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第57話 王国の全容

今回は前回の予告通り国の中の問題についての話になります。これから先もこのような話が続いていくので、どのようにその問題を解決していくかを是非、楽しみながら読んでいってください!


それでは、どうぞ!

グレムたちは今日セント王国を出ていこうとしていたダイアモンドランクのルンとリンを見送りに来ていた。グレムは言う。


「もう行っちゃうのか?たった2日ぐらいだったが…。」


「ああ。元はと言えば、俺はあんたに会って決闘することだけが目的だったからな。それが終わって一段落ついたから、もういいかと思って。」


自由だなぁ…()()って感じがする…。俺にもこんな時代があったっけ。そう懐かしく思いながらグレムは言った。


「そっか、じゃあ、またいつか会おうな!」


「ああ、勿論だ!次会った時は決闘で負かしてやる!」


「おう、頑張れ!」


「他人事じゃないだろ!」


まるで他人事のようにグレムが言ったので、少しルンは笑いながら言葉を返した。その後リンに呼びかける。


「リン、ほら行くぞ!」


リンは俯きながらモジモジしていて、動こうとしない。グレムは気になって、リンに少し近づいてしゃがみ、目線を合わせて聞く。


「どうした?何かやり残したことでもあるのか?」


「あの…私…ええっと……。」


彼女は何かを恥ずかしがっているのか言葉を出せない、なので行動で示そうと思ったのか、こんなことをしてきた。


チュッ


エルとルリが後ろで驚く。グレムはリンに頬にキスをされた。その後にリンはグレムに言う。


「この前、私に『もっと自信を持ってもいいと思う』と言ってくれましたよね…私、グレムさんのその言葉、忘れません!そしてもっと、自分に自信が持てるようになるまで頑張りますから!これは…その……お礼です…。」


グレムは笑顔で言葉を返した。


「おう、頑張れ!応援してるぞ!」


リンは顔を赤くしながらも頭を下げ、クルっと後ろを向いてルンと一緒に歩いていった。2人は見えなくなるまでこちらにずっと手を振っていた。


ルンとリンが見えなくなると、グレムは言った。


「さて、じゃあ俺たちもやる事をやりましょうかね。」


『はい!』


エルとルリは同時に返事をした。





グレムたちは昨日、朝から王城に来てくれというように王から直接呼ばれていた。なぜ呼ばれたのかが全く分からないがとりあえず国の中心に建てられている王城へと向かう。


王城の門に人間の兵士が立っていた。近づくと、その兵士は言った。


「グレム様御一行ですね?話は聞いております。どうぞお入りください。」


グレムたちはその兵士に頭を下げながら門の中へと入り、王城のドアへと手をかける。そして、1度深呼吸をしてから、中へと入った。


中へ入るとすぐに召使いが迎えてくれた。


「グレム様方ですね?どうぞこちらへ。王がお待ちであります。」


そう言って城の中を案内されるグレムたち、外装はただの薄茶色の壁に屋根は青色のなんとも普通な城だったが内装は凝っているな。壁紙や床の敷物はとてもゴージャスに。そして壁にはいくつもの素晴らしい絵画、天井には豪華なシャンデリア。城と言うより美術館みたいな感じがするなとグレムは思う。


召使いが急にドアの前で止まり、「こちらです」というように手を差し伸べる。


グレムはそのドアを開けた。奥には玉座に座った王が見える。その王は玉座から立ち、こちらに近づいてくる。グレムたちも王の方へと歩く。


ちょうど顔が見えるくらいの位置で互いに止まると、王が先に言った。


「ようこそ、わがセント王国王城へ。私はこの国の王をしている、人間のリスタリア=ベルン=ダイナと言う。気軽にダイナ王と呼んでくれて構わない。」


グレムは一応挨拶を返す。


「ご存知かと思いますが、私はグレムと申します。こちらのダークエルフは仲間のエル、こっちの獣人は仲間のルリと言います。」


2人はグレムが紹介するのに合わせて頭を下げた。その後にグレムは言う。


「それで、どうして私をわざわざ王城に招いたのですか?」


そうグレムが言うと、ダイナ王は少し深刻そうな顔をして話し始めた。


「恥ずかしい話だが…()()()()()と言い張っておきながら、種族間での争いが毎日のようにあってね…。それの対応にかなり困っているのだ。そこで、以前、人間と獣人の国をまとめあげた君なら何とか出来るかもしれないと思ってね。」


「話は分かりましたが…あまり期待しないでください。自分はただやるだけの事をやっただけです、そんな凄いことを成し遂げた訳ではありません。」


「ああ、分かっている。だが、もう君しか頼りになる者がいないのだ…私から直接行ってもいいのだが…それだと返って威圧感を与えてしまってね…結局、問題解決までには至らなかった…。そこで私は藁にもすがる思いで君を呼んだわけだ。…勿論、報酬も弾ませる、やってみてはくれないか…?」


グレムは少し考える。自分は魔王軍と人間との間も繋げなかった男だ。そんなに頼りにされても、また失敗してしまうかもしれない…だが…困っている人を放ってはおけない…しょうがないか…。


「分かりました、やるだけの事はやってみます。」


「本当かね!ありがとう。それだけで少し救われたような気分だ。…そして、これがその資料だ。」


かなり分厚い紙を渡されたグレムはその紙を捲りながら内容を見ていく。そこにはありとあらゆる種族間での問題が載っていた。国自体はかなりまとまっているような様子に見えたが…中はこうなっているのか…なんとも悲しい現実だ。


「あまりの多さに驚いただろう。そうだ、外見では良さそうに見えても、蓋を開けて中を見てみたら酷いものだ。あまり笑えないな…。…勿論全部とは言わない。ある程度、問題を削減してくれたらいい。」


「分かりました、できるだけ、頑張ってみます。」


「助かる、頼んだよグレム君。」


その王の言葉を最後にグレムたちは王城から出ていった。





「さすがに…多いですね…これは…。」


エルが心配そうにグレムに問いかける。グレムは心配するなというように言う。


「国をまとめるとなったらこのくらい問題があるのは当然だ。大丈夫、何とかしてみせるさ。色んな種族のためだからな。」


「で…今日はどうする…?ご主人様…。」


ルリは聞いてくる。資料を少しめくって目についた物を取り上げてグレムは言う。


「今日は『人間と魚人』間の間を取り持ってみるか。行くぞ〜。」


グレムは少しかったるそうな声を上げながらも2人を連れ、歩いていった。





〜魚人エリア〜


「なんでこの魚がダメなんだよ!!」


漁師の人間の男は魚人に訴える。


「この魚は死んでから日数が経っている、これを食べてしまったら、子供たちは食中毒を起こすかもしれない…できるだけ新鮮なものにしてくれ。」


「はぁ!?たった2日だぞ!?それで時間が経っているって…火を通せば関係ないだろう!」


「魚人は魚を食べる時あまり火を通すことはないのだ、分かってくれ。」


「分かるかよ!魚人のことなんて!」


グレムは言い争っているその2人の間に入って言う。


「はいはい、一旦そこまでにしてください。」


「なんだあんたは!?関係ないなら引っ込んでおいてくれ!」


「国王から直々に命令を受けて来ました、冒険者のグレムです。何やら揉めているようでしたので声をかけさせていただきました。」


そういうとその人間の男はグレムに言った。


「そうか…じゃあ聞いてくれよ!こいつら魚人は、死んでからたった2日だけ経った魚ですら食えないんだとさ!しかもあまり火を通すことがないから食中毒になるかもとか言いやがって…」


言葉の途中でグレムは遮って言う。


「漁師さんはご存知ないかもしれないですが、実は魚人の体は人間より複雑でして…自分の体温より高い物を摂取してしまうと軽い病気にかかる事もあるんです。あと、()()()2()()ですが、魚人にとってはかなり重要なことです。水揚げされてすぐのかなり新鮮なものでないと、魚人の体が受け付けないんです。それ故に、戻してしまうこともあるくらいに。」


漁師は話を聞くとすぐに舌打ちをして言った。


「チッ、分かったよ。次からは水揚げされてすぐの魚を持ってきてやるよ!それと…悪かったな…俺はあまり魚人のことを理解できてなかったみたいだ。他の奴らにも言っておく、じゃあな。」


そう言って、その男の漁師は去っていった。良かった〜。舌打ちされたから怒るかと思ったが分かってくれたみたいだ。めんどくさくならなくて良かった〜。と思っていると、漁師と話をしていた魚人がお礼を言ってきた。


「すみません、そして、ありがとうございました。魚人の体質をそこまで理解してくれている人がいるとは思いませんでした。これで、向こうとの関係が良くなればいいんですが…。」


「いえいえ、これが仕事ですので、また困ったことがあったら言ってください。関係を取り持つのが役目ですので。」


「分かりました、これからは相談させて頂きます、今回は本当にありがとうございました。」


そう言って魚人はぺこぺこと頭を下げる。グレムはエルとルリがいる所へと戻ってきた。すぐにエルが言った。


「さすがご主人様です!知識も豊富で、関係を取り持つのも上手かったです!」


「そうか?これが普通くらいだろう。それと、明日からは2人にも手伝ってもらおうと思う。エルは本から得た知識があるからどの種族に対しても相談に乗れるだろうし、ルリは獣人関連ならできるだろう?少し、力を借りてもいいか?」


「勿論です!いつも助けてもらってますから!」


「ご主人様がやる事を…手伝うのは…当然…ルリ…頑張る…。」


「そうか、良かった。じゃあ今日は一旦宿へ帰るか!」


グレムは大きく伸びをしながら言った。そうすると、エルとルリはグレムに腕を組んで付いて行った。

どうでしたでしょうか?


次回はグレムがある種族間での問題解決に取り組みます…。問題は1つだけではなくかなり多くあり…!?乞うご期待下さい!


それでは、また次回お会いしましょう!

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