第80話 四度目の正直
遅くなりました…。今回は、選定者対グレムの戦闘です!!数々の魔法や魔術が出てきて、1つも見逃せない展開となっておりますので、是非、楽しんで見ていってください!
それでは、どうぞ!
キリア王女から頼まれた問題を解決し終えたグレムは、また、クエストを受けにエルとルリと共にギルドへと来ていた。
グレムはこの前最初に話しかけた受付嬢に聞く。
「何か…ギルド内で困っているようなことはありませんか?」
「そうですね…別にそんな困り事は…はっ!!」
受付嬢は何かに気づいたかのような声を出した、そして続けてこう言う。
「あります!あります!!ぜひお願いしたいです…。少しお待ちくださいね…?」
そう言うとその受付嬢はカウンター裏へと走っていった。そんなに重要なクエストなのか?クエストボードに貼ってないのは…なんでだ?そうグレムが考え込んでいると、受付嬢が1枚の依頼書を持って走り、戻ってきた。そして息を整えてから言う。
「実は…こんな依頼があったんですが…、誰も受けてくれなくて…困ってたんです。」
その内容は…『ケルベロスの討伐 討伐難易度星26』、なんだ、ケルベロスかとグレムは思う、受付嬢は言う。
「何故かこの王国の近くにある洞窟に住み着いちゃって…たまにですが被害を受ける方がいるんです…、ですがあまりに恐れられているため手を出そうとする人が少なく…」
「じゃあ、行ってきますね。チェックお願いします。」
「ああ、はい、分かりまし……えぇ!?ケルベロスですよ!?討伐難易度星26ですよ!?そんな軽くok出してもいいんですか!?」
「え?あ、はい。ケルベロス程度なら心配せずとも大丈夫ですよ、な?エル。」
「はい!ご主人様がいれば、全く問題ないです!!」
「という訳でお願いします。」
グレムは受付嬢に言う、受付嬢は改めて思う。この人たちは…一体何者なんだろうか…。そう思いながらその依頼書に受付嬢はチェックを入れた。するとグレムが聞いてきた。
「そういえば…このクエストはなんでクエストボードに貼られていなかったのですか?」
「ああ…出来ればギルド内で済ませたい事だったからです…、少し事情がありまして…言えないのですが…。」
グレムは不思議に思いながらも言葉を返す。
「分かりました、深くは聞かないでおきますね。では、行ってきます。」
グレムたちはそう言うとギルドを出ていった。受付嬢の、「お気をつけて」という声が後ろから聞こえた。
「しっかし久しぶりだな〜ケルベロスなんて。」
グレムのその言葉にエルはこう返す。
「過去に会った事があるんですか?」
「ああ、子供の時に1度だけな。」
「ええ!?危ないじゃないですか!!」
「いや、でも、普通に倒せたぞ。なんなら躾てペットにしてたからな。」
「えぇ……。」
「ご主人様…さすがにそれは…。」
エルとルリはそれを聞いて少し引く、グレムは言う。
「嘘だって!ただ友達になっただけだ!」
「そんな事…出来るの…?」
「出来るぞ、多分誰でも。」
グレムたちがそう話しながら西門を出ようとすると…目の前に3人、人が立っている。まるでここに来るのを待っていたかのように。
グレムはすぐに気づいた。「はぁ」とため息をついてからその3人に言う。
「お前らも懲りないな〜、しかも1人増えてるじゃないか。また女神様が呼んだのか?も〜めんどくさいって〜。」
その3人の中の1人、正人が言った。
「『めんどくさい』?俺たちを馬鹿にしているのか!!女神様から直々にお願いをされている俺たちを!!」
「だからお前らは利用されているっていい加減気づけ。何となくだが、3人目のその人は分かってくれそうな気がするぞ。」
歩はそう言ったグレムに言葉を返す。
「確かに、俺がこの王国に降り立ってから今日まであなたの情報を集め続けたが…どちらかというといい人と言っている人が多かった…。だが、俺は女神様を信じる。あの人が嘘を言っているとは思えない。」
あぁ…悲しいな…「信用の欠片も無いよ」って言われてるみたい…。その時、突然、麻里は聞いてきた。
「あなたは…どうして私たちを殺さないの…?正人の言う通り『情け』をかけているのか、単に私たちに興味が無いのか…。『魔王』と呼ばれて、残虐非道とも言われているあなたが…あなたを殺そうとしている私たちを殺さないのは少し矛盾している…。」
正人は麻里に言う。
「だから言ったろう!!あいつは俺たちを馬鹿にして情けをかけて」
麻里は正人の言葉を遮って言った。
「あなたには聞いていない。」
そう麻里が言うと、正人は口を閉じた。グレムはその麻里の疑問に答える。
「だって、殺す理由がないじゃないか。」
麻里はその言葉を聞いて衝撃を受けた、グレムは続ける。
「例えて言えば、俺から見たらお前らは女神様に操られている操り人形だ。だからお前らは悪くない、どちらかと言えば被害者だろう?そんなお前らが俺を殺しに来たって、悪いのは操って命令しているやつだ。お前らを殺すのはどう考えてもおかしいだろう?」
3人はそれを聞いて、何も返せなかった。自分たちは女神様の操り人形…言われてみれば確かにそうだ。私たちは最初からやる事を女神様に決められていた。自由などはなかった…それでも…。正人は言った。
「それでも…お前は悪いことをしていない人たちを殺してきたはずだ!!国々をその民間人ごと潰してきたはずだ!!女神様はそう言っていた!!その筈なんだ!!だから…だから…!!」
正人は覚悟を決めた顔をする、言葉を続ける。
「俺たちはお前を倒して!!俺たちがこの世界に呼ばれた本当の理由を見つけ出す!!」
グレムはその言葉を聞いて言った。
「そうかい…なら、場所を変えて…戦おうか。」
そう言ってグレムは魔術を唱える、そこにいた3人とグレムたちの足元に紫色の魔法陣が光りながらほとばしる。
「<<転送>>」
シュン!!と、そこにいた全員はミスイル王国から少し離れた広い平原に瞬間移動した。
グレムはエルとルリに言う。
「すまない2人共、また…」
グレムの言葉を遮ってエルは言った。
「また、『見ているだけにしてくれ、俺自身で決着をつけたいんだ』とでも言うんですか?分かってますよ。待ってますから、頑張ってください!」
「ああ…正妻…じゃないじゃない、ありがとう。」
「ご主人様が…お礼を言う方じゃない…私たちは…ご主人様の動きを見ることで…戦闘時の勉強を出来る…。だから…頑張って…!」
「ルリもありがとう、じゃあ、行ってくる。」
「はい!ご武運を!!」
エルがそう、声をかけてくれた。
「随分と遅かったな…そんなに大事か?あの人間が。」
正人が言ってくる、グレムは言葉を返す。
「ああ、大事で、大切で…俺にとってあの2人は最も重要なんだ…。さぁ…やろうか。」
グレムがそう言った瞬間、正人たちは3人でグレムを囲むような位置に着いた。作戦はこうだった。
『あいつは正面からも背面からも無理だった、だが、2人ではなく、3人なら出来ることがある。』
正人が言うと、麻里は聞く。
『というと…?』
正人は木の棒で描きながら2人に言う。
『こういう風に3人で囲んで、同時に攻撃を仕掛ければ、少し強引だが突破出来るかもしれない。』
『3人同時の相手は…さすがに無理だと…。』
『そういうことだ、というか、もうこれしか作戦がない。これ以外を考えて罠とかを張ったとしても、あいつにはすぐ気づかれるだろう。』
歩は言う。
『そんなに強いのか…。』
『ああ、強さは本物だ、だが、3人なら届く…絶対に…!!』
3人は片手を重ね合わせた、そして正人が言った。
『ケリをつけるぞ…今回で最後だ!!』
『おーー!!!!』
その声は国中に響くくらい、大きかった。
「成程…そう来たか。」
グレムが言うと正人が2人に声をかけた。
「行くぞ!!2人とも!!」
『はい!!』
麻里と歩は同時に返事をした、その瞬間、魔法と矢、それに正人が突っ込んでくる。
「<<煮えたぎる溶岩>>!!」
「<<一点集中>>!!!」
「うおおおおお!!!」
グレムは言った。
「う〜ん、0.5秒、矢を撃つのが遅い。」
「<<反射>>」
グレムは魔術で魔法を跳ね返した後、突っ込んできた正人の剣をするりと避けて思いっきり彼の体を蹴った後、飛んできた矢を普通に掴んだ。
「きゃあ!!!」
「がっっはっ!!」
麻里は跳ね返された自分の魔法を辛うじて避け、正人は蹴り飛ばされて地面に打ち付けられた、歩は矢を掴まれた事に驚いていた。
「そんな…馬鹿な…あの速度の矢を…。」
正人が苦しそうにしながらも言う。
「歩!!あいつに常識は通用しない!!考えるな!また合わせるぞ!!」
「あ、ああ!!」
歩は返事をした、麻里はまだ迷いが心の中にあった。『殺す理由が無い』…そんな事言ったら、民間人の事もそうだ…だとしたら、彼は悪いことをしてない…?考えている様子が見えたのか、麻里は正人に声をかけられる。
「麻里!!迷ってないで戦うんだ!!俺たちなら勝てる!!」
「う、うん!!」
迷いは…消えなかった。
「<<炸裂する雷撃>>!!」
バリバリバリ!!!
麻里の手からとてつもない魔力を持った雷が、黄色い線を引いてグレムへと向かう。
「<<連続射撃>>!!」
歩は走りながら何本も矢を撃ち放った。
「<<自己強化>>!!いくぞ!!」
正人は自己強化をしてグレムへとまた突っ込む。グレムは手に闇の魔力で出来た球を出して剣の形にした。そしてーーーー
ズバァン!!!
キィンキィンギィンギギン!!
ギィィン!!!
グレムは麻里の魔法を真っ二つに斬り、恐ろしいほどの数と速さの矢を全て剣で受けきってから、正人と剣を交わらせた。
キィン!キィン!!キキキィン!!!
正人は剣を振りながら呼びかける。
「2人とも!援護を!!」
それを聞いて麻里は魔法を、歩は弓矢を使ってグレムを狙った。
「<<天の飛剣>>!!」
「<<鳴動剛射>>!!」
何本もの光の剣と、1本のとてつもない力を持った矢がグレムに飛んでいく、その時、グレムは言った。
「お遊びは…ここまでだ。」
ガキイイィィィン!!!
グレムは正人に思いっきり剣を振るった、正人は大きく後ろへ仰け反った。そしてグレムは魔術を唱える、黒い魔法陣がグレムの左手に光りながら浮かぶ。
「<<消去>>」
そう唱えると、歩の<<鳴動剛射>>で飛んできたとてつもない威力の矢は、グレムの左手の前に出された暗黒の穴の中に消え去っていった。
そして、グレムは<<天の飛剣>>で飛んできた剣を全て弾き返した。
ガキキキキキキキキィン!!!
その後にグレムは言う。
「じゃあ…こっちのターンだ。」
「<<覚醒・壱>>」
ドォン!!!
グレムは黒いオーラを纏う、正人が言う。
「気をつけろ!!あの状態のあいつは強すぎる…」
その言葉の途中で、歩は殴り飛ばされていた、恐ろしいほどのスピードだった。歩は木に背中をぶつけて気絶した。
「(どういう事だ…!?この前のこいつのあの状態は、ここまででは…!)」
するといつの間にかグレムは麻里の目の前に移動していた。麻里は怯えて声を出せず、魔法も唱えられない、その時、グレムは言った。
「女性を殴る趣味はないんでね。<<消力>>。」
そう魔術を唱えられると、麻里はまるで力を失ったかのように倒れた。意識はあるが、麻里はなぜ力を出せないのか分からない。
そして、グレムは正人の方に振り向いた。正人は聖剣を構える、すると、グレムは消えた。その後、正人の体に斬られた傷が入った、正人は驚く。
「一体何が…!?」
ズバンズバンズバァァン!!!
一瞬ーーーーたったその一瞬だった。正人は腹と腕と脚に大きな切り傷を負った。あまりの痛みに正人は血を吐いて倒れながらも叫ぶ。
「ぐああああああぁぁぁ!!!」
すると、グレムは急に目の前に出てきて言った。
「ごめんな…勇者様…、お前は悪くない。」
3人はグレムに負けた、完全なる敗北だった。歩は気絶していて、麻里は体を動かせず、正人は大きな切り傷を負っている。全員、とても戦える状態ではなかった。
グレムは正人と歩を持ち上げ、麻里の近くに持っていって置いた、そしてエルを呼ぶ。
「エル〜!!こいつらを治してやってくれ!!」
「はーい!!」
エルが返事をして走ろうとしたその時だった。
ドオォォォオン!!!!
天から一筋の光が差し込んだ、そしてその光の中から声がする。
「あ〜もう全く使えないわ〜!!これなら最初っから私が行けばよかったな〜!本当に使えない人間たち、死ねばいいのに。」
そう言った者を包んでいた光が消えていく、グレムは言った。
「ラスボス登場ってか…?」
「アハハハハハハハ!!!初めまして…?かしら、魔王グレム様。」
「もう俺は魔王は辞めたんでね、それは知っているだろう、天から見てたんだから。」
「よくすぐ分かったわね!!アハハハハハハハ!!笑える!!あと、そこの使えない人間らを殺さないなんて…本当に馬鹿ねあなた、アハハハハハ!!」
グレムの前に立って笑う彼女、それは女神マルク本人だった。
どうでしたでしょうか?
次回はまさかの、女神との死闘が始まります…一体、グレムはどうなってしまうのか、そして、勝つことが出来るのか…乞うご期待下さい!
それでは、また次回お会いしましょう!




