第54話 他種族国家セント王国
今回から第5章、スタートです!!いきなりある問題から始まります…主人公の活躍にご期待ください!
それでは、どうぞ!
「ん〜!!!んんん!!!」
口には猿轡を付けられ、腕や足は縛られて身動きが取れない状況で赤髪のポニーテールの髪型をした彼女は必死に何かを訴える。
「ふ〜ん…こいつが彼氏なのか…俺のミレアたんに近づきやがって!!」
その縛られて身動きが取れない彼女…『ミレア』の彼氏と思われる男は同じように身動きが取れない状態にされながら、小太りの男に蹴られる、そしてその後横に倒れ、顔面を何度も踏みつけられる。
「このっこのっこのっ!!!俺の!!俺だけのミレアたんだ!!お前なんか死んでしまえ!!」
「ん〜!!!!んんん!!」
ミレアは必死に「やめて」と懇願する。その彼氏は気を失っていた。
「んふふ〜これで2人きりだね、ミレアたん♪楽しもうか…。」
ミレアは涙を流しながら必死に抵抗しようとした。
その1時間前のことである。
「おぉ〜!ここがセント王国か!!」
グレムたちは既に馬車から降りて門の中に入っていた。
この王国はなんとも珍しい他種族王国。その名の通り、色んな種族の人間が住んでいる。
普通の人間から獣人、エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、人魚、魚人、妖精までもが住んでいる。
さらにその種族ごとに王国はエリア分けされていて、その種族が住みやすい環境を作ってやっている。例えばダークエルフの為に、多くの木を用意したような場所や、魚人、人魚が住みやすいように大きな湖を作った場所がある。まるでテーマパークのようだ。
周りを見ると色んな景色が広がっている。川が流れていてそこで漁業をする魚人や、木の上で枝を小さいナイフで削り、弓の形にしようとしているエルフ。人間と仲良さそうに話している獣人。これだけの種族をまとめられていることに感動しグレムは目を輝かせる。
「ご主人様〜!早くギルドに行きましょうよ!」
エルが呼びかける。グレムが謝りながら返事をする。
「ああ、すまんすまん。初めて見る素晴らしい光景に感動してしまってな。じゃあ行くか!」
ギルドはどうやら『人間エリア』に設けられているようだ。獣人や魚人の冒険者もいるのだが、冒険者の割合的に人間が多いためであろう。
ギルドのドア前まで着き、早速ドアを開けるグレム。中は少しざわついている、何かあったのだろうか。
そう思いながらもグレムたちは受付嬢がいるカウンターへと向かう。カウンターへと着くと、茶髪のボブの髪型をして眼鏡をかけた可愛らしい受付嬢に先に言葉をかけられる。
「あの、今ちょっとある件でバタバタしていて…手短に済ませてもらいますがよろしいでしょうか。」
「王国に来た時は必ずギルドに話を通すように言われていまして……何かあったんですか?」
グレムはそう言いながらギルドカードを受付嬢に渡す。そうするなりすぐにその受付嬢はギルドカードを見て、目を輝かせながら言ってきた。
「グレム様ですか!?本当に!?」
「ああ、はい。一応、グレムですが…?」
グレムは疑問に思いながらも言葉を返す。そうするとその受付嬢はグレムの右手を両手で握りしめてこう言った。
「助けて下さい!!うちの受付嬢が1人!誘拐されてしまったんです!!」
「…え。」
グレムは突然のお願いに驚きながらも声を出した。
「なるほど…そんなことが…。」
グレムはその受付嬢から『ミレア』という名前の受付嬢が誘拐されたという話を聞いて考える。受付嬢が聞いてくる。
「何か…分かりますかね?」
「情報があまりありませんからね、さすがに推測しか出来ませんが。」
「推測ができるんですか!?是非お聞かせください!親友なんです…あの子に何かあったら…私…。」
グレムはその受付嬢の手をしっかりと握って言った。
「落ち着いてください、必ず、最悪の状況にならないようにしますから。…少し話をお聞かせ願えませんか…?あと、あなたのお名前も。」
その受付嬢は緊張したのか何かわからないが少し変な声を上げた。
「ひゃ、ひゃい!」
エルとルリが後ろで小声で言い合う。
「やったね…。」
「また、やっちゃいましたね…。あのご主人様のライバルを増やす癖、なんとかなりませんかね。」
「絶対…無理…。」
ルリは手をぶんぶんと振りながら言った。
「私はここの受付嬢をしております。チルラと申します。ミレアのことをどうか、お助け下さい。」
「はい、ではまず、大体この場合、受付嬢をなぜ狙ったのかから考えます。まぁ、普通に考えて、受付嬢は人気のある子が多いですから、可愛いからね。それ故に狙われたのかと思います。」
「ミレアは…確かに冒険者からの人気が高かったと思います。美人で、優しくて、なにより明るくて…いい所しかないような子でしたから。」
「で、そう考えるとなぜミレアさんだけを狙ったのかです。人気が1番高いとはいえ、他の方も負けず劣らずといった感じですし。こっからはただの推測ですが…、もしかして、ミレアさんに彼氏さんとかそれらしき人とかいましたか?」
「彼氏…までとはいきませんが毎日仲良さそうに話している男友達みたいな人はいたと思います…でもどうしてそれを?」
「男っていうのは嫉妬深くてですね…もし、その1番人気のある受付嬢のことが好きで、その子とある男が仲良さそうに話していたとかいうことがあったら、当然嫉妬します。状況によっちゃあその男に殺意を抱くやつなどもいなさそうではありませんですしね。」
「成程…でも…それでは、ミレアを助けるにはその誘拐された場所がまだ分かりませんね…。」
「あとはこれを使います。」
そう言って、グレムは自分の頭を人差し指でトントンとつつく。そして言った。
「勘です。」
「あぁ…愛しのミレアたんとこんなことが出来るなんて…僕は嬉しいよ…!」
ミレアは服を破かれていく、下着が露になる。男はその胸の谷間に吸い付くように鼻をつけて匂いを嗅ぐ。
「この香り…本当にたまらないなぁ…!好きだ…!」
ミレアは涙を流し始める。すると男は言う。
「え、なんで?なんで泣くの?僕はミレアたんを愛しているだけなのに…どうして泣くんだよお!!」
男はミレアの頬にビンタをする。
「泣くな!泣くな!泣くなっ!!!いつもの笑顔を見せてよ!!」
ミレアは何度も頬を叩かれる。「(誰か、助けて!)」と思ったその時、
ドガシャ!!!
「や〜っぱりここだった。な?言ったろ?こういう所に来ようとするんだよ。」
グレムがエルとルリにそう言いながら、鍵のかけられたギルドの格納庫の扉を壊し、中へと入ってきた。
「こんな所に…、ミレア!無事!?」
チルラが呼びかけるとその声で分かったのか、ミレアは猿轡をされながらも必死に声を出す。
「んん〜!!!」
「よかった…。」
「なんだお前らは!僕達の愛の邪魔をする」
言葉の途中でグレムはその小太りの男の頬を殴った。その男は壁に思いっきり打ち付けられ「うぅ…。」と声を上げる。
「これが『愛』だと?一方的に自分の欲望を押し付けて、相手が嫌がっているのにも行為を続けようとする。そんなものが『愛』というのかお前は?」
「黙れ…!ミレアたんは嫌がってなかった!きっと僕の愛を受け入れようとして嬉し涙を流していたん…」
そう言いながらその男はミレアを見ると、ミレアはその男を恨むような目で睨みつけていた。
「…な?お前は一方的に押し付けていただけだ。せめて相手のことをまず考えてから行動するんだな。くそ野郎が。」
グレムはそう言ってもう一度その男を殴った。男は、気絶して動かなくなった。
「ふぅ…これで1件落着かな…。」
そう言いながらグレムは自分の黒いローブをミレアに着せる。そうした後に猿轡を外し、拘束を解いた。そして問いかける。
「大丈夫でしたか?怪我は…頬が少し腫れてますね。エル!回復魔法を…」
そう言葉を続けようとした瞬間、ミレアはグレムに泣きながら抱きついてきた。
「うわああああああん!!!」
グレムはミレアの背中をさすって安心させようとしながら言った。
「怖かったでしょう、もう大丈夫ですよ。」
ミレアは泣き止むまで、グレムに抱きついて離れなかった。グレムは彼女が泣き止むまで背中をさすり続けた。
その後は、エルにミレアと気絶して倒れていたミレアの男友達にも回復魔法をかけてもらい、彼を起こして、この件は終結した。
「そういえばご主人様?どうしてギルドの格納庫にいると思ったんですか?…私の勘だと、その誘拐した男性の家とかにいると思ってしまいます…。」
エルはグレムに聞く。グレムは答える。
「まず誘拐される前、『ミレアがどこにもいない!』となるな?」
「はい。」
「これはどこか忘れたがあるギルドマスターに言われたんだが…ギルドの格納庫はほぼ開けることが無いそうだ。『ミレアがどこにもいない!』となった時、まず調べるのはギルド内、だがミレアには格納庫に行く理由が無い。だからこの時点で格納庫はもう調べられることはない。そうしてギルド中を探して見つからず、誘拐されたとなると、この他種族からなる王国だと、人間の数がその分少ないから、自分の家となるとすぐに調べられてバレてしまう。そこでだ、よっぽど注意力が高い奴がいないと格納庫は調べられない。恐らくそれをあいつは知っていたんだろう。だから格納庫に誘拐した。最初から調べる必要がなく、誘拐されたとなるとみんなは外ばかりを調べる。確実に捜査の対象から外れるわけだ。だからあそこだと分かった。」
そのグレムの話を聞いたみんなは目を輝かせながらグレムを見る。
「なんだ?そこまで凄い考えじゃないだろう?」
グレムがそう言うとみんなが次々と言い出した。まずエルが言う。
「そんなこと考えつきませんでした…確かに私もその格納庫の話を聞いてましたが…成程…さすがご主人様です!」
ルリが言う。
「ご主人様…探偵の才能…あるかも…。ルリ…もっとご主人様のこと…尊敬する…。」
チルラも言った。
「ギルドの受付嬢から重要人物まで考えつかないことをよく考えつきましたね…凄いです!ありがとうございました!」
最後にミレアが言う。
「ありがとうございました…あなたが来ていなければどういう事になっていたか…本当に感謝してもしきれません…本当にありがとうございました!」
グレムは一気に褒められて少し照れながらも言った。
「ああ、いや、そこまでではないと思うが…ありがとう。」
グレムはその後も褒められ続けた。
どうでしたでしょうか?
次回はなんとついに初めての○○○○○○ランクの登場!?さらに決闘を申し込まれ…?乞うご期待下さい!
それでは、また次回、お会いしましょう!




