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第39話 再来する影

今回はいよいよマシル王国とデガル王国の関係を良くするために動き出す話となっております。それまでに色々と問題が出てくるので楽しんで見ていってください!


それでは、どうぞ!

グレムたちはべラム王に言われた通り、朝から王城へと向かっていた。


今日は晴れていて欲しかったが…しょうがないか。雲がかかった空を見てグレムはそう思った。


「獣人の人たちが喜んでくれるといいですね!」


エルがグレムに笑顔で言う。グレムも笑顔で返す。


「ああ、そのために今日、頑張らないとな!」


3人はそれぞれの思いを持ちながら、王城へと向かっていった。




王城に着き、中へ入るとすぐにべラム王が迎えてくれた。


「よく来たな、早速だが紹介しよう、デガル王国との関係を取り持つ責任者、『マルクル』だ。」


べラム王の横にいた少年は王が肩に手を乗せた後、自己紹介を始めた。


「マルクルと申しままます、色々と不備があるかかもしれませせんが、よ、よろしくお願いします!」


少しおどおどしている、緊張しているのか?グレムはそう思いながら返事をする。


「ああ、よろしくな。」


グレムがそう言葉を返すと、すぐにべラム王は会議室へとグレムたちを案内した。


べラム王が1番奥の席に着くと、他の4人はそれぞれの席に適当に座った。するとメイドが紅茶を運んできてくれた。


少しの間、時間が空く…その意味のない時間に苛立ったのか、べラム王は言った。


「マルクル、お前が話し始めないと会議は始まらないんだ。早く資料を寄越せ。」


マルクルはその言葉に反応して言う。


「はっはい!すみません!」


そう言ってマルクルは資料を回し始める、現在のデガル王国へ求めている()()()()の資料である。何度見ても…酷いとしか言いようがない。べラム王がグレムに聞く。


「で、グレム。お主はどこをどう改善すべきだと思うんだ?」


「とりあえず全部変えようと思います、この資料を元にしながら、条件を引き下げていき、獣人にも重荷にならないように平等な関係を築けるようにします、そのためにうちの仲間のルリがいます。今日はルリに獣人目線から見た納得できる条件を見定めてもらおうと思っています。」


グレムの言葉を聞いてべラム王は納得したのか言う。


「そうか…では具体的に改善する部分を述べて言ってくれ。」


「まず、年貢の引き下げから。100億ギルはあまりにも負担と思われます。実際、特産品は余ってしまっているのですね?」


グレムはマルクルに聞く。マルクルが言った。


「は、はい。そうです…多すぎるぐらい…」


「では、どれぐらいまでなら下げてよいのかも考えましょう。べラム王はどう思いますか?」


べラム王は返答する。


「そう言われると思ってな、国の貿易を管理している者に話を聞いてみた…するとだいたい年間約99億ギル分もの特産品が余るそうだ。我は呆れたよ、大事な特産品を約99%も余らしていたんだ。作っていた向こうの獣人たちには申し訳なさしかない。我が父上の()()とは、この域までいくのかね…。」


グレムはその話を聞いて答えた。


「であれば、この国に必要となるのはちょうど約1億ギル分ですね。これだけでも獣人から見たら100分の1、ルリ、どうだ?」


「それなら…問題ないと思います…年間で1億なら…デガル王国の技術者たちが…あまり頑張らなくても…達成できると思います…。」


マルクルはそこで突然椅子から立ち上がり言った。


「待ってください!そんなに下げてしまっても本当にいいんですか!?貯蓄とかもできますし…。」


そのマルクルの言葉に「何も分かってないな」というようなため息をついてべラム王は言った。


「貯蓄?お前は今まで余らせてきた分があることは先程言ったから知っているであろう。それも12年分だ。足りなくなることはまずほぼ有り得ない。更には世界最大の貿易国といえど、そんなにも特産品を出す必要はない。今までの統計からして、全く問題は無いんだ。」


「そうですか…。」


べラム王がそういうと、マルクルは椅子に座った。グレムはそれを確認してから言う。


「それでは、デガル王国に求める特産品の数は1億ギル分で決定でよろしいでしょうか?」


べラム王は頷く、マルクルは少し考える様子を見せたが、頷いた。


「それでは次の問題にいきましょう。次はデガル王国との貿易の際の税率の引き下げについてですが…」




実に議論を始めてから4時間ほどで、デガル王国との条件についての話は終結した。グレムが言う。


「お疲れ様でした、これで、デガル王国とも友好的な関係を築けると思います。」


その時、べラム王がグレムに言った。


「お主は、政治に関してかなり長けておるな。こんなにもスムーズに議論が進むとは思っていなかった。それに我が思っていたより遥かに早く議論が終わった。お主には王の素質があるのかもな。」


グレムは少しギクッとしながらも言葉を返した。


「いえ、獣人の為を思っていたからですよ、きっと。あははは…。」


べラム王は少しその返答に疑問を感じながらも言った。


「まあいい、それでは悪いがグレムたちにはこれからデガル王国に向かってもらう。早く議論が終わったからな、報告は早い方がいいだろう。マルクルも同行させる、マルクルは準備をしておいてくれ。」


マルクルはその言葉を聞くと「はい!」と返事をし、自室へと向かった。向かう途中で、「チッ」と舌打ちをする。


人間と獣人が友好的になるだと?考えただけでイライラする。あんな見た目をした奴らと仲良く暮らすのはごめんだ、こんな関係、引き裂いてやる。


自室に着いたマルクルは準備をしながら部屋の前にいる兵士に言った。


「おい、準備は出来てるな。予定通りに進めろ。」


その兵士は「はっ!」と言って敬礼をし、歩いていった。


見てろよ…絶対に友好的にはさせない…汚れた獣となんざ仲良くできるか。この清らかな人間だけの世界を作り上げてやる…!


そう思いながらマルクルは準備を済ませ、グレムたちの元へと向かった。




べラム王はグレムたちにまた馬車を用意してくれた。そして言った。


「我も後からデガル王国へと向かう。この関係をしっかりとデガル王国の国王と結んでおきたいからな。そのために色々と準備をする、だから先に行っておれ。」


グレムはその言葉を聞いて言った。


「了解しました、向こうで待ってます。」


グレムがべラム王にそう言うと、デガル王国へ向けて、馬車が動き出した。


途中でグレムがルリに聞く。


「あんな感じの条件で良かったか?大体俺が考えたことになってしまったが…。」


「大丈夫…あれでいい…むしろ十分過ぎるくらい…。やっぱりご主人様は…いい人…。」


ルリのその返答に安心して、グレムはルリの頭を撫でる。しまった、つい撫でてしまった。グレムはすぐにルリを撫でていた手を離す。


「ご主人様…?どうしたの…?」


ルリはうるうるした目で聞いてくる。グレムは言う。


「いや、つい、いきなり撫でてしまって…嫌だったかと思って…。」


グレムがそう言うと、ルリはグレムの手を自分の頭に乗せた、そして「撫でて?」というような目でこちらを見てくる。可愛すぎる!


グレムはそのままルリの頭を撫でた。すると頭を撫でられながらルリは言った。


「ご主人様になら…いつでも…どこでも撫でられたら…嬉しい…。だから…もっといっぱい撫でて?」


危なっ!気を失うかと思った、可愛すぎた…。そう思っているとエルが頬をふくらませてこちらを見ていた。グレムは恐る恐る聞く。


「エル…?怒ってる…?」


「どうでしょうかね!」


グレムはその返答に「はぁ」とため息をついたあと、エルの頭を撫でた。


「撫でれば…いいってもんじゃ……えへへ…。」


チョロいぞ、エル。可愛いからいいけど。




デガル王国に着いたグレムたちはすぐに王城へと向かった。「また来たか…」というような目を獣人に向けられる。だが、それもこれで最後だ、きっと。


そう思いながらグレムは王城へと急いだ。




王城へ着いたグレムは、早速、門兵に言った。


「大事な話がある、マシル王国とデガル王国の今後についての話だ。ダイム王の元へ通してほしい。」


グレムがそう言うと、門兵は顔を合わせた後、分かったというように正面玄関の扉を開けようとしたその時、


「うおおおおおお!!!」という兵士が声を上げて走ってくるかのような声が遠くで聞こえた。グレムはその異変に気づき、すぐにデガル王国の門前へと走っていった。


マルクルはその様子を見て、ニヤリと笑った。




グレムがデガル王国門前へと着くと、デガル王国を囲むようにずらりとマシル王国の旗を持った兵士が並んでいた。


ダイム王が後から駆けつける、そして言った。


「これは…どういう事だ…?」


その兵士たちの代表らしき人物が声を上げた。


「我々は!マシル王国軍兵団である!デガル王国に告ぐ!降伏をしろ!」


ダイム王はそれに対して疑問をぶつける。


「なぜだ!なぜ降伏をしなければならない!?」


「お前たち獣人は!あろう事か外交へと向かった人間を傷つけ、半殺し状態までしたと聞いている!加えて!これまでの協力関係の条件に不満を抱き!我々に条件の取り下げを求めた!お前たち獣人は!我々より下の身分にある!よって!我々に条件の取り下げを求めたのは!万死に値する行為である!だから!直ちに降伏をしろ!」


ダイム王はその言葉を聞いてグレムの方を見て言った。


「グレム!どういう事だこれは!!私たちは()()()()を結ぶのではなかったのか!!!」


グレムはダイム王のその言葉を聞きながら、()()()()()()()()と名乗っている目の前の軍隊を睨みつけていた。

どうでしょうか?


次回はこの後のグレムの対応を中心とした話になると思います。楽しみにしていてい下さい!


それでは、また次回お会いしましょう!

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