第76話 高貴なるミスイル王国
今回は新たな国、ミスイル王国へと行き、そこでの話となります。実はキリア王女は他の国では少し恐れられていて…?そして、ミスイル王国にある者が…?楽しみにして読んでいってください!
それでは、どうぞ!
正人と麻里との戦いが終わり、デルエル王国の王宮へと帰ってきた次の日の朝のことである。グレムがキグル王に言う。
「今日、この王国を出立しようと思います。」
「えっ、…いきなりだね。別に遠慮は要らない、次の目的地がちゃんと決まるまでここにいてもらっても構わないのだよ?」
「いえ、つい昨日のことなんですが…ミスイル王国の王女を護送しまして、その際に、『君たちがこの王国にやって来るのを心待ちにしているよ。』と言われたので、そこに向かおうと思ってます。」
「そうか…じゃあ止めはしないよ。くれぐれも、気をつけて…」
バァン!!!
その瞬間、王の間への扉が開いた、入ってきたのはマーシャ姫だった。
「もうグレム様行っちゃうのですか!?もう少しいて欲しいのに…。」
グレムは、そう言ってこっちに走ってきたマーシャ姫の頭を撫でて言った。
「ごめんな、だけど、絶対にまた来るよ。俺は冒険者だ、長い時間会えないかもしれないけど、必ずまた来るから、待っててくれ。」
そうグレムが言うと、マーシャ姫は涙を流し始めた。だが、マーシャ姫はグレムたちに「行かないで」とは言わなかった。
「絶対…また来てくださいね…!!」
彼女なりに考えてくれたのだろうか、そう思いながらグレムは言う。
「ああ、約束だ。」
そうグレムがマーシャ姫に言うと、マーシャ姫はまだ涙を流しながらも笑顔になって「はい!」と言った。その後にキグル王は言ってきた。
「それならミスイル王国の王女様に『宜しく頼む』とでも手紙を書いてあげよう。」
グレムはそれを聞いてある事を思い出した。
「あ!!すいません!!昨日実はその王女様から貴方に渡しておいて欲しいという手紙をもらったんですが…。」
グレムはそう言って、ポケットからキリア王女にもらった手紙を取り出して、キグル王に渡す。
「あの王女から…?そんなものが…どれどれ…?」
そう言ってすぐにキグル王は、その手紙を開く。するとその内容にキグル王は驚いたのか、震えながらグレムに聞いてくる。
「君たちは…一体何をしたんだ…?」
「えっ、ただ王女の馬車の護送をしただけですけど…何かまずい事でも書かれてましたか?」
「実はな…グレム君…ミスイル王国の王女、キリア王女は冷酷なことで有名なんだ。それも、冷酷な女王という名前がつけられるくらいに…。」
「では自分たちに何か不満を…?」
「違う!彼女は冷酷な人のはずなのに、君たちにはこんな事を書かれている!見てみてくれ!!」
その手紙には、キリア王女が直筆でこう書いていた。
『デルエル王国国王陛下エガト=デルニスタ=キグルに送る。
現在そちらにいらしているグレムとその仲間たちには多大なる恩を頂いた。その為、その者たちを1つの架け橋として、貴国との関係をより親密にしたいと思っている。
貴国からその者たちがこちらの国に来ることがあれば、是非、貴国のこの手紙の内容に対しての思いを載せたものを持たせて欲しい。
私は『グレム』とその仲間が我が国に来ることをいつでも歓迎している。
ミスイル王国王女リリューシャ=パール=キリアより』
キグル王は言う。
「冷酷なことで有名なあのキリア王女がこんな事を書くとは…驚きだ!!更に君たちのおかげでミスイル王国とより親密になれそうだ!本当にありがとう!!」
「いえいえ、自分たちは本当にただ護送をしただけなのでそんなお礼を言われても…。」
「しかも君たちを『歓迎する』とまで書いている!!丁度良かったな!!きっといい扱いをしてくれるだろう!では、この手紙の返信を書くから少しばかり、待っていてくれないか?馬車はこちらで出す。東門の近くにいてくれ。準備が整い次第、ミスイル王国へと送るよ。」
キグル王はとても嬉しそうに笑顔でグレムにそう言った。グレムも笑顔で、「ありがとうございます。」と返した。
東門にて…
グレムたちの最後の見送りに、国の人たちが集まってきていた。その人たちに言われる。
「グレム様、お元気で!!」
「是非、また来てください!国民全員で歓迎します!」
「ありがとう、みんなも元気でな。」
グレムはそう返事を返す。するとギルドマスターのウッドと受付嬢のルーラも出てきた。ウッドが言う。
「君のことだ、きっとミスイル王国でも名を上げる事だろう。ギルドマスターとして、期待しているよ。」
そう言って握手をするのに手を出してきた。グレムはその手をギュッとしっかり握って言う。
「勿論です、任せてください。」
次にルーラが言ってきた。
「くれぐれも…気をつけてくださいね…?」
きっと彼女のことだ、女神マルク関連のことで心配しているんだろう。グレムはこう返した。
「分かってる、心配してくれてありがとう。絶対また会いに来るから、待っててくれ。」
ルーラは少し涙目になりながら頷いた。
最後にキグル王とルリア王妃、マーシャ姫も来た。キグル王に手紙を渡される。
「では、これ、頼んだよ。そして、今までありがとう、妻のことも。」
次にルリア王妃が言う。
「あんたには命を助けられた、引き続き、調べてはおくからね。何か分かったら、手紙を送るよ。」
「ありがとうございます、お願いします。」
最後にマーシャ姫は涙目になりながら言った。
「お元気で!そしてまた会いましょう!」
グレムは頭を撫でて言った。
「ああ、必ず。」
グレムたちは馬車に乗り込んでミスイル王国へと向かっていった。最後まで、デルエル王国の歓声が聞こえていた。エルが言う。
「いい国でしたね!」
「ああ、受け入れてくれたのはあそこが初めてだ。絶対に忘れない…素晴らしい国だった。」
「ミスイル王国も…いい国だと…いいな…。ご主人様を…受け入れてくれるような…。」
そう言ったルリの頭をグレムは撫でる。するとルリはひしっと右腕に抱きついてきた。可愛いっ。
「どんな国なんだろうか…楽しみだ。」
グレムたちを乗せた馬車はミスイル王国を目指して走っていった。
約2時間くらいだろうか、ミスイル王国へとグレムたちは着いた。いつものように馬車を降り、期待しながら門を通ると…
ーーーそこには素晴らしいほど高貴な空気が漂っていた。グレムたちは全員目を輝かせる。
貴族しか住んでいないのだろうかと思われるほど綺麗な国が作られていた。建物は主に白色で統一されていて、枠組みや、ワンポイントに金色の塗料を塗っている。
奥に見える城も白い壁に金色の線が混じったなんとも豪華な仕上がりとなっていた。家一つ一つも、まるで貴族が住んでいるのかと思うほど大きく、そして広く作られている。
それ故に、店などにも力が入っていて、大きな人混みができている。だが、道は広く作られていて、そんなに邪魔にならないようになっている。こんなに発展している国は初めてかもしれない、そう思うほど素晴らしい整備がされていた。
そう感動していると、ある白に近い金髪のショートヘアーの女兵士に声をかけられた。
「もしかして…グレム様御一行でございますか?」
グレムは突然言われて、戸惑いながらも返事をする。
「ああ、はい。そうです。」
「申し遅れました、私、この度のガイドを務めさせていただくシェリア=ミルス=アレアと申します。女王陛下直々のお願いで、グレム様方のガイドを務めさせていただくことになりました、宜しくお願いします。」
「ああ、そうでしたか。こちらこそ宜しくお願いします。それにしても…かなりの美人さんですね。鎧がこんなに似合う女の人がいるとは…。」
真面目な顔をしていたアレアはいきなりの事に少し顔を赤くして恥ずかしがりながら言った。
「あ、ありがとうございます…。」
エルとルリは「またやったよ…。」という顔をしている。
「では、早速、ガイドを頼んでも宜しいでしょうか?」
「はい、では付いてきてください。」
グレムたちはアレアに付いていった。
グレムはアレアに聞く。
「この国には貴族しか住んでいないのですか?」
「いえ、全くそんなことはないですよ。見た目からそういう印象を受ける人が多いですが、ごく普通の国と同じです。」
「それにしては他の国より発展しているように見えますね…。」
「女王陛下は他国から色んなものを取り入れているので、その影響だと思います…着きました、先ずはギルドですよね。この後は女王陛下が会いたいそうなので城へと向かいます。ギルドでの用事が済みましたら、私がここで待っていますので、また声をかけてください。」
「丁寧にありがとうございます。エル、ルリ、行こう。」
そう言ってグレムたちはギルドへと入っていった。ギルドの中もまるで宮殿のようだった。明かりにはシャンデリアが使われていて、色々なところに花や絵が飾られていた。そして、とても広く、大きく作られている。
その光景に感動しながらもグレムたちは受付嬢がいるカウンターへと向かう。
カウンターにいる4人の受付嬢も全員、キチッとしていて、真面目そうな人が多かった。今回は緑色の髪をしたサイドダウンの受付嬢に話しかけた。
「すいません、王国に来た時はギルドに話を通すように言われてまして…。」
その受付嬢は少し驚いたような表情をしてから聞いてきた。
「ギルドカードをご提示頂けますでしょうか。」
「はい。」
そう言ってサッとギルドカードを出す。それをまじまじと見つめた後、その受付嬢は「少々お待ちください。」と言って、カウンター裏へと走り去っていった。随分と落ち着いてるな。
カウンター裏では…
さっきの緑色の髪の受付嬢はこう言う。
「ギルドマスター!ギルドマスター!あの彼が来ました!!とってもかっこいいです…!」
「ついに来ましたか…私の出番ですね。行きましょう。」
「はい!」
そう言って2人は奥から出た。
綺麗な黒髪のロングの女の人が出てきた、彼女がギルドマスターか。
「グレム様、初めまして。私、ミスイル王国のギルドマスターを務めています。ルーナ=ペルシャ=ティアナと申します。これから宜しくお願いします。」
「こちらこそ宜しくお願いします。早速ですが…」
グレムの言葉の途中でティアナは話し出した。
「ええ、ギルド内ではあまりグレム様に注意が向かないよう呼びかけておきます。なので安心してお過ごしください。」
「ありがとうございます、頼みます。」
そう言ってグレムたちはすぐにギルドを出ていった。すると緊張の糸が切れたようにそこにいた受付嬢たちとティアナは話し出す。
「やばい…想像以上にイケメンだった…好きになりそう。」
「やっぱりギルドマスターもそう思いますよね!!」
「是非仲良くなりたいな〜。」
「その為には話さないといけないけどね。冒険者と話す機会とかあまり無いし…難しいな〜。」
「今度カフェとかに誘ってみようかしら…♪」
その受付嬢らとギルドマスターはギルドの英雄であるグレムに夢中であった。
グレムたちはギルドを出るとすぐにアレアに言った。
「アレアさん、ギルドでの用事は済みました。」
「そうですか、それでは王宮の女王陛下の元まで案内します。」
またグレムたちはアレアに付いていった。
王宮へ行く途中でグレムは教会を見つけた。その教会もまた白色の壁に金色の線がいれられている。アレアに信仰している神を聞こうと思ったが、何となく嫌な予感がしたのでやめた。
そうしてグレムたちは王宮に着いた。アレアは正面の扉を開けて言う。
「どうぞお入りください。」
グレムたちは頭を下げながら中へとはいると、またもや驚いた。城の外装は白色が多かったが、中は赤色の絨毯に模様がついた赤色の壁。階段の手すりにも、少し茶色に赤みがかった木が使われていた。
その光景は正に王城と言えるだろう。派手なシャンデリアや、廊下の途中に綺麗な花も飾ってあった。
アレアに少し王宮内を案内され、歩き回ってから、王の間に着いた。アレアは扉を開けて中に入った後、膝をつき、王女に報告する。
「キリア女王陛下、グレム様御一行をお連れしました。」
彼女は玉座には座っておらず、窓の外を見て待っていた。そしてキリア王女は言った。
「ご苦労だった、アレア。下がって良いぞ。」
「はっ!」
アレアは返事をして王の間から出ていった。それからキリア王女はこちらに近づきながら話し出した。
カツカツ…
「やぁ、君たち。よくここまで来てくれた、私は嬉しいぞ。」
「こちらこそです。」
グレムは頭を下げる。
「いい国だろう…、誰もが幸せそうにしている。不満など1つもない…国民から罵声を浴びせられることも無い…。」
「確かにそうですね、今まで見てきた国で1番発展していると感じました。国民も1人1人が楽しそうに過ごしてました。」
「…ありがとう…それでも、問題はあるのだ…、国だからな。来てもらってすぐで悪いが、君たちの力を借りたい。」
キリア王女はとても真面目な表情で言った。
ドォン!!!
「いてて…ここが…異世界…?」
教会のシスターが言う。
「女神様のお導き通り…救世主様が降臨しました!!」
シスターは喜んでいる。メガネをかけたその男は女神マルクから神託を受けてここに来た、3人目の選定者だった。
どうでしたでしょうか?
次回は正人と麻里、そしてこの3人目の選定者を中心とした話になります。是非、ご期待ください!
それでは、また次回お会いしましょう!




