第75話 勇者と魔女
今回は第3回目のグレム対転生者です!!女神様から加護をもらった2人はどのような作戦でグレムを倒しにくるのか、そして、グレムはどうなるのか!楽しみにしながら読んでいってください!
それでは、どうぞ!
「よお、魔王様…。」
「待っていたわ…この時を。」
目の前には2人の男女…正人と麻里が立っていた。
「今度こそ…お前を倒してやる。」
正人のその言葉に、グレムは「またか…」と思っていた。
正人と麻里はすぐに戦闘態勢を整える。グレムはエルとルリを少し離れたところで待たせ、1対2で戦おうとしていた。麻里はそれを見て言う。
「お仲間さん無しとは…随分と舐められたものね。」
「この件に関してはあの二人はなんの関係もない、ただの傍観者だ。巻き込む訳にはいかないよ。」
正人はそれを聞いて言う。
「本当は人間のことはどうでもいいと思っているくせに…随分と優しい言葉を言うんだな。」
「お前に関しては女神様に操られすぎだ、狂信者かお前は。目の敵にする奴はもっと別にいると思うぞ、何も俺が特別に悪い事をした訳でもないのに。」
「まだそんなことを…ただの民間人を何人も残酷に殺しておいて…!」
だから民間人に手を出したことなんて1度もないんだが…と言ってもこいつは信じないだろう。面倒臭いし言わないでおこう。すると正人は言った。
「1対2で勝てると思っているのか?こちらはどちらも女神様の加護が付与されているぞ?」
グレムは2人を見て「はぁ…」とため息をついて言った。
「その『女神の加護』をもらっておきながら、まだ俺の実力の30%にも到達してないやつが2人集まったところでなぁ…。」
正人と麻里は驚く。今、なんと言った…?実力の30%にも達してない…?そんなはずはない、女神様の力だぞ?あいつも本気だったはず…そんなわけが…。正人はそう思った、麻里も同じようなことを思っていた。正人は言う。
「へ、減らず口を…。」
「じゃあ試してみるか?俺の50%の力を…。言っとくが、容赦はしないぞ?」
「<<覚醒・壱>>」
ドォン!!!
グレムは黒いオーラを身に纏う。そのあまりの闇の濃いオーラに少し正人と麻里は震えた。
あらゆる力が全て今までとは比べ物にならないような強さになっているのを正人と麻里は感じていた。目の前いるのはもはや人間ではない、化け物だ、と思うほどに。
「さぁ…始めようか。」
そう言ってグレムは右手に闇の魔力で出来た黒い球を出し、剣の形にする。正人は聖剣を構えながら麻里に言う。
「作戦通りに…頼むぞ。」
「了解…頑張ってね。」
麻里はそう返すと少し後ろに下がった。
正人の作戦はこうだった。
『あいつは正面から突破するのはかなり難しい。だから両側から攻めよう。』
『『両側から』?というと…?』
『君、麻里には恐ろしいほどの魔法の力がある。あいつも君の魔法を食らったらかなり痛いんだろう。だから先日の戦闘で奴は君の攻撃を受ける前に消すか、受け流していた。1回も奴は正面から魔法を受けようとしなかった。つまり、俺の剣は絶対にやつには届かないが、俺が奴に魔法を受けさせるチャンスを作れば…』
『…勝てるってわけね。けど本当にそれだけで大丈夫かしら。あと、それだと私は常に奴の背後にいないといけないわ、それはどうするの?』
『俺が奴の注意を俺だけに向けさせればいい。剣を交える中で、君が奴の背後に来るように回り込んで斬りつけたりする、それぐらいは出来る。だから君はいつでも魔法が撃てるように準備をしておいてくれ。』
『分かったわ…頼んだわよ…。』
『こちらこそだ。ありったけの強力な魔法を、奴にぶつけてくれ。』
2人は軽い握手をした。
「はああああぁ!!!」
正人は前のように突っ込んできた。グレムは以前とは違い、平然と闇の剣で彼の剣を受けながら言う。
キィン!!
「以前と変わらないな…まぁ、大体こんな感じとは思っていたが。」
ギリギリ…!
「どうかな…今回こそはお前を倒してやる…!以前のようにいくと思うな…!」
ギィン!!
「期待しておくよ。」
キィンキィンガキィン!!!
グレムは正面から連撃を加えてくる正人の剣を全て弾き返す。その正人の攻撃を何度も受けているのに、グレムは1歩も下がらない。
「(やはり俺の剣ではこいつにはとても届かない…だが…!)」
そう思った瞬間、正人はとてつもない速さでグレムの背後に移動し、背後から斬りつけた。だが、それが見えていたのか、読まれていたのか、グレムは普通に後ろに振り返り剣を弾く。
ギィン!!!
麻里はその瞬間に思った。
「(これなら…狙える!!やつの背中に!ありったけを…!!)」
麻里は火の精霊の力を受け、赤いオーラを纏った。
「<<大地を揺るがす太陽>>!!」
麻里はグレムの背後にとてつもなく巨大な炎の球を思いっきりぶつけるように投げた。その間も、正人は注意を引きつけるために剣撃を止めなかった、正人は言った。
「食らえ!!これが俺らの…」
麻里が言葉を続ける。
「…全身全霊だあああああ!!!」
だが、グレムは言った。
「そういう事だと思ったよ。」
「!?」
正人はその言葉に驚く、その言葉を言った瞬間からグレムは前へ前へと正人に剣を振るいながら押していく。
ギィンキィン!!ガキィンキィン!!
「う…がっ!」
正人はそのグレムの剣を受けるので精一杯だった。なんだこいつは!?さっきの剣の扱い方とはまるで違う!!激しすぎて受けるので精一杯だ!!だが…魔法が当たれば!!
グレムの背後にはすぐそこまで麻里の炎球が迫っていた。その瞬間にグレムは正人に言った。
「最初からお前らの作戦は分かっていたさ、2人ならこうするしかないものなぁ。上手くやったつもりだと思ってるだろうが、それは間違いだ。」
「何を!!」
正人がそう言うと、グレムは後ろに左手を向けて剣を正人と交えながら魔術を唱えた。
「<<操縦>>」
麻里の炎球はまるでグレムのものであったかのように動き出す。
「『何を!!』だったっけ?こういう事だよ。」
グレムはそう言うとその炎球を正人にぶつけた。ドオオオォォォン!!!と大きな音と共に爆発が起こり、煙がその場に立ち込める。その様子を見て麻里はすっかり勝った気持ちでいた。煙が消えていく…だが、その予想に反する光景に驚いた。
正人は炎球を受け、黒焦げになって地面に倒れていた。勿論、グレムは傷一つ負ってない。麻里は思わず呟く。
「嘘……。」
そうするとグレムは振り返り、麻里に近づいていく。麻里は自分にあるだけの魔法を唱え始める。
「<<闇の裁き>>!!<<絶滅の氷塊>>!!」
その魔法にグレムは魔術と持っている剣で対抗し、全てを打ち消しながら近づいてきた。
「<<消闇の天光>>」
シャアアアアァァァ…
バキィン!!
<<闇の裁き>>はグレムの頭上にできた光に消滅するように消され、<<絶滅の氷塊>>はいとも簡単に斬られた。
その後グレムは麻里に話しかけながら近づいてきた、麻里は魔法を撃ち続ける。
「<<下降する暴風>>!!<<闇の武器網>>!!<<海王の怒り>>!!」
「お前らの事だ…きっとこの前の戦闘を彼も見ていて、俺が1つも魔法をまともに食らおうとしなかったのを理解したんだろう。」
グレムは<<下降する暴風>>を食らっているはずなのに全く地に膝をつかないで平然と歩いてくる。そして<<闇の武器網>>で飛んできた全ての武器を、
ガキキキキキキキィン!!!
と剣で全て弾き飛ばし、<<海王の怒り>>でグレムの頭上から恐ろしいほどの量の水が降り注ぐが…
「<<守護>>」
そう魔術を唱えたグレムをその大量の水は避けるように降り注いだ。グレムの周りには透明な壁のようなものがあり、グレムに被害が及ばないようになっている。
「だから彼は俺が君の魔法を正面から受けたらとても痛いんじゃないかと思った。そして今回のように君が俺に魔法を確実に当てられるように彼は剣を交えるときに君が俺の背後に来るように立ち回った…違うか…?」
全部…分かってたと言うの…?私たちが…勝負を仕掛ける前から…。そんなこと…有り得ない!!誰もこんなに敵のことを理解出来る奴はいない!!麻里は魔法を撃ち続ける。
「<<大地を揺るがす太陽>>!!<<絶滅の竜巻>>!!」
ドカアアァァァン!!!と確かに<<大地を揺るがす太陽>>はグレムに着弾した。だが…爆発した後、煙の中から平然とグレムは歩いてきていた。<<絶滅の竜巻>>で起こった大規模な竜巻も全く効いておらず、その大きな竜巻はグレムが触れただけで消滅した。
「…だがこんなふうに…お前らごときの魔法を食らっても俺には大したダメージは入らない。そもそも作戦が成功していたとしても…勝てる確率は最初っから0だったのさ。」
麻里は次の魔法を撃とうとすると…グレムが一瞬で一気に距離を詰めて目の前まで来た。
「だからもう諦めろ、それと、俺は民間人に手をかけるようなことをした事は1度も無い。これでもまだ信じられないのなら…また挑戦を受けてやる。」
麻里はグレムのあまりの強さと恐ろしさに目の前に立っているのにも限界がきていた。体全体が震え上がっている。それを見てグレムはこう言って魔術を使った。
「疲れただろう。少し眠れ、<<気絶>>。」
そう魔術をかけると、麻里は膝から崩れ落ちて倒れた、気絶している。グレムはエルを呼ぶ。
「お〜い!!エル〜!!悪いがまた男の奴の方に回復魔法をかけてあげてくれないか!?」
「は、はいっ!!分かりました!!」
エルはそう言うとグレムの元へと走っていった。ルリはあまりのご主人様の凄さに目をずっと輝かせていた。
バアァン!!!
女神マルクは思いっきり下界の様子が見える水桶の縁を叩いた。そして言った。
【また負けやがった…それもあんなにいとも容易く…!!絶対に許さない!!今度こそ最後よ!!グレム!!2人がダメなら3人よ!!】
そう言って女神マルクは鬼のような形相で水桶に映るグレムの顔を見ていた。
グレムたちは、デルエル王国にある宿の同室に、正人と麻里の2人をベッドに寝かせてあげた後、宿を出てきた。そして王宮へと向かいながら話す。
「ご主人様!きっと明日にはミスイル王国に行こうと思ってるでしょう…?」
エルがそう言うとグレムは驚きながら言う。
「なぜ分かった…。」
「ご主人様の顔を見れば分かります!!『もうこの国でやり残したことは無い』って顔をされてましたよ〜!!」
「そんなに分かりやすい!?俺の表情!?」
ルリがそれを聞いて言う。
「ご主人様…私たちの前だと…すぐに表情を見せてくれるから…可愛い…。」
「いや、だって信じられる仲間だし可愛いしで…ちょっと気をつけようかな…。」
その言葉にエルとルリは嬉しくなったのかグレムに言う。
「直さなくていいですよ!!私は、今の表情が豊かなご主人様の方が好きです!!」
「エルの言う通り…ご主人様には…そのままでいて欲しい…、お願い…。」
「2人からそう言われたら断れないよ、分かった、今まで通りでやっていくよ。2人がいいならそうしよう。」
グレムは笑顔で言った、そうするとエルが言う。
「ご主人様は本当に優しいですね!!」
「なんだ?改まって。」
「ルリも…やっぱりご主人様は世界一優しいと…思った…好き…。」
そう言って2人はグレムの両腕を片方ずつ抱き寄せた。グレムは不思議に思いながらもその幸福感に包まれていた。
どうでしたでしょうか?
次回はグレムたちがまた新たな国へと旅立ちます。そこで一体何が起きるのか…そして…女神マルクの取る行動とは…?乞うご期待下さい!
それでは、また次回お会いしましょう!




