第86話 初めての大迷宮
今回はタイトル通り、初めてのダンジョン編です!!基本的に<大迷宮>と書かれていたら<ダンジョン>と読んでいただければと思います。
それでは、初めてのダンジョン編、スタートです!!
グレムたちは王城の火災事件の真相を暴いた次の日に、ミハエル王から勧められた大迷宮に向かうために、ギルドへと来ていた。どうやら、大迷宮に向かうのにも、ギルドの許可がいるらしい。
グレムは早速いつもの黒髪の受付嬢に話しかける。
「すいません、今日は大迷宮に向かおうと思っているのですが、許可をもらいたいです。」
「はい、分かりました!!」
そう言うと彼女はすぐにカウンター裏へと走っていった。か〜わい〜いな〜。
数秒すると、すぐに彼女は帰ってきた、そして言った。
「すみません…今ちょうど大迷宮に行く申請を許可する担当の人が忙しいそうで…少しだけ待って頂けませんか?あと……」
「はい、大丈夫ですよ。…『あと…』?何か?」
「こちらから頼むのは少し申し訳ないのですが……私の事を今後名前で呼んでくれませんか?」
ギルド内が少しざわめく。多分この子、人気なんだろうな〜とグレムは思う。
「受付嬢さんがいいのならそうさせてもらいますよ、毎度お世話になっているので…。」
「本当ですか!?では私…『リルル』と申します!!これからよろしくお願いします!!」
「へぇ〜可愛らしい名前ですね。リルルさん…でいいですか?」
「はい!ありがとうございます!!」
彼女はそう笑顔で言った、くそ可愛い。だが、エルとルリからの視線が痛い。
すると、リルルがカウンター裏から呼ばれたようで、彼女はそっちに走っていった。
ルリが言う。
「ご主人様…女性からの人気がありすぎ…何とかして…。」
「何とかしてって…これが俺の素だからなぁ…何とかするとしたら、2人への態度も変わるかもしれないぞ?」
「それは…嫌だ…!!やっぱり…いい…。」
「そうか…なんかごめんな、じゃあなるべく女の子に好かれないようにするから。」
「いや…けどそれじゃあいつものご主人様じゃない…私は…いつものご主人様が好き…だから…やっぱりいい…聞かなかった事にして…。」
「ごめんな〜ルリは本当にいい子だな〜。」
そう言ってグレムはルリの頭を撫でる、すると、ルリは腕に抱きついてきた。
「いつまでも…普通のご主人様でいて…。」
「さっきと言ってることが反対だぞ、ルリ、だが可愛いから許す!!」
「えへへ…ご主人様のそういう所が…好き…。」
エルはルリとグレムがイチャイチャしているのを見て頬を膨らませていた。そして、「(いつか見ててください…ご主人様…!!)」と決意を抱く。
リルルが戻ってきた、そしてすぐに言う。
「許可証、3人分です…お待たせしてすみませんでした…。」
「ああ、いえ、気にしないでください。冒険者ですし、時間はありますから。」
グレムの優しい言葉に少しリルルは感動する…数秒間を空けてから彼女は言った。
「では一応大迷宮の説明をしますね。まず、うちの大迷宮は1階層から、70階層まであります。他の大迷宮と比べると、少し小さいくらいですね、他は大体80階層以上ありますから。それで、大迷宮の中なのですが、魔物と罠で溢れ返っていて、更に階層を下っていく事に、魔物は強く、さらに多くなり、罠の数と種類も多くなっていきますので注意してください…。他に何か質問はありますか?」
グレムが聞く。
「財宝を見つけたら全部取っちゃっていいんですか?」
「はい、財宝は見つけた者が優先的に取る事ができます、なので全部取っちゃっても大丈夫です。ですが、大体他のパーティとどっちが先に見つけた論争が始まりやすいのも注意してください…。」
今度はルリが言う。
「最高到達階層は…今まででどれくらいまで…?」
「え〜っと…確か55階層までだったと思います。なんでも、実力のあるアダムアビスがそこら辺だったとか。」
55階?アダムアビスならもっと深くまで行けるだろう、どうしてそんな所で止まったんだ?グレムは疑問に思った。エルがリルルに質問した。
「はい!戻る時ってどうするんですか?わざわざまさか行った道を帰るという事は…。」
「ああ、大丈夫ですよ!ポータルという物が大迷宮に入る前に大迷宮近くにいる方からもらえるはずです。それを使えば、どんな深い階層にいても一瞬で地上へ戻ってこれますので心配なく…。あと、一度行ったことがある階層にならすぐにポータルで戻ることも出来ますので。」
「良かった…。」
エルは少しホッとする、リルルが言う。
「まだ他にもありますか?」
3人は横に首を振った、リルルが言う。
「それでは、行ってらっしゃいです!!」
「じゃ、行ってきます。」
グレムたちは、ギルドを出て、大迷宮へと歩き出した。
「楽しみですね〜大迷宮!!初めてとなるとワクワクします!!」
エルがそう言う、グレムはこう返した。
「あんまりはしゃぎすぎて罠にかからないようにな。まぁ、かかったら助けるけども。」
「ご主人様がいるなら、安心ですね!!」
「おいおい、俺を頼りすぎるな。自分でも注意くらいはしてくれよ?」
「当たり前です!!ご主人様の手を煩わせるような者にはなりたくないので…。」
「本当か?」
「本当です!!」
「そうか、ならいい。」
グレムたちは歩き続ける、大迷宮が見えてきた頃くらいにルリが言う。
「他のパーティと…喧嘩にならないようにしたいな…。」
「そうだな〜。相手にもよるが、少し気を使って行こう。ルリはいい子だな〜!」
そう言ってグレムはルリの頭を撫でる、ルリは嬉しそうにしている、うん、可愛い。
そうこうしているうちに、大迷宮に着いた。洞窟のようになっていて、その中には地下に行く階段が出来ている。
グレムたちは、大迷宮の入口前にいたお爺さんから声をかけられた。
「君たちも、ダンジョンに行くのかい?…許可証を見せてくれ。」
グレムたちは3枚、しっかりと許可証を見せる。すると、そのお爺さんは水色に光り輝く、宝石のような物を3人に渡してきて、そして言った。
「ポータルじゃ。危ない時とかにも使えるから、無くさないように注意するんじゃぞ、では、健闘を祈る。」
グレムはその言葉にこう返した。
「ありがとうございます、行ってきます。」
お爺さんは何故かびっくりした様子を見せた、が、グレムたちは気にせず階段を下りていった。お爺さんは言う。
「はて?今までにお礼なぞ言われたことあったかの?…こんなことは初めてじゃ…彼らなら、なんとか出来るかもしれないのぉ…。」
お爺さんはそう言って、雲ひとつない空を見上げていた。
「<<灯火>>」
グレムは魔術で火の球を作り、場を明るくする。それをみて、エルも魔法を唱えた。
「<<天の光>>」
「思ったより暗いな…エル、申し訳ないが明かり役は俺よりエルの方が良さそうだ。一応俺も明かりは灯しておくが、大体の光はエルに任せる。」
「了解しました!!ご主人様!!」
エルはご主人様の力になれるのが嬉しいのか少し喜んでいる。ありがてえ…ありがてえサポーターだ。
大迷宮の中は右や左や前に道が別れている洞窟のようになっていて、そしてさっきもグレムが言ったように非常に暗い。正に『大迷宮』と言った感じである。
数分の間さ迷っていると、次の階層へと続く階段を見つけられた、グレムが言う。
「まぁ1階層目だからな、敵も罠もこんなもんだろう。とりあえず、どんどん降りてってみるか。」
『は〜い!』
エルとルリは元気に返事をした。
20階層目…
ズバァン!!!ズババァン!!
ルリは短剣をまるで自分の体の一部のように使いながら、敵を殲滅していく。グレムは、これなら俺が出る幕もないかな、と思っていた。
敵を殲滅し終わったルリは、とててててて、とこちらに走ってきて、「撫でて!!撫でて!!」というように迫ってくる。
グレムはルリの頭を撫でて言う。
「ルリがいたら、この階層は楽そうだな。敵の数もそうでも無いし。」
「ご主人様…私…まだまだ行けるよ…?」
「前言撤回、多分40階層まで余裕だろう。」
グレムがそう言うと、ルリは嬉しそうに笑った。
32階層目…
「シイラ!!回復を!!」
ある男が言う、声をかけられたシイラという女性は言う。
「は、はい!!今すぐ!!けど、この数は…。」
「俺とマクロがいたら大丈夫だ!!な?マクロ。それに、魔法が使えるザリアもいるし!!」
そのマクロは言う。
「いや、だが、この数はさすがに…。」
「何を言う!!行けるって…!!」
ザリアもこう言った。
「私も…実は魔力切れだ…。もう魔法で援護もできない…すまん…。」
「そんな…。」
目の前には、何十、いや、何百もの敵がいた。男は仲間からの言葉を聞いて絶望しかけていた。
「(俺らは…死ぬのか…?こんな所で…。)」
魔物が持っていた剣を振りかざそうとしたその時だった。
「<<赤炎の煉獄>>!!!」
ドオオオオオオォォォォン!!!
横から、まるで自分たちを助けるかのように、目の前にいる敵を全て焼き払う炎の魔術が放たれた。
そこにいた4人のパーティは驚いて声を出せなかった。あの何百もの数の敵を…一瞬で…?
4人はその魔術が放たれた方向を見る、すると…
「ひぇ〜30階層越えてから随分と敵の数が増えたな〜。これは40階層面倒くさそうだな。」
「ご主人様…凄すぎ…あの数を…一瞬で灰に変えた…。」
「久しぶりに見ましたあの魔術!!相変わらずかっこよかったです!!」
ある3人のパーティが来た、男1人と女の子2人のパーティである。その男…グレムは言った。
「お〜い、大丈夫だったか?囲まれてるように見えたけど。」
そうグレムが言うと、そのパーティの中のある男がこちらに走ってきて、途中で止まり、頭を下げてお礼を言った。
「ありがとうございました!!お陰で全員無事、助かりました!!」
「気にするな、目の前に敵がいたから焼き払っただけだ、お礼はいいよ…ん?彼女、魔力切れしてないか?」
グレムはザリアを見て言った、ザリアは驚く。
「なんで…分かったの…?」
「え?まぁ…勘…というか経験かな。ダメだろう、大迷宮に来るんだったらポーションくらい持っとけ、ほら。」
グレムはザリアに魔力回復用のポーションを投げて渡す、ザリアは落とさないようにしっかりとキャッチする。グレムはその後に言った。
「それじゃあな、危なかったらすぐポータルで帰れよ?」
そう言ってグレムたちはその場から去っていこうとする。すると、シイラが呼び止める。
「あ、あの!!名前だけでも…。」
「ああ、グレムっていう。じゃ、またどこかで。」
そう言ってグレムたちは去っていった。
「『グレム』って言った…?あの人…。」
ザリアは驚いて言う、男はそれに対して言う。
「ああ…確かにそう言った…『グレム』って…。」
マクロは驚いて大きな声で言う。
「嘘だろ!?あの伝説の人だろ!?」
シイラも言う。
「サイン…もらっておけばよかった…。かっこよかった…。」
4人はあまりの驚きに、そこから数分動けなかった。この話は、1つの英雄談として、アルガルド王国内で語られるようになった。
次の階層へと向かう階段を下りながら3人は話していた。
「やっぱり…ご主人様は…優しい…。」
ルリは突然言った、グレムがそれに反応する。
「ん?そうか?どこがだ?」
エルがグレムに言う。
「さっき人を4人助けたばかりじゃないですか!!それに魔力切れを見抜いて、ポーションも渡してあげましたし!!」
「あ〜あれか、無意識にやってたから全然考えて無かった。」
「あれが…ご主人様の素なの…?…優しすぎる…他の冒険者にもあんなに優しく接するとは思わなかった…。」
ルリがそう言うと、グレムが返答する。
「誰だって、皆には生きてて欲しいだろう?だから、冒険者全員、あれぐらいの優しさがないとダメだと思うんだがなあ。」
「やっぱり…本当に優しい…そういう所も…好き…。」
「なんかルリの好き発言が日に日に増えていってる気がして嬉しいです、ありがとうございます。」
「え〜!!私も毎日言ってるじゃないですか〜!!」
「エルには毎日言われるのが普通だと思ってるから。けど、嬉しいのは確かです、ありがとうございます。」
「ふふふ…ご主人様…それ…何…?」
「いや、日頃の感謝を述べているだけです、ありがとうございます。」
「面白いからやめてください!!」
エルとルリは笑いながらそう言った。階段を下り切るまで、その言葉遣いをグレムはやめなかった。
どうでしたでしょうか?
次回はダンジョン内でよからぬ事を企む奴らが…?乞うご期待下さい!
それでは、また次回お会いしましょう!




