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第58話 エルフとダークエルフ

今回から種族間での話が続いていきます…。それに伴ってバトルシーンは少なくなってしまいますが、国の内情について、各キャラたちの頑張りが見られるのでそれを是非、楽しんで見てもらえたらと思います。


それでは、どうぞ!

グレムとエル、ルリは朝から3人で別れ、セント王国内の種族間での問題の対処に当たっていた。


その中で、グレムは今回はエルフとダークエルフの間での問題について、資料を読みながらその対処へ向かおうとしていた。


「えーっと、なになに…。」


だが、資料にはとても多くの問題が書いてあり、すぐに終わりそうにない。


「人間と魚人の時みたいに問題があれ1個だけならよかったんだがなあ…。」


グレムはそう言いながらもとりあえずエルフの言い分を聞きに、エルフが集まる森のエリアへと向かった。





グレムはエルフのエリアに着くと、近くの木の上にいた男性のエルフに大声を出して聞く。


「すみませーん!!ここのエルフの代表者はどこにいますでしょうかー!!」


そうグレムが言うと、そのエルフは素早い身のこなしでその木から滑り降り、グレムの近くまで歩いてきた。そして言う。


「俺がその代表者だ。人間が何の用だ?」


少し喧嘩腰な気がするが…あまり人間をよく思っていないのかな?とグレムは思い、少し汗を流しながらも言う。


「実は、このセント王国の国王から直々に種族間での問題を解決してくれないかと言われてまして、今回はエルフとダークエルフ間での仲を取り持とうとしています。少しお話をお聞かせ願えませんか?」


「ああ、そうか、ならすまなかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のかと思ってな…すまない、敵意を出していた。付いてきてくれ、向こうで話そう。」


そう言ってそのエルフは大樹の周りに建てられているエルフの住宅を案内しながら、木の上にある1つの建物へとグレムを連れてきた。そのエルフはドアを開けながら言った。


「ここは主に来客用に使っている、気にせず楽に座っていてくれ。紅茶などを手配しよう。」


中はソファが2つ対称になるように置かれていて、その間にテーブルがあるとても簡素な作られ方をしていた。グレムはソファに腰をかけてからそのエルフに言った。


「ああ、お構いなく。話を聞いたらすぐに出ていきますので…。」


「ふっ、そなたは優しいのだな。普通の人間なら、紅茶にお菓子も足してくれと言ってくるのに。だが遠慮はいらん、紅茶だけでも飲んでいってくれ。」


そう言ってそのエルフは別のエルフに紅茶を持ってくるように言った。


別に悪い人では無さそうだ。こんなにもしっかりとしている人が代表なのになぜエルフとダークエルフで問題が起きるのか、不思議だな。グレムはそう思いながらも資料を見返す。


するとそのエルフは、グレムと反対側の椅子に座って言った。


「で?お主は何が聞きたいのだ?」


「この資料には種族間での問題が色々と載ってましてね。その問題からエルフとダークエルフの問題だけピックアップしてエルフ側の言い分を聞きたいです。」


「なるほどな…まるで外交官だ…君も大変なことを任されたな…。」


「全くです。」


グレムは頷きながら言う。


「ふふっ、そうか。では、遠慮なく聞いてくれ。」


グレムはその言葉を聞いてから話し始めた。


「では、まずこの問題から、エルフとダークエルフ間の木材の交換の内容です。どうやらいつもその値段で揉めているらしいですね。」


「ああ、例えばエルフは主にこの建物にも使われているヒアスウッドを使う。だがダークエルフでは暗い森にあるオスクロウッドを主に使う。その違いで交換する時に値段の交渉での揉め合いが絶えなくてな。どっちも主に使う木を考えると重要度が違ってくるからな。」


「では()()ではなく()()()()で交換するようにしては?量であれば、値段の中では揉め合いが起きないでしょうし、いくら重要度が違っても文句はあまり言えないでしょう。」


「なるほどな…確かに…。そんなこと思いつかなかった。なぜこんな簡単なことを…。」


「客観的に見ないと気づかないこともありますよ。ではこの件はダークエルフ側にもそう伝えますね。では次の問題へいきます。」


「あ、ああ…。」


あまりにも話がスムーズに進んでいくので、そのエルフはグレムの話のまとめ方の凄さに少し驚いていた。


「では次はこれです。弓の提供と需要の差について、これはどういう事ですか?」


「それはだな、エルフが作る弓とダークエルフが作る弓では使う木材の性質上、扱い方が少し異なるのだ。だがこれだけは言える。弓の作り方に関してはダークエルフの方が圧倒的によく出来ている。だからエルフ族の皆が欲しがるのだが…中々ダークエルフ側に申し訳なくて言い出せなくてな…。」


「なるほど…、そう思わなくても、ダークエルフ側はもしかしたら喜んでくれるかもしれませんよ?エルフが「いい弓だ」と言ってくれたならかなり嬉しいと思いますがね。でも、この件は確かに向こう側には言いにくいかもしれませんから私から言っておきます。ではこの件も終わりですね。では次に…」


グレムが次に行こうとした時だった、そのエルフは少し話を止めた。


「待て待て、ちょっと待ってくれ。話がスムーズに進むのはいい事だがこんな単純な答えを出すだけでいいのか?あと、お前さん、一体何者だ?いくらなんでも話が簡単に進みすぎる。」


グレムはその言葉に少し間を空けてから言った。


「そういえば言い忘れてましたね。私はグレム、冒険者のグレムと言います。あと『単純な答えを出すだけでいいのか』についてはこの後エルフ側の言い分を聞き次第、すぐダークエルフ側にも聞きに行こうと思っているので大丈夫です。」


そのエルフはその名前を聞いて驚いた顔をした。


「グレム…?もしかして、あの人間と獣人の国の仲を取り持ったという…?」


「そういえばそんなことありましたね、国王にも言われました。」


そのグレムの無神経な言葉とは裏腹に、そのエルフは礼儀正しく頭を下げて言葉を返してきた。


「これは失礼した!ただの人間の客人とおもっていた!まさかあの英雄だとは思わず…これは申し訳ないことをした…。」


「いえいえ、()()()()()として扱って頂いて結構です。別に高位にいたいわけではないので。」


そうしていると、ドアがノックされてから開き、紅茶が運ばれてきた。


頭を下げていたエルフは姿勢を正しくしてソファに座りなおし、紅茶を持ってきたエルフが出ていった後に言った。


「私はアガル・リイクという。この後もダークエルフとの関係について、しっかりと話し合いがしたい。いいだろうか?」


「ええ、勿論です。」


グレムは優しい笑顔で言葉を返した。





「では、よろしく頼む。」


グレムとリイクの話し合いは終わり、グレムは丁重に送り出された。別にそんなに重要人物みたく扱わなくていいのになぁとグレムは思いながら。


「まぁ、いっか。よし、次はダークエルフの所に行くか。」


時刻はちょうど正午ぐらいであった。





ダークエルフエリアはいつか見た村のように、多くの木で囲まれ、日陰が多いようになっていた。


「まさにダークエルフが住んでるって感じだなぁ。しっかし、種族ごとに毎回エリアの作りが凝っているな。よっぽどいい職人がいたんだろうか。」


そうグレムが言っていると、


「誰だ!!」


いつの間にか、弓をこちらに向け、黒いローブを着たダークエルフに囲まれていた。グレムは弁明する。


「国王から直々に命令を受けて来ました、冒険者のグレムと申します。今回はエルフとダークエルフの関係を取り持つために来ました。」


グレムがそういうと、そのダークエルフたちをまとめていた者が弓を下ろせと合図を送り、ローブのフードだけを取り、顔が見えるくらいの位置に来て言った。


「すまなかった、最近()()()()()()()()()()な、誰が来ても警戒しているんだ。」


女性のダークエルフだった。あまりの見た目の可憐さにグレムはつい言ってしまった。


「お綺麗ですね…。」


「そっ、そんなことないだろう…。」


突然の発言にその女性のダークエルフは少し顔を赤くする。あっやっべ、可愛い。すぐにグレムは話を戻そうとして言う。


「ああ、すみません。つい、綺麗だったので…、今回はエルフとの間に生じている問題についてダークエルフ側の言い分を聞きに来ました。少し話をお聞かせ願えませんか?」


『つい、綺麗だったので』が引っかかったのかそのダークエルフは顔を赤くしながらそっぽを向き、「付いてこい」と言った。最初っからやっちゃったな…今後に響かなければいいが…。


ダークエルフが住んでいるところも、主となる木が違うだけで同じような構造をしていた。ある大樹の周りに住宅が並んでいる。その大樹には螺旋階段がついていて、上に上がれるようになっていた。


その階段で2階へと上り、来客用の住居に案内されるグレム。広がる壮大な自然の景色に少し見とれていた。


「何をしている?早く来ないか。」


その女性のダークエルフにそう言われ、グレムはすぐに住居の方へと歩き出した。


住居の中に用意されていた椅子に座るグレム、その反対側の椅子に女性のダークエルフは座った。そして言う。


「私はこのダークエルフエリア内の代表者をやっている。ミチエール・クロエという。よろしく頼む。」


「よろしくお願いします、こちらの名前は…もうご存知ですよね。早速話に入らせてもらおうと思います。」


クロエはコクリと頷く。グレムは話し出した。


「まず、問題となっている木材の交換について。先にエルフと話をしてきたのですが、どうやら値段の交渉で困っていると聞いています。」


「ああ、向こうとは主に使う木が違うからな。それにしてもあちらはこちらの言い分を分かってくれない。」


「それについてですが、先にしたエルフとの話で()()ではなく()()()()で交換してはいかがでしょうか。いくら主に使う木が違うからと言っても同じ量であれば値段など考えなくて済みますよね。」


「そう言われてみれば確かに…なぜ気づかなかったのだろうか……まぁいい、それには賛成だ。確かに、それであれば面倒くさい問題なぞ起こらんだろう。」


「では次にあるエルフからのお願いがあります。『ダークエルフの技術力を見込んで、こちらに弓を提供してくれないか』ということです。こういうと少し上から目線に聞こえるかもしれませんが、あちらの代表者からの願いです。聞いていただけませんか?」


「あのエルフが…?私たちの技術を見込んで…?」


「はい、さらに代表者は『エルフが作る弓よりダークエルフが作る弓の方が長けている』というようなことを話していました。勿論、それに見合う対価を支払うとも。」


「なんと!?それは嬉しい話だ!!まさかエルフ側に認められるとは…捨てたものでは無いな!」


やはり、かなり嬉しそうだ。代表者が直接行っても、良かったと思うけどなぁ。グレムは思う。


「あとそれらに関して、エルフとダークエルフ間で小さめの貿易をしたいという要望もきています。互いに欲しいものは助け合おうとの事です。そのとき、エリア違いでの関税はつけずに公平にしたいとも。」


「それも嬉しい話だ!!なんだ、いい奴らじゃないか。このダークエルフエリアにいる皆は()()()()()()()()()()()()()()()()のだが、話してみれば別に普通だな。」


クロエは笑顔で言った。グレムは続けて言う。


「あと、1度こちらの代表者と顔を合わせてもおきたいと言ってました。話し合いたいことが沢山あるそうです。」


「勿論だ!その時に試作用として弓を1本だけ確認用に持っていくか!これは面白い話になってきた!まさかあのエルフと友好な関係を結べるとは思っていなかった!これもあなたのおかげだ。ありがとう!」


「いえいえ、そんな。私はただ言い分を聞いて来ただけですので。」


「いや、あなたがいなかったらこの()()()()()は生まれなかっただろう!本当に感謝している!ありがとう!」


クロエは目を輝かせながらグレムの手を両手で握りしめた。グレムはそれを見て笑顔で言った。


「お役に立てたのなら良かったです。」





この事をエルフ側に報告してからすぐ次の日に代表者の面会が開かれ、エルフとダークエルフの関係がより密接になった。


貿易は毎日のように行われ、エルフとダークエルフ、どちらにも利益となる物が運ばれるようになった。


ダークエルフがエルフのエリアに気軽に出向いたり、逆にエルフがダークエルフエリアに出向くことも行われるようになった。


まさに互いにとっての()()()()()、まるで、止まっていた時間が動き出したようであった。


それに伴い…


グレムがエルフエリアの近くを歩いていると、ある女性のエルフに声をかけられた。


「グレム様!今日は家に寄っていきませんか?ご馳走を作ってあるんです!」


その後にその後ろにいた男のエルフにも声をかけられる。


「グレム様!!弓の稽古をつけてくれませんか!?あなたがやってくれたら絶対上手くなれる気がするんです!」


「ああ、すまない、また今度な。まだ沢山解決しないといけない種族間での問題があるんだ。」


2人は少しがっかりした顔をしたが、すぐに明るい顔になって言った。


「国のために…ありがとうございます!感謝してもしきれません!」


「何か俺にも手伝えることがあったら言ってくださいっす!何でも手伝いますから!」


グレムは2人に「ありがとう」とだけ言ってその場を去った。


ダークエルフエリアの近くを通る時もである。


「グレム様!!グレム様!!今日は美味しい果物が取れたんです!おひとつどうぞ!」


女性のダークエルフにそう言われ、果物を渡される。それにガブリとグレムは食いつく。


「確かに美味い!これは売れそうだな、エルフにも分けてやってくれ。絶対喜ぶぞ。」


「はい!次の貿易に出してみます!」


「グレム〜!!」


クロエが手を振りながらこっちにやって来た。グレムが聞く。


「どうだ?最近のエルフとの関係は?」


「良すぎるくらいだ!親密度もかなり上がっていると思う。他種族と仲良くするのも悪くないな!充実した感じがする!」


「そうか…なら良かった。」


急にクロエは心配そうに聞いてきた。


「また…国のために問題を解決しに行くのか…?」


「ああ、まあな。」


「お前のことだから無理をするだろう。疲れたら休めよ?お前に倒れられたらエルフもダークエルフもパニックを起こすぞ。」


グレムは笑いながら言う。


「それは怖くて無理出来ないな。でも…他種族をまとめるのはいい事なんだ。互いに文化や習慣を教え合い、打ち解けていくのは大きな進展となる。その為なら、頑張るさ。」


「国のことなのに、まるで自分の事のように語るな、お前は。」


「ああ、まあな。」


クロエはそのグレムの返事に少し疑問を思ったが、あまり考えないようにした。


「じゃあ、また行ってくる。」


「ああ、頑張れよ。エルフもダークエルフもお前のことを応援しているから。」


グレムはその言葉を聞いて、嬉しそうにしながら手を振って歩いていった。

どうでしたでしょうか?


次回は国の内情、ルリ編!です。乞うご期待下さい!


それでは、また次回お会いしましょう!

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