第34話 奴隷と平民
少し遅くなりました…申し訳ありません…。その分かなり濃い内容となっているので期待しながら見て欲しいと思います!
それでは、どうぞ!
「(これでいいのだろうか…)」
グレムは城内パーティに呼び出されたので黒いスーツ姿になっていた。
「ご主人様〜!!」
エルがこっちに手を振って走ってくる。グレムは手を振り返しながらそのエルの姿に見とれてしまっていた。
エルは以前自分が買ってあげた白いドレスより少し派手なドレスを着ていた。似合いすぎだし可愛すぎだし褒めるところが多すぎる。
「どう…でしょうか…?」
エルはドレスを左右に振りながら上目遣いで聞いてきた。
「いや似合いすぎだし可愛すぎて天使かと思った。エルはやっぱり白いドレスが似合うな。」
グレムはあまりのエルの素晴らしい姿に思いっきり本音を言ってしまった。その言葉が嬉しかったのかエルは少し顔を赤くして言った。
「あ、ありがとう…ございます…えへへ…。」
危ない危ない、ちゃんと意識を保たないと尊死しそうだ。
「ご、ご主人様!」
ルリの声がした、後ろを振り向くとなんとまぁ可愛らしい白い着物をきたルリがいた。こちらも似合いすぎている。もともとが白い狐だからだろうか。
「小さめのドレスより…着物の方がいいって使用人に勧められたので…ど…どう?」
またルリも上目遣いで感想を聞いてきた。グレムはまた本音を出してしまう。
「確かにドレスより着物の方がルリは似合うかもな。最高のマッチだ、とっても可愛いぞ。」
褒めに褒めちぎったせいかルリの顔はかなり赤くなる。そしてこう言った。
「こ…光栄です…ご主人様…。」
ルリも戸惑っているのか言葉遣いがいつもと違っていた。グレムはそれに少し笑い、ルリの頭を撫でた。すると…
「グレム様方、着替え終わったようですね。」
ミラさんが俺たちを呼びに来た。というかそもそもなぜこうなったのかというと…
『じょ、城内パーティって…失礼ですが…あなたは何者ですか…?』
グレムは恐る恐るミラに聞く。そうするとミラはクスッと笑ってからすぐ答えた。
『実は私の実名はマチュルド=マシル=ミラというんです。簡単に言ってしまうと私はこの国の王の姉です、よろしくお願いします。』
『よろしくって…ええっ!?』
それにしてもお姉さん!?そんな若すぎる見た目で!?どういう事だ…?
グレムがその言葉を聞いて考えに戸惑っているとエルが耳元で囁いて教えてくれた。
『マシル王国では代々、『マシル』という名が継がれていくんです。さらにマシル王国の国王は年齢がとても若いことで有名です。確か本に書かれていたのは16歳で国を持たせられるとか。』
16歳で国を持つ…若い歳にしてはかなり重いものを背負わされているのか…。というかじゃあなぜ姉じゃなくてわざわざ弟に国を持たせたんだ?
『ではなぜあなたではなく弟さんが国王を?』
ミルダが聞いてくれた、実にナイス!!
『実は私たちは四つ子でして…産まれて物心がついた後すぐに王権の話を親に持ち出されまして、誰が1番王になるのが相応しいか選定されたのです。そのとき、次男が1番国民からの投票数も王としての実力も大きかったために国王となったのです。他の私たち兄弟3人は王族として扱われながらも政治にはほぼ口を出せないようになっております。』
色々と複雑な事情があるんだな…難しい国だ。
『話が少し脱線してしまいましたね。という事なので城内パーティにあなた方も招待しようと思います。弟も…いや、王もきっと了承してくれるでしょうから。』
グレムたちは少し遠慮したが、結局、城内パーティに参加することにした。
「エル様とルリ様はかなり衣装がお似合いになってますね。グレム様は……あまり似合わないようで…。」
なんとかフォローするような言葉を考えたがなかったのだろう。グレムは言った。
「自分でもそう思います。」
「そ、それでは、パーティ会場に行きましょう!ミルダ様方は先に行って待っています。」
ミラがそういってグレムたちをパーティ会場まで案内してくれた。
「おぉ…凄い…さすが王城なだけあるな。」
グレムはその光景に感動する。
真っ白なテーブルクロスがかかった長い机の上に料理や皿がずらりと並べられ、それがいくつもある。
広さも十分すぎるほどでかなりの人数が来ても大丈夫であろう。そして天井にはこれ程までかというほどに派手なシャンデリアがあり、実に見応えがある。
俺が感動してる間にエルとルリは料理を取りに行っていた。俺も取りに行くかとグレムが思ったその時、わぁっと若い女性たちにグレムは囲まれた。そして質問攻めにされる。
「あの!もしかして!グレム様ですか!あの!英雄の!」
「あぁ…はい。そうですが…」
「ドラゴンを倒したって本当なんですか!?」
「はい…一応…証拠となるものは今は出せませんが…。」
「ミラ様が言っていたことは本当だったのね!?グレム様と会えるなんて思ってなかった!」
おのれ…ミラさんが何か言ったな…?ありがた迷惑だ、さすがに。そう思ってグレムはミラの方に視線を向けるとミラは「てへっ」というように左手を頭の上に乗せ舌を出した。今この状況下では可愛くないぞこら。
このまま質問攻めにされるのはごめんだと思い、「すみませんここまでで!」と言って逃げるように料理を取りに行った。
危ない危ない…あのままだとパーティも何も無いからな。と思って料理を取っていると、ふとエルの姿が見当たらないのに気づいた。
どこに行ったのか探していると、若い男性が集まっているところがある…まさか…と思いグレムはそこに近づくと…
思った通りだった、エルが男性に囲まれていた。
「君可愛いね、歳はいくつだい?」
「すみません、ダークエルフなので途中から数えてなくて…。」
「君男と付き合った経験とかある?なんなら僕が教えてやってもいいよ?」
「け、結構です。」
エルはかなり戸惑っている、グレムが助けてやるかと思った時、エルはグレムに気づいて先にこっちに来てグレムの後ろに隠れた。その男たちにグレムは言われる。
「なんだお前は。その子に何か関係あるのか。」
「一応婚約者です。」
その言葉にエルが反応し、グレムの服をギュウウと掴む。
「君、こんな男より俺たちの方がいい扱いをしてあげられるよ?欲しいものだってなんでも買ってあげられる。だから俺たちに…」
その男の言葉を遮るようにエルは言った。
「結構です。あとこんな男じゃないです。グレム様です。」
その名前を聞いた瞬間男たちは驚いた。
「グレム……?まさか…あのドラゴンを倒したっていう…。」
エルが続けて言う。
「そうです、あと魔王軍の四天王も1人退けています。あなたたちにはそれが出来ますか?」
「おい、エル…そこまで言う必要は…。」
グレムがエルを止めようとすると男たちは、
「す、すいませんでしたーー!!」
と言って散らばっていった。怖がらせてしまったな…なんとなく罪悪感が残る。
「おい、エル、あそこまで怖がらせる必要はなかっただろう。」
エルは頬を膨らませて言った。
「ご主人様をこんな男と言ったのが許せなかったんです!私は謝りませんよ。」
「エルの言う通り、あれはあの男たちが悪い。もぐもぐ」
いつの間にか料理を皿に盛って食べているルリが傍にいた。見てたのかよ…。
「はぁ、まぁ終わったことだしもういいか、パーティを楽しもう。俺はまだ何も食えていないんだ。」
そう言ったその時だった。
「静粛に!!」
パーティ会場にいる全員がそう声を上げた兵士に注目する。
「これから我らが国王陛下が参られる!しばしの間言葉を慎むように!」
そう言って奥の部屋から出てきたのはかなり若い、グレムくらいの歳の男だった。
その男は用意されていた椅子に座り、話し始める。
「今回は我が城内パーティにわざわざ来てくださったことにまず、感謝する。今日は各国の要人や貴族だけでなく、私の姉の娘を助けてくれた他国での英雄までもが招待されている。是非とも楽しんでいってほしい、それでは、乾杯!」
『乾杯!』
パーティ会場のみんながそう言った。
確かに、若い割には随分と国王をちゃんとこなしていそうだ。これなら政治関係も問題ないだろう。グレムがそう思っていると奥の部屋からもう1人、男が出てきた。
「なになに〜?なんだって〜!?今回は楽しんでいいのか!?やったぜ!」
随分と言葉の使い方がなっていないやつだ。奥の部屋から出てきたから王族なのであろうが…国王と比べると天と地ほどの差だな。
「あまり大事を起こさないでくれよ、兄上。」
「分かってるって、お前に言われるほど俺は頭が悪くねぇよ。」
国王が兄上と言ったからあいつは四つ子の中の長男なのだろう。性格上、あまり深くは関わりたくないな。と思いながらグレムは食事を取っていると、その長男がエルに目をつけた。
「随分と美人なエルフがいるもんだな。どうだ?俺の元に来ないか?」
「結構です。」
エルは冷たく言い放つ、そうするとその近くにいたルリにも目をつけた。
「お前さんも随分と可愛らしいじゃないか、うちの養子にしてやってもいいぞ。どうだ?」
「嫌です。」
ルリも冷たく断った。グレムが助けるまでもないかと思ったその時、
「あれぇ〜?もしかして。」
ガバッとエルのドレスを脱がしかけ、首元を見る。さらにその後にルリの着物も少しはだけさせ、首元を見た。そして言った。
「お前ら…元奴隷だな?お〜いこのパーティに奴隷が紛れ込んでいるぞ!見ものだなぁ!随分といい見た目してるのになぁ!」
その男はそうやってパーティ会場にいる人たちの注目を集める。そして段々と行為がエスカレートしていく。
「元奴隷ならさ、ご主人様にどんな扱われ方したのかな!?体を見せろよ!」
そう言ってエルのドレスを脱がそうとする、エルは必死に抵抗する。
「そんなに見られたくないってかぁ!?大人しく見せやがれってんだ!」
その男はエルに手を上げた、その瞬間その手をグレムが止めた。
「あぁ!?なんだお前は!?」
「冒険者のグレムという者です、その子の主人であるので黙って見ていられませんでした。」
その長男は「チッ」と舌打ちした後、エルから手を離した、そして言った。
「お前がご主人様か…さぞお楽しんだんだろうなぁ!?『英雄様』が聞いて呆れるぜ!」
グレムはその言葉に笑顔でこう言った。
「私からしたらあなたの方が王族として聞いて呆れますね。」
「あぁ!?」
「分からないようなので教えてあげます。首輪を外した奴隷は平民と同じ扱いになります。なので今あなたは王族が平民に手を上げるという法律的に犯罪行為をしました。相手が奴隷でしたら通りますが、平民なら手を上げたら犯罪ですよね?国王陛下。」
長男はその言葉に汗をかきながら国王の方を振り返って見る。
国王はコクンと頷き言った。
「さよう。今、私の兄は犯罪行為を起こした。さすがにこの公共の場でさらに目撃者が何人もいては庇いきれん。兵士よ、そのバカな兄上を牢獄に入れてやれ。」
兵士が長男を連れてくように動き出す。
「ま、待ってくれ、俺はまだ手を出してない!」
「ドレスを脱がそうとした時点で手を出してますよ。国王の兄上様?」
そうグレムに言われた長男は兵士に両脇を持たれて、牢獄へ連れてかれた。その方向からは「嫌だ!」という声が聞こえてくる。
「大事を起こすなといったはずなのに…法律くらい分かっていただろう…バカなやつめ…。」
グレムは今にも泣き出しそうなエルを励ました後、言った。
「それでは、私たちはどうやらこの場にはお邪魔なようなので、これにて失礼します。」
そう言ってパーティ会場を出ていこうとした時、国王が質問をしてきた。
「グレム…といったか?お主は…その奴隷たちの事をなんだと思っておる?」
数秒おいてからグレムは笑顔で言った。
「仲間…世界にたった2人だけの大切な仲間だと思っています。」
そう言ってグレムは2人を連れて去っていく。ミラが追いかける。
「待って!ごめんなさい!私があなた方を呼んだせいで!」
グレムは笑顔でこう返した。
「ミラさんは何も悪くありませんよ、こんな状況にした俺たちが悪いんです。」
なんであなたは…被害者なのに…。ミラは次に言う言葉が見つからず何も言えなかった。グレムたちはそのまま去っていった。
ドォン!!
「クソッ!」
ミルダは壁を殴った。
「近くにいたのに…何もしてやれなかった!守ってやれなかった!私は…!」
メアとメリルも同じ気持ちである。
「クソックソックソッ!!!」
壁を殴る音がかなりの回数、鳴り響いていた。
その時の空は曇りがかって月が見えなかった。
どうでしたでしょうか?
エルが可哀想すぎて自分でもこのストーリーを書くのに少し抵抗がありました…。次回はグレムvs???みたいな感じになります!お楽しみに!
それでは、また次回お会いしましょう!




