2.やっぱり貧乏人に彼女は不相応でした
「あの?すいません! こちらで働いている佐々原さんの同級生なんですが、何時間も連絡がとれず、心配になって伺いました! 佐々原さんは本日は何時上がりでしょうか?」
店内で直ぐ目にした大学生らしき女性店員に話しかけた。
「心美の友達? おかしいな? 心美は今日休みだよ?」
「・・・そうですか!ありがとうございます!」
心美が嘘をついた?いやいや!何か理由があるはずだ!取り敢えず、自宅にも行ってみよう。外から部屋を確認できるので、電気がついているかどうかで在宅かは分かる。もしかしたら寝てるだけかも知れないしな。
ここから心美の家までは自転車で15分もあれば十分な距離。確かいつもはバスを使っているはず!
再度、自転車にまたがると、一目散に駆け出した。
自宅についたが、心美の部屋の電気は消えている。
だが、リビングには誰か居る。カーテン越しに部屋の灯りが見えた。
もう一度、スマホから電話を掛けてみる。
『おかけになった電話は・・・』
女性の定型文を読む声が聴こえてきた瞬間、佳市の背中に冷たいものが流れた。
心美に限ってそんなはずはない!
たまたま連絡を忘れているか、充電が切れただけだ。
そう言い聞かせ、自転車の鍵に手を掛けた。
近くに黒いセダンタイプの車が停車しているのが、視界に入る。
「まさかな・・・」
小さな用水路越しに止まっている車を、反対側から遠目ながら凝視すると、街頭に照らされた2人の人影が浮かんできた。
驚くほど心臓が速く鼓動している。そして激しい吐き気に見舞われた。
「ただの勘違いであってほしい」
何とか堪えると、車内の2人を確認するため、気づかれないように恐る恐る近づいた。
車内に居たのは彼女である心美と見知らぬ男性の姿だった。
そして2人は熱い抱擁に加え、唇を貪りあっていた・・・・・・
心美の服装は、上半身がはだけており、見えていない部分で何をしているか一目瞭然だった。
「僕って彼氏じゃないっけ・・・」