第46話 王たるものとは
いよいよ、その暴君と主人公が対面して…?内容を楽しみながら読んでいただけたら嬉しいです!
それでは、どうぞ!
グレムたちはギルド関連での突然のフェンリル戦を終わらせ、王宮へと向かっていた。エルは言う。
「フェルト様によると…兄のアルス王はダークエルフが好きだからって言う理由だけで、ワマル村から強引に引っ張ってきているんですよね。しかも、こちら側にしか利益が無いように…きっと最低最悪のブサイクです!」
エルは完全に自分の偏見を言う。グレムがそれに返した。
「そうか?そういう最低なヤツほど、イケメンなのが多いと思うがな…不細工な俺が言うとなんか少し悲しいが…。」
その言葉を聞いてエルとルリは少し走った後、グレムの正面に立って止まって同時に言った。
『ご主人様は不細工じゃないです!!』
「そうか?お世辞でも嬉しいよ。」
そう言ってグレムは2人の頭に優しくポンと右手と左手を載せ、歩き進んでいく。
エルとルリは目を合わせて会話をする。
「(ルリちゃん!ご主人様、自分がかなりかっこいい人だということに気づいてません!顔もかなりイケメンな方なのに!しかも性格も優しくてかっこいいのに!)」
「(モテてるっていう自覚が無いのかな…さっきだって受付嬢に『好き』って言われたのに…。しかも散々王女様を見とれさせてきておいて…。)」
「(ご主人様の性格上、多分自分に自信がないんだと思います!自分からかっこいいという人は中々いませんし!)」
「(そうだね…うん…間違いない…あんなにかっこいいのに自分に自信がないなんて…、やだ…かっこいい…。)」
「(ルリちゃん!!そう考えてしまったら負けです!!ご主人様が好きなのは分かりますが…好き…。)」
2人は顔が赤くなる。グレムが言う。
「2人とも何してるんだ?早く行くぞ、フェルトを待たせてしまっているからな。」
グレムの言葉ではっと我に返る2人、最後に目を合わせて確認する。
「(とりあえず…このまま自分がかっこいいということに気づいてもらわないようにしましょう…。かっこいいですけど。)」
「(そうだね…うん…このまま自分に自信が無い方がいいと思う…かっこいいけど…。)」
「まだ何か話すことがあるのか?もう行くぞ?」
そう言ってグレムは歩いていく。エルは言う。
「なんでもないです!!!」
そう言って2人はグレムに付いて行った。
アムル王国王宮前に着いた3人は門の前まで行く、すると、男の門番をしている使用人が言った。
「何か御用でしょうか。」
「フェルト様にお呼ばれして参上した者なのですが、話は伺ってないですか?」
グレムはそう返答する。すると、その使用人は言った。
「フェルト様のお客様ですね、承っております。その際先にアルス王とご対面して頂けませんか?王からの直接のご意志です。」
こちらが何をしようか探りを入れようとしているのであろう。まぁこの際どうせばれるだろうし、その王とも少し話してもみたいから受けておこう。
グレムはそう考えた後に返事をした。
「分かりました、先にアルス王と話をしますね。」
「お願いします。」
そういうと使用人は頭を下げてから、門を開けた。中へとグレムたちは入っていく。
王城の正面入口のドア前まで来たグレムたちはドアを開ける、すると正面の奥には玉座があり、アルス王だと思われる人物が座っている。横には1列に兵士が並べられている。アルス王は言った。
「ようこそアムル王国へ、英雄様。」
最初っから上から目線だ、王だから当たり前なのだが、少しムカついてしまう。こんな王と話すのは初めてだな。
ある程度玉座に近づいたグレムたちは膝を着いて、頭を下げ、言う。
「何か御用でしょうか、アルス国王陛下。」
「ほう…冒険者の割には礼儀がなっているな、気に入ったぞ。…おや…?」
アルス王はエルをじっと見つめている。めんどくさい事になりそうだ。この後の展開が予測と違ってくれたらいいなとグレムは思う。
「お前が連れているダークエルフ、かなりの美人ではないか。どうだ?我に仕えないか?その男は確かにかっこよくはあるが我には敵わない、それに、裕福な暮らしをさせてあげられるぞ。」
こういう時1番やっちゃいけないのが王に対して無礼を働くことだ。だが、エル、俺もちょっとムカついているからガツンと言ってやれ。
エルはわざわざ立ち上がって言った。
「結構です、裕福な暮らしが出来るとしても、私はこの人がいないと生きていけません。それに、協力関係とこじつけて、ダークエルフの村から勝手に女性を奪っているようなあなたにはとても私を幸せにできるとは思いません。あと…その男は確かにかっこよくはあるが我には敵わない?…ご冗談を、この人は他の人を守るために自分の命まで投げ打つような人です。玉座に座って自由気ままに国を動かし反感を買うような事をしているあなたより、遥かにこの人はかっこいいと思いますが?」
「無礼者!!」
周りの兵士が槍をこちらに向けて囲んでくる。グレムは目を瞑り手を挙げている。アルス王がこちらに早歩きで来て言った。
「馬鹿な女だ、その言葉で味方全員が殺されるかもしれないんだぞ?」
エルは言い返す。
「そうですか?私にはこの状況でも、この人は打破してくれると思いますが?」
「馬鹿なことを…そんなわけ」
ドカカカカカァン!!!!
グレムたちを囲んでいた兵士は一斉に殴られたような音を出してその場に倒れた。グレムは言う。
「あっれ〜?おかしいな。俺たちを囲んで何も出来ない状況にしていたのに、なんか急に倒れちゃった。王国兵士ってこんなもんなんですかね?」
王はぷるぷると震え怒りながら言葉を言おうとする。
「お前らは!!!」
その瞬間、グレムは殺気を出した。アルス王は自分が死ぬような感覚を感じた。
「うわああああぁぁ!!!」
アルス王は悲鳴をあげながら後ろに倒れ、引いて下がる。
「アルス王、相手を間違えましたね。今ここで、私があなたを殺して、この国を滅ぼしてもいいんですよ。あと、ひとつ教えてあげましょう。王たるものとはその権力を濫用してやりたい放題をするのではなく、しっかりとした国民の統治を取り、常に国民の為を思って動くものです。勘違いしないようにしてくださいね?アルス国王陛下?」
そう言ってグレムは倒れている兵士を1人起こし、聞く。
「フェルト様がお待ちしているのはどこですか?」
「こ、この左の道を真っ直ぐ行った先にある階段を上った後、2階の最初にある部屋です…。」
「そうですか、ありがとうございます。」
グレムはニコッと笑った後、エルとルリを連れて部屋へと向かっていった。
アルス王とその兵士たちは少しの間放心状態で動くことが出来なかった。
2階の最初の部屋…ここか!ドアには可愛らしい文字で『フェルト』と書かれている。なんか女の人の部屋に入るのって緊張するな。
グレムはそう思いながらも部屋の扉を開けた。中は可愛らしいぬいぐるみや色んなもので飾り付けられていた。女の子の部屋って感じだな。
フェルトはグレムに気づき、言う。
「グレム様!少し遅かったですね…やはり…兄と何かありましたか?」
「ちょっといざこざがね。」
そういうとエルは俯いて自分がやってしまったことに反省しているような顔をしていた。グレムはその顔を上にあげ、目を合わせて言う。
「エル、ありがとう。俺も少し態度にムカついていたんだ。だから、反省なんてしなくていいぞ。あいつはそう言われて当然のことをした、だから心配するな。」
そう言ってグレムが手を離すと、エルは元気が戻ったようで笑顔になった。そして少し嬉しそうにしている。可愛い。グレムはエルの可愛い様子を確認した後、フェルトの方を向いて言った。
「フェルト様…いや、フェルト王女、それでは、王とは何か、説明してあげましょう。」
「待ってください!『王女』はまだ早いかと…」
「何を言っているんですか、兄の政治に納得いってないんでしょう?あなたはこの国の王女となるのですから、早くて良くないことはありません。今からでも、一国の王となるという気持ちを持っていていただかないと。」
フェルトは少し悩むような顔をしたが、決意を抱いたようで言った。
「そうですか…いや、そうですね!はい!分かりました!」
「それでは、王とは何かをお教えしましょう。」
「はい!」
「王とは…」
フェルトは息をゴクリとのみ、メモとペンを用意して聞く準備を万端にする。
「王とは、自分がやりたいことを国民に納得してもらう立場の人です。」
「はい?」
そのあまりの簡素な言葉にフェルトは驚いてペンを落とした。
どうでしたでしょうか?
次回はフェルトに王とは何かを細かく教えるような回になるかと思います!お楽しみに!
それでは、また次回お会いしましょう!




