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第47話 国民の為に

今回からはフェルトが中心となる話が続いていきます。果たして彼女はこの国の王となることができるのか、少し考えながら読んでいただけたら嬉しいです!


それでは、どうぞ!

「それでは、王とは何かをお教えしましょう。」


「はい!」


「王とは…」


フェルトは息をゴクリとのみ、メモとペンを用意して聞く準備を万端にする。


「王とは、自分がやりたいことを国民に納得してもらう立場の人です。」


「はい?」


そのあまりの簡素な言葉にフェルトは驚いてペンを落とした。そのままグレムにフェルトは聞く。


「そ、…そんな簡単なものなのでしょうか…?」


「いいえ、確かに簡単に聞こえるかもしれませんが、全く簡単では無いです。とても難しいことですよ。」


フェルトはその言葉を聞いた後、不思議に思いながらもグレムに聞いてみる。


「どこが…難しいのでしょうか…?すみません、あまり理解できなくて…。」


「自分も()については本当に最初の最初から説明するつもりでしたので話を聞きながら理解してくれれば大丈夫ですよ。あと、ペンとメモが必要になるのはこの後からです。」


フェルトはそう言われると、落としてしまったペンを取り、聞く姿勢を完全に整える。それを見てグレムが話し始める。


「まず、『自分がやりたいことを国民に納得してもらう』というところから。その為には王としての国民からの信頼が必須です。また、その信頼を得る為にも頑張らないといけません。」


フェルトはペンを走らせる、ある程度まで書き終えた様子を確認してからグレムは次に話し出す。


「更に、王とは常に国民の上に立つ者、即ち、礼儀や立ち振る舞い方も意識しないといけません。少しでもそこが出来ていないと、国民はあの人に任せていいのだろうかという不安を抱いてしまいます。」


またフェルトがメモをし終わるまで待ち、グレムはタイミングを見計らってから話し始めた。


「そして、国を統治する者として、政治や経済の知識も必須です。どうしたら国が豊かになるのか、国民が何不自由なく暮らせるか、それらを毎日のように考えなければなりません。」


フェルトはペンを頑張って走らせ、書き終え、少し息をつく。そして言った。


「こ、これで全部でしょうか…。」


グレムは言う。


「まあ大体はこんなものです、これ以外にも複数ありますが、体に覚えてもらうのが1番でしょう。選挙まではあと2ヶ月しかありません。最初の1ヶ月でそれらをあなたに叩き込みます。その後の1ヶ月で国民から信頼を勝ち取ります。時間はありません、今すぐにでも始めたいのですが、フェルト王女、もう一度聞きます。あなたは()()()()()()()()()()が出来ていますか?」


フェルトは大きく息を吸って吐き、グレムの目をしっかりと見て言った。


「はい!」


それから、フェルトが王女となる為の特訓が始まった。


グレムはまず、政治や経済の情報をフェルトに付きっきりで出来るだけ教え、叩き込んだ。フェルトは泣き言1つ言わず、グレムの話を熱心に聞いていた。


ちなみにその間、エルとルリはその様子を見守ったり、時には少しでもと、ギルドへとクエストを受けに行ったりしていた。


更にグレムは礼儀や立ち振る舞い方もフェルトに教えた、時には失敗することもあったが、徐々に彼女は王女としての気品が表れるようになっていった。


あっという間に1ヶ月が去った。フェルトは王女としての知識、また、王族と見ただけで分かる位の気品をも身につけた。


正に『フェルト王女』と言われても恥ずかしくないような状態に彼女はたった1ヶ月でなっていた。


そんなフェルトはグレムに言った。


「1ヶ月間、ありがとうございました、グレム様。王とは…いえ、人の上に立つ者とはこんな感じなのですね。少し、分かった気がします。」


「そうか…良かったよ、あと、俺と話す時は前と同じでいいから。気を張りすぎだ、疲れるだろ?」


そうグレムが言うと、フェルトは笑いながら言った。


「そうですね、グレム様と話す時だけは、あんまり気を張りすぎないようにします。ちょうど少し疲れていたところでした。」


「そうか…だが、この後は国民の信頼を集めなければいけない…あまり休んでる暇はないぞ。」


フェルトはそう言われるとこう答えた。


「この国のため、いや、この国の国民のためなら、このくらいの疲れなどどうってことないです。私、頑張りますから!国民の笑顔のために。」


「そうか…じゃあ、早速始めようか。」


「はい!」


フェルトはグレムの言葉に大きく返事をした。





「アルス国王陛下!少しお話があります!」


兵士は昼食をとっているアルス王に言う。アルス王は食事をしながら言う。


「なんだ、こちらは食事中だぞ。」


「フェルト様が…なにやら次の選挙の為に準備をしているようで…。」


その言葉を聞くとすぐにアルス王は言った。


「放っておけ。」


「しかし!万が一…」


その兵士の言葉を遮ってアルス王は言った。


「心配しなくとも、万が一も奇跡も起きやしない。あいつは俺には決して敵わない。それは分かっているだろう。」


「しかし…今回はあの『グレム』などという者がフェルト様に入れ知恵をされている様で…。」


そう兵士が言うと、アルス王は笑いながら言った。


「あっはっはっはっは!!()()()()()()が入れ知恵をして何になるというのだ!!フェルトも馬鹿だな、そいつが()()()であったなら話を聞いても意味があるかもしれんが、冒険者などと…実に笑える!!どうやら少しも相手にしないで良さそうだ、放っておけ。」


「分かりました…。」


兵士は少し心配しながらもそう言ってその場を去っていった。


アルス王は何の心配もせず、食事を続けた。





「それで…どうやって国民から信頼を得るというのですか?」


フェルトは全く分からないと言った感じで、グレムに聞く。小声でグレムは言う。


「俺は酷い失敗をしたが…フェルトなら…。」


「グレム様?」


フェルトは考え込んでいる様子のグレムの顔を覗き込む。すると、グレムは我に返った。


「あ、ああ。そうだな、信頼を得るには、『困っている人がいたら助ける』のと、『毎日選挙運動を行うこと』かな。」


「『困っている人がいたら助ける』のは分かりますが…『毎日選挙運動を行うこと』には少し抵抗があります。国民から見たらうるさいと思われるだけかと…。」


「確かに、お前の兄がやったらそう思われるだろうな。だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()がやっていたらどうだと思う?」


グレムにそう言われ、フェルトは少し顔を赤くする。そして言った。


「男性からは少し目に止まって…女性からも少し健気に見えるかと思います…。」


「そうだろう?それに、フェルトが()()()()()()()()()()というチャンスも生まれる。少しでも目に止まれば、その演説を聞いてくれるような人が増えていくだろう、それに伴って、お前の兄とは違った、この国を守ろうとする思いを伝えられる。ただの選挙運動でも、とても大事なことなんだ。」


フェルトはその言葉に納得してグレムの方を見て思う。


この人は…王となった事があるのだろうか…こんなにも知識があって、国民のことを第一に考えて行動しようとしている。こんなことを考えつく人はそうそういない、本当に不思議な人…。


「あとそうだ、お前にもう1つ教えておくことがある。」


グレムはフェルトの方を向き顔を合わせ、顔を近づけていく。


え?なに!?こんな所でまさか!?そんな…私まだ…心の準備が……。


フェルトはあまりの恥ずかしさに目を瞑った。するとグレムはフェルトとおでこを合わせ、魔術を使った。


「<<共有(メダム)>>」


その瞬間、フェルトの頭の中にグレムの戦闘方法が流れ込んできた。あまりにもいきなりの情報量に、少しフェルトはふらつく、それをグレムは支えてあげる。


「すまん、いきなりだったからな。大丈夫か?」


フェルトは顔を少し赤くしながら聞き返す。


「今のは…一体何を…。」


「この先、人を助けるにも、選挙運動をするにも、もしかしたらお前は襲われてしまうかもしれない。それを邪魔しようとする奴らからな。その時の護身用だ、俺の戦闘方法を少し教えてやった。自分じゃ分からなくても、身体が勝手にやってくれる。少し、心配だからな。」


そういって最後の言葉を少し恥ずかしそうに顔をかきながら言ったグレムに、フェルトは目を潤ませて小声で言った。


「私、やっぱりグレム様のことが…好き。」


「え?今なんか言ったか?」


「いいえ、何も!それでは始めていきましょう!国民の為に!」


「お、おう。」


フェルトは顔を赤くしながらも、その決意を胸に秘めて言った。その時、グレムは少し戸惑っていた。

どうでしたでしょうか?


次回はいよいよ『選挙』へとそれぞれが動き出す話になっていきます!乞うご期待です!


それでは、また次回お会いしましょう!

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― 新着の感想 ―
[一言] なんかこの主人公若干鈍感だけど、ハッキリ言われれば真剣に考えて返すし、普通に好感持てる。みんなちょっと思いを伝えられてないだけだしね
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