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第35話 波乱の後で

またもや少し遅くなりました…、申し訳ないです。


その分今回もかなり濃いめに内容を詰め込んだので楽しんで見ていってください!


それでは、どうぞ!

グレムとルリはギルドに向かいながら、マシル王国の大通りを歩いていた。


「今日は魚が安いよ〜!!」


「ポーションなど薬類が割引です!!いかがですか!?」


「試食会もやってるよ〜!是非どうぞ〜!」


グレムたちの心情とは裏腹に、マシル王国は明るい雰囲気のままである。ルリが言う。


「エル…大丈夫かな…。」


エルはあんな事があったからか、「今日は外に出たくない。」と言ったので宿に1人、残してきた。


「きっと、エルならすぐ立ち直っていつもの元気な姿に戻ってくれるさ。だから、今はそっとしておいてやろう。」


グレムは内心、まだ心配しながらもそう言った。


「今日はエルのためにもなるような事をしよう。それで土産話でも持って帰ってきてさ。」


「うん!」


ルリはやる気を出すような声を上げた。




ギルドに着き、早速クエストボードを見るグレムたち。


いい土産話になるようなクエストは〜と探していると後ろからギルドマス…いやセナに話しかけられた、だいぶ息が上がっている。グレムは聞く。


「どうしたんですか?何かありましたか。」


「緊急事態です…今このマシル王国にファフニールが向かってきているとの情報が入りました。」


この国に?ファフニールが?どうしてそんなまた、ベリルやエルドで起きたようなことが…、ドラゴンを操っていたやつは捕まえたはずだ。だが、こんな狙ったようなことが有り得るのか?


グレムは少し考えていた…セナが心配しながら言う。


「グレム様、大丈夫ですか?何か思い当たることでもあるのですか?」


「いや、自分がドラゴンを倒した時はみんなが操られていました…だからまたそういう企みを持つ奴がいるのかと…。」


「なるほど…。グレム様、考えているところ申し訳ないのですが、今現在、マシル王国でファフニールに対抗できるような人物はあなたしかいないのです。重ね重ね申し訳ありませんが、この国をお守りいただけないでしょうか。」


グレムは即答する。


「分かりました、この国が滅ぶのを見過ごすわけにはいきませんからね。ただ、討伐するかどうかは()()()()()()()()()。」


()()()()()()()()?どういうことでしょうか?」


「ファフニールと話をします。」


その言葉を言った瞬間、ギルド内は静まり返った。




「それじゃあルリ、ファフニールと戦うことになったらもしかしたら加勢してもらうことになるからよろしく頼む。」


「はい!ご主人様!」


ルリは元気にそう言って敬礼をする。何だこの可愛い生き物は。


「<<飛行(フロル)>>」


グレムは魔術を唱えファフニールの元へと飛んで行った。


セナやギルドの要人は心配そうにしながらもグレムを見送った。




【あぁ、もう腹が立つ!最近いい事無しだ。むしゃくしゃするから適当な人間の国でも滅ぼしてやろうか!】


ファフニールはそう思いながらマシル王国に向かって飛んでいた。


「あの〜、ちょっといいかな?」


突然横からした声にファフニールは驚き、止まって声のした方向を見る。そこにはグレムがいた。


【なんだ、人間。何か用でもあるのか。】


「いや〜用っていうか…あ、そっか。このままじゃ伝わらないか。久しぶりだから忘れるんだよな。」


そう言ってグレムは口をごもごもさせた後ドラゴンに通じる言葉で話し始める。


【これからマシル王国を滅ぼしに行く気ですか?それなら是非やめて頂きたいのですが…。】


【そんなことどうでもいいだろう、こっちはむしゃくしゃしてるんだ。何かで発散しないと気が晴れない。だから黙って見ていろ。】


【そうですか…】


グレムがそう言った瞬間、グレムは誰もが恐怖するような黒いオーラを出した。ファフニールはあまりの恐怖に少し震える。


【お前は…一体…普通の人間ではないな?】


さっきとは違い、身構えながら話すファフニール。グレムはそこで提案する。


【じゃあ私と勝負をしませんか?1体1で。】


【人間のお前と?我が?笑わせるな、力の差は歴然だ。】


【実際にやってみないと…分かりませんよ。】


その言葉を言った瞬間、またファフニールはグレムから恐怖を感じた。ニヤつきながらファフニールは言った。


【良いだろう、だが、私の気が晴れないようであったら、この国は滅ぼすからな?】


【それだと勝負の賭けにはなりませんので、私が勝ったら滅ぼすのをやめてもらって、負けたら、滅ぼすにして下さい。もし私があなたを一方的にボコボコにしたらあなたは気が晴れないでしょう?】


ドラゴンは笑って言う。


【どこまでも面白いやつだ。いいだろう、そうしてやろうじゃないか。】


【では、少しの間待っていてください。その国の人たちに報告しに行くので。】


【ふん、我を待たせるのは少し無礼だが、許してやろう。】


【お気遣い、感謝します。】


グレムはそうファフニールに言った後、マシル王国へと一旦戻って行った。




「ファフニールと…1体1で…ですか…。」


セナは心配そうに言う。


「申し訳ない、そこまでしか交渉できなかった。勝手にこの国の命運をかけたのは悪いと思っている。」


「いえ、ただ滅ぼされるよりかはましです。私から、王城の方々に連絡しておきます。…絶対に、死なないでくださいね?」


セナは心配そうな目で見つめてくる。いや、普通に可愛いからやめてくれといいたい。


「任せてくれ、絶対に滅ぼさせやしないよ。」


グレムはそう言った後、ルリの方を見て、頭を撫でて言った。


「ごめんな、ルリと一緒に2対1でもよかったな。こんなことになってすまない。」


「別に…いい…ご主人様のファフニールとの戦い方…見て参考にできるのなら…私はいい…しかも…いい土産話になる…。」


「ルリはいい子だな。」


グレムはそう言ってもう一度優しくルリの頭を撫でた。そして言った。


「じゃあ、行ってくる。」


『はい!』


そこにいたみんなが返事をすると、グレムは走って、ファフニールの元へと向かった。




【だいぶ待ったぞ、人間。】


ファフニールは言う、グレムは謝る。


【ごめんごめん、ちょっと話し込んじゃって。】


【しかも観客まで連れてくるとは…どうなっても知らんぞ。】


マシル王国の人々は、その自分たちの国の命運をかけた勝負を見過ごせないと思い、集まって見に来ていた、王族までも。


【結界を張ってあるから大丈夫だよ。邪魔無し、完全に1体1だ。さぁ、やろうか。】


【その言葉は我が言いたかったのに…、つくづく引っかかる男だ!】


そう言った瞬間、ファフニールは炎を吐いた。それとほぼ同時にグレムの足元に赤い魔法陣が光りながらほとばしる。


「<<赤炎の壁(アスモ・ミダル)>>」


グレムがそう唱えた瞬間、グレムの目の前に炎の壁ができ、ファフニールの炎を燃え尽きさせていった。


【(無詠唱でその魔術とは…中々やるな。)】


ファフニールがそう思っていると、炎の壁が出来ていた所の後ろにグレムがいない。


【(何っ!?一体どこに…!)】


グレムはファフニールの真上にいた。右手を握りしめ思いっきりファフニールの頭を下に向けてぶん殴った。


ドゴオォン!!!


ファフニールの頭が思いっきり地面に叩きつけられる。


【(なんだと…?並の人間の力ではこんなに…)】


「まずは1発っと。」


ファフニールはすぐに体を起こしグレムに言う。


【すまんな…今までは少し人間だと思って舐めていた…次からは本気でいかせてもらう。】


グレムは返答する。


【ファフニール様なら、人間など舐めて当然でしょう。】


【ふん…本当にお前は不思議なやつだ!】


そう言うと今度はファフニールは飛びかかってきた。


ファフニールは爪で切り裂こうとグレムに手を振るう。それをグレムは華麗に避け、回りながらファフニールの腹に蹴りを入れた。


【ガフッ!】


ファフニールの腹に蹴られた跡が残る、そして少しファフニールは血を吐いた。


【こんなもんじゃ…ないでしょう?】


グレムが言うと、ファフニールは笑いながら言った。


【ははは!久しぶりだ!こんなにも楽しいと思った人間との戦闘は!感謝するぞ。】


【最後まで付き合いますよ。】


【ふふふ…ははははは!!!】


ファフニールは今度は突撃してきた。その突撃してきた頭に向かってグレムは拳を入れる。


ドカアァァアン!!!


ファフニールの勢いが負け、後ろに滑り下がるファフニール。


【(全力の突撃でこれか…本当に強い実力者だ)】


グレムは今度は何をしてくるかワクワクしていた。その時、


【<<氷結の大地(フローズングランド)>>】


「(そう来たか…。)」


ファフニールが氷魔法を使ってきた。グレムに向かって氷の柱が地面から次々と生えてくる。


グレムの足元に薄い水色の魔法陣が光りながらほとばしる、そしてグレムは地面に手をつけ、こう唱えた。


「<<氷海の地表(ガギル・ミスティム)>>!!」


グレムが手をつけた場所から地面が氷に変わって、広がっていく。


グレムが地面を氷に変えていくとそれに負けるようにファフニールの氷の柱は割れ、なくなっていった。


ファフニールは魔法までも簡単に崩されたため、打つ手が無くなっていた。


グレムそこで言った。


【じゃあ、今度はこっちのターンです。】


【何を…】


グレムの足元に、紫色の魔法陣が光りながらほとばしる。


「<我闇より深き暗黒に身を通す者なり、今我の言葉に答え、その混沌なる暗黒をこの身に宿せ>!!」


紫色の魔法陣から黒色のオーラが出て、グレムを包み込んでいく。


変化に気づいたファフニールは止めようと飛びかかろうとしたが、その瞬間、グレムを中心に黒の光が上に伸び、周りに衝撃が走った。


黒の光が消えると、グレムは黒い闇に包まれた姿になっていた。


「<<黒き英傑(デルメ・エストロ)>>」


【その姿は…】


【いくぞ、ファフニール。】


その言葉を言った瞬間にグレムが消えた。


【(今度は、どこに!)】


上か!?後ろか!?いや違う、どこに…


【下さ。】


「<<闇の滅竜拳(アルケ・ストロム)>>!!」


ドグオォォン!!!


とても重いアッパーカットだった。ファフニールは意識を失いかける、だが、グレムは攻撃をやめない。


今度はまた上にグレムは一瞬で移動した。そしてファフニールの頭目掛け思いっきり左拳を握りしめ殴りながら言った。


「<<堕ちよ、王たる竜(ギルメ・ファフニール)>>」


ファフニールは地面に強く叩きつけられた、あまりの衝撃に意識を失いかけながらファフニールは言った。


【天晴れ…だ……な。】


ファフニールはそう言った後意識を失った。


グレムは「ふぅ…」と息をついた後、結界を解いた。


周りのマシル王国の人々からは歓声が上がり、みんなで喜びあっていた。


そんな中、ルリはこっちにとててててと走ってきて言った。


「凄かったです!ご主人様!戦い方、参考にします!」


「あんなのが参考になったのか?まぁ、ならよかった。」


そう言ってグレムは優しくルリの頭を撫でた。


そうしていると、国王がグレムたちの前に出てきた、それに伴い、周りの人々がざわつき出す。王は言った。


「見事であった。噂通り…いや、噂以上の実力があるようだな。」


「それ程でもないですよ、ただ、運が良かっただけです。」


「謙遜か…、あまりに謙遜しすぎると、相手は不快感を覚えるぞ、気をつけろ。」


王は少し笑いながら言った、そして続ける。


「明日、朝、王城に来い。お前と少し話をしたいからな。」


「承知致しました…陛下。」


グレムは国王に頭を下げながら言った。


「お前に敬語は似合わないな。」


国王はそう言って、マシル王国へと戻って行った。


「俺たちも帰ろうか、ルリ。いい土産話も出来たしな。」


そう言ってルリが頷いたその時だった。ファフニールは失った意識を取り戻し、立ち直る。マシル王国の人々は恐れて少し後ずさりした。グレムが言う。


【どうした?満足出来なかったか?】


ファフニールは首を左右に振ってから言った。


【見事だった、私の完敗だ。こんなにも力の差を感じたのは久しぶりだ。何百年も競争できる相手がいなかったからな。】


【じゃあ、約束は守ってくれるんだな?】


【ああ、私は負けた、しかも満足もできた。約束は約束だ、私はこの場から去ろう。】


そう言ってファフニールはグレムたちに背中を向けて飛び立つ準備をして言った。


【さらばだ、久しく見ぬ、強き者よ。】


【またいつでも挑戦待ってるからな。】


グレムがそう言うと、ファフニールは「ふっ」と笑い、遠くへと飛び去って行った。


「何を…話してたんです…?」


ルリが聞いてくる、グレムは言った。


「エルの前でもう1回ちゃんと最初から話してやるから。帰るぞ、ルリ。」


「はい!分かりました!ご主人様!」


グレムたちが戻ると共に、マシル王国の人々も自分たちの住居へと戻って行った。




自分たちの宿へと戻ってきたグレムたちは帰りに買ったケーキを持ちながらエルの元へと向かった。ドアを開ける。


「エル!帰ったぞ〜、ケーキもあるぞ!」


そう言うとエルはいつものように笑顔で、


「おかえりなさい!」


と言った。良かった、なんとか立ち直ったようだ。グレムは続けて言った。


「いい土産話もあるんだ、ケーキを食べながら話してやろう!」


「はい!」


エルは元気に返事をした。


その後はファフニールとの戦いの話をエルにしてやった。勿論ルリも聞いていた。


セナに声をかけられる最初から、ドラゴンと話した内容や、戦ったこと、そして最後まで話した。


エルは話を聞きながら笑ったり、「私も戦闘を見たかったです!」と頬を膨らませたりした。完全にいつものエルに戻っていた。




ルリがベッドで寝静まり、グレムも寝ようとベッドに入ると、エルがグレムに対して言った。


「私…少し心を傷つけられました…。」


グレムは言った。


「そりゃあそうだろう。あんな事があったんだ、しょうがない。」


そういうと、エルはまた話し始めた。


「それから色々頭の中で思い出して考えてしまいました。元奴隷だった時のこととか、そういう嫌な思い出を…。」


グレムは黙って聞いている、エルは続けた。


「けど私…思ったんです。これまでに嫌な思い出もあったけど、それ以上に楽しい思い出や、喜んだりした思い出が溢れてきたんです。だから…」


エルはバッとグレムの方を向いて言った。


「だから『こんな所で止まっちゃいけない』と、『これからも進み続けよう』と、私は思ったんです。冒険はまだ始まったばかりです!ご主人様との思い出作りをこれからも続けていきたいと心から感じられたから、こうして立ち直れました、ご主人様には、感謝してもしきれません!」


グレムはベッドから起き上がり、エルを抱いて頭を優しくポンポンと叩いた。そしてこう言った。


「俺のおかげじゃないよ。エルが成長したんだ、自分で考えて考えて、考え抜いたその先に、自分が進むべき道をエルが自分で見つけたんだ。だから…本当に成長したな、エル。」


グレムがエルを抱きながらそう言うと、エルは涙を流し始め、泣き出した。


「うわあああん!!!」


グレムはあやす様にエルを抱きながら落ち着かせようとした。


エルは今までよりも大粒の涙を流しながら、長い間泣いていた。

どうでしたでしょうか?


満足いただけたなら何よりです、あまり面白くなかったと思った方には少し申し訳ないです…文章力がなくてすみません…。


次回はまた話が少し動き出します。楽しみにしていてください!


それでは、また次回お会いしましょう!

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― 新着の感想 ―
[一言] 乗り越えるべき壁を越すシーンを面白くないなんて言うやついないよ。 少なくとも自分はすごく面白いと感じました
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