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第68話 絶対的な差

今回は前回の予告通り、遂にグレムたちが勇者と対面してしまいます…グレムたちはどうなってしまうのか。勇者の正人はグレムたちに何を思い、どう対応するのか。期待しながら読んでいってください!


それでは、どうぞ!

グレムたちがブリザードネルモスを倒した日から4〜5日経った頃である。アイギス王国にはある噂が広まっていた。


その噂とは()()()という忌み嫌われている名前の冒険者が、ギルドで素晴らしいほどの功績を上げていて、さらに何人もの人が彼に助けられているというものであった。


ただ、それだけの事なのに、国民はその噂のせいで、女神マルクへの信仰が少し薄れてきていた。彼と名前が同じ、『魔王グレム』も悪い奴ではなかったのではないかという話が流れたのである。


グレムたちからしては、とてもその国での活動がしやすくなった。町を歩いているだけで誰もが挨拶をしてきて、お礼を言ってくるようにもなり、ギルドから国民たちへと段々その信頼度が広まり、深まってきていた。だが…


それだけ広まった噂は、勿論、王宮に住まう者たちにも届いていた。


「クソッッ!!!」


ドンッッ!!


「国王陛下、気持ちはわかりますが抑えて下さい!!」


王は玉座の手をかける部分を叩く。国民たちの女神マルクへの信仰が薄れてきているのが許せなかったのである。王宮に住む者は皆、女神マルクへの信仰がとても厚く、何よりも女神マルクを信じていた。


今まで国民たちをまとめていた要因でもあるのに、それが薄れてきたとなっては、ほぼ狂信者と化していた王宮の者たちは、国民に不満を抱くようになってしまっていた。国王は言う。


「その『グレム』という忌々しい名前をした者のせいだ!その者のせいで国は女神マルクを信仰しなくなってきている!!今すぐにでも追い出してやりたいくらいだ!!」


それに対して大臣は言う。


「別にいいんじゃないですか?彼が上げている功績は本当に素晴らしいものです。それだけ周りに影響があってもおかしくはないでしょう、更には国民たちを助けるようなことを何度もしています。それだけ信頼の厚い者を国が追い出すと言ったら、国民からの反感を買いますよ?」


「イグルス…大臣とはいえこの私に向かってその口の聞き方はなんだ!!あまりにも不敬だ!!」


「これが私の素ですし、元々私を大臣にされたのは国王、あなたです。しかも、現在女神マルク信仰の件で国民からの不満が少しずつ集まっているとなってはこちらとしても見ていられません。だから口調にもあまり敬意を払ってないのですよ。ロード=デアンテール=ゾルグ国王陛下。」


「貴様ッ!!……。」


国王は何も言い返せないでいた、全て本当のことであるからだ。国王はもう一度「クソッ!」と言った。





()()()という冒険者がいる?この国に?」


正人は剣を振りながら姫に聞き返す、すると、姫はさらに詳しく言い始めた。


「はい!しかも素晴らしいほどの功績を上げていて、ギルドでも誇りに思われる程だとか!しかもすごい優しくてイケメンらしいです…!」


「へ〜1度会ってみたいな…リリア姫も会いたいと思わない?」


それを聞いたリリア姫は言う。


「まさか…会いに行こうとか思ってませんよね?」


「いや〜リリア姫とデートが出来たら嬉しいな〜なんて。」


正人は冗談交じりに言う、すると、リリア姫は顔を赤くして、もじもじしながら言った。


「正人様となら…いいですよ…?」


「本当!!?やった〜!!ちなみに…今日でもいい?できるだけ早く会っておきたいんだ、なんとなく。」


「はい!ではお父様に許可は…多分出してもらえませんから…ダムル!!」


呼ばれたそのダムルというリリア姫の執事は言う。


「また、お忍びですか…?」


「話が早くて助かるわ!ダムル!」


「はぁ…分かりましたよ。けど、絶対に大事は起こさないでくださいね、一瞬でバレますから。」


「ありがとう!じゃあ、行ってくるわね!」


ダムルは苦笑いでリリア姫と正人を見送った。





「なんか最近レア素材沢山でないか?あまりに運が良すぎる気がする。」


グレムはエルとルリに言う。するとエルが言った。


「ご主人様の日頃の行いがいいからですよ!きっと!」


ルリが続けて言う。


「最近…ご主人様…多くの人たちを助けてた…だから…最初の頃よりも人からの視線も評判も良くなってる…それだけいい事をしたから…当然のことだと思う…。」


「そうだったら嬉しいんだけどな〜なんか良くない事が起こりそうで…。」


「気にしすぎですよ!いい事があったら、喜ぶだけです!心配なんて普通、しませんよ!」


「そんなもんかなぁ…。」


エルに言われてグレムは少し自分のネガティブな考えを改めようとした。





ギルドの鑑定所にて…


「ま、またこれだけの物を…。『ブリリアントバタフライの羽根』、それに『レッドローチの目玉』、『アダムアビスゲルダ』!!?よく見つけましたね…。それに、かなり状態もいい…。」


鑑定士ルンダはあまりの素材の良さに驚く。それもそのはずだ。


『ブリリアントバタフライ』は、討伐難易度こそ高くないのだが、数が限られすぎている。あまり数を増やしすぎないのと、宝石のような青色の羽を持ったことが特徴の蝶で、その羽根はあまりの綺麗さにかなり高額で取引されている。ちなみに今回はたまたま2体と遭遇したので羽根は4枚取れた。その納品依頼がたまたまあったので2枚は依頼用、残りはギルド用に取ってきた。


『レッドローチ』は討伐難易度は1匹ではかなり低いが、大体かなりの数で集団行動を取るため、討伐難易度は高くなっている。そしてその目玉は、まるで『ヴェルメライト』のように綺麗で美しい。そう言えば、アムル王国でフェルトにプレゼントしたっけ…。今回はその目玉が6個取れた。ちなみに全てギルド用である。


『アダムアビスゲルダ』はアダムアビスよりも希少で、見つけることが出来るのは世界で最も運がいいとまで言われる宝石である。何が違うのかというと本来、アダムアビスは青色だが、ゲルダになるとより深い()()の光を放つ。その綺麗さ故に、誰もが目を奪われ、欲しがる程の物と言われている。ちなみにこれもギルド用。


「これらは明日までに鑑定しておきます…とりあえず…昨日の分の報酬…ですっ!!」


鑑定士ルンダはあまりに大きなギルの入った袋を渡してきた。それをグレムはひょいと軽々しく持ち上げ収納する。


「じゃあ、また、よろしくお願いします。」


グレムはルンダにそう言った後、ギルドの椅子に座って待っていたエルとルリの元に戻ってきた。早速エルがワクワクしているようで聞いてくる。


「先日の分…どうでしたか?」


グレムはさっき渡されたギル袋を見せる。あまりの大きさにルリも思わず驚いて言う。


「これなら…何ヶ月も困らなそう…。」


「まぁ元々持ってた分もかなり残ってるから当分金に困ることは無いだろう。今まで困ったことないけど。」


「ありがたや…。」


エルはグレムに向かって拝む。


「人を神様みたいに扱うな、しかも俺みたいな奴を。」


「いいえ、ご主人様は私たちからすれば神様みたいなものです。本当にありがたい…。」


それを聞いてルリも拝み始めた。グレムは言う。


「ほら、そろそろ行くぞ。少し疲れたからな、今日は早めに帰ってゆっくりしよう。」


「賛成で〜す!!!」


エルは元気な声で言った、ルリも椅子から立ってグレムに付いていく。


ギルドの入口の扉を開けて外に出た時である。向かいの建物の前に2人、まるで俺たちが出てくるのを待っていたかのように人が立っていた。グレムは()()()()()()()。思わず声に出す。


「やっべ。」


エルとルリはグレムの言葉と目線に注目して、察する。エルが言う。


「あの男の人が…まさか…。」


ルリが続けて言う。


「ご主人様の言っていた…『強い人』…?」


その2人は向こうからこちらに近づいてきた。そして男の方、正人が言う。


「あなたがグレムさんですか!!噂には聞いていた通りですね!!優しそうでイケメンで…」


正人は言葉の途中に気づいた、聖剣が光り輝いている。聖剣が光り輝くのは…()()()()()()()()()()()()()()()…それだけで正人は察した。


「リリア!!」


正人はそう言ってグレムから距離をとり、リリア姫を自分の後ろに来させ、聖剣を抜いて構える。


「こんな所に紛れ込んで…どういうつもりだ!!」


「さすが()()()と言ったところか…だが俺はもう魔王を辞めた、本当にただの冒険者なんだ。君と戦う理由はない。」


「だが女神様は言っていた…!確かにお前は魔王だ!グレム!!」


「その女神が嘘をついていたらどうする。例えば…()()()()()()()()()()()()()()()と考えていたとしたら。」


「女神様を馬鹿にする気か!!」


「ああ、そうかもな。こっちとしては訳が分からない。やってもいない事をやったと言われ、犯してない罪を犯したことにされて…お前には俺の気持ちが分かるか?」


「魔王の気持ちなんて!分かってたまるか!!」


正人は突っ込んできた。するとエルとルリが正人の剣を止めた。


キィン!!!


剣を2人に止められた正人はまた一旦距離を取って2人に言う。


「君たちもこの男に騙されているんだろう!?目を覚ませ!!こいつは最低最悪の魔王だぞ!?」


グレムは「はぁ〜」と深いため息をついた後に言った。


「エル、どうやらこいつは完全に女神様に利用されているようだ。自分が操られてないことを証明してやれ。」


そう言うとエルは少しもじもじし出した。


「エル?」


「ご主人様が…いいと言うなら…。『キス』は100回以上、『ハグ』は330回くらいですかね。で…『夜の営み』は…18回です…これは全部自分からご主人様に求めました!!」


グレムはそのエルの言葉を聞いて驚きながらも思っていた。あ、ダメだこの子、クソ可愛い。というか恥じらいないのか。


正人はそれを聞いて動揺はしたが、全く信用せず、聖剣の能力を使いだす。


「き、きっと催眠魔術をかけられているんだ!打ち消してやる!<聖剣よ、その光で!この場にかけられている全ての者たちへの魔術を解き給え>!!」


眩い光が辺り一帯を包み込む。その光が消えた後、すぐにエルは言った。


「私たちは本気でご主人様を愛しています。騙されているとか、催眠魔術とかそんなものじゃないです!!」


ルリも言い始める。


「エルの言う通り…私たちは…本気でご主人様に付いていきたいと思って…本気でご主人様のことが好き…あなたはご主人様の何も分かっちゃいない…!周りの人たちを見てみろ…!」


正人はルリにそう言われ、周りを見ると、いつの間にか国民に囲まれていた。そして睨まれているのは、グレムではなく勇者の正人の方であった。ルリはまた話し始める。


「女神の言葉だけ信じて…他の者のことは信じない…そんなの…勇者じゃない…!あなたは…ただ利用されている馬鹿な人だ…!」


「黙れ…黙れ!!!」


正人は言う。


「確かに僕は言われたんだ!!魔王グレムに世界が脅かされていると!!このままじゃ危ないと!!お前らに!女神様の何が分かるって言うんだ!!」


正人はまた突っ込んできた、今度はグレムが正人の剣を避けながら殴り飛ばした。


ドォン!!!


「ぐはっ!!!」


正人は壁に打ち付けられる、グレムが言った。


「分からないなら…教えてやる。そもそも、お前は俺と戦いたかったんだろう?なら…来いよ、勇者。」


「うおおおおお!!!」


正人はとてつもない速さでまた突っ込んできた。が…


「遅い。」


ドカァン!!!


グレムに速度で上回られてまた正人は殴られた。


嘘だ…女神様の力だぞ…?世界をまとめる神の力だぞ…?それを与えられた僕を…上回るなんて…ありえない!!!そう思っているとグレムが言った。


「じゃあここで問題です、神様からポンってとてつもない力を渡された者と、自分で努力を積み重ねて強くなった者の()()()()()は何でしょう?」


正人はふらつき、立ち上がりながら考える。そして剣を構えまた斬りつけにきた。だが、グレムはその斬撃を避け、抉るように正人の腹を殴りながら言った。


()()だよ、勇者…いや、選定者様。」


正人は物凄い力で壁に打ち付けられ、気絶してしまった。周りの人たちは歓声を上げた。リリア姫は泣きそうになりながらも正人の元へと行く。その時にグレムはエルにある指示を出した。


エルは正人に近づいていく。するとリリア姫がキッとこちらを見て言った。


「何よ!!こんなまでにボコボコにされた正人様に、何かまだする気!!?」


エルは無視して魔法を使った。


「<<回復(ヒーリング)>>」


リリア姫はそのエルの行動に驚いた、段々と正人の負った傷が癒えていく。エルはリリア姫に言った。


「ご主人様からの命令です、『傷を治してあげてくれ、本当に戦う意味はなかったからだ』と。」


リリア姫はその言葉を聞いてまた驚いた。あの残虐で非道と言われた人が…そんなことを…?どうして…そんなに優しいの…?こっちは、剣を向けたのに…。


エルは魔法をかけ終わってグレムの元へと戻って行った。グレムはエルが戻ってきた後に言った。


「じゃあな、勇者様。次来る時は…俺を上回るくらいの力をつけてから来いよ。」


そう言ってグレムたちは宿の方へと歩いていった。それにつられて囲んでいた国民たちもバラけていく。


リリア姫は、目に涙を浮かべたまま、驚いた表情で、見えなくなるまでグレムたちの方を見ていた。





【はぁ〜!?あれだけ加護を付与したっていうのに勝てないの!?使えな〜い!!…まぁ…こうなるかもって思って次の作戦は考えてあるんだけどね。フッ…アハハハハハハハ!!!】


正義の女神マルクは天からその正人のあまりのやられ方を見ながらも、いつまでも笑い続けていた。





「あぁ!!疲れた〜。」


グレムは宿のベッドに倒れ込む。


「お疲れ様です!ご主人様!」


エルが言った。その後にルリがグレムの背中に乗って言う。


「ご主人様…いつの間にそんなにエルと()()()()してたの…?」


「いや、求められたから…断れなくて…。すみません。」


「ルリは謝ってほしいんじゃない…ルリとももっとして欲しい…数回じゃ足りない…。」


「え!?ルリちゃんともしてたんですか!?ご主人様!!一体いつの間に…。」


「ルリ〜そんなに俺が好きか〜?」


グレムは顔をベッドにつけたまま言う。するとグレムの後頭部に顔を擦り付けてルリは言う。


「好き好き大好き…エルより好き…。」


「なっ、いくらなんでも私の愛には勝てませんよルリちゃん!!」


「それなら…証明する…。」


ルリはそう言うと服を脱ぎ始めた。グレムが何となく察して言う。


「ん?ちょっと待って?私疲れてるんですが?」


「ご主人様〜私たちに愛されるのは嫌ですか?」


「ぐっ…と、とても嬉しいです…。」


「それなら…やることは…1つ…。」


「はぁ〜あ…早く終わらせてください、頼みます。」


グレムのその言葉に2人は勿論こう返した。


『ダメです♪』


その日は宿のある部屋から悲鳴が上がったという…。

どうでしたでしょうか?


次回はなんと女神マルクが野望を叶えるためにまた何かを起こす…?乞うご期待ください!!


それでは、また次回お会いしましょう!

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