第81話 "元"魔王と女神の野望
今回はまさかの女神様vsグレム!?一体どうなってしまうのか、グレムは果たして勝つことが出来るのか!?そして女神の野望とはなんなのか!?全ての疑問が解決していきます…期待しながら読んで頂けたら嬉しいです!
それでは、どうぞ!
ドオォォォオン!!!!
天から一筋の光が差し込んだ、そしてその光の中から声がする。
「あ〜もう全く使えないわ〜!!これなら最初っから私が行けばよかったな〜!本当に使えない人間たち、死ねばいいのに。」
そう言った者を包んでいた光が消えていく、グレムは言った。
「ラスボス登場ってか…?」
「アハハハハハハハ!!!初めまして…?かしら、魔王グレム様。」
「もう俺は魔王は辞めたんでね、それは知っているだろう。天から見てたんだから。」
「よくすぐ分かったわね!!アハハハハハハハ!!笑える!!あと、そこの使えない人間らを殺さないなんて…本当に馬鹿ねあなた、アハハハハハ!!」
グレムの前に立って笑う彼女、それは女神マルク本人だった、グレムは問いかける。
「お前の目的はなんだ!!人間を散々利用して!!」
そのグレムの言葉に反応して、正人は苦しそうにしながらも言う。
「女神マルク様…ゲホッ!利用…なんて…してないですよね…?本当に…こいつが…。」
正人がそう言うと、女神マルクは笑ってから言った。
「フフッ…アハハハハハハハ!!本当にあなたはお馬鹿さんね!!まだ私の事を信用してるなんて……そうよ…こいつ、グレムの言う通りよ!!あなたは自分が勇者だと言う事に自惚れて、私に完全に利用されているとも分からなかったようね!!あ〜おかしい。」
正人はその言葉を聞いて涙を流し始めた、そして「嘘だ…」と言う、女神マルクは続けて言った。
「それにしても…本当に1人も使えない奴ばかりだったわ!!3人にもかなりの力を授けてやったのに、1人も成果を出さないんだもの!!本当にムカつくわ!!」
その言葉に歩も目を覚ました、そして3人は自分の耳を疑った。信じていたあの女神様が、美しく、言葉遣いが優しかったあの女神様が、最悪と言えるほどの言動をしている。
グレムは女神マルクに問いかけた、その時エルとルリにある合図をする。エルとルリはミスイル王国のスピーカーに繋がっている、拡声器を持っていた。
「お前の目的はなんだ!!女神マルク!!」
「気になる?気になるでしょうねそりゃあ…信仰者を騙してあなたを悪者扱いしたんだものねぇ!!さぞ…理由が知りたいでしょう、いいわ…教えてあげるわよ…。」
女神マルクの声がミスイル王国のスピーカーから響く、それを国民たちは聞いていた。
『私はねぇ!!自分だけの世界が欲しかったのよ!!私の正義が世界の中心として回る、そんな世界が!!だから、信仰者を増やしていって、ゆくゆくは私がその世界の唯一神になろうと思っていたのよ!!』
国民たちはそれを聞いて驚く。『正義』を貫き通そうとすると、こうなってしまうのかと誰もが思う。ミスイル王国の他の場所でも女神マルクの声が響いていた。
『なのに…、なのに…!!あんたが魔王を辞めて!!勝手に私の世界で人々をまとめ始めた!!私がこの世界の正義になる筈なのに…あなたがそうなり始めていた!!それも『英雄』などと呼ばれて!!…私はあんたが憎かった…数十年の間何もしなかったあんたが…いきなり態度を改めて人間を助け出した!!』
また別のところで女神の声が響く、そのあまりの酷い野望に誰もが足を止めて聞きいってしまっていた。
『だから、私はあなたを悪者に仕立てあげた!!人間って本当に馬鹿ね!信じている神の言葉にはとても忠実だった!!すぐにあなたは何もしてないのに悪者になった!!最初は誰もそれを疑わなかった!!見てて滑稽だったわ!あなたが本当の姿を隠しながら、必死に人間を助けているのは!!』
ミスイル王国の教会のシスターはその場に膝から崩れ落ちた、そして涙を流しながら言った。
「私たちは…そんな『何もしてない人』を……酷すぎる…。」
その声は勿論ミスイル王国の王宮内にも響いていた。
『信頼を得るのにも、信仰している者の人数が多ければ多いほど辛かったでしょう!?難しかったでしょう!?そいつらは私に騙されているとも知らずに、神託を信じ続けたからねぇ!!』
キリア王女はいつもよりさらに冷たい目をして玉座に座っていた、まるでその声を出している者を睨みつけるように。
「だから…そこにいる勇者と救世主2人も私からしたらただの駒。あなたを殺し終わったらそいつらにまた神託を授けて、私が望む世界に変えさせようと思ってたのよ!!だけど…本当に勇者も救世主も…1人も使えなかった!!期待して損したわ!!私の力を与えれば、簡単に殺せると思ってたのに!!」
グレムは女神のその言葉を顔色1つ変えずに聞いていた。エルはルリに拡声器の調整を任せて、その正人たち3人に回復魔法をかけようとしていた。
「ほんっっっっっとうに………ムカつくわ!!!」
女神マルクはそう言うと右手に光を集めて作った白いハンマーを握りしめ、地面を思いっきり強く叩いた。すると、衝撃波が正人たちの元へと凄い勢いで向かっていく。
ドンッ!!!! ドガアアアアアアァァァ!!!
女神マルクは言った。
「死に晒せ!!この使えない勇者と救世主!!!」
エルは思った。ダメだ、回復魔法をかけようとしていたから、防御魔法が間に合わない…!!正人たちは諦めて目を閉じた、目の前まで衝撃波が迫ってきた時である。
ガキイイィィン!!!
その衝撃波を止めるような音がした。正人たちは目を開ける、すると目の前にはーーー
ーーーーグレムが立っていた。
「これだけ利用しておいて…要らなくなったら捨てるのか…人間をゴミ扱いするな、最悪の女神様が…。」
正人は言う。
「なんで…助けた…。」
「言っただろう?お前たちは『操り人形だ』と、『被害者だ』と。お前たちは何も悪くない…悪いのは全てあいつだ…人を騙し、神託でも嘘を述べ、人間を信じさせた…神という地位を利用してな。」
「だが…助ける理由が…。」
「あるさ、今お前らは、困っていただろう?俺はそういう奴を見てると…放っておけないんだ。」
エルはそれを聞いて笑う、そして言った。
「さすが…ご主人様です。」
「エル、そいつらの事は頼んだ、ちょっと行ってくる。」
グレムが言うとエルは返事をした。
「はい!!お任せ下さい!ご主人様、ご武運を!!」
麻里が言う。
「ちょっと待って!?相手は女神様よ!?勝てるはずが…」
グレムは麻里の言葉を遮って言う。
「誰かが行かないと、誰かが傷つくんだ。それなら、俺が行く。」
そう言ってグレムは女神マルクの元へと走っていった、麻里は言う。
「あんな優しい人を…私たちは…。」
そう言って麻里は俯いて涙を流した、他の2人も同じように俯いていた。
「お前の『正義』はただの自分勝手だ、女神マルク。」
「あらぁ?様はどこにいったのよ。」
「お前に敬語を使う必要は無い、お前はもう『正義』の女神でもなんでもない。…自分勝手な『正義』を作り上げるために世界中の人々を騙し、そして挙句の果てにはこの世界もろともその『正義』で支配しようとした…!ただの自己中心的な人間のことを考えない最悪の女神だ!!」
そのグレムの声もミスイル王国の国民には届いていた。その人々はグレムの言葉に、賛同するような考えを持つようになっていく。
「言ってくれるじゃない、"元"魔王が…。」
グレムは続ける。
「お前みたいな奴がこの世界を支配したら…その自分勝手な『正義』にこの世界中の人々は夢も、希望も、自分の未来でさえも押しつぶされる…そんな世界で、人々が幸せに暮らせるはずがない!!だから俺は…この世界の人々、1人1人の為に、お前を倒す!!」
「女神相手によくそんな口が叩けたわね…それに、そんな細い剣で私のハンマーに敵うとでも?」
そう言うと女神マルクは持っていた白いハンマーを構えた。グレムは闇の魔力で作った剣を構えて言う。
「ああ、十分だ。」
ビュン!!
2人は異次元級の速さで互いに突っ込み、武器を交えた。
ガギイイイィィィン!!!
ドオオオオオオ!!!
衝撃が周りに走る、それでも2人は武器を交えるのを止めなかった。
ガキィン!!ガキンガキィン!!
1回1回武器を交える度に周り一帯に衝撃が走る。戦っているのは、最早人間とは思えなかった。
「なかなかやるわね…だけど…!!」
ガキィン!!ドッッッゴオオオン!!
「それでは力が足りないわよ、グレム。」
グレムが初めてまともに攻撃を食らった。グレムは吹っ飛ばされながらも、空中で体を回して地面に着地し、また女神マルクへと突っ込んだ。
ガキィン!!ガキンガキィン!!!ガキイィィン!!
「甘い…まだまだ甘いわよ!!」
ドガアアアアン!!!
グレムはまた女神マルクに吹っ飛ばされた、そして地面に打ち付けられる。女神マルクはそれを見て笑う。
「アッハハハハハハハハハハハ!!!みっともな〜い!あれだけかっこつけておいてそれ?加護を与えたそこの使えない奴らを圧倒したからどんなもんかと思ったら…弱すぎるわ!!アハハハハハ!!結局勝てないのよ!!あなたは!!」
グレムは無言で立ち上がる、エルとルリがその様子を見て心配していると…何故かグレムも笑いだした。
「ぷふっ、あははははは!!あ〜おかしい。『女神様』って言うからどんなもんかと試してみたけど…こんなものか…。」
女神マルクはそれを聞いて言う。
「強がりのつもり?今のあなたじゃ私には絶対に敵わないわ!!それが分かるもの!!何をしたって無駄よ!!」
「あ〜楽しかった、俺は一体どれだけ強くなってしまったんだ…あの女神様でさえも小さく見える。…じゃあ、こっちのターンだ…女神様…。」
「<<覚醒・弐>>」
ドオォォォオン!!!
そう唱えて、赤いオーラを身にまとったグレムは更に魔術を唱え始める。グレムの足元に、白い魔法陣が光りながらほとばしる。
「一体何をしているのかしら?まぁ、何をしたとて、私には敵わないけどね!!アハハハハハ!!!」
女神マルクが笑っているのを見てグレムは笑みを浮かべながら詠唱する。
「<我、悪しき者の闇から全てを照らし、守る光を求む、今、この体に、神々しいまでの光の輝きを纏わせ給え>!!!」
ドン!!!
天から光が降ってきてグレムを包み込んだ、その光が消えると、グレムは眩い光を纏ってその場に立っていた。闇の魔力で作った黒い剣も、白い剣へと変わっていた。
「<<光の英雄>>」
「女神様…本当の『正義』を…お前に叩き込んでやる。」
女神マルクは少し笑いながら言う。
「それで本当に勝てるとでも?あ〜笑える。やってみなさいよ。」
「では」
シュン!!
グレムは目の前から消えた、それは、女神でも目で追えないスピードだった。
「やらせていただきます。」
左から声が聞こえた、すぐさま女神マルクはガードをしようとするとそれすらも読まれたのか反対側から、光の剣で斬られた。
ズバアァァァン!!!
女神マルクはガードをしようとした方向に少し仰け反る。
「くっそ…あいつ…一体何を」
「遅いですよ、女神様。」
後ろから声が聞こえたと思った時にはもう遅かった、背中にまた斬撃を入れられる。
ズバアァァン!!!
「きゃああああぁ!!!」
女神マルクは次の攻撃の位置を予想しながら動く、斬られた痕の痛みが体に響く。
「(一体…次はどこから…!)」
だが、女神マルクが何処を警戒しても魔力を感じ取れず、さらに姿すら見えない。そう思っていると、体に切り傷が入った。
「へ…?」
そう言った瞬間にまたどこからか左腕を斬りつけられた、その次に右腕を斬りつけられる。ほんの一瞬の事で、全く女神マルクはグレムが見えていない。
「何よ…これは…!!一体何」
言葉の途中で右脚と左脚をほぼ同時に斬りつけられた、女神マルクは立てなくなり、膝をつく。
「(嘘よ…私は…仮にも戦闘には長けた神よ…!?こんなはず…。)」
そう思っていると次は頬を斬りつけられる、そして次は胸元を、次は背中を、あらゆる方向から斬りつけられ、痛みが走る。だが、何が起こっているのか全く分からない。
「(こんな…こんなはず…!!)」
あらゆるところを斬りつけられた女神マルクは、腕にも脚にも力を入れられず、倒れた。そうすると、目の前にグレムが現れた。そして言う。
「どうだ?俺の60%の力は?」
「ろく…じゅう…?」
有り得ない、こんな人間がいるはずが無い。たった60%の力で神を圧倒するなんて聞いた事がない。こいつは一体何者なの…!?
「終わりだ、女神様。」
そう言うとグレムの剣に光が集まっていく。女神マルクは避けようとするが動けない。
「じゃあな、<<闇を滅ぼす光剣>>。」
カッ!!!ドオォォォォォォオオオン!!!!
眩い光がグレムの剣に集まったと思うと、グレムがその光を集めた剣を地面に叩きつけた瞬間、その眩い光は正面に放出された。
その光の衝撃波はグレムの正面にあるものを全て消し去った。グレムは「ふぅ」と一息ついて地面に座る。エルとルリがすぐさま走ってきて抱きついてくる。エルが言う。
「やりましたね!!ご主人様!!」
「女神様…殺しちゃったの…?」
ルリは心配そうに聞いてきた、グレムは答える。
「いや、ギリギリ天界に逃げられたかな。まぁけど、罰は受けるだろう。」
そう言ってグレムは雲ひとつない快晴の青空を、見上げていた。
「(危なかった…あれを食らっていたら…間違いなく死んでいた…何よ…あの人間は…。)」
ギリギリ天界に戻ってきた女神マルクがそう思っていると、後ろから声が聞こえた。
「マルク…貴方は…何をしているのですか…?」
マルクは後ろへ振り返る、そこには大女神ソアラがいた。女神マルクはなんとか言い訳をしようと声を出すが…
「私は…」
その言葉を容赦なく遮って大女神ソアラは言った。
「黙りなさい。それに、言いましたよね?あまり地上には干渉してはいけないと。それなのに貴方は勇者を1人どころか更に救世主を2人も召喚して……そして挙句の果てに自分までもが地上に出向くとは…到底許される行為ではありません。貴方には、また見習いに戻ってもらいます。」
「そんな…待ってください!それもこれも強すぎる人間がいたせいで」
「黙りなさい、と言いましたよね。貴方にはもう女神の資格はありません。これからは違う女神にこの世界を担当してもらいます…そういえば、貴方、この世界を自分のものにしようともしていましたよね?…十分な教育が必要なようです…連れていきなさい。」
「大女神様!!待ってください!!待って…」
バタン!!!
その部屋のドアが閉まる、女神マルクはその場から他の女神2人に連れてかれた。大女神ソアラは連れていた1人の女神に言う。
「次からはこの世界を貴方ともう1人に任せます、互いに監視し合うのです、二度とこんなことが起こらないように。」
「えぇっ!!でも大女神様…私…自分の世界を持つのは初めてで…。」
「貴方なら大丈夫ですよ、平和の女神マリィ。貴方は十分、女神の素質を持っています。」
女神マリィは大女神にそう言われたので張り切った様子を見せた。
「大女神様がそこまで言ってくださるのなら…私、精一杯頑張ります!!」
「頼みましたよ…もう1人は、知恵の女神ミルに担当してもらいます。確か貴方とは相性が良かったはずですから。」
「ミルちゃ…ミル様とですか!!ありがとうございます!!2人で頑張ります!!」
大女神は笑顔で女神マリィのことを見ていた。
「よ〜し、じゃあ行くか!ケルベロス退治へ。」
グレムは腕を上に伸ばしながら言う、するとエルが心配してくる。
「ご主人様!!疲れてませんか?本当にこのまま行っても大丈夫ですか?」
「ああ、余力はまだ全然あるから心配しないでも大丈夫だ、ありがとう、エル。」
「い、いえ…そんな…それなら…いいです。」
何故かエルは顔を赤くした、その後にルリが言う。
「じゃあ…レッツゴー…!」
「おう!!行くか!!」
グレムたちはクエストの場所へと、歩いていった。
どうでしたでしょうか?
次回は長かった第6章も完結となります!ただ予想もできない自体に直面して…?是非、章の最後まで見届けて欲しいです!
それでは、また次回お会いしましょう!




