第79話 他国間との問題
今回はミスイル王国と他国の問題を中心とした話になります。またグレムが大活躍する話となっていますので、是非、楽しんでいってください!それに…懐かしい人物も…?
それでは、どうぞ!
カツカツ…
キリア王女は王城内をグレムを連れて歩いていた、グレムは問いかける。
「それで…今回の問題とはどういったものなのでしょうか。」
「…この国に来た時、君は何を思った…?」
キリア王女はいきなりそう返してきた、グレムは言葉を返す。
「高貴な場所だな…と思いましたが…。」
「違う、店の数だ。君も気づいているはずだろう、しらばっくれるな。」
「…はい…すみません…。服屋の数がかなり多かった印象です。」
「その通り、この国の店の種類は服屋が60%を占めている。国民の服の需要が高くてな、その為、こうなっている。」
「…だから国の出費に布の割合が高かったのですか。そういえば、収入にも服の値段の割合が少し多めになってましたね。」
「そう、だからこそ…問題があるのだ。今日はある人を呼んである、私はその人の国との貿易の話をする。君にはその話の内容を聞いてもらっておいて欲しい、だが、反論などはするな。今日は…聞くだけにしてくれ。」
「は…はぁ…。」
グレムは大方話す内容を予想出来ていた。キリア王女は足を止め、客間へと入る、そこには…ある男の王様が座っていた。
「おお、キリア王女、お久しゅうございます。」
「マーレイ王、お久しぶりです、相変わらず元気そうで。」
そう言って2人は互いに頭を下げた、その後にマーレイ王は聞いてくる。
「ところで…そのお連れしている男性の方は?」
「ああ、紹介します。こちら、冒険者のグレムという者です。申し訳ないですが、こちらのとある事情で今回の話を彼にも聞いてもらいたいと思っています。宜しいでしょうか?」
マーレイ王は少し不思議に思うような顔をしたが、普通に受け入れてくれた。
「ええ、構いませんよ。それでは、早速…。」
「はい、話に入りましょう。」
グレムはキリア王女とマーレイ王が話す様子を壁に寄りかかり、立って聞いていた。マーレイ王が言う。
「今回の貿易でこちらが送る布の量は前回と変わらずで宜しいでしょうか。国には前回同様同じだけの分を既に用意しておりますが…。」
その時、マーレイ王は少し笑みを浮かべた、キリア王女はすぐに言葉を返す。
「ああ、毎回毎回申し訳ない…かなりの量をお願いしてしまって…。」
グレムはキリア王女が下手に出ているのを少し不思議に思った。マーレイ王はその言葉にこう返した。
「いえいえ、毎回しっかりとその分のお金を頂いてますから、気にしないでください。」
その時も、マーレイ王は笑みを浮かべていた、キリア王女はまるで演技をするように言った。
「こちら側からお願いしているのに申し訳ないのですが、もう少しだけ布の値段を下げていただくことは出来ませんでしょうか!?」
成程…そういう事か、キリア王女、分かったよ。
「最初に申し上げたでしょう、これ以上値段を下げたらこちら側が赤字になってしまいます。それに…服屋が多いからってこのミスイル王国だけを特別扱いする訳には…とても…。」
マーレイ王は自国のことを心配しているようでどこか笑っているようでもあった。キリア王女はその言葉にこう返した。
「そうですか……それでは、こちらが出す貿易品も同じ量で十分ですか…?」
「はい、それで大丈夫です、問題ありません。」
「…それでは、今日の貿易交渉もこの辺で…。」
「はい、またお願いします!」
マーレイ王は笑顔で言った。どうしてか、その顔はかなり悪いことを考えているように見えた。
マーレイ王が去ってから、キリア王女とグレムは話し出す。キリア王女が言った。
「見て、聞いて…分かっただろう?あんな演技までもしてやったんだからさすがに分からないとおかしいが…。」
グレムは「えぇ」と言ってから少し憐れむような表情でキリア王女に言う。
「…相手の態度的に…かなり布の値段を高くしているのでしょう。本来であれば、もう少し安く済むのだと思われます。…1つ聞いてもよろしいでしょうか?」
「なんだ…?解決する策でももう出来たのか?」
「いえまだそこまでは言えませんが…、この問題を解決出来るかもしれません…マーレイ王はどこの、どんな国の王でしょうか?」
「なんだと!?…分かった…マーレイ王はエルイド王国の王だ。エルイド王国は上質な布を輸出する国として有名で、その多さはフェニキア大陸で第2位を誇る…服屋がこの国の店を占める割合が多い私たちにとっては、欠かせない存在なんだ…。」
だから下手に出ていたのか…『冷酷』と言われた女王を…ここまで汚い手で…。グレムは拳をギュッと握りしめてキリア王女に言った。
「分かりました…この問題、私に預からせてください。」
グレムのその言葉にキリア王女は驚くが、少し俯いて言う。
「だが…これは国家間の問題だ……さすがに冒険者の君にどうにか出来るとは…。」
「だけど、あなたは私にこの話を聞かせた、わざわざ相手国の王にお願いまでして。…心のどこかではキリア王女も思っていたんじゃないですか?『この人なら何とかできるかもしれない…。』と。」
キリア王女はそう言われて、顔を下げたまま言った。
「ああ…そうだ…。心の中では『もしかしたら君なら…。』と思っていたかもしれない…。もしかしたら希望があるかもしれない…その希望を掴んでくれるかもしれない…と…。」
グレムは俯いているキリア王女に大きな声で言う。
「なら、任せてください!!ただの冒険者ですが、出来るだけのことはやってみせます!少なくとも、キリア王女が不利益にならないようにしますから!!」
グレムがそう言った瞬間、キリア王女は下を向いたまま涙を流し始めた。そしてその止まることの無い涙を拭いながら言う。
「君は…馬鹿なのか…?例えそうなったとしても…君に利益は無い…!君にとっていい事は1つも無いんだぞ…?」
「あるじゃないですか。」
キリア王女はその言葉に涙を流しながらも不思議に思って、グレムの顔を見る。
「『冷酷な女王』とまで言われたあなたの、嬉し涙が見られたんですから。」
キリア王女はその言葉に思わず泣きながらも笑ってしまった。グレムも一緒になって笑った。
5日後…
「(なんだ?急に呼び出されて…。話は少し前にしただろう…。)」
マーレイ王は突然、キリア王女に呼び出された。マーレイ王はミスイル王国の王城で、召使いに付いていき、客間へと向かった。
客間へと着き、ドアを開けたマーレイ王は以前、ここでキリア王女と話した時には感じなかった、背筋が凍るような冷たい空気を感じた。
「来たか。」
キリア王女は背筋が凍るような声で言った。マーレイ王は少し怯えながら、キリア王女の正面の席に座る。グレムは、キリア王女の後ろに、以前と同じように壁に寄りかかって立っていた。マーレイ王は言う。
「で…話って何でしょうか…?」
「突然だが…あなたの国との貿易はこれっきりにする。」
「は、はぁ!?」
マーレイ王は突然のその発言に驚く、そして言う。
「わ、私たちの国から布が運ばれなくなったら、貴方たちの服はどうするんですか!?作れなくなっちゃいますよ!?しかも…どうして!?」
キリア王女はとても冷たい目でマーレイ王を見ながら言った。
「実は…上質な布を貴国より安い値段で多く輸出してくれる国が他にも見つかりまして…それと…貴国での詐欺まがいの問題を見つけたので…。」
「さ、詐欺!?そ、そんな事あるわけないでしょう!しっかりとした交渉をここでしたじゃないですか!!」
「では、これは何ですか?」
そう言ってキリア王女はバン!!と1枚の紙をマーレイ王の正面の机に出した。その紙には、エルイド王国がフェニキア王国の国々に輸出している上質な布の量と金額が書かれていた。キリア王女はその紙を見ながら言う。
「見たところ…問題ないように思われるかもしれません…しかし、明らかにおかしい点を見つけました。」
そう言ってキリア王女は万年筆である国々の名前を囲む、そして言った。
「丸をつけた国々は王を女性が務めている国です。その量と金額を王を男性が務めている国と比較すると……明らかに高いですよね?」
キリア王女の言う通り、量と金額の計算をすると、女性が王の国と男性が王の国の帳尻が全くと言っていいほど合わない。明らかに女性が王を務めている国には布の値段が高くなっていた。マーレイ王は言う。
「い、いや〜おかしいな〜?確かに同じくらいにした筈なんだけどな〜?この書類がそもそも間違っているんじゃないですか?作ったのは誰ですか?」
グレムは言った。
「私ですが。」
「ほ、ほら!そちら側の人間だ!きっと書類を貴方たちがいいように書いたに違いない!!」
グレムはその言葉に対してこう返した。
「これは…私たちが実際にその国の王に確認をとって書いた資料です、間違っているはずが無いんですよ。それに…この判子が見えませんか?」
その紙の国々の名前の横には、その国々を象徴する確かな判子が押されていた、グレムは続ける。
「これでも間違っているというなら、今から確認しに行ってもいいんですよ?一緒に全王国を回ってみますか?」
マーレイ王はその言葉に逆ギレしてきた。
「お前か!!キリア王女に変な事を囁いたのは!!いいのか!?この上質な布を輸出する国としてフェニキア大陸の中で量が2番目の私の国との貿易をやめて!?どうせ、『上質な布を貴国より安い値段で多く輸出してくれる国』が見つかったというのは嘘なんだろう!?」
その時、キリア王女は言った。
「嘘じゃない。本当の事だ…。」
『グレム君、ああ言っておいて、一体何をしているんだ?』
キリア王女は、自分を助けてくれると言ったグレムの行動を不思議に思っていた。
『手紙を書いているんです、それも、友人が国をまとめている所に。』
『一体どこなんだ?それは?』
『明後日、分かりますよ。』
そう言ってグレムは書き終わった手紙を伝書鳩に渡して送った、そして言った。
『明後日、客人を迎え入れる用意をしておいてくれませんか?』
『あ、ああ…。』
キリア王女は、その言葉に不思議に思いながらも、準備をするように王城の者に命令をかけた。
その日の明後日のこと…
『グレム君!!久しぶりだな〜!!』
『お久しぶりです!クレス王!』
その方は、ベリル王国の国王、シュバルツ=エイド=クレスであった。グレムと彼は抱き合う。
キリア王女は驚いていた。実は、ベリル王国はエルイド王国には及ばない為、フェニキア大陸では第3位だが、上質な布を大量に輸出することで有名な国であった。それに、もう1人、ある男が来た。
『感動の再開…と言ったところか。私は邪魔だったかな…?』
『そんな事ありませんよ、ベラム王。』
そこには世界最大の貿易国、マシル・デガル連合国の王、マチュルド=マシル=ベラムが来ていた。キリア王女はさらに驚いた。
『早速ですが…話をしましょう。』
グレムはその場の王3人に言った。
『で?お主からの手紙には『とても重要なこと』と言われて来たが…なんだ?』
べラム王がグレムに問いかけた、グレムは単刀直入に頭を下げて言う。
『お願いします!クレス王、べラム王!この国に上質な布を輸出する貿易をして下さいませんか!!?』
『!?おいおい、待ってくれ!まず頭を上げてくれ!国を救ってもらった君に頭を下げさせるなど…。』
クレス王は言う、べラム王が続ける。
『お主が頭を下げるとは…余程の状況なのだろうな…。何があった…?』
『実は…。』
『成程…エルイド王国との間にそんなことが…、だから私にあんな事を頼んだのだな?はぁ…人使い…いいや、王使いが荒いな…。だが、また『人助け』か…お主は本当に懲りないな…。』
べラム王はグレムが話したエルイド王国との話にそう返した。グレムは「あはは…」と苦笑いをする。べラム王はすぐにキリア王女に聞く。
『『冷酷な女王』いや、キリア王女よ。』
『はい…。』
キリア王女は何を言われるのであろうかと思っていた。ちなみにマシル・デガル連合国の上質な布の輸出量はフェニキア大陸で第1位である。べラム王は言った。
『お主の国は…何をこちらに輸出できる?』
『主に…服が多くなると思います。』
『ほう!!服か…それはいいな…。よし、良いだろう、貿易国としよう。』
『はい!?それで…いいんですか…?』
キリア王女はあまりの簡単さに驚く、べラム王はこう返した。
『元はと言えばこの者、グレムからの頼みだ…断る訳にはいかんほどの恩をもらっておる…それに、お主らの国と貿易するのには利がある。これからはお主らが私の国に作った服を輸出し、そのお主らの作った服を世界最大の貿易国として私たちが世界に売り出そうじゃないか。どうやら、お主らの作る服は人気があるとも聞いているから国民も喜ぶだろうしな。』
『あ、ありがとう…ございます…!!』
キリア王女はべラム王に頭を下げた。だが、それに対し、クレス王はどうやら悩んでいるようだった、そして言った。
『服の値段と、布を買ってくれる値段に…よるかな…私の国とてあまり余裕があるわけではない…恩人からの頼みではあるが…少し難しい。どれくらいで、私の国の布を買ってくれる…?』
『これくらいですかね…。』
キリア王女はある紙にエルイド王国の値段の半分の値段を書いた、するとクレス王は言った。
『いやいや、いくら何でもそれは高すぎる、その値段の半分位ならいいぞ。その値段だと、君らの服を輸入するのに公平じゃないだろう。』
そのクレス王の言葉にキリア王女は驚いた。
『え…そんなに低くていいんですか…!?エルイド王国にはこの値段の2倍の値段で売られて…。』
『この値段の2倍も払っていたのか!?それは酷い…いくら何でも高すぎる…。本当にその値段の半分でいいからな!あと服はどの位で出せる…?』
『これくらいでしょうか…?』
それを見てクレス王は言った。
『何っ!?』
さすがに高すぎたのか…とキリア王女が思っていると…。
『その値段だとそっちが赤字にならないか!?』
『いえ、でも、店でも実際そのくらいの値段で売っていても利益が出てるので…。』
『そう…なのか…、な、なら、他に必要なものはないか!?出来るだけ貿易は公平にしたい!!』
『えっ!?』
べラム王もその上質な布を買う値段と、服の値段を見て言う。
『それで利益が出るとは…余程売れるのだろうな…。その値段なら私も何かおまけで貿易品をつけよう、欲しいものを言ってくれ、なんでもあるぞ。』
『は、はい!分かりました…、えっと……』
その3人の王の平和な交渉をグレムは笑顔で見ていた。
『ありがとうございました!!』
キリア王女はクレス王とべラム王に頭を下げた、クレス王は言った。
『こちらこそだよ!いい貿易相手を見つけられた。これからよろしく頼むよ!』
べラム王も言う。
『服、楽しみにしているからな、お主らの技術とセンスを確かめさせてもらおう。あとグレム!!例の書類…完成したら伝書鳩で送る。あと2日程待ってくれ。』
『はい、お願いします。』
『グレム君…『例の書類』って…?』
『マーレイ王を追い詰める決定打となるものです、楽しみにしておいて下さい…。』
「と、いうわけだマーレイ王。べラム王はこの詐欺まがいの事を世界に広めるそうだ、これだけ人を…いや、国を騙しておいて、到底許される行為ではない、お前の国は終わりだ。」
とても冷たい目をしてキリア王女はマーレイ王に言った。マーレイ王は、何も言い返せないまま、自国へと帰っていった。
「君には感謝しかない…本当にありがとう。」
キリア王女は改めてグレムに感謝する、グレムは言う。
「助けられて良かったです、これからも国の発展を期待してますよ。」
「まさかベリル王国のクレス王どころか最大貿易国のべラム王とも知り合いで、しかも両方に恩人と呼ばれるとは…本当に何者なんだ君は…?」
「あまり詮索はしないでください。」
グレムは笑いながら言った、キリア王女は言う。
「まぁ何にしても…本当に助けられた、時間を取ってしまってすまない。」
「職が冒険者なので気にしないでいいですよ。あと、また何か悩んだら呼んでください、力になります。」
「ああ、よろしく頼むよ。」
2人は互いに笑顔で固い握手を交わした。
3日前…
バン!!
「ここにいたか…。」
正人と麻里はミスイル王国の教会に来ていた。正人のその言葉に、教会の椅子に座って昼食を取っていた歩は後ろへ振り返る。
「俺は勇者の和典 正人。」
「私は救世主として呼ばれた、神崎 麻里。」
2人は声を合わせて言う。
『君の名前は?』
「俺は…救世主として呼ばれた…五十嵐 歩だ…。」
3人は互いに目を合わせ、意思の疎通をした。
どうでしたでしょうか?
次回はいよいよ、選定者とグレムの戦いが始まるかと思われます…乞うご期待下さい!!
あと、次回から投稿する時間が少し遅くなるかもしれませんのでご了承ください。
それでは、また次回お会いしましょう!




