14.今日から俺に
やっと日常回
昨晩は美味しいご飯にありつけた もとい 頂いた。
体調も少し良くなった。
またバイトに復帰できる!食える!
そろそろ復帰しないと、本当に生活がきつくなる一方だ。
とりあえず明日からの三連休はこの監獄から解放される!
でも先輩達に会えないの少し寂しく感じる。
心美は・・・ケジメつけないとな・・・。
「紀元、これで連休中に髪切ってきて。安いとこじゃなくて美容室ね」
遠山先輩がいきなり五千円を僕の前に叩きつけてきた。
ご、五千円なんて大金!水道光熱費になるんだよ?
食費にすると、何日分ご飯が食べれると思う?
こんな大金貰えません!!
「ご、五千円とか、流石に貰えません・・・」
「はぁ?あんたの髪が長くなってきてウザイから、切ってきてって言ってるの?」
「だからって・・・ってかそんなに僕の髪ウザイですか?」
見る見るうちに、先輩の顔が般若へと変わっていく。
僕をビンタした時ですら、こんな顔じゃなかったのに・・・
「ウザッ!アタシの目ざわりだから切ってきてって言ってんの? アタシのために切ってきて? このお金はアタシがアタシのために使うお金だからいいの!文句ある!?」
「・・・ないです」
ここで断ると、本当に殺されかねない。
別に僕が死ぬのはいいけど、遠山先輩の手を汚したくないし、犯罪者にしたくないので、なくなくこれはのむことにした。
あと、僕はそんなに髪は長くない。
学校の規則に沿った、ちゃんとした髪型だ。
そこまで短くもないのは事実だけど。
「あと、僕ってのもやめて? 何かクラスのウザい男子と被るから、『俺』に変えて。今から」
「そ、それはもう越権行為では?」
「はぁあ?」
ピエン超えてパオン
視線だけで殺されかけた。
こんな怖い思いをしたのは、ジャングルジムから落ちたとき以来だ。
「お、おれ?」
「ん」
一文字の返事だったけど、ちょっと表情が和らいだ。
絶対言い間違えないように注意しないと、またピエンする。
でも俺って全く慣れない。
俺って陽キャだけに許された、大人の階段じゃないの?
「あ、あの、お、俺ってどれくらい短く切れば?」
「あーね。〇代〇の〇〇って知ってる?グループの」
「いえ・・・全く・・・」
「ちょっと待って」
そう言って、自分のスマホで何やら検索を始める。
「コレ! コレにして! こっちはダメ!」
「こんな短くですか?まじ?」
「まじ」
遠山先輩は一点の曇りもなく俺を見つめてくる。
若干口角はヒクヒクと上がり気味だが、笑ってはいない。ってか近い! ちょっと先輩の香りがするくらい近いってば!
「コ、コレですね?・・・」
ぼ、ぼ、おれは自分のスマホを出し、その人を検索して、【コレ】の画像を見せた。
「・・・」
遠山先輩はポカーンとして、スマホと俺の顔をいったりきたり。
なんか僕 もとい 俺の顔に何か付いてますか?
「紀元、いつの間にスマホを?」
「夏休み前くらいですか・・・?」
「早く言ってよ!連絡先交換して!番号とSNS!早く!」
「あ、ああいいんですか? でも俺彼女居てですね・・・」
また不機嫌まっしぐら。めっちゃ怒ってる。
どこがスイッチかもう分からない。もう一度言おう
ピエン超えてパオン
「別に学校の先輩の連絡先知ってても問題ないでしょ? その辺の女とかだったら殺すけど」
「・・・殺すってまたまた」
「アタシなら殺すけど?」
今度は目が曇ってるし!
顔は能面のように怖いし!
なんか後ろでドラゴンでも召喚したんじゃないかってオーラ出てますよ?
「・・・先、謝っておきます・・・なんかあったらすいません。交換しましょう」
「ん。よし」
一転して上機嫌ムード。だから苦手なんだよなぁ。
気分屋というかマイペースというかこの雰囲気が。
そして遠山先輩のSNSのアイコンはぬいぐるみだった・・・
とてもそんな人に思ってなかっただけにビックリだよ。
そして非常勤の先生は、俺たちのやり取りをニコニコしながら見守っていた。
閑話みたいな流れですが、色々とフラグです。
本日19時予定で次をアップ予定です。
お待ちかねの心美ですよ!
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