表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】人生に正解なんて存在しない  作者: 空腹の汐留
本章
18/45

15.大好きだよ?の言葉は僕のと違う

佳市の心は晴れない。


大切な事をしていない。


ここでしっかりとケジメをつけなければ、何も進まない。このまま逃げ回っていては、心配してくれている先輩達や心美自身にも申し訳ない気持ちになってしまう。





心美に電話しよう。





この何日間、朝を迎えるたびに、心美の顔が頭に浮かび、気分が憂鬱になる。どれだけ先輩達の笑顔を思い浮かべても、脳内にこびりついたその光景は出ていってくれない。やらなければいけないことなのに、逃げてしまっていた自分が情けない。たまたま見てしまったのかも知れないが、見て良かったと思いたい。早く気づけたんだから。



スマホを操作し、《心美》をタップ・・・する。


見慣れた番号が画面に表示される。


あとは発信をタップするだけ・・・



大丈夫



自分に言い聞かせる事で、気持ちを奮い立たせる。

ここで行動しないと、また皆を泣かせる結果になる。そう思い決心する。


自殺を思い立った時より心が重く感じる。たかだか電話をするだけなのだが、緊張と不安が佳市にずっしりとのしかかってくる。


1コールが異常に長く感じる。いつもなら何気なく待てる時間が、これから起きる事を想像してしまうと、様々な感情が混在し、思考を圧迫していく。今、佳市の心の中は「出ない欲しい:出てほしい」との境界線で、振り子の様に行ったりきたりを繰り返していた。


『もしもーし?佳市?』


それはいつもと変わらない声だった。

佳市が見た現実が嘘の様に変化なく接してくる。何かを隠してる人物など到底考えられないもの。なぜか機嫌が良いのか高揚感すら感じ、佳市の心を押しつぶす。


『もしもし』


そこからは、普段と変わらない会話を繰り返した。

なぜ休んでいたのか?体調はどうか?などの相手の疑問にこちらが答える。それは全て嘘でかためられており、自分の良心を揺さぶってくる。向こうが裏切りを行っているはずなのに、こちらが余裕を無くしている。この一瞬だけ人を欺くことにこれだけ気持ちが滅入っているのに、あれだけの大罪を犯したはずである心美からは、そういったものは感じない。



間違っているのは僕なのか?全て見間違えただけなんだ。何かを隠してる人がこんな堂々と、裏切ってる相手に話すことなんて到底不可能だ。少なくとも僕はそう感じる。だから僕はもう一度、心美を信じてみる。



『ごめん。僕は心美を疑ってた。浮気してると思ってたんだ』


『え?何急に?浮気なんてするわけないじゃん?』



やはり彼女は浮気などしてない。全て僕が一方的に彼女を信じず、自分の都合よく考え、見たものをねじ曲げてた。良かった。悪いのはやはり僕だ。心美は明日からも以前と同じように、お昼一緒に食べたり、週末にデートできるんだ。



さらに昨日、永遠を心美の許可無しに自宅に招き入れたことや、遠山先輩と連絡先を交換した罪悪感が急激に佳市を襲う。



なんて馬鹿な事をしたんだろう。ちゃんと謝らなくてはいけない。


『だよね。なんか心美に似ている人が、心美の家の傍でイチャイチャしてるのを見ちゃってね。不安になっちゃった』


『馬鹿だね!佳市は!浮気なんて許されないよ? で、それっていつの話?』


『日曜日の夜だったかな?心美がバイト終わって寝ちゃってた時だよ』







『あぁじゃあそれ私だよ?佳市に心配掛けたくなくて、あの時は嘘ついちゃったけど』


その返事に思考が一瞬に真っ白に変わる。


『その人、タカくんって言って大学生の人なんだけど、車とかもってて、色々連れていってくれるんだ〜。 で、その日もT〇〇の帰りでね? 楽しかったな~。いいでしょ? 今度、佳市のバイト代が入ったら行こうね?あ、佳市は生活厳しいから無理か。 でね?そのタカくんともお付き合いしてるんだけどね? 今日この後会う予定なんだ~。今日はどこ連れて行ってくれるのかな? なんて考えるとワクワクしちゃう。エッチは全然なんだどけね? ぜ~んぜん佳市との方がいい!』


『ここみ・・・でもそれって・・・うわき・・・だよね?』


『違うよ?タカくんとも、佳市ともちゃんとお付き合いしてるもん。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? でも浮気じゃないよ? 私、佳市のことも大好きだもん。 お弁当の時間とかも楽しいし、デートの前とかも、明日はどんなことしてくれるんだろう? とか思うとワクワクするし、楽しいんだ~。一緒に居ると、どんな話をしてくれるんだろ?って思うし! だから佳市のこと大好きだよ!』


『ごめん・・・ぼくには・・・できない・・・わかれよう』



その言葉を最後に、佳市の戻りつつあった心は完全に破壊された。


そうでもなかった?でしょうか?意味が分からないって人も多いかも。

意味が分からなくていいんです。本当に意味分かりませんから。

でも、間違ってはいないのが、難しいんですよ。あとはまた後々。


※感想、本当にありがとうございます。皆様がどう思っているか分かると助かります。ぜひお願いいたします。評価、ブクマも合わせてお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ