第69話 2人目の選定者
今回は勇者正人との戦いが終わった後の、主人公中心の話となります。グレムがある人助けをするのですがその人はなんと…!?是非、期待しながら読んでいってください!
それでは、どうぞ!
ドンッ!!
「キャッ!!泥棒!!」
豪華なドレスを着た女の子が高そうなネックレスをぶつかった際に盗られた。そのネックレスを盗った男は走っていく。
「だ、誰かあの人を追いかけ…」
ビュン!!
その女の子がそう言おうとした瞬間に横をとんでもないスピードでその泥棒を追いかけるように人が走り去っていくのが一瞬だが見えた。
泥棒は曲がり角を曲がる、とんでもないスピードで走るその人影は泥棒を追いかけ、同じように曲がった。その女の子は後から走ってその曲がり角を曲がると、泥棒はとんでもないスピードで走ったと思われるその人に押さえつけられていた。その泥棒を押さえつけていた男、グレムは泥棒からそのネックレスを取り返して言った。
「高そうなネックレスですね、はいどうぞ。」
「あ、ありがとうございます……。」
女の子はあまりのスピードで走っていたグレムにまだ驚いていた。グレムはその女の子に言った。
「次からは注意してくださいね?アイギス王国は確かに治安はいい方ですけど悪いやつは絶対いますから。それでは。」
そう言って、グレムはその泥棒を魔術で縛り、引きずって去っていこうとする。その女の子はグレムの手を掴み、引き止めて言った。
「待ってください!まだお礼も何もしてませんし、あと…お名前を教えてもらえませんか?」
「いやいや、これくらいの事でお礼はいりませんよ。ただ泥棒を捕まえただけです。あと…名前の方は…この国では忌々しいと言われている名前なのであまり…」
その女の子はグレムの言葉を遮るように言った。
「いえ!それでは王族としての面目が立ちません!このアイギス王国では忌々しいと言われているということは…きっと…グレムさんですね!?あまり気が乗らないかもしれませんが、是非お礼をさせて下さい!」
そう言ってその女の子は頭を下げた。待て待て、『王族』?一体どこの…?言葉通りに聞くと…おそらくアイギス王国での王族では無い…。とグレムは考えていると、その女の子はその表情を見て、言ってきた。
「あ!!そうですよね!私のこと、まだ名乗ってもないので…分かりませんよね!!…私はデルエル王国の国王、エガト=デルニスタ=キグルの娘、エガト=デルニスタ=マーシャと申します!以後お見知り置きを!」
ん?…ということは…。
「そのデルエル王国のお姫様!?」
グレムは驚きながら言った。マーシャ姫はこう返す。
「その通りです!是非あなたと仲良くなりたいです!」
マーシャはニコッと笑顔で言う。やばい、めちゃくちゃ可愛い。容姿はまだ子供っぽい感じがするが、金髪のツインテールに素晴らしいほど似合っているドレス…正に姫という感じだ。
「あの〜大丈夫ですか?いくらある国の姫と言っても気遣いをする必要はありません。あなたとは是非親しくなりたいのです。」
グレムが悩んでいるように見えたのかマーシャ姫は心配してきてくれた。グレムは言葉を返した。
「あっ、すみません。いや、あまりの容姿の可愛さについ見とれてしまって…。」
あ、ガッツリ本音出しちゃった。これ引かれるやつだ。と思っているとマーシャ姫は顔を赤らめチラチラとこちらを見ながらこう返してきた。
「そんな…私が可愛いなんて…初めてです、父上以外の人にそんなこと言われるのは…。とても…嬉しいです…。」
「癒しだ…。」
思わずグレムは声に出してしまう。マーシャ姫は聞き返す。
「はい?」
「ああ、いや、なんでもない。それより、アイギス王国に来た理由は?何か目的があったんだろう?」
「そうでした!!…実は…」
「そうなのか…ギルドに用があって…。一国のこんなに可愛いお姫様にお使いを頼むもんじゃないと思うけどなあ。」
グレムも丁度この最近アイギス王国では有名になっていた盗人を突き出すためにギルドに向かおうと思ってたところであったのでマーシャ姫と一緒にギルドの方へ歩きながら話す。
「『こんなに可愛い』…えへへ、少し嬉しいです。けどなんか父上も『可愛い子には旅をさせよと言うだろう』とか言ってて…だから私1人だったんです…。」
「なるほどな〜まぁ気持ちは分からなくもないが…危険もあるだろうに。」
「けどですね!頼まれたお使いは結構重要な事なんですよ!…まさかあんな依頼を受注してクリアしてくれた人がいたなんて…。」
「『あんな依頼』?そんなに難しい依頼を出してたのか?」
「はい!実は…『ブリリアントバタフライの羽根の納品』を出していました!私の母にそれの思い出があって…どうしても見ておきたいと言いまして…。」
そう言ったマーシャ姫はどこか悲しそうであった。その母の具合が悪いのだろうか…。ん?待てよ?『ブリリアントバタフライの羽根の納品』って…。そう思っていると続けてマーシャ姫は言う。
「実は…母の病気が少し悪化してて…あまり動けないほど酷い状態なんです…。だから…最期に見ておきたいと…。」
グレムはその言葉を聞いて言う。
「マーシャ姫、その母の病気、何とかできるかもしれません。『クラスィヴィーの花』って知ってますか?」
「え?は、はい。確か、例えどんな病気であろうとその病の状態を良くしてくれるという魔法のような不思議な花と…。」
「それから先はここで話します。丁度、着きましたしね。」
そこはギルドであった。グレムとマーシャ姫は入口のドアを開けて入る。すると…
「あっ!グレム様!!おはようございます!!今日はどんな御用で?」
受付嬢が入口のすぐ側でギルド内の掃除をしていたようで声をかけてくる。
マーシャ姫は少し驚く。アイギス王国では…グレムという名はかなり嫌われているはず…なのにこの人は…。
その後もグレムは色んな人に声をかけられていた。その背中にマーシャ姫は付いていく。グレムはその人たちに挨拶を返しながらカウンターへと向かう。そうすると、掃除をしていた受付嬢が走ってこちらに来てカウンターへと入り、要件を聞いてきた。
「グレム様!今日は一体どんな御用で?」
グレムはまず泥棒を突き出して言う。
「最近この王国で有名になっていた盗人らしき人物を捕まえたので来ました。この人で間違いないですか?」
受付嬢はそう言われて、その泥棒をカウンターの裏へと連れていき、ギルドの裏方と確認を取ってから戻ってきて言った。
「間違いないです!ありがとうございました!!さすが、グレム様ですね!!報酬金は後で渡しますね!」
マーシャ姫はその受付嬢の言葉に少し驚く。グレムという言葉を…あんなに軽々しく…以前のアイギス王国とは違ってる…。グレムが言う。
「あとこの子がギルドに用事があるようなんですが…。」
グレムはマーシャ姫の方に手を差し伸べて言う。
「彼女か彼女の家族が依頼者のクエストがあったと思うのですが…その依頼品を受け取りに来たようです。」
「え〜と?あなたは…?」
受付嬢はマーシャ姫に聞いてきた、マーシャ姫は自己紹介をする。
「エガト=デルニスタ=マーシャと申します!」
「へ?お、お姫様ではないですか!!すいません!急いで確認を取ります!!」
受付嬢はバタバタとカウンターの後ろへと走っていった。グレムはマーシャ姫に言う。
「以外と顔が広いんだな。さすがお姫様、可愛いだけある。」
「ま、また『可愛い』と…そんなにでしょうか…?あと、アイギス王国とデルエル王国は割と親密な関係でして…だから皆様が存じ上げているのかと…。」
「そうなのか…じゃあお姫様に2つ…1つ目はマーシャ姫にとって良いかどうか分からないけど、とりあえずいい報告がある。」
「何でしょうか?グレム様?」
「1つ目な、『ブリリアントバタフライの羽根の納品』の件、それを受けたというかクリアしたのは俺らだ。」
「えっ!?ほ、本当ですか…?でもブリリアントバタフライは数がかなり少ないです…とても心苦しいことは承知の上ですがあまり信じられません…。」
「信じられないなら信じられないでいいが、昨日かな?たまたま2体と遭遇してな。4枚羽根が取れたから、その依頼通り2枚をこのギルドに納品したんだ。」
「そ、そうなんですか…後で一応受付嬢に確認してみますが…2つ目というのは…?」
「2つ目はもしかしたら、マーシャ姫の母の病気を治せるかもしれないこと。なぜなら…おっと、受付嬢が来たようだ。この話は後で。」
受付嬢が走って戻ってきた、息を整えてから彼女は話し始める。
「確認が取れました…依頼品のお渡しは鑑定士の方へお行きください。」
「あの…その納品をしてくれた方って…。」
「あなたの隣にいるそのお方ですよ。まさか2体見つけるとは思いませんでしたがね。」
マーシャ姫は驚いて思わずグレムの方を見た。受付嬢はその様子を見て言う。
「そのご様子だとご存知ないですか?グレム様は、過去に国の為にドラゴンを倒したアダムアビスランクの英雄様ですよ。お姫様。」
「グレム……アダムアビス…はっ!!まさか…あなたがあの…ドラゴンを倒した…英雄様…?し、失礼しました!!」
マーシャ姫は自分の非礼を詫びるようにグレムに頭を下げた。グレムはこう返した。
「今まで通りでいいよ、マーシャ姫。ただドラゴンを倒しただけだ、何も人の上に立ちたいわけじゃない。」
マーシャ姫は目をキラキラさせながら頭を上げた。そうするとグレムは言った。
「ほら、依頼品を受け取るんだろう?こっちこっち。」
グレムは鑑定所の方に歩き始めた、マーシャ姫はその隣に付いていく。
その様子を受付嬢は「やれやれ」といった感じで見ていた。
鑑定所に着いたグレムとマーシャ姫は早速要件を鑑定士のルンダに言う。
「ブリリアントバタフライの羽根ですね?少々お待ちください…。」
そう言って鑑定所の裏の方に回ろうとするルンダにグレムは言った。
「ルンダさん、クラスィヴィーの花って余ってますか?」
「へ?ああ、はい、お陰様でかなり繁盛してます…確かもう少し残っていた筈ですが…。」
「もし残っていたら5本くらい貰えませんか?」
「分かりました、納品していただいた方の頼みとあらば。同時に持ってきますので少々お待ちください。」
そう言うとルンダは鑑定所の裏へと回っていった。マーシャ姫はどういう事かと不思議に思う。すると、グレムが話し出した。
「2つ目の件、『マーシャ姫の母の病気を治せるかもしれない』というのは、俺たちが前にクラスィヴィーの花の群生地を見つけたから。もしかしたら、クラスィヴィーの花を使えば君のお母さんの病気を治せるかもしれない、そう思ったんだ。」
マーシャ姫は涙を流し始めた。赤の他人なのに…さっきまで互いの名前も知らなかったのに…しかも助けられたのは私なのに…どこまで優しいの…?どこまで親切なの…?どこまでそんなに他人思いなの?この人は…。
マーシャ姫が涙を流しているのに気づいたグレムは、焦ってなんとかしようと、とりあえずしゃがんで目線を合わせて言う。
「あぁ、ごめん!何か嫌だったか?余計な心配だったか?何か悪いことでも…」
「フフッ…いいえ、全部嬉し涙です。私…あなたと出会えて本当に良かった。これは1つ目のお礼です。」
そう言うと、マーシャ姫はグレムの顔を引っ張り、唇を重ねた。その後にマーシャ姫はまだ涙を流しながら言った。
「ありがとう、本当にーーーありがとう。」
グレムは笑顔でこう言った。
「役に立てたのなら、何よりですよ。お姫様。」
その数分後にルンダはブリリアントバタフライの羽根2つとクラスィヴィーの花5本を持ってやってきた。
「これらが…よいしょ!依頼の品ですね。…あれ?なんだか空気が違う気がしますが…何かありました?」
マーシャ姫は笑顔で返した。
「いいえ、何も!」
「じゃあ、馬車で待ってますね!!」
マーシャ姫は依頼の品を一緒に来た執事に持たせて言う。グレムは言葉をこう返した。
「本当にいいのか?一刻も早くそれを母親に届けないと…。」
「これだけ持ち帰って、後からグレム様たちが来るなどと母に言ったら、絶対『無礼者!!』と母に言われます。そんなこと出来ません!」
「そうか、じゃあこっちもなるべく急ぐから!」
そう言ってグレムは走っていった。
宿屋で待たせていたエルとルリを連れ、グレムはギルドに最後の挨拶をしに来ていた。
受付嬢が言う。
「え〜!?グレム様もう行ってしまうのですか!?」
「ああ、ごめんな。それに国にも嫌われてるだろうし。」
ギルドマスターが笑顔で言う。
「そんなこと気にしないでください、あなたの功績はギルドでも誇られるほどです。またの活躍、期待してますよ。」
「任せてください、これからも貢献し続けていきますから。」
鑑定士のルンダも言う。
「あなたには本当に素晴らしい物を何度も見せてもらいました、一生忘れません。」
「またいい素材をいつか持ってきますよ。」
「是非、お願いします。」
ルンダはグレムの手をぎゅっと握った。
グレムたちがギルドを出ると、国民たちが道を作っていた。なぜ…?
近くにいた女の人が言った。
「グレム様が出ていくって聞いてね!!みんな居ても立ってもいられなくなったのさ!!」
グレムたちは苦笑いしながらその道を進んでいく。
あちこちから「ありがとう!!」や、「また来てください!」などのお礼の言葉を投げかけられる。ありがたい限りだ。
その中にはアズさんも混ざっていた。彼女も「ありがとう!」と言っていた。
その国民の道を抜け、マーシャ姫の馬車へとやっと着くとマーシャ姫が出てきた。そして言う。
「グレム様〜!!凄い歓声ですね!!忌々しいと言われているのが信じられないくらいです。」
「ああ、俺もだ。」
そう言うと後ろのエルとルリの視線が痛いほど刺さってくるのを感じる。ルリが言う。
「ご主人様…誰…その可愛い女の子は…。」
「途中で知り合ってな…これから行くデルエル王国のお姫様だ。」
「マーシャと申します!グレム様のお仲間さんも可愛い方たちですね!以後お見知り置きを…。」
そうマーシャが言い終わるとさっと馬車にみんなで乗り込んだ。
グレムの左側はエル、右側はマーシャ姫に取られた。ルリはグレムの膝の上に座ってグレムに寄っかかる。
「ルリ…そこでいいのか?座り心地悪くないか?」
「安心感があって…とてもいい…。」
その様子を見てマーシャ姫は言う。
「グレム様はとてもモテるお方なんですね!!私も好きです!」
そう言ってマーシャ姫はグレムの右腕に抱きついた。
「あ〜!ご主人様はエルのものですよ!!」
そう言ってエルもグレムの左腕に抱きつく。
「みんなだけ…ずるい…。」
ルリは振り向いてグレムに正面から抱きつく。
「く、苦しい…君たち、まさかこのままでデルエル王国に向かう気かい…?」
3人は同時に返事をする。
『はい!!』
「マジかよ…可愛いからいいけどさ…。」
馬車はデルエル王国を目指して走っていった。
デルエル王国、外れにある教会にて…
ドォン!!!
ある老人が言った。
「おお!女神様の神託通りじゃ!!」
もう1人の老人が言う。
「この世界の救世主が来なさった!!」
そこに降り立ったのは1人の正人と同じくらいの年の女の子であった。その子は言う。
「神崎 麻里と申します!!女神マルクの神託の元、この世界を救いに来ました!!」
どうでしたでしょうか?
あれこれ気になることだらけかと思いますが次回も気になることだらけになるかもしれません…。これからどう話が展開していくのか、考えながら次の話も読んでくれたらいいなと思います!
それでは、また次回お会いしましょう!




