけ?」
「やめんか!何度言ったらわかる!」
テミスさんが扉に触れようとした瞬間、スケアさんが大声を出した。
「それは姫様の寝室の扉ですぞ。」
姫様の寝室?
「ノベル殿、今は忘れてくだされ。リーダー、クランハウスの扉はこちらですぞ。」
ヴァンプさんは月と狼の装飾があしらわれた扉を開いた。
扉を開くと、そこはレストランの中だった。
「ようこそ、クランハウス兼レストラン兼宿屋、『月と狼』へ。」
テミスさんは満面の笑みでそう言った。




