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保管する国

作者: ねこじた

私は仕事で辺境のしかしやたらと科学技術の進んだ国に来た。

入国いの一番に目に入り込んできたのは「何か」に群がる人々。その群衆はやけに熱狂している。ただごとじゃない。オークションか?それにしては必死すぎる。もっとこう命乞いをする様な不惜身命といったたしかな狂気を感じる。仕事の予定は明日だしその白熱ぶりが気になった私は狂気の正体を暴いて見ることにした。


数分後驚愕の事実を目の当たりにした。「ミネルヴァ」と呼ばれるサーバーに人間の脳を保管する。そう、この国の技術は人間の脳の記憶と思考を丸々複製出来る技術を確立していたのだ。脳の複製────それは永遠の命と言っても差し支えない。思考が止まなければ死にはしない。そりゃ必死になるわけだ。そしてその脳の複製と保管には莫大なコストがかかり相当のお金持ちと国への貢献者しか保管される事はない様だった。しかしこのオーパーツ如き技術が他国で話題になっていない?辺境の国だから来訪者が少ないのは頷けるが話が広がらないのはどうも不思議だ。まあ考えても仕方がない。


保管者へ選ばれるための戦場がこの広場。業績や収めた金額が発表され順位づけをされていく。それがあの阿鼻叫喚の地獄絵図を生んでいたのだ。

広場の熱気が最高潮に達すると1人の男性が壇上に上がり恭しく一礼をした。彼が今回の選ばれし者らしい。

辺境の国とは思えないほどの大金を納めていた。選ばれなかったものは崩れ落ちなき叫び憤怒し衛兵に抑えられてる。巻き込まれるやもしれないとその場を後にした。


後日仕事で「ミネルヴァ」の管理者と会う事が出来たのでダメ元で聞いて見ることにした。

「大変失礼かと思いますが...僕も保管してもらう事ってできないですかね?」

管理者は笑って「面白い事を言いますね、あれは結局の所1人の天才の脳を真似てるいる装置というだけで誰の保管も出来ないんですよ。尤も脳の研究も勿論行って居ますがね。」

「ではあの人達は騙されているのですか?」

「ミネルヴァの運営には莫大なコストがかかりますからね。月の所有権を買ったりするのと同じ様なもんです。永遠の命を買った気分になる夢を買えてるからいいじゃないですか。実際ミネルヴァの功績で作られた新薬は人を救っていますし彼等のお金は無駄にはなっていませんよ」

とんでもない論点すり替えである。

「仕組みはわかりましたがこんな事を他国の人間に喋って良いものなのですか?」発言した刹那喉が渇く冷や汗が出てくる何か悪い予感がする全身が今すぐ逃げろと危険信号を発していた。


思わず立ち上がった私を見つめて研究者は淡々と言葉を紡ぐ「ああ心配せずとも大丈夫ですよ。貴方はこの国の研究の礎としてミネルヴァに保管されるのですから。違う人種の脳も研究しないといけないのでこうして定期的にサンプルを取り寄せているのです。」


冗談じゃない、管理者の言葉が紡ぎ終わるより先に走り出しす。が、次の瞬間視界が暗転した。「クソがよ...」捨て台詞はそのまま遺言となる。意識もすぐに失われ、それから二度と目覚める事はなかった。

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