第52話 上には上がいる
第4章も終わりに近づいてきました…今回はゲルン対グレムの一騎打ちです!ゲルンの本気にグレムはどう対抗するのか…そして勝てるのか!楽しみにしながら読んでいってください!
それでは、どうぞ!
「どちらにせよ…この後お前は俺に負ける!…知ってるか?人間は産まれた時から力にリミッターをかけられている。今までのはほんのちょっとしか力を出してなかったのさ!こっからは力を解放して100%を見せてやるよ…。<<覚醒>>!!」
ドォン!!!
黒いオーラがゲルンを包む、明らかにさっきとは雰囲気が違い、強さが増しているように見える。
「最高の気分だ!!!この俺に勝てる者なぞいない!!さぁ始めようか!!ラストゲームを!」
グレムは剣を持ち、余裕の表情で身構えていた。
エルとルリは戦闘が終わったため、グレムのいる正面門へと向かっていた。そしてほぼ同時にグレムが戦っているのが見える場所へと来る。
その光景に2人は驚いた。あのどこまでも強いご主人様が、誰にも負けないご主人様が、確実に相手に押されていた。
ガキィン!!キィン!!キィン!!
「ほらほらどうしたどうした!!受けてばかりじゃ勝てないぞ!!」
ゲルンは剣をとてつもない速さで振るう、まるでグレムはそれを全て受けきるので精一杯のようだった。
「おらぁ!!!」
ガキィィィン!!!
とてつもない力から放たれた斬撃に、グレムは防ぎながらもノックバックを受ける。その後にグレムは笑いだした。
「ふふ…あはははは!!ひっっっさしぶりだ!!ここまで俺を楽しませてくれる強い敵と出会うのは!!」
「笑っていていいのかぁ!?そんな場合じゃないんだろう!?お前は俺には敵わないんだよ!!」
ゲルンがグレムにそう言うと、グレムは話し出した。
「お前…さっき、『人間は産まれた時から力にリミッターをかけられている』って言ったよな。もしそれが…複数個かけられている人間がいたらどう思う?」
ゲルンはその言葉を聞いて笑いながら言った。
「夢でも見ているのか?ハッハッハ!!そんな人間がいたら、そいつはもう人間じゃない!ただの化け物だ!!それがどうした!?」
ドォォォン!!
グレムは体に赤黒いオーラを纏う。
「<<覚醒・壱>>」
その瞬間、ゲルンは背筋が凍った。グレムはとてつもない力を持った悪魔のように見えた。今すぐにでも飲み込まれて殺されてしまうのではないかと思ってしまうほど。
「お前は……一体…何者なんだ…?」
ゲルンのさっきまでの威勢は一気に冷め、体は震えている、まるで圧倒的な差がある敵を目の前にした時のように。グレムは言った。
「じゃあ教えてやろう。俺が今まで出していた実力は…30%だ。」
ゲルンは汗を流しながら言う。
「そんな…馬鹿な…!有り得ない!」
こっちの100%の力の剣撃を全て受けきっていながら…たった30%の力しか出していなかった…?こいつは、今の今まで、ずっと30%の力で戦っていたというのか…?ドラゴンまでも倒しておいて…?
「さらに俺には、合計で6つのリミッターがかけられている。今回は特別にその中の1つだけを解放して50%の力で戦ってやろう。覚悟はいいな?」
グレムは剣を構えた。ゲルンは震えを抑えながら剣をしっかりと持つとその瞬間からグレムの姿が見えなくなった。一体…どこに!!
そう思った瞬間、自分の体に斬られた跡がつき、血が流れ、痛みが走る。
「ぐあああぁ!!!一体…なんだというんだ!!何が起こっている!!」
エルとルリにも何が起こっているのか分からない。ご主人様は剣を構えた瞬間に消え、見えなくなった。それでも相手の男は斬られているように傷がついていき、悲鳴を上げている。
ゲルンの視界では見えない斬撃が、捉えきれない速さできているようにしか見えない。剣筋すら見えない、ただただ、自分の体だけが傷ついていく。グレムの姿など、一瞬も見えない。なので当然、どこに剣を振るえばいいのか分からない。
すると正面に、急にグレムが現れた、そして言う。
「おいおい…まだ50%だぞ?俺の見込み違いか?勘弁してくれよ…お前は100%の力を出しているんだろう?互角にすらできなくてどうする。」
グレムがそう言った瞬間、ゲルンの左腕が飛んだ。
「うわあああぁぁぁ!!!」
あまりの痛みに、ゲルンは悲鳴をあげる。何が起こったのか分からない、傷口的に斬られた事だけが分かる、だが一瞬も目で捉えられなかった。
「はぁ…面白い戦いになりそうだと思ったが…そうでもなかったな。もういいよ、お前も、疲れただろう。」
そう言ってグレムが持っている剣を地面につけた瞬間、ゲルンの右足が飛んだ。
「ぐわああああああ!!!」
ゲルンはバランスを失いその場に倒れる。グレムはそのゲルンに近づいて言う。
「今度からは、俺に敵う実力になってから来るんだな。こうなりたくなかったら。」
「………。」
ゲルンは怯えて声すら出なかった、こいつには誰も敵わない。例え何百、何千、いや、何万の者を敵に回しても、余裕で無双するくらいの実力がある。誰も…勝てない…こいつは…正真正銘の…化け物だ。そう思っているゲルンにグレムは付け足すように言った。
「上には上がいるんだ、ゲルン。『自分が負ける気はしない』と思っても、敵わない敵はいるんだよ、こんな風にな。分かっただろう?」
そう言った後、グレムは遠くで見ていたエルを呼ぶ。
「お〜い!!エル!!こいつを縛ってくれ!!」
「はい!!」
エルはその光景に少し戸惑いながらも、ご主人様に呼ばれたのですぐに返事をして走り出した。
グレムとゲルンの後ろにいた影の騎士団の兵士たちは、2体のバハムートに全滅させられていた。
その2体のバハムートは優雅に空を舞っていた。
フェルト王女が言う。
「あなた方には本当にお世話になりました。此度の突然の敵の襲来にも対応して、この国を助けていただきました。よって、あなた方3人に名誉勲章を授けます。」
そう言って、フェルト王女はグレムたち3人の胸元辺りに自ら勲章をつけた。そして頭を下げる。それに対して、グレムたちも頭を下げた。
「この者たちに拍手喝采を!!」
フェルト王女がそう言うと、王城にいた兵士と国民から大きな声援と拍手が送られた。
グレム、エル、ルリの3人は国民たちの方を向いて頭を下げた。
「じゃあ…尋問を始めようか。」
グレムは体を縛られ、身動きが取れない状況にあるゲルンに問いかける。その場にはエルとルリ、フェルト王女も付いていた。
「お前らの本来の目的はなんだ?何故こんなことをする?」
「ハッ、そんなの楽しいからに決まっているだろう。国が滅んでいったり、焼き尽くされるのはとても気持ちがいい。清々した気分になれる。」
「そうか…じゃあ、団長の名前を教えてもらおうか…。」
「そんな重要なこと、俺が言うとでも?笑える冗談だな。」
グレムは仕方なく魔術をかけようとする、するとゲルンは言った。
「おっと、魔術で吐かせる気か?だが俺たち、影の騎士団には皆、言ってはいけないことは言えないように強固な魔術がかけられている。お前にそれが壊せ…」
ゲルンの言葉を遮るようにバリン!!と、魔術が割れて解けるような音がした。ゲルンは慌てて言う。
「なぜ……壊せる?…まさか…お前…やめろ!!俺に言わせるな!!その言葉を!絶対に!やめろおおおおお!!」
「<<白状>>」
「うわあああぁぁぁ!!!」
ゲルンは叫んだ後、一瞬、体の力が全て抜けたようにグタッとした後に、顔だけを上げて話し出した。
「団長の名前は…カ…」
そう名前を言おうとした瞬間、ゲルンの頭は弾け飛んだ。
「きゃあああ!!!」
エルは悲鳴を上げる、フェルト王女は少し吐き気を催した。ルリはその光景に驚いていた。
「『俺に言わせるな』…か。どうやら、その言ってはいけないことを言えないように強固な魔術をかけられながら、さらにもし言ってしまったらこんな風に無惨な死に方をすると…これはあまり尋問では探れなそうだな。みんな、すまない。このような事になるとは予想していたが試してみないと分かるものも分からなくてな。」
フェルト王女はよろつきながら言う。
「こんな酷いこと…一体何が目的で…。」
「分からない、ただあいつ…ゲルンは本当に国が滅ぶのが楽しいからやっていた。狂った連中だ、他人まで巻き込んで…。」
グレムは拳を力いっぱい握りしめ、そして言った。
「俺は絶対にこいつらを許さない、これまでも、これからも。そして何度来ても叩き潰してやる…。こいつらがいたら…平和な世界が作れない…。」
エルとルリ、フェルト王女はグレムの最後の言葉に少し疑問を持ちながらも、あまりにも酷いその騎士団の存在に何も言えずにいた。
グレムはそんな中、ある決意を胸の中に秘めていた。
「団長、報告があります。」
黒い鎧を着た兵士が言う。
「なんだ、何があった?」
団長は聞き返す。
「ゲルン副団長が…やられました…。」
深刻そうに兵士が言うと、団長は全く気にしていないかのように、更に嬉しそうに言った。
「そうか!死んだか!ハッハッハ!!あいつはすぐ調子に乗るからダメだと思ってたんだ。丁度良かった!」
その団長の言葉に兵士は驚いて声も出せないでいる。団長は言う。
「おい、奴を呼んでこい。あいつを副団長にする。」
「そんな…あんな素性のしれない奴をいきなり副団長なんて」
兵士の横の壁に斬撃が飛び、跡がつく。団長は言う。
「何が異論でもあるのか?あるなら言ってみろ。」
「いいえ!!ありません!!分かりました!すぐ呼んで来ます!」
そう言って兵士はその場を後にした。団長は言う。
「そうそう、ただの兵士は命令を聞いてそのままやっていればいいんだよ…。それにしても…グレム…か…なんとも懐かしい名前だ。あいつが敵側か…いつかこうなると思っていたよ。グレム…。」
団長はそういった後、高笑いをした。
どうでしたでしょうか?
次回で第4章も完結となります。少し薄い内容にはなってしまいますが、是非最後まで見届けて欲しいです!
それでは、また次回お会いしましょう!




