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【完結済】人生に正解なんて存在しない  作者: 空腹の汐留
本章
6/45

3.僕はそれが嘘だと知っている

頭が真っ白になり、何の言葉も出なかった。


その後、どうやって帰ってきたのかも記憶にない。


狭い部屋の隅でうずくまって、先ほど見た現実から目を背けた。



日付が変わる手前、スマホからいつものメッセージ音がなる。


心美からだった。



心美:『ごめん!バイト終って寝ちゃってた!佳市起きてるかな?』



既読がついてしまったが、何も返せなかった。


心美が嘘をついた。

それ以上に他の人と浮気していた。

もしかしたら俺が浮気相手なのかも?


そう自問自答を重ねていると、今度は着信音がする。


もちろん心美からだ。


おそるおそる、そして哀れな自分の存在を恥じながら 【通話】 をタップする。


『もしもし?佳市?寝てた?』

『・・・』

『もしもーし?』

『ごめん。聴こえてる。』

『あ、聴こえてた。うん?何か元気ない感じ?』


元気なわけがない。

彼女と見知らぬ男性が熱く求めあっている姿を目撃したのだ。

生きてるだけ褒めて欲しいと思った。


『どうしたの?』

『いや。大丈夫』

『ならいいけど。ごめんね?今日バイトきつくてさ』


バイトなどしていないじゃないか。

男と・・・男と・・・

それ以上は考えたくなかった。


『そっか。それはお疲れ様だね』

『ねー?本当に大丈夫?何かおかしいよ?』

『今日はハードだったんだ。疲れているからもう寝るね。おやすみ』

『あ・・・オヤ』


初めて一方的に心美の電話を切った。

声を聞くのが耐えられなかった。




服も着替えず、ボーっとしているうちに時間が過ぎていく。


時より考えることは、

僕では心美に相応しくなかった。

満足させてあげられなかった。

やっぱり僕は役立たずだ。

消えてしまいたい。

生きててごめんなさい。


そんな負の感情しか出てこない。




外は既に明るい。


だが、家を出る気などしない。



その日、佳市は初めて無断欠席をした。


明日の12時更新で一本上げております。

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