第89話 未踏の地
今回もダンジョン編の続きとなります!今回は少し短めですが、主人公とその仲間の信頼がさらに深まるようなものを書けたので、是非、それを楽しみとして見ていって欲しいです!
それでは、どうぞ!
55階層にいた『門番』の役、ミノタウロスを倒したグレムたちは、誰も来たことがない56階層目への階段を下りていっていた。
「何が待ってるんでしょうか…ワクワクします!!」
エルは体をウキウキと動かしながら言う、グレムが言葉を返す。
「そうだな〜、ここから先は誰も来た事が無い言わば未踏の地、何が待っていても、何が起こっても、おかしくは無いな。」
グレムも内心ワクワクしながら、そう言った。すると、56階層目へと続く扉が見えてきた。
「2人とも…いいか…?開けるぞ…?」
グレムはエルとルリに言う、2人は同時に頷いた。
ギイイイィ…
扉の先の光景を見て真っ先にグレムは言った。
「やっぱりな。」
扉の向こうは、また、最初と同じような洞窟が広がっていた。エルがグレムに問いかける。
「ご主人様!50階層目から54階層目はあんな感じだったのに…どういう事ですか?」
「きっと、その階層の間は言わゆる休息地なんだろう、55階層目のミノタウロスと戦うための。」
「成程…だからあんなにのほほんとしてたんですね…。」
「そういう事だ…じゃ、また探索開始だ。」
そう言ってグレムが扉の先に出ると…突然、黒い霧が目の前に出てきて、さらにその中から魔物が何匹も出てきた。
「早速ご登場ってか…、2人とも、準備はいいな?」
『はい!!』
そうエルとルリが返事をした瞬間、グレムが消えたと思うと、黒い霧から出てきた何匹もの魔物が一斉に砕け散った、そして、グレムはいつの間にか元の場所に立っていた。それに対してルリが頬を膨らませて言う。
「む〜…ご主人様…ああ言っておいて…ずるい…。」
「ごめんごめん、今まで全然活躍してなかったからちょっと力が有り余っちゃって…。」
「ご主人様の活躍なんて、嫌でも見れますよ!!ここは私たちにも見せ場を作らせてください!!」
エルが少し怒って顔を近づけて言ってきた。
「可愛い……。」
しまった、声に出てしまった。こんな時でも「可愛い」と思ってしまう自分を褒めて…いやいや、責めてやりたい。
グレムがそう呟くと、エルは少し顔を赤くして近づけた顔を離してから言った。
「と、とにかく…私たちは日頃からご主人様に頼りっぱなしなんです!!ここぐらいでは、少しくらい恩返しさせてください!!」
そう思ってたのか…なんだか申し訳ない気持ちになってきたな…。グレムはそう思ってこう言った。
「2人ともそんな事を思ってたのか?…ならごめん、俺が倒した方が2人が楽になるかなと思ってた。…だからこれから先は結構頼らせてもらうよ…いいかな?」
そう言うと、エルとルリは互いに目を合わせた後に言った。
『はい!!是非、頼りにしてください!!』
とは言ったものの…
「<<天の飛槍>>!!」
そうエルが魔法を唱えると、エルの周りに無数の光の槍が作られて飛んでいき、目の前にいる敵を殲滅していった。次はルリが…
「狂獣化。」
ルリは赤いオーラを身にまとった後、短剣を構えて、それに雷の魔力を込める。そして…
「<<狂乱の電光石火>>!!!」
バチチッ!!バリバリバリバリッ!!!
ビュン!!と、エルが残した敵を雷が落ちるようなとてつもない速さで斬り裂いた。
敵は全滅した、エルとルリはハイタッチをする。
「(あれ?これ俺いらなくね…?2人ともクラスに見合う実力になってるし…俺が活躍しなくても2人で魔物殲滅してるし…。)」
グレムがそう思っていると、エルがグレムの手を取り、声をかけてきた。
「ほらほら!!ご主人様!!行きますよ!!」
そう言われ、グレムはエルに引っ張られていった。
2人の活躍で、あっという間に60階層へと続く階段を見つけられてしまった。
「ありましたね!!では行きましょう!!…ご主人様…?」
エルは主人が悩んでいるのにすぐ気づき、心配する。
「ご主人様…?何か困り事でも…?」
「いや別に困り事ではないが…。」
「遠慮せず…言って…ご主人様…。」
ルリがそう言ったので、グレムは悩みを打ち明けた。
「いや、2人とも十分以上に強くなっているから、2人がいれば別に俺がいなくてもパーティをやっていけるんじゃないかと思ってしまってな…。」
そうグレムが言うと、2人は少し怒鳴るような口調で言ってきた。
「ご主人様!!怒りますよ!!」
「エルの言う通り…私もちょっと怒っちゃいそう…!」
「え?な、何でだ?」
グレムは2人が何故怒っているのか分からないので、思わず疑問に思いながらそう返した。するとエルが言った。
「私たちにとっては、ご主人様が全てです!!欠けてはならない存在なんです!!ご主人様がいなかったら…私は……こんなに頑張れません!!」
そう涙目になりながらエルが言うと、続けてルリが言った。
「エルの言う通り…私たちにとって…ご主人様は…無くてはならない存在…いなくては成立しない存在…それほど私たちにとってご主人様は…重要で…大事で…大切で……だから、そんな事言わないで…ご主人様…。それに、そもそも…パーティ名もご主人様がいないと成立しないでしょ…?」
そうルリが言うと、グレムはルリの頭を撫でて言った。
「『欠けてはならない存在』か…。」
グレムは魔王だった頃をふと思い出した。
あの時は、全てが逆だった。自分はそこに魔王としていなくとも、欠けていても別に気にされないような存在だった。いなくなればかえって喜ばれるような存在だった…それが…今ではこんなにも違う。付いてきてくれる人がいる、信じてくれる人がいる、ただそれだけで、グレムはとてつもない幸福感を得た。思わず涙を流す。
それを見て2人は心配してグレムの元へ駆け寄り、そして言う。
「ご主人様!!大丈夫ですか!?私が強く言いすぎましたか!?ならすいません!!」
違う。
「私が…言ったことが…何か気に食わなかった…?なら訂正するから…泣かないで…。」
違う…違う!!
グレムはガバッと2人を抱きしめた、そして言う。
「俺は本当に幸せ者だ…こんなにもいい仲間に出会えて、信用されて、頼られて…何より仲間になれて…。」
ルリが返答した。
「それはこっちのセリフでもあるよ…?ご主人様…。」
エルも言う。
「そうですそうです!!ルリちゃんの言う通りです!!こんな素敵なご主人様に出会えたのですから!!」
そう言われて、グレムは涙を服の腕で拭ってから言った。
「2人とも、ありがとう…、お陰で悩みが晴れたよ…。」
「いえいえ、ご主人様が困っていたら助けるのが従者の役目です!!気にしないでください!!それに、私たちもご主人様に助けられてますから!!」
グレムはエルの言葉を聞いた瞬間立ち上がった、そして言った。
「じゃあ、行こう!!まだ見たこともない地へ!」
『はい!!』
2人は同時に返事をした。
60階層への階段を下りきり、扉の前まで来て、一旦グレムは止まって2人に言った。
「55階層であったみたいなこともあるから、少〜しだけ扉を開けて先に覗いてみるよ。」
グレムがそう言うと、2人は笑った、そしてルリが言う。
「ご主人様がいれば…大抵のものには負けないでしょ…。」
「まぁ、そうかもしれないけど…一応って感じで…。」
グレムはそう言って扉を少しだけ開けて、中を覗いてみる…すると…
グレムはゆっくりと扉を閉めて言った。
「うん!!とてつもない程めんどくさい!!」
「えぇ〜?一体何が見えたんです?魔物の大群でもみえたんですか?…けどそれくらいなら別に…。」
「確かにその通り、魔物の大群なんだが…ジャイアントオーク、ゴブリンロード、帝王熊、巨大蜘蛛…とにかく一体一体潰すのがめんどくさいのが揃ってる…さて、どうするか…。」
エルがその言葉に疑問を抱き、グレムに問いかける。
「『どうするか』?戦うのでは無いのですか?」
「いや…じゃあ言うけど…俺、暴れ回ってもいい?」
ズバァン!!ズバババン!!ズバアァァン!!!
「おらおら!!どうしたどうした!?そんなものか!?」
グレムは闇の細い剣1本で、その何匹もの大型の魔物を全て一撃で斬り裂いて倒していく。
エルとルリも負けじとその軍勢を何匹も倒していくが、その間にグレムは1人で何十匹ものその魔物たちを倒していた、それを見てエルがルリに魔物を倒しながら言う。
「やっぱり、ご主人様には敵いませんね!!」
ドオオォォォン!!!
そう言ってエルは、<<天の大剣>>を振るって周りの魔物を斬り裂いていく。その言葉にルリも魔物を倒しながらこう返した。
「それが…それこそが…私たちのご主人様…!だから…私たちは付いていきたい…どこまでも…!!」
「<<獣神の斬撃>>」
ズバァン!!!
2人はそう言って笑いながら、魔物たちの軍勢を倒して回った。
グレムはまるで光が走っているような目に見えない速度で、その階層内の敵を全滅させるまで暴れ回っていた。
どうでしたでしょうか?
次回は…まさかの主人公たちにピンチ!?強い魔物に出会ってしまい…!?乞うご期待下さい!!
それでは、また次回お会いしましょう!




