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第36話 国王の願い、そして女子会

とても遅くなってしまいました…お待たせしました。


今回もだいぶ濃い内容となっているのでしっかりと見ていただけると嬉しいです。


それでは、どうぞ!

昨日、ファフニール戦後に王様に呼ばれたので、王城へと来たグレム、門を開けて、敷地へと入る。


そして王城の入口のドアを開けると、王城の使用人のメイドが出迎えてくれた。ちなみにエルフである、美人である。そのメイドが言った。


「グレム様ですね?玉座の間へと案内します。着いてきてください。」


そのメイドはニコッと笑顔を作って言った。あ、この子絶対に人気ある、間違いない。


そう思いながらそのメイドに着いていくグレム。その途中で突然メイドが止まり、こちらに振り返った。


「少し失礼します。」


そういうといきなりそのメイドは抱きついてきた。突然のことすぎてグレムは戸惑って何も出来ない、そのメイドは頬ずりをしながら言った。


「本物の……グレム…様…。」


3回くらい頬ずりをすると、満足したのか、抱きついていた手を離し、すぐにキリッとした態度に戻って言った。


「失礼しました、実は私、グレム様の大ファンであり、この為にこの役を買って出たと言っても過言ではありません。不快に思われたのならすみませんでした。」


そう言ってぺこりとそのメイドは頭を下げた、グレムは言う。


「いきなりでしたのでびっくりはしましたが…あなたみたいな美人さんに抱きつかれたら不快感なんてありませんよ、むしろ少し嬉しかったぐらいです。」


グレムは少し笑いながら言った、その言葉にそのメイドは顔を赤くする。


「私が…美人…。」


そうして数秒、間が空いた後、そのメイドはキリッとした元の表情と態度に戻って言った。


「それでは、玉座の間への案内を再開します。」


「は、はい。」


グレムはまだ少し戸惑いながらもメイドに着いて行った。




一方その頃…


エルとルリはマシル王国の大通りをギルドを目指して歩いていた。


「まさかご主人様だけ呼ばれるとは….。」


エルは少しがっかりしながら言った、ルリがその言葉に対して言う。


「国王様は…ご主人様と1体1で話がしたいと言ってたらしい…よっぽど重要なこと…話すだろうからしょうがない。」


エルはルリのその言葉を聞いてからすぐ気合いを入れ、言った。


「それでも…私は前に進むと決めたんです!だからご主人様の為にもなるギルドのクエストをクリアして!ポイントを少しでも稼ぎましょう!」


「お〜。」


ルリは返事をした。




ギルドに着き、早速クエストボードを見るエルとルリ、良さげなクエストを探していると…


「よっ!」


ミルダがエルの肩をつかんで後ろから声をかけてきた。


「うわっ!」


少しびっくりしてエルは言った。


「も〜びっくりさせないでくださいよ〜。」


「すまんすまん。…あれ?今日はグレムはいないのか。」


エルはその言葉に返答する。


「ご主人様だけ国王陛下にお呼び出されて…なんでも話があるとか…。」


「そうなのか…それじゃあ、うちらと一緒にクエストいかないか?」


「え?難易度規制は…?」


エルは不思議そうに聞き返す、すると、ミルダは受注書を見せていった。


「ジャジャーン!特殊クエストだ!これを見てみろ!」


特殊クエストとは、相手の討伐難易度が正確に分からない時に出されるクエストである。討伐難易度が正確に分からないため、ギルドが決めた大体の適正ランクを範囲に入れ、クエストへ向かわせる、といったものである。この時、難易度規制はそのランクの範囲内なら許されるようになっている。


「新しい魔物…興味ある…ルリ行きたい!」


ミルダは笑いながら言った。


「良かったよ、アダムアビスがいれば百人力だ!メアとメリルもいるから、5人で行こう!」


エルとルリはミルダのパーティについて行くことにした。




「ここが、玉座の間です。」


メイドが言う、グレムはお礼を言う。


「案内、ありがとう。ご苦労さま。」


そう言うとメイドは頭を下げ、その場から去っていった。


グレムは気を引き締めて玉座の間の扉を開けた。


ギイィィ…


「来たか、グレムよ。」


国王陛下は玉座に足を組んで座り、肘をついている。


グレムは玉座に少し近づいてから、膝を着いて頭を下げ、言った。


「何か私に御用でしょうか国王陛下。」


「先に自己紹介をしておこう、名前を教えていなかったからな。私はマチュルド=マシル=ベラムと言う。それと…先日の兄上の件は…すまなかったな。」


「いえ、国王陛下が謝ることではありません。全ては私の配慮が足りてなかったせいです。」


「そんなことは無い、バカな兄が好き勝手しただけだ。お主らに悪いことなど何も無い。」


そうベラム王は言った後、数秒、間を空けてからグレムをわざわざ呼び出してまで話したかったことを話し出した。


「実はだな…この国の近くに獣人の国があることは知っているであろう?今、マシル王国はその国、デガル王国とは協力関係にある。だが、どうやら相手はその条件にあまり納得していなく、この関係をよく思っていないようなのだ。」


「…だから私に()()を頼みたいと…?」


グレムはべラム王に聞くように言った、話が早いなとべラム王はニヤリと笑い、言った。


「その通りだ、そなたは誰よりも優しい。あの獣人の奴隷にも、()()といって、それ相応の生活をさせている。この国の王族を外交に行かせると、いつも獣人を上から見ているような発言をしてな、上手くいかないのだ。だから、頼みたい。勿論それ相応の報酬も与えよう、どうだ?やってくれるか?」


グレムは数秒おいてから話し出した。


「私は…」




「ここがその魔物の住処なんですか?」


エルが聞いた。その前には暗く、少し湿っているおどろおどろしい洞窟があった。ミルダが返答する。


「ああ、どうやらそいつは暗い場所が気に入っているようでな。こういうところに住み着くらしい、行くぞ。」


ミルダはそう言ってランプをつけ洞窟へ入っていく。それに続いて4人も一緒に入っていった。




エルが言う。


「本当に暗いですね…。」


ミルダが言葉を返す。


「ああ、不気味なくらいだ。」


メリルが怖がって言う。


「うう、怖いよぉ!メア!」


そう言ってメリルはメアに抱きつく。メアはびっくりして言う。


「ひゃあ!ちょっと!いきなり抱きつかないでよ!」


その時だった。


ゴゴゴゴゴゴ


何か大きなものがうごめく音がした、全員が武器を構える。


ビュン!!!


「ひゃあ!!」


何やら触手のようなものがこっちを叩きにきた。メアは声を上げながら咄嗟に避ける。エルが詠唱を始める。


「<光の精よ!今、この黒より黒い暗闇を灯す光を授けたまえ>!!」


「<<天の光(ホーリーシャイン)>>」


光の玉が洞窟全体を照らせるぐらいの明るい光を出しながら、洞窟の上の方へと昇っていく。


洞窟全体が明るくなる、すると、目的の魔物の姿が見えてきた。メアが言う。


「何よ…あれ…。」


その目の前には紫色の触手と体をもったなんとも気持ち悪い姿の魔物がいた。あらゆる所に目がついている。


「ビシュルルルル!!!」


そいつは奇声を上げながら触手を鞭のように使って攻撃してきた。全員が避ける、その触手は壁に突き刺さった。


「気持ち悪いってのよ!!」


メアは避けた後、その壁に刺さった触手を切り落とした。その触手は切り落とした後、少しピクピクと動き、やがて動かなくなった。


「ミルダ!作戦は!?」


メリルがその攻撃を避けながら言う。


「あいつの攻撃を避けつつあいつの体に攻撃を入れてやってくれ!まだどこが弱点か分からない!」


『了解!』


全員がそう言うと、触手を切り落としながらルリは攻撃を入れる。


「くらえ!<<交差する爪痕(クロスクロー)>>!!」


ズババァン!!!


その体にバツ印の大きな傷跡が刻み込まれる。その魔物は攻撃が効いているのか奇声を上げた。


「ギシュルルルルル!!!」


すぐに触手攻撃がルリに目掛けてやってくる。ルリはそれを避けて周りを走り回った。その時、ルリがつけたはずの傷跡が治っていくのが見えた。ルリはすぐ報告する。


「体に傷をつけてもダメ…!すぐ再生する…!」


メアが驚きながら言う。


「はあ!?じゃあどうすれば…。」


「きゃあ!!!」


メリルが触手攻撃を食らって、さらにその魔物に捕まってしまった。逆さま状態のまま片足を触手で掴まれている。


「メリル!!!」


心配したミルダがすぐに助けに行こうとするが…


ビシィ!!!


「ぐはっ!」


横から来ていた攻撃に気づかず、吹き飛ばされてしまうミルダ、壁に打ち付けられる。


ルリがメリルを掴んでいる触手を切り裂き、メリルを助けて1度壁の裏に隠れる。幸いメリルは軽傷だった。


だが打つ手が分からない、こんな時はどうするんだ…!とルリは考える。ご主人様なら…。ルリはふとある記憶を思い出した。




ルリは打つ手が分からない敵にはどうするのかグレムに聞いた。


『打つ手が分からない?なら試すんだ。1つ残らず、思ったことを。実際に試してみないと、本当に何も分からないままだ。だから、その時自分たちに出来ることを全力で試してみろ。』




「(そうだよね…ご主人様…!)」


ルリはグレムに買ってもらった指輪を見つめ、そして言った。


「エル!光属性の魔法があいつに効かないか試してみて!私は、あの目玉を全部潰してみる!」


「了解しました!ルリちゃん!」


2人は同時にやることを始めた、ルリは狂獣化(ビーストモード)になり赤いオーラを身に纏い、エルは魔法の詠唱を始める。


「ご主人様なら…!!」


ルリは目で追えない圧倒的なスピードでそいつのあらゆる場所にある目を全て切り裂いていく。そして最後の1つを切り裂いた時に言った。


「<<狂乱の連爪(インパツィーレコンボ)>>!!」


やっぱり、目は再生してない!あとは…


「エル!あとは頼んだ…!」


「任せてください!」


エルは大きく返事をする。


「<光の精よ!我が目の前にある邪悪な魔物を消し去る天からの光を授けたまえ>!!」


洞窟の真上の空に光の穴ができる、そして…


「<<天の…裁き(ホーリー…レイ)>>!!!」


光の穴から光の柱が洞窟の天井を貫いて降ってきた。その眩い光はその魔物を包み込む。


「ギシェエエエエエエ!!!」


その魔物はジュワァァァァ!!という音と共に浄化されていく。光属性の魔法が弱点だったようだ。


バキッバキッ!!


洞窟の天井が崩れ始める、ルリはミルダを抱えながら言う。


「みんな!早く洞窟の外へ!」


そう言われたメアとメリル、エルは洞窟の外へと出ていった。ルリも急いでその洞窟から出る。


その魔物は浄化されながらも洞窟の落盤に埋められた。


外に出た全員は腰を地面につく。


『はぁ〜』


メアが言う。


「疲れた…なんなのよあの魔物は。」


ミルダが言う。


「かなり強かったな…エルとルリちゃんがいなかったら危なかったよ。」


エルは謙遜する。


「いえいえ!私がしっかり魔法を撃てたのは、前線の人が頑張ってくれていたからなので!はい!」


メリルが言った。


「エルさん…まるで師匠みたい。」


メリルがそう言うとエル以外は笑いだした。エルはそれを見て頬を膨らませて言う。


「何がおかしいんですか!もう!」


みんな、笑うのをやめなかった。




「そうでしたか…かなり強かったと…。」


ギルドマスターに報告するミルダたち。


「はい、あれはフェニキライトでも手に負えません。実際、エルとルリちゃんがいなかったら全滅していたと思います。」


「分かりました…アダムアビスクラスの強さがないと倒すのは難しいと上にも報告しておきます。調査、ありがとうございました。」


ギルドマスターはぺこりと頭を下げた、その後に言った。


「報酬金もここで渡しておきますね!」


ずっしりとした重い袋を引きずりながら取り出したギルドマスターに少しミルダたちは驚いた。




「本当に…3分の1でいいのか?あんなに頑張ってくれたのに。」


ミルダはエルとルリに言う。


「私たちは…あまりお金に困ってないから…ご主人様のおかげで…。」


ルリが言った後、エルも言う。


「その報酬金で、新しい装備でも新調して下さい。今回のクエストでボロボロになってしまったようなので…。」


「そうか…ありがとうな。」


メアは気になっていたように突然エルとルリに聞いてきた。


「あんたたち…グレムのこと…本当はどう思ってるの?」


エルとルリは途端に顔が赤くなる。ルリが先に言う。


「強さでも性格面でも…尊敬している人……それに私は…ちょっと…恋愛感情を抱いてしまっている…。」


メアはニヤニヤしながらエルの方を見る。


「わ、私はそんな…ご主人様はとってもいい方で…それで…強くて…いつも優しくしてくれて、支えてくれて…感謝してもしきれないくらいの人です。」


「本当にそれだけ〜?」


メアはまたニヤニヤしながらエルに聞く。ミルダが止める。


「ほら、エルが困ってるだろ。もう止めろ。」


「別にいいじゃない!せっかくの女子会だし聞いておきたいの!」


エルは顔を赤くして少し大きめな声で言った。


「あぁもう!好きです!!大好きですよ!!今すぐにでも結婚したいくらいです!!理想の人です!!」


そう言った後エルは後ろを向いて「帰ります。」と言って、宿の方向へ歩いていった。


「それじゃあね。」


ルリもそう言ってエルを追いかけていった。


「まさかそこまでとはねぇ…。」


メアはニヤニヤしている。ミルダは「はぁ」とため息をつき、言った。


「ほら、帰るぞ。満足したろ。」


「そりゃもうね…ふふふ。」


そう言ってミルダたちはエルたちとは反対方向に歩いていった。




エルとルリが宿に着くと、部屋にはグレムが待っていた。2人に気づき、グレムは言う。


「おかえり、少し遅かったな。」


2人は顔を赤くして何も言わずに自分のベッドに座る。


「どうした?何かあったのか?」


グレムが不思議そうに聞くと、エルが言った。


「聞かないでください。」


「お、おう?」


グレムはそう言って自分のベッドに座った。そしてまた口を開いた。


「明日、1度デガル王国に行くことになった。王様からの勅令でな。だから、支度をしておいてくれ。」


ルリは少し驚きながら言った。


「明日…行くの?」


「あぁ、朝早くから出発するから、用意はしておいてくれ。」


「分かった。」


そう言ったルリはどこか嬉しそうだった、やはり故郷に行くからだろうか。


「エルも準備しておいてくれよ。」


グレムは笑顔で言う。エルはその笑顔をぼーっと見つめてしまう。


「?どうしたエル?さっきから様子が変だぞ?」


エルは言われた途端布団を被り少し怒りながら言った。


「ご主人様は鈍感です!!もういいです!!今日は寝ます!!」


「どうして怒ってるんだ?謝るから教えてくれ。」


「嫌です!」


そのやり取りをルリは笑ってみていた。


その夜3人は、笑ったり、怒ったり、少しいつもより騒がしく過ごした。


明日に悲劇が起こることを知らないまま…

どうでしたでしょうか?


次回はまさに悲劇の話になると思います、期待していてください…。


それでは、また次回お会いしましょう!

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