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第38話 目線を一緒に

今回はマシル王国とデガル王国の架け橋へとなろうとする話です。何となーく薄い内容ですが、どうぞ見ていってくださると嬉しいです。


それでは、どうぞ!

デガル王国を出たグレムたちはマシル王国へと歩いていっていた。エルが心配そうにしながら聞いてくる。


「ご主人様!その腕の痣や傷…治しましょうか?」


グレムは首を横に振ってから言う。


「いいよ、これはマシル王国の王に見せる。治すのはその後でいい。」


「分かりました…。」


エルは少ししゅんとする。続けてルリが言った。


「ご主人様…ごめんなさい…こんなにも人間を嫌っていた国では…なかったはずなんですが…。」


そう言ったルリの頭を撫でながらグレムは言った。


「ルリが謝ることじゃない、しかも悪いのは言うまでもなく人間側だ。獣人に非は無い、そう言っても過言ではないだろう。」


実際、()()()()はただの()()()()()()()()()()()であった。協力とはとても言えない。


グレムは2人が俯いてしまっているのを見て言った。


「そんな暗い顔するな、これから、マシル王国とデガル王国を親密な関係にしていくんだから、もっと希望に満ちた表情でいよう。みんなのために。」


そう言ってグレムは笑顔になる。だがエルとルリはその笑顔を見ても、あの獣人の行為が頭に残り、悲しい気持ちにしかなれなかった。




王城に着き、べラム王と話をするために玉座の間へと向かうグレム。今回はエルとルリも連れている。あの状況の目撃者としても、証人としても必要だと思ったからである。


グレムは玉座の間の入口のドア前まで着くと、大きく息を吸って気合いを入れてから扉を開けた。


ギイィィィ…


この前より、その扉は重たく感じた。


べラム王は待っていたというように足を組んで少しニヤついていた。


「そろそろ来ると思ったぞ、グレム。」


グレムたちは玉座の近くまで行って、いつもの様に膝を着き、頭を下げた。グレムが口を開く。


「外交よりデガル王国から戻りました。」


べラム王は聞く。


「で、どうだったのだ?信頼を得る事は出来たのか?」


「その前に、見てもらいたいものがあります。」


べラム王は疑問に思い、首を傾げながらグレムの方を見る。


グレムは右と左、両方の服の袖をまくった。そこには無数の痣や傷があった。べラム王はそのあまりの酷さに驚く。


「これが…散々な条件をデガル王国に突きつけた罰です。…向こうの獣人からは殴られ、子どもからは石を投げられました。その関係の条件については、()()()()()()()()()()()のではなく、()()()()()()()()()()でした。この傷や痣が証明しています。」


「お主は…」


べラム王が言葉を言うのを遮ってグレムは言った。


「私は、デガル王国への条件についての大幅改善を要求します。デガル王国国王、ダイム王からは『この一件をお前に任せる』と許可を頂きました。」


べラムは少しも考えないで言った。


「分かった、そうしよう。」


グレムは少し驚いた、てっきり、「この条件だけは変えないで欲しい」などと言われると思っていたからだ。べラム王はそのグレムの様子を見て言う。


「今の言葉は意外だったか?言ったであろう、私は()()()()()()()()()()()()()()()()のだと。実は、現在まで通していた条件は父上が決めたものだ、『強欲の王』と呼ばれたまでの父上がな。約5〜6年の間、放置していたのは相手国側にもすまないと思っている。…言い訳になるが、遣いで送った外交官役の王族たちは皆、『問題ない』などと言っていたからな。」


グレムは言う。


「それでは…条件については…。」


「ああ、改善しよう、それも相手国の望み通りに。元々私も貰いすぎに、あっても使わない軍事要請など言い切れないほどの必要ないものに困っていたところだ。それで、相手国はなんと望んでいた?」


「ダイム王には『全てお前に任せる』と言われました…。」


べラム王は特に驚きもせず、普通に返答した。


「そうか、ならお前が決めろ。相手国の王がグレムに任せると言ったのであれば、それに従おう。…どうやら、思った以上にお前は信頼を得てきたようだな。言動からして、相手国のダイム王にはとても気に入られたのであろう。やはり、お主を遣いに寄越してよかった。王族ではこう上手くはいかなかったであろう。」


べラム王はそう言って笑顔を見せる。思っていた以上に優しい王様だ、国の統治が上手くいくのも、この寛容さがあるからだろうか。そう思っていると、べラム王は時計を見て言った。


「今日はもう時間が遅いな、では明日から早速その条件の改善をしよう。各責任者には私から話を通しておく。グレムは明日の朝には王宮へと来れるようにしておいてくれ。ああ、あとその時、その2人も連れてきてよいぞ。『お主に任せる』とダイム王が言ったのであれば、その仲間が一緒に考えても良いだろう。」


グレムはその言葉を聞いて、すぐに返事をした。


「分かりました、明日の朝、また訪れます。」


そう言ってグレムは玉座の間から出ていこうとすると、もう一度べラム王に声をかけられた。


「おい、グレムよ。…お主は本当によくやってくれた。報酬は…期待しておいて良いぞ。」


グレムはそれを聞いて少し笑いながらその場を去っていった。


べラム王はその後すぐにデガル王国の関係についての責任者に話を通しに行った。その時、べラム王はいつもより機嫌が良かったらしい。




王城から出るや否や、エルはすぐにグレムの腕に回復魔法をかけ始めた。グレムは遠慮して言う。


「エル、自分でやるからいいって。」


「いいえ、私が治したいんです!ダメですか?」


急に上目遣いで聞いてくるエル、うぅ…そうお願いされると断れない…。


「分かった、分かった、頼む。」


「はい!なら頑張りますね!!」


エルは嬉しそうにしながら回復魔法をかけてくれた。ダメだ、可愛い。そう思っているとルリが言った。


「ご主人様…どれくらい…条件を引き下げるの…?あんまり無理して下げるのは…獣人として申し訳ない。」


グレムはそう言ったルリの頭を撫でながら言う


「ルリは本当にいい子だな〜、無理なく、獣人にも負担にならないように考えてみるよ。その時、獣人側から見てどうかとかはルリにも聞こうかなとは思ってる。だから、申し訳ないとかは思わないでいいんだ。一緒に考えていこう。」


「ご主人様…はい…!ルリ…分かりました!」


ルリはキラキラとした目でこちらを見てくる。うん、やっぱり可愛い。グレムは言った。


「明日は、人間にも獣人にも忘れられない日になるといいな!」


その日は満天の星だった。




宿に着くとすぐにエルは寝てしまった。回復魔法をかなりかけてくれたからだろうか、疲れていたのだろう。そんなことを思っている時にルリが聞いてきた。


「ご主人様は…()()のこと…どう思ってる…?」


「どうした急に?…まあ、そうだな〜。ただ種族が違うだけの人間かな。他の種族にしてもそうだぞ、エルフでもドワーフでも妖精でも何でも、同じことを思って、同じように生きてる。人間となんら変わらないさ。ただ、種族が違うだけ、本当にそれだけだよ。」


「ご主人様は…やっぱりいい人…前のご主人様には…この質問に酷い返し方をされた…、獣人や、他の種族までもを差別するようなことを…。」


「そんな奴いたら、ぶん殴ってやる。同じ人間なんだ、誰だって、互いに手を取り合って生きていったほうが楽にもなるし、幸せに決まっている。そんな世界を…目指したかったんだがな…。」


ルリはそのグレムの最後の言葉を不思議に思いながら、眠りに落ちていった。




「例の計画…進んでいるか…?」


「はい!間違いなく()()に実行できるように兵士の状態と武具の収集、また、マシル王国の例の物などの準備も万端です!」


「よし、じゃあちゃんと()()に実行できるよう、しっかりと配備を忘れないでくれ。」


「はい!了解しました!」


そう言ってその兵士は去っていった。


「マシル王国とデガル王国…人間と獣人か…親密な関係?とんでもない。獣人は人間に飼われるだけで十分だ。結局は犬なんだよ、それを教えてやろうじゃないか…ハッハッハッハ!!!」


そう言って笑っていた男は黒い鎧を身に纏っていた。

どうでしたでしょうか?


次回は2つの王国とその後ろの影が動き出すような話になると思います。楽しみにしておいて下さい!


それでは、また次回お会いしましょう!

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