第59話 獣人とドワーフ
今回は国の内情、ルリ編です!ルリが1人で問題を解決する様子を描いたストーリーとなっていますので、他の主人公やヒロインは登場しませんが、面白くなっていると思うので、是非楽しんで見ていってください!
それでは、どうぞ!
グレムがエルフとダークエルフの間を取り持っている時、ルリは獣人の問題を解決しようとドワーフの工房に向かっていた。
何やら、最近獣人の間で、ドワーフの作った武器は壊れやすいという風潮があるらしい。ルリはそれを確かめに来たのである。
ルリがドワーフの工房に着き、ドアを開けるとすぐに怒鳴り声が聞こえた。
「ふざけんじゃねぇ!!!」
「そっちこそふざけるな!!武器をなんだと思ってやがる!!」
ルリは間に入っていこうとする。
「まぁまぁ…お2人共落ち着いて…。」
そう言うと、その怒鳴り声を上げていた男の狼の獣人とドワーフは同時に言った。
『関係ないやつが話に入ってくるんじゃねぇ!!』
ルリは少し驚いた、が、引き下がろうとせず、自分の役目をその2人に示すように言った。
「私は…この国の王から命令を受けて…ここに来た…。種族間での問題を…解決するために…!」
ルリがそう言うと2人は一旦落ち着いてくれた。よかった…普通に話してくれそう…。
ルリはまずドワーフ側からの言い分を聞く。
「何について…怒っていたんですか…?」
「聞いてくれ!こいつら、武器の使い方が荒くて、俺たちが頑張って作った武器を壊しちまうんだ!そしたら、こいつらは、こんな壊れやすい武器を作るんじゃねぇ!金を返せ!とか言ってきたんだ!」
ルリは今度は獣人の方の言い分を聞く。
「あなたは…これに対してどう思いますか…?」
「フン!俺は普通に使っていただけだ!荒く使った覚えはねぇ!獣人にはこれが普通なんだよ!間違えて人間用のを作ったんじゃねぇのか!?ドワーフさんよぉ!?」
「なんだと!?」
ルリはもう一度2人を落ち着かせる。
「まぁまぁ…。じゃあ…試してみましょう…。」
『ん?』
その2人はルリの提案に疑問を抱く。
「ドワーフさん…申し訳ありませんが…私が使う用に…アイアンダガーを作っていただけませんか…?お金は…勿論払います…。」
「わ、分かった。」
「作り終わったら…どこかその武器を試せる場所はありませんか…?」
ドワーフはダガーを打ちながら答える。
カンッカンッ!
「この店の裏にっ!!武器を試せる所があるっ!!ふぅ…その場所を使ってもいいぞ。だが…何をするんだ?」
「実験…です…。」
その言葉を聞いても2人は理解出来なかった。
「それでは…始めます…。」
ルリは武器練習場に来て、カカシを練習台にダガーを振るう。その様子をその獣人とドワーフの2人に見てもらっている。そういう事かと2人はそこでやっとルリのしようとしている事に気づいた。
ルリの剣筋は速すぎて見えない。その2人は少しその目の前の光景に驚きながら、見入っていた。
ルリが数分アイアンダガーを振った後である。
パキィン!!
アイアンダガーの剣先は折れて地面に落ちた、ルリはそれを見て言う。
「確かに…壊れやすいかもしれません…私…以前アイアンダガーを使っていたことがあったのですが…それはこんなに早く壊れませんでした…。」
だがルリには違和感があった。その時使っていたアイアンダガーは人間が売っていた物。どう考えたって、あの鍛冶が得意なドワーフが作った物より優れているはずがない。この違和感は一体何なのだろうか…。
狼の獣人が「ほらな?」と言うようにドワーフに言う。
「ほら!お前らの技術が足りねぇんだよ!」
ドワーフは悔しそうに涙ぐむ。そう言って笑っているその狼の獣人にルリは言う。
「あなたの剣の使い方も…見せて…。」
「あ?」
ルリはドワーフにお願いしてアイアンソードを持ってきてもらった。どうやら良く売れるので、いくつかストックがあるようだった。それを狼の獣人に渡す。
「俺が…振るえばいいのか?」
ルリはコクリと頷く。そうするとその獣人は練習台のカカシに向かって剣を振るった。
「オラ!オラ!!オラァ!!!」
大剣を使っている訳でもないのに、大振り、叩きつけ、回転斬り…とにかく剣に負担がかかりやすい技のみを使っていた。ほんの数秒でアイアンソードは壊れてしまった。狼の獣人は言う。
「ほら!壊れやすいじゃねえか!」
それを聞いてルリは言った。
「見ていたところ…あなたは剣に対して負荷がかかりすぎる技ばかりを使っていた…。あなたは使う剣を間違っている…。使うべきなのは大剣。ただの剣じゃない…。」
そのルリの言葉を聞いて、狼の獣人は怒ってこう言いながらルリに近づいてきた。
「短剣使いのお前に剣士の何がわかるって言うんだ!!ああん!?だいたい、どの口がそんなことを言えるんだ!大した冒険者でもないやつがそんなこと言ってんじゃねぇ!」
そう言われたが、ルリは笑顔になって、その後にギルドカードをその狼の獣人に見せた。アダムアビスのギルドカードを。狼の獣人は驚いて後ろに倒れ、震えながら言う。
「あ…あんたは…。」
ルリはさっきの笑顔とは裏腹に突然真顔になって言う。
「『大した冒険者でもないやつが』…でしたか…?これを見ても…それが言える…?私は今までに色んな剣士を見てきた…。あなたのように使うべき武器を間違っている人もね…。」
ルリはギルドカードをしまって、しゃがんでその狼の獣人と目線を合わせて言う。
「もう一度言う…ドワーフ側にも問題はあるけど…あなたは使う武器を間違えている…決してドワーフ側だけの責任じゃない…それを分かって…くれるよね…?」
狼の獣人はルリが恐ろしい何かに見えた。首を何回も縦に振る。
ルリはそれを確認するとくるっとドワーフの方を向き、申し訳なさそうに言った。
「ドワーフさん…申し訳ないけど…あなたの作る武器は他のドワーフと比べて…少し脆いかもしれない…作ったこともない人が言うのもあれだけど…ごめんなさい…。」
ドワーフはそのルリの言葉を聞いて笑顔で返した。
「いいんだよ!使ってもらうやつにいい武器だって言ってもらえるようなもんを作るのが鍛冶屋ってもんだ!分かった、もう少し強度に力を入れてみるよ!ありがとうな、狐の嬢ちゃん!」
「私は…ただ試しただけ…間を…取り持っただけ…。そんなに感謝されることは…。」
そう言うと今度は狼の獣人がルリに言ってきた。
「いいや、感謝されるべきことだ!俺もそのドワーフのおっちゃんも、改善するべきことが分かった!言い争ってたら一生分からないことがな!俺も使う武器を間違えてた…ごめんな!ドワーフのおっちゃん!次からは大剣を作ってくれ。」
ドワーフはそれを聞いて言った。
「あいよ…!…嬢ちゃん、ほらな?あんたはこの種族間での問題を取り持ったんだ。例え小さなことでも、賞賛されるべきことなんだよ。ありがとう。」
「うん…!分かった…!こちらこそありがとう…!」
ルリは頷いて笑顔でそう返事をした。
それから次の日からのこと。以前獣人の中であったドワーフの作った武器は壊れやすいという風潮は跡形もなく消え去っていた。寧ろ、素晴らしい武器を作る店として、連日客が途絶えなくなったそうだ。
ルリはそのドワーフの店主が笑いながら接客をしてるのを見て、安心したようにそのドワーフのエリアから去っていった。そして歩きながらこう言った。
「ご主人様…褒めてくれるかな…?」
どうでしたでしょうか?
次回はもう一度、グレム編です…次はどんな種族間のどのような問題を解決するのか…楽しみに待っていてください!
それでは、また次回お会いしましょう!




