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【完結済】人生に正解なんて存在しない  作者: 空腹の汐留
本章
9/45

6.懐かしい匂いがする

家庭科準備室。


生徒の出入りは僕たち以外には殆どない。

同じフロアには吹奏楽部の部室があるくらいだ。

目の前は廊下と壁。


窓からは体育館が見える。一限目だから授業はないみたいで静かだ。



先生たちが授業のため離れると、そこには僕だけになった。懐かしい室内が少しだけ気持ちを紛らわせてくれる。


いつもの様に女性物のポーチが無造作に机に置かれている。


「絶対、遠山先輩のだなぁ・・・」


中は見てはいけないので、そのまま放置しておく。


不意に水道の蛇口を捻り、頭から水を被った。

そこまで冷たくなく、気持ちよさもなかったが、何かを洗い流したかった。



一限目の授業が終る頃、突然準備室のドアが勢いよく開いた。


「先生おは・・・へぇ!?紀元!?」


「・・・先輩久しぶり」


どこからどう見てもギャルである【遠山恵理(とおやまえり)】先輩が重役登校でお出ましである。


「頭びしょ濡れじゃん?どした?」


「蛇口から直接やっちゃいました」


ケラケラと遠山先輩が笑ってくれる。

でも、次の瞬間には表情が少し険しくなっていた。


「見るからに元気ないけど?女狐となんかあったの?」


女性って鋭いな。まだ誰にも言っていないことを、サラッと言い当ててくる。でも女狐って!?

「図星でしょ?」と言わんばかりの表情に、ちょっとイラッとくる。


「よくわかんないですけど、二日ほど頭狂ってたみたいでして」


「まじか。良かったらお姉さんに言ってみ?」


一つしか歳が違わないのに、やたらとお姉さん面をしてくるので正直ちょっと苦手だった。


しばらく2人の時間が流れ、先輩はポテチの袋を開け、スマホいじりに励んでいた。

本当にマイペースな人で、波長を合わせづらい。

プシュ!っとエナジードリンクのプルトップを遠山先輩が開けると、室内にはその匂いが充満した。


「先輩それ好きですね?」


「んー?前はコーヒーだったんだけど。元カレの影響で。これはあんたが飲んでたの見て。それから」


「そういえばコーヒーでしたね」


実は遠山先輩はその元カレのせいで、家庭科準備室通いになった。

元カレは同じクラスの男子。そして双子。

ある日、部屋に連れ込まれ、そこにもう1人も加わり、無理矢理色んな事をされてしまった。

それがトラウマになって、同年代の男性と接するのがダメになった。僕が知ってるのはここまで。どうして僕は大丈夫なのかは未知数。


ちなみに僕が飲んでたのは街でタダで貰ったやつですよ?先輩?それ200円もするんですよ?




「そろそろ先生達戻ってくるかなー?」


「そんな時間ですね」


時計の秒針が進む音だけが室内に流れる。


12時にも次を投稿予定です!


そろそろ、いじめられた経験がある人はフラッシュバックに気をつけて下さい。

もう少し、もう少しだけ鬱展開を我慢してください!

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