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【完結済】人生に正解なんて存在しない  作者: 空腹の汐留
本章
28/45

25.無知は罪であり、知であり、、、

他人の家はなぜか落ち着かない。

空間のせいか?生活の臭のせいか?なぜだか分からないが、ソワソワしてしまう。


「自宅の様にくつろいでね?」


そんな風に言われても、全くと言ってくつろげない。

何か自分がすることはないか?手持無沙汰になってしまう。




「ちょっと?あんたキョドリすぎ」


「え?なんか落ち着かなくて・・・」


今、佳市は遠山家に身を寄せている。

これは恵理が、佳市の精神状態を考慮し、今の環境に1人で身を置くのは心配であるとの説得を受け、それに折れる形でこうなった次第である。






室内には独立したリビングダイニングにトイレ、それぞれに別れた部屋、脱衣場を併設した浴室、その全てが佳市にとって新鮮であり、夢のような光景であった。


「テレビでも観る?」


「・・・うちテレビないから良く分かんないかも」


「そっか、佳市の家、テレビないもんね」


そう。テレビすらない佳市の家で音と言えば、外を車が走る時、冷蔵庫のコンプレッサー、時計の秒針、隣人の生活音がそれにあたる。

だがこの部屋にはテレビの音や家族の会話、様々な音が溢れている。それも落ち着かない原因なのかもしれない。


「そろそろ晩御飯の用意をするけど、佳市君苦手なものは?」


「ありません・・・」


食べれるものはなんでも食べる佳市にとって、好き嫌いなどできない。出されるなら虫だって食べる。それくらいの精神で生きている。それも一般家庭と佳市の境遇との大きな違いなのかもしれない。


「あら、助かるわ。恵理なんて今だにピー「ちょっと!ママ!」」


大方、ピーマンであろう・・・

何も隠さないでいいのに、と佳市は思うが、子供っぽい一面を知られたくないのか、恵理は全力で京香の口をふさいだ。


「あらあら。ごめんなさいね?じゃあここからは若い者同士で」


そう言って、京香はキッチンへ戻っていく。



突然、家族の会話ってこうゆうものなのかな?と佳市は感じた。


(じーちゃんと何話してたっけ?)


そう思い返すと、祖父との会話は常に、佳市の近況を報告することであった。今日なにがあったか?どんな勉強をしたか?一方的に話す佳市に、「ウンウン」と祖父が頷く。それが家族の会話だった。祖父から佳市に話をしたことなど、食事や勉強のことくらいだ。何をしていたのか?どんな人生だったのか?など聞くことは無かった。


(もっとじーちゃんの事知りたかったな)


恵理の家族に触れたことにより、自分の家族ってなんだったんだろ?と佳市は思い悩んでしまう。両親に捨てられ、まるで腫れ物の様に親族の間を転々としていた過去が蘇る。


家庭を知らない、父親を知らない、母親を知らない、この事が佳市という人間を構成していく上で、一番の”欠損”であることは間違いなかった。あるべく家族の姿を知らない佳市にとって、暖かい家庭を知る事が何よりも居心地が悪い。佳市自身もそれに気付いていた。


「俺、やっぱり帰ります」


「えっ?ちょっと?何を今更?」


恵理が不安と焦りを混ぜた表情で、佳市を制した。


「なんかやっぱり、俺って1人なのが似合ってるよ。俺に家族は向いてない」


その言葉に恵理と京香は衝撃を受ける。

佳市の声には人らしさが全く無く、冷たく寂しい、彼の中に潜む、闇が表に出た様だった。


「俺にはよくわかんないんです。何となくここに居てはいけないんじゃないか?って感じがするんです。ごめんなさい」


もう2人とも何も言えなくなり黙り込む。それでも恵理は佳市に必死に手を伸ばそうとするが、実際の距離より、彼の腕はあまりにも遠い場所にあるように感じる。


「本当にごめんなさい。色々準備して頂いた事を反故にしてしまい」


「やだ・・・やだ・・・やだ・・・」


恵理は駄々をこねた子供の様に、不満をあらわにした。それが佳市への自分勝手な欲求であることも分かってはいたが、そうせざるを得なかった。


「先輩?ごめんって・・・」


「だってこのままどっか行っちゃいそうだもん!だからやだ!行かないでよ。置いてかないで・・・一緒にいたいよ・・・」






立ち尽くす3人に何とも言えない空気が流れる。無常というか、虚空と呼ぶべきか、とても悲しく、決して埋まる事のない距離感が漂う。







「────ただいま・・・ウオッ!?メッチャイケメン!! だ、だれこの人? おねーちゃんの彼氏? ってか修羅場でしたか・・・?」







もう一人の家族は状況をつかめないまま、鞄を床に置いた。


また重くなりましたね。


この佳市ってのが私を惑わします。

ですが何とか更生させます。


ちなみにざまぁと更生でこの物語は成り立っております。

ざまぁはまだか?と思う人はぐっとこらえて!

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