ヲタッカーズ6 女海賊の肖像
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!
聖都の危機にアキバのCharlie's angels
"ヲタッカーズ"が立ち上がる!
オトナのジュブナイル第6話です。
今回は、魔界の子供達に送られた薬品が女海賊に奪われて、行方不明になります。どうやら薬品専門の海賊の様子。
早速"ヲタッカーズ"は魔界のドラッグディーラーに化けて女海賊のアジトに近づきますが、ソコはナンと…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 天使との出会い
神田川と交差する新幹線の高架下。
昼なお暗く、モチロン人影はナイ。
「天使とこんな場所で会うの?」
「シモアの希望だから。彼は、私の天使ナンだけどテリィたんの天使じゃナイでしょ」
「そりゃどーも。僕はあの悪魔祓い用の対戦車ロケットランチャーの情報が欲しいだけだ」
「OK。彼は武器に詳しいの。天界で武器ディーラーやってるから」
そう逝いながら微笑むエアリは妖精だ。今は羽根もたたみ一般人と見分けがつかないが。
仲間のコトは事はよく理解しとくに限る。経歴、仲間、交友関係。人生に強気or弱気か?
「エアリ?」
「何?」
「誰とメールしてンの?」
「イケメンの天使。デートに誘われてる」←
時には、ドーデモ良いコトもあるw
「エアリ、また会えて嬉しいわ。貴方がテリィたんね?」
突如空間が揺らぎ人影が現れる。
シモア?天界の武器ディーラー?
「やぁテリィたん、少し歩こ?エアリは、ジカスの相手をしてね。2人で仲良く銃や爪を研いでて。で、テリィたんは悪魔祓いの武器が欲しいんだって?」
「出来ればロケットランチャー」
「色々あるけど。自動追尾にスル?」
「パンツァーファウスト320」
「え。かなりマニアックなのね。アジアじ
ゃ見つけるのはカナーリ難しいわ。東欧製のRPGならお安いけど?」
「買うワケじゃ無いンだ」
「え?そーなの?じゃ先に私のお仕事、手伝ってくれる?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
シモアは、僕を物陰に誘っていきなりステーキ…じゃなくキス!でもなく呪文を唱えるw
たちまち目の前で光が屈折して…今度は女子数名。今度は天界のアイドルグループかょ?
「わかってるわ。最後まで言わないで。ウラジ」
「私、バペニょ」
「まぁいいわ。お金は?」
「このとおり。先にブツを見せて」
「だめだめだめ。数えてからょ。煉獄じゃ算数も教えないの?」
「私達は魔界から来たの」
「ねぇ10万の約束が5万しかナイけど」
「ぼったくられてたまるかっての」
いきなりステ…ではなくて、僕以外の全員が銃を抜く!銃口が螺旋だったりラッパ型とか点滅してたり…こりゃまるで銃の展覧会だw
「キター!噂通り気の短い人達ね!」
「オメーこそ!」
「僕だけ部外者?」
「もう違うわ。サッサとズラかりましょう!逃げるわよっ!」
ラッパ銃の先が光り出して…
耳がキーンとなる。音波銃?
「テリィたん、後で全部話すから」
「そりゃシェヘラザード並みの長話になりそうだw」
「出して!ジカス。撃ち返して!」
通りに出たトコロに逃走車?が待っているw
スポーツクーペでオフロード車をまくには有利に走れる舗装道路に出るのが得策。
重要なのはスピードよりも操縦性。敵の弱点をトコトン突いて勝負をモノにする!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の御屋敷。
「"黄昏の国"のゲルガを覚えてる?」
「彼に会えるなら"黄昏の国"に侵攻してもよかったわ」
「あ、テリィ様。古馴染みのバジナょ」
「あ、バジナ…」
僕の率いる"ヲタッカーズ"のみんながかしましく井戸端会議中ナンだが、今宵は妖精担当のエアリがお客さんを連れて来たらしい。
彼女はバジナ。吸血鬼で元クライアント。
「テリィたんも血、飲む?あ、飲まないンだっけ?」
「バジナ。アキバには近づかない約束だろ?また、銀のクイを持った奴らに追われてンじゃないの?」
「あの兄弟なら、もう大丈夫!でも、確かにアキバには来ない約束だったっけw」
「忘れるな!」
「でもね。今回は私じゃないの。昔ジェ二って人間の女と仕事をしてた。もう死んだけど。で、彼女の娘のルセラが医療援助団体をやってる。ソコから盗まれた大量の薬を取り戻したいの」
「何だょ?いきなりス…仕事の依頼か?」
「"ヲタッカーズ"しか頼れないの」
「テリィ様!簡単ですょね?」
「えっ?エアリ、何だょバジナに借りでもアルのか?」
「い、いえ。別に。まさか。ソンな…テリィたん、私、今宵は真っ赤な勝負下着ナンですけど」
「ええっ!ゴクリ…じゃ、じゃあルセラって子と話してみるょ」
「よかった。サスガは私達の御主人様!」
あ、ミユリさんの目からデス光線が…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ルセラはね。魔界で苦しむ子供たちに薬を送っているの」
「魔界で苦しむって、ソレって前世で悪いコトしたンだから自業自得なのでは…」
「ソレは地獄の話でしょ?」
「えっ?魔界って地獄じゃナイの?」
ラチがあかないw
「貴方がテリィたん?助っ人さんね?」
「あ。ルセラょ。長い黒髪、テリィたん好物ょね」
「…と、とりあえず、お話を伺います」
ルセラ。依頼人。
「テリィたんの"ヲタッカーズ"に任せれば間違いないわ」
「頼りにしてます」
「耳がトンがってるけど、君ってエルフ?ソレともバルカン人?」
「シェイプシフター。メイドがお好みなら化けますけど?」
「間に合ってます。で、アキバで無くしたモノは何ですか?」
「煉獄にいる子供達のために100万ドル相当の薬を送ったの。でもアキバを出港して1時間後に何者かに襲われて何もかも奪われた」
「アキバを出航?」
「"リアルの裂け目"経由で煉獄への密輸ルートがある。満月の夜、午前零時に佐久間河岸から封鎖突破船が出るわ」
「封鎖突破?煉獄は封鎖されてるの?」
「今、天使軍に包囲されてる。最終戦争中だから」←
「ええっ?ソッチの戦争の方を何とかしなくて良いの?人類が滅びそう」
「あぁでもソッチは、例の兄弟がやってるから…」
「なるほど。しかし、病院でも始める気でなければ、海賊は盗品を売りさばくのが目的だな」
「そんなコト、許されない。子供達の大切な薬なの。取り返して!」
「やってみよう」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の御屋敷。エアリが飛び込んで来る。
「グッドニュースよっ!"特異点"で薬の闇取引をしてる女を見つけたわ。行って調べて来ましょう」
「え?僕とエアリの2人で?」
「バジナはリアルで友達と会うンだって」
「友達?まさか、また闇取引…」
「違うわっ!」
突然エアリのスマホからバジナの声がして、少なくとも僕はビックリ。電話会議アプリ?
コレは…"オンライン呑み"なのか?
「じゃエアリ。テリィたんと"特異点"でひと暴れして来てょ…あ、ソレからパンティの替えがなかったからピンクの奴、借りたから」
「え?サイズが違うわ。私のランジェリーに触らないで」
「大丈夫。ピチピチだけど何とか収まったから」
「想像したくない光景ねw」
「あのパンティは諦めろ」
「でも、テリィたん。あのピンクの、私、気に入ってたのに」
「僕も」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
全てのリアルは"リアルの裂け目"に向かい急速に現実味を失って逝くが、ある1線を超えると最早リアルへの回帰は不可能となる。
そのポイントを"特異点"と呼び"リアルの裂け目"近くにいくつか存在スルけど、その内の1つが佐久間河岸の神田川沿いにアル。
「あの店だ。店主はフェル。最近、佐久間河岸を出航する封鎖突破船への海賊行為が頻発してる。犯行時間はわずか5分。薬品専門の海賊で、恐らくフェルはバイヤーの1人。何でも喜んで高値で買うらしい。前に盗品売買で捕まって起訴されたけど刑罰を免れてる。店は繁盛してるみたいだわ。さ、ひと暴れしよ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
何気ない神田川沿いの景色だけどココは"特異点"。
踏み外せば再びリアルには戻れないエッジな場所だ。
で、ソコにゴルフ用品店がアルw
「いらっしゃいませ」
フェル。彼女はドラッグディーラー。
「5番アイアンが欲しいの。それと数日前、封鎖突破船から盗まれた100万ドル相当の薬一式」
「薬?ハテ?ウチは"特異点"随一のゴルフ用品店ですが、薬は…」
「アンタ、リアルの中央通りでポルシェに乗ってたょね?儲かる副業やってンでしょ?」
エアリがアイアンを選んで素振り。
バックスイングで鏡を粉々に割る…
「ビンゴ!テリィたん、スゴいよっ!鏡の裏にある棚に怪しい薬が並んでる!盗品の倉庫に違いないわ!どーしよー?」
「カリオストロの警部のセリフかょ」
「で、魔界とリアル、どっちの警察に通報スル?両方?」
「アンタら何者?」
「ラーメン屋さんみたいに壁に顧客の手形が並んでるけど、銀行支店長に地方判事、国際色も豊かねぇ。裏で闇取引してる人も何人もいるわ。ブツ受け渡しの証拠写真も撮ってあるンだけど、御本人達に送りましょうか?コチラのフレームに入れて」
「商売の邪魔しないでっ!…わかったわ。女海賊が薬を売りにきたけど、ウチでは売れないと逝って断った。抗ウィルス剤なんか売れないし」
「女海賊の名は?」
「キャプテンハロク。イカれた女だったわ」
「エメラルタス通信じゃなくて?じゃキャプテンハロクに良い買い手が見つかったと電話してょ」
「無理ぽ。勘弁して」
「あらあら。コッチの写真フレームは、おいくらかしら?ダースならお安くなる?」
「わかった!わかりました!紹介すれば良いの?」
「あと、このシャツも頂戴」
「わかったわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜遅く。ミユリさんは閉店後もカウンターの中だ。僕の大好きなメイド服を着てる。
「早くも犯人を突き止めたのですか?」
「いや。未だバイヤーまでだょ。しかし、余り関わりたくナイな。"特異点"関係者とはさ」
「薬さえ見つければ解決ナンですょね?私がバイヤー役をやりましょうか?」
「うん。頼むカモ。早いトコ片付けたいな」
「例の天界の武器ディーラーの方はどうでしたか?」
「ソレがまたフザけた天使でサ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「なぜ僕を闇取引に連れてったンだ?」
「ジカスより使えると思って。ソレに援護させれば万世橋でナイかも確認出来るし」
「あれ?何コレ?」
「テリィたんに頼まれたロケットランチャー」
「え?欲しいのはランチャーそのモノじゃなくて改造情報ナンだけど」
「そうだっけ?東欧のディーラーから話が聞けるカモょ」
「パンツァーファウストを悪魔祓いの武器に改造出来る職人を知りたいンだ」
「バペニに手を振れ」
「え?誰?あ、この前、僕達を音波銃で撃った奴じゃナイか。何でココに来るの?」
「今日は残金の回収に来たワケ」
「聞いてナイょ。しかし、何で奴に手を振るンだょ?」
「私達は友好的ょと言うジェスチャーに決まってるでしょ。魔界でもリアルでも共通のジェスチャーだし?」
「私達って誰だょ。コレはシモアの取引だろ?」
「見て!コッチに来るわ!あぁ!やっと商談成立よっ!」
「いいや。どう見てもお金じゃなくて。うーん、あのラッパの形をしたモノは…音波銃だ」
「私、逃げるわ!クソだましやがって。テリィたん、私、逃げるから!」
え?わ!キーンと音がスル…
第2章 キャプテン・ハロク
世界征服などを企む悪の組織ではパーティーが重要な統制手段となる。
意外だと思うだろうがホントだ。オフタイムの部下の監視手段に最適。
そして、大いに金を使わせる。
次の犯行へ勤労意欲を高めるw
「全部キャプテンハロクのおごりだ!今宵は無礼講で楽しめ!」
「酒だ!女より酒持って来い!」
「寂しかったか?俺のベイビー、おいで」
地下クラブ貸切で海賊パーティがスタートw
「貴方が…テリィたん?」
「君は…ハロク?」
「ランマ、ちょっち外して」
半裸の草食系イケメンが立ち上がり消える。
残った女はミニスカ海賊?何処かで見たなw
「フェルに少しだけ聞いた。銃の売人だって?」
「何でも屋だ。家庭用のガンも気付け薬も何でも売る。特に薬は戦地で高く売れるからな…薬の買取をしてルンだって?」
「敵対的買収と言って欲しいわ」
「ウチの客が抗ウィルス薬を欲しがってルンだけど」
「ゴメンね。先週売れちゃった」
「取り消す気はないか?ウチの客は太っ腹だぞ」
「無理。来週ブツを届ける手ハズなの。失礼するわ。喧嘩を止めなきゃ」
パーティでの喧嘩は、統率力を誇示し組織の結束を高める絶好の手段だ。
驚くべき早業で荒くれ男同士の喧嘩を制止しハロクは僕にウィンクする。
その隙にハロクの背後に忍び寄った男にグラスを投げる…見事オデコに命中し男は卒倒w
「危ないぞ。君のパーティドレスにシミがついたら大変だ」
ご新規の顧客として、お近付きの自己アピールをスルにも、こーゆーパーティは最適だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「売約済みの薬をどうやって探すの?」
「万世橋を送り込んで取引の現場を押さえれば?」
「取引日時が不明だし、万世橋を絡ませた途端に情報が奴等にダダ漏れになる。内通者がいるからね」
「新たな取引を持ちかけて保管場所を探りましょう。役者が必要ね」
「僕が組織に潜入して、薬の隠し場所を探るってコトでどーかな?」
「ええっ?大丈夫ですか?捕まって拷問されちゃいマスょ?女海賊に拷問されたいの?もしかしてテリィたんはM?」
「打たれ強いけどMじゃナイ。確かに面倒はゴメンだから、潜入しやすいように、上手く話をつけといてょ。儲け話で釣って口を割らせよう」
「ソレで薬は見つかるかしら?」
「ワカランけどヤッてみる価値はアルょ」
「うーん。誰でも大切な女性に恋人が出来たら複雑だモンね?」
「はぁ?何の話だょ?」
「無理しちゃって。私の天使のボーイフレンド、めちゃくちゃ気になってるでしょ?相手が誰か知りたい?」
「興味ないし。マジで」
「テリィたんって、嘘が下手ね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「テリィたん!元気?ジカス、スムージーょ。貴方はボディガードからスムージー係に格下げ。あ、麦芽は入れナイで」
「可哀想に」
「そうだ!あの後、例のバペルがやっと残りの5万ドルを払ってくれた。コレは、テリィたんの取り分ょ」
曖昧な厚さの封筒を手渡される。
中をあらためる気も起こらナイ。
「あのさ。金より頼んだネタをくれ。対戦車ロケットランチャーの情報は?」
「悪魔祓い用のパンツァーファウストだっけ?」
「YES。アキバでパンツァーファウストを悪魔祓い用に改造出来る職人の名前を知りたい」
「わかった。調べてみる」
「え?今からなのw」
「その前にスムージー、飲む?健康管理も仕事の内ょ?特製スムージー。果物は嫌い?私とテリィたんの仲でしょ?付き合ってょ?え、ヤダ?ねぇ。スムージーをなめナイで!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再びキャプテンハロク達の溜まり場クラブ。
「スコッチ&ソーダ2つ。昨日のパーティ、喧嘩で大変だったね」
「力関係をわからせてあげないと。本人のタメにもならないし」
「体を張ってて感心だな。で、仕事がアル」
「テリィたんに雇われるツモリはナイの」
「違う。僕と稼ごう。僕のパートナーになって欲しいンだ。運動能力向上薬は知ってる?来年、東京オリンピックだけど?」
「ステロイドのコト?」
「もっと強力な奴だょ。ある研究所で次世代の薬を開発している。ヒト組織を用いた高価な薬だ。明日、封鎖突破船で煉獄に輸送される」
「襲撃しろと?」
「200万ドル相当の品だ。ハロクの取り分は3分の1。どうかな?」
「いやーん。ソレじゃ雇われ仕事だわ。半分コしよ?私達は"パートナー"ナンでしょ?」
「契約成立。じゃ早速専門家を使って輸送環境を整えてくれ」
「専門家?輸送環境?」
「研究施設のネオナだ。以前は、覚せい剤を作ってた奴だけど…彼女を説得して仲間に加えて欲しい」
「またテリィたんの女?」
「いや。赤の他人」←
「…ソレ、テリィたんがやってょ」
「僕はヤらない」
「何で?」
「僕は闇に生きる男。名前を絶対に出すな。頼んだぞ"パートナー"」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
敵を制する方法は、腕力だけとは限らない。
まぁ制するか、制されるかにもよるけどね。
「アンタがネオナちゃん?」
ヲタクの弱さを前面に出し相手を油断させるのも手だ。ヒタスラ負け犬に徹すれば良い。
「誰?私はタダの研究員ょ。こんな大勢で囲まないで。因みに、暴力が嫌いだから覚せい剤からは手を引いた。何だか知らないけど無理。出来ません。胸が苦しくなるわ」
「じゃ胸の苦しみを止めてアゲル」
「施設の経営者がチェチェン人なの。もしバレたら私の命は…」
「その心配は無いわ」
「念書を書いてくれる?」
「この音波銃が保証書ょ。協力すれば安全を保障して報酬も出すわ。でも、もし断れば…」
ガックリ首をうなだれるマタハ。
"ポキ"と心が折れた音もスル←
「明晩、満月の夜に封鎖突破船が出航スルわ」
「積荷の量は?」
「容器6つだと思う」
「運搬方法は?」
「保冷容器が必要だわ。液体窒素の装置に入れて運ぶの。温まるとヤバい。元来マッチョになるための薬だから、色んなモノが活性化しちゃう。でも、大丈夫。私が貴女の部下にキチンと使い方を教えます」
「必要ナイ。貴女が運ぶの」
「わ、私が?!だ、だめょ!川も海も苦手だから。船酔いはスルし、とても無理」
「酔い止めは支給スル。交通費も」
「ソレに面が割れたらマズいし」
「覆面を用意するわ」
「そんな、私はプロレスラー?薬を盗んだとして、何処に隠すの?貸倉庫?何処かの車庫かしら?」
「貴女は知らなくて良いの」
「それじゃ困るわ。電力や湿度の問題があるし」
「佐久間河岸55番地の業務用倉庫。必要なモノはコッチで用意スル」
「あと室温や日差しの強さも教えて。温度管理が全てよ」
「私の手下と一緒に環境を整えて。おい!野郎ども」
「アイアイ・キャプテン!」
「でも、時間がかかるわ」
「じゃ今夜、泊まり込みで準備して。手下に手伝わせるわ。おい!野郎ども」
「アイアイ・キャプテン!」
「待って!私、ソレじゃ会社に休むって電話しなきゃ!」
「ソレはダメ」
「でも、欠勤スルって電話しないと!無断で休んだら逆に怪しまれるケド、ソレでも良い?」
「じゃ1回だけょ。私も電話、聞いてるから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ええ。そーなんデス。お医者に安静にしろと言われてしまって。どうやらコロナらしいンですけど。だから、何か急用があったら内線に電話してください。番号は55」
電話を切ったミユリさんは怪訝な顔。
「どうしたの?」
「海賊に潜入したマタハからでした。でも…
55って何でしょう?」
「ソレは"特異点"の住所だ。神田佐久間河岸55番地」
第3章 テリィたんの髭を焦がし者
1588年、海賊だか提督だかイマイチ判然としないドレイクがスペイン艦隊を破る。
彼は、スペイン王フィリペ2世の"ヒゲを焦がした者"として世界史に名を残す。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
薬品の偽装は楽しい←
試験管に好きな色水とドライアイスを入れ、人が近づかないように色々と細工する。
最後にホームセンターで買ったゴツい低温容器に入れて圧縮ガスで封印すれば完璧。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
深夜の神田川を時速8kmの猛スピードで西進するゾディアックボートw
特殊部隊が使う軍用ボートで急旋回や高機動が可能だがヒドく揺れる。
既に川面は"特異点"の先でリアルでは考えられない濃霧が垂れ込めてる。
その中から船影が現れる。装甲板付きのブリッジ?船体内蔵の魚雷発射管?
第2次世界大戦のドイツ海軍のSボートだ!
封鎖突破船にしてはムダにマニアックかw
「野郎ども、かかれ!封鎖突破船の乗組員は魚の餌にしちまうのよっ!」
「え?魚の餌って…まさか殺すの?」
「始末しておかないと後々面倒でしょ!」
ゾディアックボートは、Sボートにぶつかるように接舷し、海賊どもが斬り込んで逝く!
封鎖突破船の船員達も敢闘するが1人また1人と神田川に落とされて海賊が船を占領スル。
「エイエイ・オー!」
ヤタラ古風な勝鬨を上げる海賊。さすが手慣れたモノだ。ココで船倉からお宝ザクザク…
とはならないで、装甲ブリッジの中の小さな冷蔵庫に殺到、開ければ中に例の低温容器。
「触らないで!瞬時に凍って指がモゲるわ!勝手にいじらないで!コレだから、バカは困るのよっ!」
「何?何だと?」
「このアマ!調子にのってンじゃねぇ!」
マタハの仕切りに海賊は色めき立つが、実は正直者揃いで全員思わず手を引っ込めてるw
「さぁ薬が痛まないように早く隠れ家に移動よっ。遅れた者は吊し首!」
「心配しないで。保管環境は完璧」
「さぁ隠れ家へ喘息全身…じゃなかった全速前進よっ!」
さて、普通だと交渉ゴトはチェスに例えられるが、海賊相手の場合は幼児とのゲームだ。
とにかく、相手の都合でルールはクルクルと変わるから、ソレに合わせてカードを切る。
「私も銃が欲しいわ。銃を頂戴」
「え?研究員の姉ちゃん、本気か?」
「だって、今だって大乱闘だったじゃナイ。この先だってどーなるか分からナイわ!また撃ち合いになった時のために持っていたい。丸腰はムリ…うっぷ!」
「汚ねぇ!コレぐらいで船酔いとはホント情けナイな。ホラ、安全装置をシッカリかけとけ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕とミユリさんは、神田明神通りに停めたトレーラーの運転席から双眼鏡で偵察スル。
「有刺鉄線ナシ。武器を携行しないガードマン1名。楽勝だな。マタハ達の到着を待とう」
「テリィ様、今でもヤレちゃいますけど…あの、少し寒いンですけど」
「ソレじゃマタハが危ない」
ミユリさんは、プランβに備えてコスプレ…じゃなかった戦闘準備中ナンだ。
つまり…スーパーヒロイン"ムーンライトセレナーダー"のコスで頑張り中w
人気の特撮番組"地下鉄戦隊メトロキャプテン"に出て来る悪の女幹部だ。
原作を描いてる僕の好みで、黒ビキニを基本形に各種ガジェットを満載だ。
「大丈夫。マタハは、有名な女スパイの3代目だから何とかスルでしょ…この大きな倉庫は何ですか?」
「どーも事務用品会社の物流デポみたいだ。恐らく内部に協力者がいるんだろう」
「冷えるわ…抱いて暖めて」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、マタハを乗せたSボートは神田佐久間河岸55番地まで川を遡上、接岸して荷揚げ。
「大丈夫?従業員に見つからない?」
「大丈夫ってか、手伝ってるしw買収してある。温度管理に必要なモノも全部揃ってるハズだけど?」
「良かった。コレならOKょ。電力供給量は充分かしら?かなり食うから。OK。問題ナシ」
「良し。さて、コレでアンタは用済み…」
「ところで!この装置は、大量の熱を発するから近くに薬品とか置くと熱で瞬時に傷んでしまう。この薬品は貴女達の?わぁ1万種類ぐらいありそう」
「いやウチの物は僅かだし、近くにはナイから他の薬は痛んでも構わない」←
「そう。だったら大丈夫ね!何とかなりそうだわ!車から道具をとってくる」
「え?何?何を取りに行くの?ま、まぁ良いわ。手下に手伝わせる。おい!野郎ども」
「アイアイ・キャプテン!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、神田明神通りのトレーラーの運転席。毛布の下のスーパーヒロインの抱き心地は…
突如、真夜中のビル街に銃声が響く!
「わ!ミユリさん、プランβ発動だ!」
「もう、マタハったら!コレからって逝う時なのに!」
「プランβは、目指す薬が倉庫にあるコトは確認出来たけど、中が広すぎて見つからない場合に用意したプランだ。海賊ども自身に奪われた薬を運ばせて、ドサクサに紛れて取り返す!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、倉庫では…
「誰だ?!今の銃声は?!」
「あの研究員のアマだ!ウロたえて突然ぶっ放しやがった!」
「お金を頂戴!早くお金を頂戴!今すぐ高飛びしないと…私は殺されるわっ!」
マタハは半狂乱だw
「待て!どーして殺されルンだ?」
「この件には、テリィたんが絡んでるのね?何で教えてくれなかったの?」
「だったらナンなんだ?」
「何もわかってナイのね!私達は殺される!みんな死ぬのよ!」
「落ち着け!奴はただのバイヤーだ」
「テリィたんがタダのバイヤー?あのね!コレが奴のやり方なの!仕事を持ちかけて、こう逝うの。"俺は何でも屋。家庭用の銃でも気付け薬でも何でも売る"」
「お、おぅ…確かにソンなコト言ってたな。ソレで?」
「そして、仕事が終わったら、関わった者は人間も、悪魔も、天使も片っ端から殺す。逃げられない。テリィたんは大悪魔の化身よっ!」
「他に何を知ってる?しかし、あの温和なテリィたんが…」
「昔の仲間は皆殺しになったわ。テリィたんには、ミユリって逝うおっかないカミさんがいて、人間界はもちろん、天界、魔界、煉獄、地獄の何処に逃げても必ず消される。今も裏の各界で暗殺専門で悪事ばかり働いている女よっ!」
「マジか?しかし、ソレにしちゃ噂を聞かないが…」
「だから!全てを奪い去り、邪魔者も全員殺してるから噂も残らないの!」
「じゃ何で、お前は知ってルンだ…ってか、
とりあえず、倉庫の中の薬は無事だが」
「場所なんかとっくにバレバレよっ。未だ、バレないとしても、必ず見つかるわ!そして、薬を手に入れたら全員始末する気よっ!きっと、もうココに向かってる。早く薬を運び出して!」
「わ、わかった!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あ、もしもし?警察ですか?神田佐久間河岸55番地に強盗です!銃を持った怪しい男達がウロウロしてます。多分麻薬の売人よ!」
110番通報を終えたミユリさんは、溜息をつきトレーラーの屋根に登る。黒のビキニでw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
倉庫では、事情を聞いた女海賊キャプテンハロクの陣頭指揮で逃走車に薬を積み込み中。
「その箱の中身は?」
「抗ウィルス剤ょ」
「ソレ、今回のブツじゃナイわね?温度管理もされてナイし、私は責任取れナイけど?」
「心配ないわ。売約済み」
ソコへ…
「キャー!マズいわ!奴が来たわ!テリィたんよっ!あのトレーラーはテリィたんだわっ!」
「屋根に誰か立ってる…黒ビキニの女?」
「逃げろ!テリィたんのカミさんだっ!皆殺しにされるぞっ!」
通常、車の燃料タンクは撃つだけじゃ爆発はしない。
せいぜい、開いた穴からガソリンが漏れ出る程度だ。
車をハデに爆発させるには、事前にタンクに過酸化アセトンを仕込めば良い。
あとはスーパーヒロインの"ムーンライトセレナーダー"が着火してくれる。
どっかーん!
佐久間河岸55番地に爆発音が響き渡り、戦隊シリーズではお馴染みの爆発が捲き起こる。
あぁ出来れば、この爆発を背景に"ヲタッカーズ"が横一列になって歩きたいトコロだ。
「今のは…"稲妻キネシス"?テリィたんのカミさんって…"超人類"だったの?」
カミさんではナイのだがw
爆風を全身に浴びて、焦げて真っ黒けになったキャプテンハロクに万世橋の警官が殺到。
口々に叫ぶ。
「手を上げろ!」
「動くな!」
「膝をつけ!抵抗するな!」
指揮スル敏腕刑事の新橋鮫がソッと溜息w
「ん?また…"ヲタッカーズ"案件か?」
第4章 貴方のパートナー
翌日の御屋敷。
「本当に感謝してるわ」
「次からは、空輸にしてくれ。船より安全だょ」
「何か御礼をさせて」
「冷蔵庫。バーのは、Sボートと一緒に沈んでしまって…」
「わかった。ビールを冷やさなきゃね」
ルセラは約束を守る。
翌日、冷蔵庫が届く。
子供達の感謝の手紙が添えられている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕とミユリさんは真夜中のパーツ通りを歩く。
「で、シモアは何て?」
「ソレがエアリの話によると、とにかく、家に来てってコトらしくて…あ、何か?」
「ミユリさん、横顔が…綺麗だ」
「テリィ様専用の悩殺の角度でお楽しみください」
ミユリさんが微笑んだ次の瞬間、彼女の側頭葉辺りに銃口が突きつけられる。シモアだw
「テリィたん。アンタ、何者?なぜ、あのパンツァーファウストを知ってるの?質問に答えナイとカミさんを撃つわょ?」
「ソレが残念なコトに、私、テリィ様のカミさんではナイのです」
「あっ」
次の瞬間、ミユリさんの踵がシモアの脛にめり込み、悲鳴を上げ崩れるシモアを逆手にねじり上げ組み伏せるミユリさん。形勢逆転。
「シモア。貴女とは、はじめましてだけど説明して」
「わ、わかった。例のパンツァーファウストを改造した店を見つけたけど、店は焼かれて店主は殺されてた。私もハメられたのかと」
「改造の依頼主は誰?」
「知らナイわ」
「火薬を被る?」
「ホントょヤメテ!」
「受け取り人は?」
「ビルジって男。恐らく…煉獄系」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
やれやれ。
今回も、何か事件が終わったよーな、始まったよーな不思議な感じだ。
当分、こんな日々が続くのかなとボンヤリと中央通りを歩いていたら…
最大の厄介ゴトと出くわす。
厄介ゴトょ汝の名はハロクw
「あ、テリィたん!私にパートナーになれって言ったわょね?」
「いや、アレは単なる…」
「もう遅い。返事はYESよ、ダーリン」
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"ドラッグディーラー"を軸に、薬品を専門に襲う女海賊とその陽気な手下達、魔界の武器ディーラーにドラッグディーラー、魔界の子供達に薬品を送るNGOの役員などが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、コロナ第3波パンデミックに揺れる秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。




