第96話 やはり必ず問題は起こる
今回は王国全体で困っている『ある問題』について、グレムたちが解決に動き出します…読みながら皆様もこの問題の鍵となるものを予想しながら見ていってもらえると嬉しいです!
それでは、どうぞ!
ベルディア王国に来て2日目のグレムたちは、ギルドで良さそうなクエストを探していた。
「う〜ん、やっぱり、クエストボードの前に立つと悩んじゃうな〜。」
「そうですね〜、これといってぴったりくるものが無いというか…なんというか…。」
「ルリも…この中で…気が進むようなクエストは…あんまり…無い…。」
『う〜ん。』
そうして、3人でクエストボードの前で悩んでいると、ある茶髪でおさげの髪型をして、メガネをかけている受付嬢が声をかけてきた。
「あの〜、もしかして、クエストで悩んでいますか…?」
グレムは振り向いてその受付嬢にすぐ言葉を返す。
「はい…もしかして何かギルドが困っていることでも…?」
「はい…でもギルドというよりかはこの王国全体で困っているというか…。」
「大問題じゃないですか!!一体、どんな事なんですか?」
「それが……少し酷い話で……」
どうやらその受付嬢、及びギルドによると、この王国のいわゆる学生という者の中の女子生徒が毎日1〜2人の数、誘拐されているという。1度、王国総出で探したのだが、結局分からずじまいだったらしい。犯人はロリコンかな?…ちなみにその学園では、小学生1〜6年、中学生1〜3年、高校生1〜3年の子を教育しているらしい、システムはあまりよく分からないな。
「分かりました、解決出来るかは分かりませんが、独自で調査してみますね。」
「あ、ありがとうございます!!ダイアモンドランクさんに受けてもらえたのなら少し安心します…。」
「けど、あまり期待しないでください…申し訳ないのですが、情報量もあまり無いので推測でしか動けませんし…。」
「あっ!!それなら少しだけ有益になるかもしれない情報があります…えっと…その犯行が行われるのは大体16時〜18時辺りが多いです。丁度、学生が下校するくらいの時間帯ですね…けど、誘拐された場所は分かっていません…。すみません…やっぱりあまり力になれなかったですよね…。」
その受付嬢がそう言って少し俯くと、グレムは笑顔で言った。
「いえ、ありがとうございます。かなり有益な情報になりました、これなら今日中にでも犯人を特定できるかもしれませんね。」
「……え?……ほ、本当ですか?」
「本当です、信じてください。その時、その学生が通っている学園というのにも話を聞きに訪ねたいのですが、問題ありませんか?」
「あ、ならその学園に連絡を入れておきます!それと地図も渡しておきますね!」
受付嬢は急いで地図を取ってきてくれた、グレムは言う。
「ギルドにはいつもお世話になっていますのに、すみません。」
「!?いえいえ、貴方様のような方がいるからこそ、こちらも面子が立つというものです!!それでは、お願いします!!」
受付嬢はそのグレムの発言に驚きながらも頭を下げて言った、グレムはまた言う。
「安心してください、絶対に、犯人を見つけてやりますから。」
そう言って、グレムたちはギルドを出ていった。その受付嬢はグレムに尊敬の目を向けていた。
自分のカウンターへと戻ると隣の赤髪のツインテールの受付嬢に声をかけられた。
「あんな冒険者さん、初めてじゃない?『ギルドにお世話になっている』とか言ってくれたいい感じの人は。他の人はみんなぶっきらぼうなんだから。」
「はい…とても優しい方でした…あんな人…初めてです…尊敬します…。」
その受付嬢2人は、その後も、グレムの話で少しばかり盛り上がっていた。
グレムたちは、ギルドからもらった地図を使って、早速学園内へと向かっていた。エルが言ってくる。
「ご主人様…さすがにあんな期待させるようなことは…。今日中はちょっと難しいでしょう。」
「いや?そんな事ないぞ?もう大体犯人は掴めてる、あとは炙り出すだけだ。」
「ご主人様…何が…分かったの…?」
「普通にあの受付嬢の言葉を思い出して整理してみよう。まず、犯行が行われるのは『丁度、学生が下校するくらいの時間帯』、だよな?」
エルがその言葉に返答する。
「はい…確かに受付嬢はそう言ってましたが…。」
「それともう1つ…『誘拐された場所は分かっていません』ということだ、もうこれだけで、犯人は絞れる。あくまで推測だがな。」
ルリは疑問に思って聞いてくる。
「…?なんで…?なんでそれだけで…ご主人様は犯人を絞れるの…?」
「少し考えよう、普通、学生が下校するくらいの時間の中で誘拐が行われたとなると、1人で歩いている子くらいしか誘拐できない。だが犯人は一度に2人も誘拐する時がある。それならおかしいと思わないか?まだ、日が出ている夕方だ、この町の様子からして、あまり死角になる所はない。そして人は今のように沢山いるだろう、それも、自分の子を待っているような親がな。」
エルがそのグレムの言葉に返す。
「ということは…目撃者が出てもおかしくないという事ですかね?」
「その通り、だが犯人の犯行場所は分かっていない、つまり、必ず親の目が届かない場所で犯行が行われているはずだ。そうすると…もう分かるだろう?」
ルリが気づいて言う。
「まさか…親の目が届かない学園内で…犯行が行われている…ということ…?」
「正にそうだ…なら、犯人は絞れるよな?」
その言葉にまたエルは返す。
「その学園の…教師という方が犯人である可能性が高いと…。」
「ご名答、じゃあ、行こうか。」
エルとルリはご主人様の推理力に驚きながらも、学園へと向かうご主人様に付いていった。
「いやぁ、遥々ここまでありがとうございます!私はこの学園の校長を務めています、カイル・ミターリーと申します!」
その学園の『校長』という者が学園内へと入ると、すぐに出てきて挨拶をしてきた。グレムは小声でエルに聞く、その言葉にエルも小声で返す。
「エル…『校長』ってなんだ…?」
「私もよく分かりませんが…学園の中で1番偉い人を指す言葉だと本で読みました…。」
「へ〜、じゃあ、敬語を使った方がいいかな。」
「一応…ですね…。」
グレムはエルから顔を離して言った。
「私は冒険者をやらせてもらっています、グレムと申します、こちらのダークエルフは仲間のエル、こちらの獣人は仲間のルリと申します。」
すると、カイル校長は焦って言ってきた。
「いえいえ、気を使わなくて結構です!ダイアモンドランク様にそんなことさせる訳にはいきません!」
「そうですか…じゃあ、少しだけこの硬い言葉を崩しますね。」
「は、はい…それであなた方が宜しいのであれば…で、今回は…確かこの王国内で問題になっている誘拐事件の件で来られたんですよね…?」
「はい、出来れば先生という者1人1人に事情聴取を取りたいのですが…そんな訳にはいきませんよね、授業中ですもんね。…なので、代わりにその授業風景を見せてもらっても構いませんでしょうか?」
「ああ、はい!こちらのことも考えてくださってありがとうございます。それぐらいであれば構いません、そう、各先生に伝えておきます、それでは、どうぞよろしくお願いします…。」
カイル校長が頭を下げた、よっぽどこの事件には思うところがあるのだろう。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
グレムはカイル校長に対して頭を下げた。
どうやら毎回誘拐されているのは小学生という学年の女子生徒らしいので、その小学生のクラスが集まる棟で、グレムたちは教室内を見て回っていた。
「ミラス先生!ここの答えを教えてください!」
「ダメでしょ!自分で考えてから先生に見せなさい。」
「ミラス先生〜!これで合ってますか?」
「はいはい、ちょっと待ってね…。」
グレムはその教室内を見終わったように動き出した、エルが言う。
「え?もういいんですか?」
「ああ、あの先生は違う。直感だがな。」
そう言って次の隣の教室を見に行く。
ガラガラガラ…
ドアを開けると、生徒たちが一斉にこっちを見てきた。少し緊張するなこれは。
「ケアド先生!あの人誰ですか?」
「ああ、あの人は『グレム』という冒険者さんだ。みんなも、その名前を聞いたら分かるだろう?」
「え〜!!!あのドラゴンを倒したっていう英雄さんですか!!?」
「やだ…かっこいい…。」
「どうやって倒したのか気になるな〜。」
全体がガヤガヤしてきたその時、ケアド先生は手を2回パンパンと叩いて言った。
「はいみんな!!もう分かっただろう!!授業を続けるぞ〜!!」
ケアド先生がそう言うと、生徒たちはすぐに前を向いてその先生の話を聞く態勢を整えた。
その後にグレムたちはその教室を出ていった。
また次の教室へと入る、するとそこでは何やら実験をしているようだった。
「これをここにいれると……。」
ボワン!!
虹色の煙が出てきた、生徒たちは目を輝かせる。
「な?魔法って凄いだろう!?本来出来ないようなことも、出来るようになるんだ。みんなも、この実験に使った道具や物、そして魔法を、覚えておくように。」
「え〜そりゃないよ〜カルマ先生〜。」
「テストに出してやるからな〜ちゃんと覚えとけよ〜?」
『え〜!!?』
その教室の生徒たちは一斉に声を上げた、そこで、グレムたちはその教室を後にした。
今度の授業はどうやら外で行われているようだ、弓の訓練だとかなんとか。
ビュン!!ザクッ!!
ある少年が飛ばした矢は、的のかなり外側に刺さった。
「難しいよ〜サアラ先生〜。」
「最初はみんなそうさ、よし、今日、的の真ん中に命中させられた子にはご褒美をあげよう!」
そうサアラ先生がいうと、生徒たちは声を上げだした。
「先生!!僕頑張ります!!」
「私も!!先生からのご褒美気になる!!」
「俺も!!」
「ほら、じゃあみんな、撃って撃って、撃ちまくれ!!」
グレムたちはそこでその場所を後にした。
次は何やら体育館なる所で授業が行われているらしい。
そこでは、子供たちがボールを奪い合って、相手陣地に運び、ゴールに決めたら得点が入る。そうして、その得点の高さで競い合う新しい遊びが行われていた。
グレムたちは少しの間、その全く新しい遊びに目を奪われていた。そこに、担当の先生がやってきた。
「どうです?楽しそうでしょう?…生徒たちのあの顔がいいんです。あの無邪気で、「楽しい」と心から思っているような顔、あの顔を見ると、私は教員をやってよかったなと思えるのですよ。」
その先生は、笑顔でそう言った、その先生の胸元には、名前なのか、『ムランダ』と書いてあった。
数分その様子を見た後、グレムたちはその場を後にした。
「ここが最後か…、よし、いくぞ。」
『はいっ!!』
2人が返事をすると、グレムはドアを開けた。すると、子供たちが歌を歌っているのが聞こえてきた。校歌というらしい。
「は〜い!!みんな!!もっと声を大きくして〜!!」
女の先生がそう言うと、グレムはすぐにドアを閉めた、その時、エルが言う。
「あれ?いいんですか?もう。」
「ああ、大体の人柄は分かった…多分あいつだな…だが証拠が無い…、なら……証拠を作ればいいだけだ。」
グレムはそう言って、学園内を歩いていった。2人は、ご主人様の言葉に不思議そうに思いながらも、ご主人様に付いていった。
どうでしたでしょうか?
次回は、この問題、事件を起こした犯人を果たしてグレムたちは本当に見つけられるのか…?という話になります。期待しておいてもらえると嬉しいです!
それでは、また次回お会いしましょう!




