第97話 犯人を炙り出せ
今回は前回に引き続き、学園での問題を解決に導く話となっております…果たして、犯人は誰なのか、そして、グレムが言った、『証拠を作る』とは…?そこに注目しながら読んでいってくださると嬉しいです!
それでは、どうぞ!
グレムたちは学園内を歩いていた。
『ああ、大体の人柄は分かった…多分あいつだな…だが証拠が無い…、なら……証拠を作ればいいだけだ。』
とグレムは言った、その言葉に2人は不思議に思いながらも、エルはご主人様に質問をする。
「ご主人様?どこに向かわれているのですか?」
「約束の場所だ。」
「『約束の場所』?」
エルは疑問に思うような形で言葉を言ったが、グレムはそれ以上説明をしなかった。さらに疑問が深まる…。そうして歩いていると…緑色のショートヘアーの髪型をして、カチューシャを着けている1人の少女がある場所に立っていた。
「あっ!!グレムさん!!」
「こんにちは、ごめんね、呼び出して。」
「いえいえ、私の友達も2人ほど誘拐されてしまっているのです…犯人を捕まえるのに少しでも力になれるのなら、私、なんでもします!」
「いい子だな〜、とても子供とは思えないよ。」
そう言ってグレムはその子の頭を撫でる、エルは聞く。
「ご主人様…その子は…?」
「ああ、紹介しよう。」
グレムがそう言うと、その少女は自分から前に出てきて自己紹介をした。
「こんにちは!初めまして!小学4年生のエメラル・ミントと申します!今回はあの憧れのグレムさんに『犯人を捕まえるために』とクラスでお願いをされたので、自分から願い出ました!よろしくお願いします!」
ミントはそう言って頭をぺこりと下げた、エルとルリは「こちらこそよろしくお願いします」と言って頭を下げ返した、エルはその後に言う。
「随分としっかりした可愛い子ですね…、彼女に何を頼むのですか?」
「『犯人を捕まえるために、誰か女子生徒1人に手伝ってもらいたいことがある。だが、こればかりは申し訳ないが…少し怖い思いをするかもしれない…。』という説明をある教室でさせてもらった、分身を作ってな。そうした時に彼女は何の躊躇もなく手を挙げてくれた。しかもこれだけ美人さんなら…奴も飛びつくだろう。どうやら、誘拐された子はクラスでも人気の美人な女の子が多いらしいからな。」
「いつの間にそんな事を…というか分身を作ってまでやる事ですか!!」
「奴にも感づかれたくないからな…少し秘密裏にさせてもらった、すまない。」
そうグレムがエルと話していると、ミントはグレムの袖を引っ張って言った。
「私…そんな美人ですか…?」
そのミントの言葉にグレムは少ししゃがみ、目線を合わせてから言った。
「こんな可愛い子いたら俺でも誘拐したくなるくらい美人だぞ。しかも、性格も真面目でいい子だからな。そういう子は好きだ。」
「えへへ…そうですか…グレムさんは…私みたいな子が好きなんですね…。」
ミントは顔を赤くして緩ませ、とても嬉しそうにしている。エルとルリからの視線が痛い、が、早速準備をしなくては…。
「よし、じゃあ、犯人を炙り出してやろう!」
『おー!!』
グレム以外の3人は大きく声を上げた。
「ここでいいのですか?」
ミントはグレムに確認する、グレムは言葉を返す。
「ああ、ここで、奴を待っていてくれ。で、その人が来たらさっき決めた言葉を言ってくれればいい。その後は…怖い事があるかもしれないが…俺たちがいるから大丈夫だ。…やっぱり、少し怖いか…?」
「怖いですけど…誘拐された子たちのことを考えたらそんなこと言ってられないです!!怖くても…頑張ります!!それに…グレムさんたちの事は、信頼していますので!!」
そう言ったミントの体は少し震えていた、グレムはミントの頭を撫でて言う。
「本当にいい子だな、ミントは。ありがとう。」
そう言った後、グレムはミントを優しく抱きしめた、エルとルリはそれを見て驚いたような顔をする。そして、グレムは言った。
「怖いのに…立ち向かってくれるのは、とても勇敢なことだ。他の女子生徒に、こんなに勇敢な子はいないだろう。君に頼んでよかった…本当にありがとうな。」
「……!?!!!」
ミントは驚きと嬉しさで顔を真っ赤にしていた、グレムはそっと彼女の体を離して言った。
「どうだ…?少しは恐怖心が和らいだか…?」
ミントは顔を赤くしながら言葉を返した。
「はは、は、はいっ!!ありがとう…ございます!!」
「よし、じゃあ頼んだぞ。」
そう言ってグレムはエルとルリの方へと行き、少し隠れた、その時すぐにエルとルリに小声で言われる。
「ご主人様!恐怖心を和らげるためとはいえ、いくら何でもやりすぎです!!」
ルリもコクンコクンと2回頷く。
「いや、けど俺に出来ることってあれくらいしかないし…なんならエルとルリも抱きしめてやろうか?あんな風に優しく。」
その言葉に少し2人は考える様子を見せてから返した。
「そ、それは…あとの楽しみに取っておいてあげます……。」
「ルリも…いい…?」
「ああ、俺でいいなら全然いいぞ、毎日でも。」
それを聞いてエルとルリは少し喜んだ表情をした。
一方ミントはというと…
「(あ、あ、あの、あのグレムさんに!!抱きしめられちゃった!!きゃーー!!!嬉しい!!私の恐怖心を和らげる為にあんなにも優しく…あれが大人の言う抱擁ってやつなのかな…?凄い安心感があった…またしてくれないかな…。)」
顔を赤くさせて心の中でこれでもかというほど喜んでいた。そうしていると、その犯人と思われる人物が来た。ミントは気を引き締める。
「(いけないいけない、ちゃんと演技しなきゃ!!こうやって、落ち着いて…決められた言葉を言うんだ!!)」
ミントはその人物の方を見る、だがミントは少し驚いた。
「(この人が…犯人…???ああ、いけないいけない、今は演技しなきゃ!!)」
その人物は言う。
「こんな所で…どうしたんだ?…もう下校時間をとっくに過ぎているぞ?」
「実は…先生…私…ちょっと怖くて…。」
「?何がだい?」
「最近…周りの女の子が次々と誘拐されているから…ちょっと…1人で帰るのが怖くて怖くて…。」
そう言ってミントは俯いて涙を流し始めた、「素晴らしい演技力だ」とグレムは思う。するとその先生は言った。
「そうか…確かに…最近はよく攫っているからな…怖いよな…。」
ミントはその言葉を聞いて「え?」と思い、顔を上げると、その人物はニヤリと笑った後、すぐにミントの口を塞ぎ、抱き抱えて連れ去った。
ミントは突然の事で驚きながらも声を出そうとするが、抑えられていて声が思うように出せない。その犯人は、まるで連れ去るのに慣れているかのような手際の良さだった。
グレムたちはすぐにその人物を気づかれないように追いかける、だがグレムは一定の距離を保って気づかれないようにしている。エルが言う。
「ご主人様!早くしないと…ミントちゃんが…!!」
「分かってる、だからこそだ。奴はこれから他の子達を連れ去った所に行くだろう…。みんなを助ける、そのためには…こうするしか……。」
エルとルリはそのご主人様の顔を見て理解した。
『こればかりは申し訳ないが…少し怖い思いをするかもしれない…。』と言ったこと、そして、恐怖心を和らげるためにわざわざミントを抱きしめた本当の意味を。
奴は、自分が持っているクラスの教室に入り込んだ、その様子を教室の外から覗いていると、何やら教卓の下に何かあるようで、少しゴソゴソとした後、バカッと蓋を開けるように床が開いた、そしてそこに奴はミントを抱き抱えたまま入っていった。グレムたちは、その床の近くまで行った。
そこには、床下にはしごが続いていた、エルが言う。
「こんな所に…こんなものが…。」
その時、グレムは言った。
「ここからは俺1人で行く…2人は他の教師たちを集めて連れてきてくれ、頼んだ。」
「分かりました…ご主人様、健闘を祈ります。」
「ああ、じゃあ行ってくる。」
そう言ってグレムはその床下のはしごを降りていった。
「じゃあルリちゃん、急いで教師たちを集めましょう!!」
「うん…!!」
そう言って、2人は他の教師たちを集めに行った。
「随分と長いな…。」
グレムははしごを降りながら感じていた。ここは…もしかしたら昔は王城で、奴隷を収容するような所だったのかもな…。
そう考えながら、グレムが下に降りていくと、やっと床に着いた、そして、魔術を唱える。
「<<灯火>>」
そう光を灯した瞬間、後ろから拳が迫ってきた。
グレムはその拳を、まるで背中に目が合って見えていたかのように、手で止めた、そして言う。
「やっぱりあなたでしたか……怪しいとは思いましたが、勘が当たっていましたね…。ね?ケアド先生。」
そう言ってグレムが拳を掴んだまま振り返ると、そこにはケアド先生が鬼の様な形相で立っていた、そして言う。
「いけませんねぇ…あまり学園に関係の無い方がこの問題に口を挟むどころか、首を突っ込んでくるなんて…。あなたにも教育が必要なようですねっ!!!」
そう言って、ケアド先生は反対の拳をこちらに向けて殴りかかってきた、グレムはそれが来る前に、ケアド先生に1発、殴りを入れた。恐ろしいほどの速さだった。
ケアド先生はいきなり走る痛みと反動に訳が分からなくなっていた。
「(な…なぜ私が殴られている!?私が殴りかかった筈だろう!?一体…今奴は…何を…。)」
そう考えているとグレムが言う。
「いけませんねぇ…教師という教える者の立場からしているのにも関わらず、子供たちを誘拐するとは…。あと、『教育』?有無を言わさず子供の口を抑えて連れ去ることが『教育』ですか?…なら…あなたにも、私なりの教育が必要なようですね…。」
「生憎君に教育される筋合いは無いよ!!食らえ!!<<炎の不死鳥>>!!!」
「ほぉ…?」
ボワアアアアアァァァァ!!!
グレムに炎で出来た鳥のようなものが襲いかかってきた。
「ハッハッハ!!!馬鹿め!!私だって魔法が使えるんだ!!燃え尽きろ!!」
「こんな威力のものを『魔法』とは呼びませんよ。」
そう言ってグレムがその炎の魔法に触れると、その炎は消失した。
「………は?」
ケアド先生は驚きのあまり言葉を失った、グレムはそれにこう返した。
「じゃあ、本物の炎を見せてやりますよ、<<炎帝の怒り>>。」
ボワアアアアアアアアアァァァァ!!!!
「な、何だこの『魔法』は!?見た事が無い!!こんな大きな…しかも…熱すぎ…ぎゃあああああああああ!!!!!」
そう言って、ケアド先生はグレムに燃やし尽くされた。その後に、グレムはすっかり黒焦げになったケアド先生に向かって言う。
「これは、『魔法』じゃない、魔術だ…それと、女性はもっと丁重に扱うべきだ。覚えておけ…この最低の教師が。」
そう言って、ケアド先生が出てきた方向の奥へと進むと、沢山の女の子が猿轡を着けられ、手足を縛られて佇んでいた。
グレムはまずミントのそれらを外してまた抱きしめた、彼女は泣いて言った。
「怖かった…怖かったよぉ…グレムさん…ぐすっ。」
「ごめん…ごめんな…そして…ありがとう…君のおかげで、みんなを助けることが出来た…。本当にありがとう…。」
すると、上からエルの声が聞こえた。
「ご主人様〜!!!教師たちを連れてきました〜!!!」
グレムはミントを抱きしめて少し落ち着かせた後に、大声で言った。
「誘拐された子供たちの数が多いから、あと4人くらい下に降りてきてくれ!!!」
「分かりました〜!!!」
エルはそう返事を返してくれた、その後にグレムはその場にいた女の子たち全員に言う。
「君たち、もう大丈夫だ!!ごめんな、遅くなって…。犯人はこうして捕まえた!!もう、心配しなくていい!!全員、ちゃんと解放してやるからな!!」
そうグレムが言うと、その女の子たちは全員、安心したように涙を流した。
どうでしたでしょうか?
次回は少し、ストーリーに関してはお休み回となると思います…ですが、その次に続く話の中に重要な物が隠されているかも…?乞うご期待下さい!
それでは、また次回お会いしましょう!




