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第44話 絶対君主制のアムル王国

第2話です!早速主人公たちはダークエルフからの願いを叶えるために動こうとしますが問題に直面してしまいます。それがどういったものなのか、予想しながら見ていってください!


それでは、どうぞ!

『ゲホッゲホッ!!ゲホッ!』


男は血を咳と共に吐く。その男の息子と娘が心配する。


『父上!大丈夫ですか!?』


『やはり…病気が進行しすぎたんです!!一刻も早く医者の手配を…』


そう息子が言った瞬間、その男はそれを止めた。


『無駄だ…少し前に医者に聞いたんだ…もう治療ができないほどこの病気は進行している…。だから、私はもう少しで死んでしまうだろう…。その為に、お前らのどちらかに王位を継承したい…この国を…良くしてくれる方にっゲホッゲホッ!!』


『父上!』


娘は涙を目に浮かべながら父の手を取る、男は続けて言う。


『この国で…『選挙』を行え…お前らのどちらかに1つでも多くの票が集まった方に…この国を委ねよう…、国民に…決めてもらうのだ…。』


娘は泣きながら言った。


『はい!分かりました!だからもう喋らないでください!無理をしないで…』


娘の言葉の途中にその男は娘の頬に触れる、そして言った。


『ごめんな…長い間、王として動いてきた事で…お前たちのことを気にかけることが出来なかった…妻とは…絶対に子供たちを幸せにすると誓ったのに…ゲホッ!!』


男は今までよりも多くの血を吐いた。娘は涙を流しながら言う。


『そんな事ないです!父上は、王として活躍しながらも、私たちの将来を考えて動いてくれました!私たちは…私たちは!とても幸せでした!』


それを聞いた男は安心したような笑顔を浮かべ、一筋の涙を流し、こう言った。


『よかった…お前らは幸せだったのか…これで…妻にも胸を張って伝えられる…。』


その言葉を言い終わった瞬間、娘の頬に触れていた男の手はダランと力を失ったように下がった。娘が必死に呼びかける。


『父上?父上!?いかないでください!!まだ、私たちは何一つ親孝行を出来ていないのです!!だから…いかないで…。』


娘は涙を流した、もう戻ってこない父の手をしっかりと握りしめながら。


それに対して息子は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。





グレムたちはワマル村を出て、アムル王国を目指して歩いていた。


グレムが思ったより距離があるなと思っていると、少し遠くで、馬車が横に倒れていて、人が縛られているのが見える、また、剣を持った男が5人ほどいる。だいたい状況から察するに、盗賊に馬車が襲われたという感じであろう。


「エル、ルリ、先に行くぞ。」


そう言った瞬間、グレムはその馬車の周りにいる5人の盗賊の元へとものすごい速さで走り、その目の前までほんの数秒でたどり着いた。


体を縛られている人は…うん?市民っぽい人もいるが明らかに兵士っぽい人もいるな、それになんか豪華なドレスを着て綺麗な桃色の髪をした美しい女性が…。と思っていると、その女性は猿轡をされながらもこちらに「助けて!!」と言わんばかりの目を向けてきた。


「心配しなくても助けますよ、綺麗なお嬢さん。」


グレムがその人に向かってそう言うと、盗賊の5人のうちの1人が言った。


「あぁ!?『助ける』だぁ!?お前この状況を理解しているのか?笑えるなあ!5対1だぜ?お前に勝てるのかよ!?」


もう1人が言う。


「それに俺たちはそんじょそこらの盗賊じゃねぇ!これを見ろ、フェニキライトのギルドカードだ!!この実力の差に震えろ!」


その言葉を言った後に、5人はグレムを囲んで同時に剣を出して斬りかかってくる。グレムは「はぁ」とため息をつく。そのお嬢さんは怖くなり、目を瞑った。


ドドドドドン!!!!


グレムに斬りかかってきた5人は同時に後ろへ仰け反った。そして地面に倒れる、更にその5人は全員気絶していた。


それを見て、兵士及び市民は目を開けたまま驚いて動けなかった。グレムはその人たちに言う。


「レディファーストで。」


そう言ってまずは綺麗なお嬢さんの猿轡と縄を外した。グレムは言う。


「もう大丈夫ですよ、安心してください。」


目を瞑ってしまっていたそのお嬢さんはこの状況を理解できなかったようで、目をぱちくりさせる。グレムは他の人の猿轡と縄も外していく。途中でエルとルリが来た。ルリが言う。


「ご主人様…いくらなんでも速すぎる…よくこの距離を一瞬で詰められましたね…はぁはぁ…」


「走ってきて疲れてるとこ申し訳ないんだが、ルリは他の人の猿轡と縄を外してやってくれ。エルはそこに倒れてる5人を縛ってくれ。頼む。」


グレムがそう言うと、2人は早速動き出した。


「<<天の鎖(ホーリーチェーン)>>」


エルは倒れている盗賊の体に鎖を巻き付け身動きを取れなくする。


グレムが猿轡と縄を外していると、綺麗なお嬢さんが質問してきた。


「どうして勝てたんですか!?相手は全員フェニキライトのかなりの手練だったはずです!」


「ああ、じゃあこれを見ていただければ。えーっと、あったあった、はいどうぞ。」


グレムはそう自分の収納している道具を少し漁ってからギルドカードを渡した、()()()()()()のギルドカードを。


「あなたは…まさか…本物の…。」


いつものパターンだ、またなんか大きく持ち上げられるんだろうか。


「頼みがあります!」


「はい?」


言われたことのないパターンだ、対応に困りそうなこと言われそう。グレムは少し身構える。


「私に、『王』とは何かを教えて下さい!!」


「………はい?」





どうやらこの人たちもアムル王国へ向かう途中だったらしいので、馬車に乗り込ませてもらった。


「命を助けていただいた上にお願いまでしてすみませんでした!!」


ドレスを着た女性が頭を下げて謝る。


「いえいえ、いいんですよ。よっぽどの事情があっての事でしょう?人に頼るのも分かります。自分もそういうことありましたし…。」


グレムは少し笑いながら言う。その言葉の優しさに胸を打たれたのか、その女性はグレムの顔に見とれる。あれ、このパターン前やったよな?とグレムが思っていると、その綺麗なお嬢さんは自己紹介を始めた。


「あぁいけない、名前を言い忘れていました。私はアムル王国()()()()のエリオライト=セレス=フェルトと言います。」


「王女候補?」


グレムは聞き返す。フェルトは言う。


「先程のお願いはそれに関してなのです…。あまり関係の無いあなたたちまで巻き込もうとしてすいませんでした。やっぱりあのお願いは忘れてください…。」


フェルトは顔を俯かせて、いかにも困っているような表情を見せる。グレムはエルとルリの2人と目を合わせる、そして2人とも「やろう」というように頷いた。それを確認したグレムは言った。


「話だけでもお聞かせ願えませんか、困っている人を放っておけない性格なんです。」


そういうとフェルトはグレムの両手をがっしりと掴んで目を潤ませながら言った。


「本当ですか!?ありがとうございます!!こんな赤の他人のことなのに…噂通り…いや、噂以上に誠実で、優しいのですね!」


そんな顔でそんなこと言われると少し恥ずかしい、しかも可愛い。見た目は少し幼いけど完全に美人だしいい匂いはするし…こんな事考えてたら横の2人が…。


そう考えているとその通りに、エルとルリはフェルトを良くない目で見つめていた。一応王女候補の王族様だぞこら。


それに気づいたのかフェルトははっと思い手を離して、顔を赤くして言った。


「すみません…誰かに優しくされたことがあまりないもので…気持ちが昂ってしまいまして…。」


もじもじするな、あざといぞと言いたいくらい可愛い。というか可愛くない王女今までいたか?そんなことより、その問題だ。


「で、その困っていることと言うのは…?」


「ああ、そうでしたね!すみません、話を脱線させてしまって。今説明しますね!………」


アムル王国王女候補のフェルトによると現在、アムル王国は兄のエリオライト=セレス=アルスが王となっているらしい。


その兄は国を絶対君主制として、王に逆らったらすぐにも死刑へと直結させる、正に暴君そのものである。不満を抱えている人々は何人もいるが、逆らったら怖いので誰も何も言い出せないらしい。


だが、この君主制の王の任期は約6年。今、正にその6年目で、ちょうど2ヶ月後ぐらいに国民が投票をする国王選挙が行われる。その時でも、国王となるのは国王の血を受け継いだアルスかフェルトのみである。


だが、アルスは、その前の初めての選挙で、金で投票券を国民から買い、票を集め、当選させた。当然、国王でもないフェルトには王族とはいえども国王の財産を超えるほどの金は持っていない。だから、勝つためには、その自分がやりたいと思う政治を国民に訴え、金よりも支援を選んでくれる国民の票が必要なのだ。


したがって、王の経験のないフェルトに王としての知識を与え、国民のためを思った政治をできるようにしないといけないということである。


「なるほどな…金で投票券を買収している…と。相手は王様だから勝ち目が少ないですね〜。」


「やはり…無理でしょうか…。」


フェルトは俯く、がその顔をグレムは持ち上げ、目を合わせて言った。


「勝ち目が()()()と言っただけで()()とは言ってません。諦めないでください。」


フェルトはその言葉を聞くとすぐに顔を離し顔を赤らめる。だからなんで?そう思いながらもグレムは少しでも情報を集めようと、ダークエルフについての話を切り出す。


「ひとつ聞きたいことがあります。ダークエルフについての話なのですが…何か知っていますか?」


「確か…ワマル村…でしょうか?『協力関係』を結んでいる…とは言っても、ドラゴンが来た時、()()()()()()()()()()()()()()()という理由で兄は見捨てましたが…私は…助けたかったのですが…力不足で…何も出来ず…。」


「もしかして、そのワマル村のダークエルフの件、あなたのお兄様が発案したんですか?」


「え?ああ、はい。兄は昔からダークエルフが好きで…それが…何か…?」


グレムは「はぁ」とため息をついた、辺りに怒っているのを表すようなオーラが目に見える。余りの恐ろしさにその馬車に乗っていた全員の背筋がゾクッとする。グレムは言った。


「分かりました、あなたに全面的に協力します。私たちは、ワマル村のダークエルフから、酷い話を聞かされてアムル王国を変えてやるつもりでここに来ました。兄が発案者であれば、あなたが王座につけば、その条件を止めさせることができるでしょう。」


だがフェルトはその話を聞いても良くは思えなかった。この人たちは国民の事を案じていない、ダークエルフの事のみを考えているのだと思った。その時、グレムは言った。


「しかし、あくまでそれはこっちが求める条件です。あなたが王女となるのならば、あなたはそれから先も国民の事を常に案じて行かないといけません。なので、私でよければ、あなたには王としての知識、そして国民から信じられ、頼りにされるために必要なことをできる限り教えます。その後に続いていく、国と国民の為にも。」


フェルトはその言葉に衝撃を受けた。違う、この人は誰か1人じゃない、それ以外のみんな、その周りの全員のことをちゃんと考えて話している…この人は…一体…。


「やりますか、やりませんか?決めるのはあなたです。フェルト()()。」


フェルトは大きく息を吸って吐き、決意を秘めた表情でグレムに返事をした。


「私に王としての全てをお教え下さい、グレム様。」

どうでしたでしょうか?


次回は一旦この話は置いといて…ギルドについての話になるかと思います。せっかく面白くなりそうなのにとは思うかもしれませんが、次の物語も面白くしているので楽しみに待っていてください!


それでは、また次回お会いしましょう!

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― 新着の感想 ―
[一言] 今気付いたんですけど、小説を書く時名前の欄に自分の名前を記入していませんか?それをされると名前が黒くなって作者様のマイページに行けないのです。既存の小説でも、名前の欄を消して貰えると青くなり…
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