第93話 自分の考えで
今回はいよいよ第7章の最終決戦!!グレムは果たして呪いを解くことが出来るのか!?そして…ゼイザス王の本当の思いとは…?最初から最後まで、見所が満載になっておりますので、1行も見落とさず見て頂けると嬉しいです!!
それでは、どうぞ!
【確かにミハエルは大切な息子だ!!だが、ケイローンは、私を殺した!!!家族の中で1人の生き残りになることがどんなに辛いか、どんなに苦しいか私にも分かっている!!だが…それでもあいつだけは許せないんだ!!私には、ケイローンを許してやれるほどの寛容さは無い!!だから………こうしよう…。】
そう言ってワイトは杖を構えた、そして、その後にまた言った。
【お主らが私に勝ったら呪いを解こう、負けた場合は…分かるな…?】
グレムは魔術を唱え始めた。
「<我、悪しき者の呪いを解き、優しき者を助けようとする者なり。その優しき者を守る為に、今、悪しき者に剣をかざさん>!!!
グレムの手元に光が集まる、その光は剣の形となり、1つの白い剣を作った。グレムはそれを持ち、構えて言う。
「<<鎮魂の白剣>>」
「では、容赦なく、たたっ斬ります!!」
ドヒュン!!!
グレムはワイトに向かって、剣を振りかざそうと、飛んで突っ込んだ。
するとワイトはすぐにグレムの飛んだ方向から離れて、魔法を唱えた。
【<<猛毒海>>!!】
ワイトがいる辺り一帯に、毒の海が広がっていく、ワイトは笑いながら言う。
【ハハッ!!どうだ!!これで近づけ…】
バシャバシャバシャッ!!!
だが、グレムはまるで全くその毒が効いていないかのように、その毒の海の上をとてつもない速さで走ってきた。そして、ある程度、ワイトに近づいたところでジャンプをした。
「残念だったな…俺に毒は効かないんでね。」
【な………。】
ズバアァァン!!!
ワイトはグレムに斬られて、 大きな傷を負ったが、まだ動けない訳では無いので戦いを続けようと魔法を唱えた。
【<<幽体化>>…。】
ワイトの体が少し透ける、ルリは短剣でワイトを斬り裂こうと正面から突っ込んで斬りつけた…だが、短剣どころかルリの体もワイトの体をすり抜けた、ルリは驚く。
【ハハハハハ!!どうだ!!これなら私に剣は通らない!!それこそ、聖剣でも無ければな!!フハハハハ!!】
「そうですか……。」
グレムはそう言って少し笑った、そしてエルとルリに言う。
「エル、ルリ!!ほんの少しの間、時間を稼いでくれ!!」
『了解!!』
2人は返事をした、エルはすぐに魔法を唱え始めた。
「<光の精よ!我が目の前にある邪悪な魔物を消し去る天からの光を授けたまえ>!!」
「<<天の裁き>>!!」
ドオオォォン!!!
光の柱が上から落ちてきて、ワイトを包み込む。
【ぐわああああぁぁぁぁ!!!】
「よし!!やっぱり光属性の魔法は苦手なようですね!!」
エルがそう言うと、ワイトはこう言って怒ってエルの方に突っ込んできた。
【おのれ…この…小娘があああああ!!!】
「<<麻痺する雷>>…!!」
ルリがそう唱えると、電撃がワイトに向かって走っていった、ワイトはそれを受ける。
バリバリバリバリッ!!!
【ぐっっ…だが、これくらいの雷では…。】
ルリはそのワイトの言葉の後に言った。
「私は…あなたを倒すために…この魔法を使ったんじゃない…。」
【何を……。】
ワイトはそう言って、動こうとするが、動けない。まさか…体が痺れているのか…!?
【おのれ…!おのれええええぇぇ!!】
そう言って、ワイトが体を必死に動かそうとしていると…
「エル、ルリ、ありがとう。」
グレムが言った、そうして、手には輝きを放つ1本の剣を持っている。
「<<複製完了>>…。聖剣、エルズアド・ソード。」
【そ、その剣は…な、なぜ貴様が持っている!!】
「そりゃあ驚くよな、だって、さっきまで持っていなかったその聖剣を、俺が持っているのだから…。生憎、俺は魔術師なのでね…構造が分かっていれば、複製出来るんだよ…。」
【そ、そんな……馬鹿な…そんな事があってたまるか!!聖剣の構造を理解するなど、正に禁忌そのものだ!!嘘を言っているに違いない!!】
「じゃあ、試してみるか…?ワイト…。」
ビュン!!!
グレムはそう言うと、とてつもない速さで飛んだ、あまりにも速すぎて、ワイトは反応出来なかった。
「終わりだ…ゼイザス王…、<<聖なる剣撃>>。」
ズバアアアァァァアアン!!!
【ぐわああああぁぁぁぁ!!!馬鹿な…馬鹿なあああああああああ!!!】
シュアァァァァ…と、ワイトは、グレムが複製した聖剣で斬られると、その斬った辺りから、消滅していった。
そして、ワイトが消滅した後、そこにはいつの間にか、光でできた透明なゼイザス王が立っていた、彼は言う。
〔不思議な気持ちだ…あんなにもケイローンへの憎悪があったというのに…今では清々しく感じる…。〕
グレムはそのゼイザス王に言葉を返した。
「聖剣のお陰でしょう、悪意といった闇の塊の様なものを、この剣が、消し去ってくれたんだと思います。」
〔毒の上を普通に走ってくるわ、出来るはずがない聖剣を複製するわ……一体君は何者なんだね?〕
「グレムと申します、"元"魔王をやらせてもらってました。」
〔ハッハハハハ!!そんな者に私は勝負を挑んだのか!!そりゃあ、負ける筈だ…実に面白いな!!〕
「それで…ケイローンの件なのですが…。」
〔ああ、勝負に負けたんだ、私は呪いを解いてから成仏するよ……元々は、私が酷い政治を行っていたから悪かったんだ…そうは思っていたが…自分のせいにどうも出来なくて…。…あの2人には今更だが、『迷惑をかけた、すまなかった。』と伝えておいて欲しい…。頼まれてくれるかね…?〕
「はい、王のご意向とあらば…。」
〔ハハハ!!そんなに畏まらなくていい!君たちには助けられたようなものだ。……ありがとう。〕
「礼には及びません、ただ私たちは、この大迷宮を攻略しに来た冒険者なのですから。ついでですよ、ついで。」
〔その割には我が息子のことを思いやっているような事を言っていたがな、君は少し優しすぎるのかもな、気をつけろよ。〕
「分かってます、それでは、ゼイザス王、お元気で。」
〔そっちもな!!ケイローンとミハエルの事、頼んだぞ!!〕
そう言って、グレムは天へと昇っていくゼイザス王を見ながら大きく、「はい!!」と返事をした。
ゼイザス王は、天に昇りながらも、満面の笑みをしていた。
シュン!!!
3人は、70階層を踏破したため、ポータルで地上へと戻ってきた。日はもう暮れ、夜になりかけている頃合いだった。
「よし…取り敢えず、報告しにアルガルド城へ行くか!!」
グレムがそう言うと、エルがとても怠そうな口調で言った。
「そうですね…とっても疲れましたけど…。」
ルリがその言葉にこう返した。
「エル…体力無さすぎ…冒険者なんだから…もっとしっかりして…。」
「元々後衛だからあまり動かないんですよ!!体もそりゃあ疲れやすくなります!!」
そう言い合っていると、大迷宮の入口前にいたお爺さんから声をかけられた。
「お前さんたち、ご苦労じゃった…まさか1日でこの大迷宮を踏破するとはな…驚きじゃ。」
エルとルリが頭に?マークを出している様子が伺えるのでグレムは2人に言った。
「ああ、そのお爺さんな、この大迷宮の精霊だ。だから俺たちが最後まで行ったことを知っている。」
グレムがそう言うとエルとルリはそのお爺さんを2度見した、その2人の動きは完璧にシンクロしていた。仲良しさんか君たちは。
「ふぉっふぉっふぉっ、まぁそう驚くでない…ただの老人で結構じゃ。だが、敬いは忘れるなよ…?ついちょっと前に、そのお兄さんに忠告したからな。」
グレムは「あはは…。」と苦笑いをして返した。その後にお爺さんが近づいてきて何かを渡してきて、言った。それは…あるバッジのような物だった。金色に光り輝いていて、翼のような形をしている。
「この大迷宮を踏破した証じゃ、ギルドの方にはわしから最大踏破階層数を伝えておこう。では、また会おう……」
お爺さんがそう言ったので、グレムたちはアルガルド城へと歩いていこうとする…すると…
「あ〜!待て待て!!その黒いお兄さん!!あんただけはちょっと残ってくれ!!話がある!!」
グレムはそのお爺さんの言葉を聞いて、2人に「先に行っておいてくれ、後から行くから。」と言って、お爺さんの方に戻っていった。エルとルリは不思議に思いながらも、アルガルド城へと歩いていった。
「グレム君はまだかい?」
ミハエル王がエルとルリに聞く、エルは言う。
「もう少しな筈なんですげど…遅いですね。」
「もう君たちから話を聞いてしまっても宜しいだろうか?」
「そうですね…そうした方が」
ガチャッ!
「すみません!!遅れました!!」
グレムが入ってきた、ミハエル王が言う。
「やけに遅いじゃないか、その話とやらは、どれだけ長かったんだ?」
「あはは…す、すみません…。」
グレムはそう言って席につく、ミハエル王が聞いてきた。
「で、報告とはなんだ?何か大迷宮内であったのか?」
「はい、実は…」
グレムは大迷宮の最後の階層にミハエル王の父親がいた事、そして、ケイローンにかけた呪いを解いたこと、『元々は自分の政治の仕方が悪かったから』と言っていたこと、さらに、『迷惑をかけた、すまなかった。』と伝えて欲しいと言われたこと、その大迷宮内の最後の階層で起こったことを全て話した。
それを話し終えた後、ミハエル王は笑って言った。
「ハハハハハハハ!!!あの暴君がそんな事をか!!信じられないが君たちが言うのならば本当なのだろう!!驚きだな!!ハハハハハ!!」
ミハエル王は笑いながら泣いていた、だが、その涙は決して、あまりにその事がおかしすぎて出しているようには見えなかった。
「…で、何故私の馬鹿兄貴の呪いを解いたんだ?あんな奴、死んで当然だろう。」
グレムはその言葉にこう返した。
「あなたはその『暴君と呼ばれた父親が殺されたこと』が分かると怒りました。ここからは私の思い違いかもしれませんが、放っておいたらケイローン、あなたの兄が死ぬとなった時も、あなたはどこか悲しそうな顔をしていました。さらに、このまま兄が死ねば、あなたは家族の唯一の生き残りになってしまいます。それがどんなに悲しくて、寂しいことかを、あなたの父親も分かっていました、私は、あなたをその状況に立たせたくないから、あなたの兄を助けたんです。」
ミハエル王はそのグレムの言葉を聞いて席から立ち上がり、怒鳴るように言った。
「大きなお世話だ!!!助けて欲しいとも言っていないあんな酷すぎる兄貴が1人死んだぐらいで!!!1人死んだぐらいで…………。」
そこでミハエル王は涙を流し始めた、グレムも立ち上がって言葉ををかける。
「あなたは心のどこかで思っていたんじゃないんですか。このままだと1人になってしまうと、家族唯一の生き残りになってしまうと、そして何より……悲しく、寂しくなってしまうと…。」
「違う!!私は!!そんな!!そんな………。」
「王だからって、全てを飲み込めばいいんじゃないんです。たまには考えて、悩んで、自分で答えを導き出しましょうよ、これから先のあなたのためにも。」
グレムがミハエル王にそう言うと、ミハエル王は涙でぐしゃぐしゃになった顔をこちらへ向けて、一言、「ありがとう」と言った。
どうでしたでしょうか?
次回は第7章も最終回、全ての問題に、決着がつきます…。一体どんな感じで終わるのか、そして、その次の第8章はどんな話になるのかも期待していてください!
それでは、また次回お会いしましょう!




