第56話 ダイアモンドの実力
前回は主人公の最強っぷりがかなり表れてしまったので今回はダイアモンドランクの2人を中心とした話になります。主人公はあまりこれと言った活躍はしませんが、ダイアモンドランクとまで言われた兄妹2人の戦いを見られるので是非、楽しんで読んでいってください!
それでは、どうぞ!
突然始まった決闘が終わり、グレムたちはこの前に言っていた、チルラからギルドで困っていることがあると言われた内容についての資料を渡され、説明されていた。グレムが資料を見ながら言った。
「『ジェラリア』?聞いた事のない魔物だな。」
資料には姿形が描けなく、気持ち悪いような見た目をしていると書かれている。さらに、暗い所を好むとも。それを見てエルが言う。
「もしかして…この前戦ったあの気持ち悪い見た目をしたやつですか!?特殊クエストの…。」
それに反応してルリも言う。
「ご主人様…私たち…こいつとは以前戦ったことがあって…凄い強かった…。」
「なんだ2人とも知ってるのか?」
グレムがそう言うと、2人の話を聞いてチルラは言う。
「お2人とももしかしてこの魔物の特殊クエストに行ってくれた方でしたか?だとしたら多分お2人が思っているのと同じ魔物だと思います。名前も数日前にやっとギルドで決まったやつですから。」
エルは驚いて言う。
「数日前!?倒したのは結構前の事なのに…だいぶ悩まれたのですね…。」
「とにかく気色が悪くて生態もあまりまだ分かっていないことが多い魔物なのですが…今回は本来、暗い所を住処としてその場に留まるはずなのですが、どうやら常に移動しているという『特異種』でして、実際に犠牲者が何人か出ています。しかし、討伐難易度は星26、さらに『特異種』となっては倒せそうな人があまりおらず…それ故に困っているのです…。」
一通り話が終わるとグレムが言った。
「分かりました、討伐、やりましょう。」
その言葉を聞いた瞬間、チルラは表情が明るくなった、そして言った。
「本当ですか!?ありがとうございます!!ギルドから直々の依頼でもあるので報酬も弾むと思います!よろしくお願いします!」
チルラは頭を下げた。よっぽど困っていたのだろう、他の人が助かるなら何よりだ。そう思っていると後ろから大声が聞こえた。
「話は聞かせてもらった!!」
グレムが後ろを見るとそこにはルンとリンがいた。絶対付いてくる気だ、間違いない。ルンはそのまま続ける。
「倒したことの無い魔物だからな!俺たちも付いていかせてもらう…それにこのままじゃあんたには俺らの実力がどんなものかちゃんと分かってもらえないからな!一応ちゃんと『俺たちはダイアモンドランクだ!』っていうことを示しておいてやる!」
ですよね〜分かってました。グレムはそう思って、「はぁ」とため息をついた。
どうやらその魔物、『ジェラリア』は近くの森を徘徊するように移動しているらしい。そりゃあ住民が色んな事情で来る場所だから、犠牲者が出るわけだ。グレムはエルとルリに聞く。
「どんな見た目なんだ?こいつは。」
エルがいかにも気持ち悪そうに言う。
「全身紫色で触手があって、しかも全身あらゆる所に目があって…とにかく気持ち悪いです…あまり体の形については説明ができません…。」
「なるほどな。ちなみに、エルたちはどうやって倒した?」
今度はルリが言う。
「私が…全身にある目を潰して…最後にエルが光魔法で攻撃して…倒した…。光魔法が弱点っぽかった…。」
ルンが言う。
「それならリンにお任せだ!リンならやれるからな!」
ルンはリンの肩をポンポンと叩きながら言うと、リンは自信が無さそうに言った。
「あ、あまり期待しないでください…私はそこまで…。」
そう言うと、グレムはリンの頭を撫でて言った。
「ダイアモンドランクなんだろ?もっと兄みたいに自信もっていいと思うぞ。というか、誇ってもいいほどだ。子供だからって遠慮することはない、自分にもっと自信を持て。それだけの実力があるんだから。」
グレムのその優しい言葉にリンは元気をもらったようで何故か顔を赤くしながら言った。
「が、頑張ります…!」
それを見てエルとルリが小声で言う。
「堕ちましたね。」
「堕ちたね…あれは…。」
グレムはさぁ行こうというように前へと歩き出した。リンはルンではなく、グレムに付いていっていた。その時、悲鳴が聞こえた。
「きゃあああああ!!!」
グレムとルンはすぐにその方向を把握し、目を合わせ、合図をするように同時に頷いた。そしてグレムは言う。
「向こうだ!急ぐぞ、みんな!」
ルンはその言葉に対して言う。
「分かってるさ!リン!走るぞ!」
「え〜!!走るのは苦手…。」
「しょうがないな…。」
そう言ってグレムはリンをお姫様抱っこする。リンは恥ずかしいのか顔を赤くして言う。
「これは…ちょっと…。」
「嫌か?なら下ろすが…。」
「嫌では…ないです…。」
「そうか…じゃあ行こう。」
そう言ってグレムたちは走り出した。
「誰か!!誰か助けて!!!」
あるエルフの女性の住民がジェラリアと思われる魔物の触手に捕まっている。ルンはそれを見てすぐに触手を切り落とし、女性のエルフをお姫様抱っこで助け出し、安全な木の後ろ側で下ろした。
「大丈夫でしたか?」
「ありがとうございます!助かりました…。」
グレムはその魔物の容貌を見て言う。
「確かにこれは…説明できないな…。」
エルが言った通り、全身紫色の体に、至る所に目がついている。そしてまさに気持ち悪いとしかいいようのない姿をしている。エルが言った。
「とりあえず、前と同じように光属性の魔法で攻撃してみます!」
「<光の精よ!我が目の前にある邪悪な魔物を消し去る天からの光を授けたまえ>!!」
「<<天の裁き>>!!」
空にできた光の穴から、眩い光が落ちてくる。そして、その光はジェラリアを包み込む。
ドオオオン!!!
「ビジュルルルルルル!!!」
だが、全く効いていないかのように触手で攻撃してきた。グレムはエルを助ける。
「エル!危ない!」
間一髪で攻撃を避けるグレムとエル、エルはお姫様抱っこされていた。こんな状況なのにエルは少し嬉しそうにしている。グレムは言う。
「喜んでる場合か。」
「いえ、久しぶりのお姫様抱っこでしたので…ふふふ…。」
こんな状況だがクソ可愛い。少し顔を赤くしているのがさらに可愛い。だが…どうするか…。
「光属性の魔法が効かないとなると…ほかに何かやったことはあるか?」
「ルリちゃんが全身の目を全部潰した…くらいですかね…。」
「そういえば、ルリがそう言ってたな…だが、それはちょっと骨が折れるな…頑張ったんだな、ルリも。あとで撫でておいてやろう。」
グレムはそう言ってエルを下ろす。その時、エルは少し悲しそうな顔をした。それを見てグレムは頭を掻きながら言う。
「言ってくれれば、いつでもお姫様抱っこしてやるから。そんな顔するな、可愛い顔が台無しだ。」
エルはそう言われて少し顔を赤くしてから笑顔で返事をした。
「はい!」
その時、ルンはジェラリアの攻撃を全て躱しながら触手を何本も切り落としていた。
「(斬っても斬ってもすぐ復活する…本当に魔法以外は効きそうにないな…。)」
「リン!試しに色んな属性の魔法を撃ってみてくれ!」
「は、はい!ルンお兄ちゃん!」
「<<発火する獄炎>>!!!」
無詠唱で割と難易度が高い魔法を…さすがはダイアモンドランクなだけあるな…。グレムはリンの魔法の技術力を見ながらそう思った。
ボワアァァァァ!!!
ジェラリアの体が燃え上がる、それが効いているのか悲鳴を上げる。
「ビシェエエエエエエ!!!」
だが、その体は燃え尽くされず、炎は消えてしまった。ジェラリアはカウンターのように触手でリンへと攻撃をする。グレムは助けようかと思ったが、リンはすぐにするりとその攻撃を避けた。
攻撃を避け、宙に浮いたままリンは次の魔法を撃つ。
「<<激流する流水>>!!」
ドン!!
凄まじいほどの水がリンの右手から出され、ジェラリアの真上から降る。しかし、ジェラリアは全く動じていない。
「うぅ…<<混沌の闇>>!!」
闇がジェラリアを包み込む、だが暗い所を住処にしているジェラリアは逆に喜んでいる。
「<<絶対なる氷結>>!!」
パキィイン!!
ジェラリアは全身凍る、だがすぐにその氷は割れ、奇声を上げる。
「ギシェアアアアア!!!」
「やっぱり効かないと思った〜!!こんなに打つ手が無い敵は初めてだよぉ!」
リンはあらゆる属性の魔法を使ったので、これ以上打つ手が無いと言った感じで諦めていた。
驚いた。この子供は、全属性に適性を持っているのか…?それはどんなに珍しいことか…。とグレムは思う。
その時、ルンがリンに言った。
「リン!もう一度あいつを凍らせてくれ!これで倒せなかったらもう分からんけどな!!」
「ルンお兄ちゃん…うん!分かった!やるよ!」
ダイアモンドの実力、見せてもらおうか…。グレムは少しニヤつきながら2人の行動を見ていた。
「<<絶対なる氷結>>!!」
パキィィン!!
もう一度ジェラリアは凍った、その後、割れるまでの一瞬でルンはとてつもない速さでその氷塊を斬り崩した。
「<<秘剣・破滅斬>>!!!」
ジェラリアは凍ったまま斬り崩されたため、傷口から復活が出来なかった。そのまま、ガラガラとその氷塊はバラバラになって崩れ落ちた。そしてバラバラにされたジェラリアは塵となって消えていった。
ルンは「ふぅ」と息をつき、グレムの方を見て言った。
「どうだ!!これが俺たちの実力だ!!」
ルリは言う。
「全く…見えなかった…。」
グレムはよくやったというように拍手をしながら言う。
「確かに、それ相応の実力はあるな。さすが、ダイアモンドランクだ。」
「そうだろう、そうだろう!!俺たちは強いんだ!これでよく分かったろう。」
「ああ、じゃあ帰るか。」
グレムはすぐに帰ろうと歩き出す、ルンは言う。
「ええ!?もうちょっと褒めてくれてもいいじゃないか!!」
「子供っぽいこと言うな。凄いは凄かったぞ。」
「なんで上から目線なんだ!さっきもだったけど!」
グレムとルンはそんな感じに互いに言い合いながら、帰り道を歩いていく。
エルとルリ、リンは3人でクスッとそれを見て笑いながら、2人に付いて行った。
どうでしたでしょうか?
次回からはセント王国内の話に入っていきます…実は国はある問題に悩まされていて…?乞うご期待です!
それでは、また次回お会いしましょう!




