第12話 決戦、ドラゴン
なんとな〜くですがタイトルに少しつけたしたました。
前の方がいいと思う方がおられたら直そうかと思いますがあまりヒロインのことを意識させられないな〜と以前のタイトルで思ったのでこうしましたという理由です。はい、長々とすみません。
では第12話、どうぞよろしくお願いします。
ある男が言う。
「なぜベリル王都を狙った?」
もう1人の現在のベリルの状況が映っているオーブを見ている魔導師が言う。
「最近奇妙な噂を聞いてな…。」
「奇妙な噂?」
男が聞き返す。
「なんでも帝王熊をブロンズランクが一撃で倒したそうだ。」
「帝王熊を?ブロンズが?なんとも信じ難い話だ。」
男は嘲笑しながら呆れたように言う。
「だからその噂が本当か確かめるためにわざわざドラゴンを操ってまで襲わせているのか。」
「その通りだ、だから噂が本当なら出てくるはずだ。さすがに帝王熊とドラゴンではレベルが違いすぎるからそいつでもさすがに無理だろう。その時のそいつの絶望した顔を見てやりたいのさ…ククク…。」
魔導師は不敵な笑みを浮かべる。
その話を聞いていた男は全く呆れたやつだと思ってその部屋から出ていった。
『緊急警報発令!緊急警報発令!直ちにベリル王都内住民は南門まで避難してください!繰り返します!南門まで避難してください!』
ギルドのスピーカーから大きな声が鳴り響く。
グレムは言った。
「お前ら3人も早く逃げろ!ここにいちゃさすがに危ない!」
そう言うとソアラたち3人は頷いて住民と一緒に避難しに行った。その時またスピーカーから声がした。
『冒険者の方々は直ぐにギルドに集まって下さい!繰り返します!冒険者の方々は直ぐにギルドに集まって下さい!』
それを聞いてグレムは言った。
「エル、行くぞ!」
「はい!!」
2人は直ぐにギルドへ向かった。
ギルドの中でも混乱が起きていた。ドラゴンに敵うはずがないと思って錯乱する者、絶望する者、闘志を燃やす者それぞれがバラバラになっていてとてもまとめられる状況とは思えない…が、ギルドマスターが声を上げた。
「ドラゴン撃退、もしくは討伐に向かうものだけはこの場に残れ!冒険者とはいえ個人個人で考えは違うはずだ!逃げたいと思う者は逃げ、戦いたいと思う者は残れ!」
その言葉を聞いた冒険者たちの大半はギルドから出て南門に向かってしまった。残っているのは見た事のあるゴールドランク以上のみ。当たり前だ。ドラゴンなんて到底倒そうとは思わない相手だからだ。ギルドマスターがまた声を上げる。
「ここに残った勇敢なる冒険者たちよ!まずは礼を言う。ありがとう!そしてこれから直ぐに作戦会議を始める!もう今ドラゴンという災害は来ている!時間はない!直ぐにやるぞ!」
残った冒険者はその言葉に声を上げた。
作戦はこうだ、ドラゴンが町内、もしくは城壁外に降り立ち次第、対地用拘束弾でドラゴンを拘束し、冒険者で一斉攻撃を仕掛け、撃退、もしくは討伐するといったことだ。
だがその作戦には大きな問題点がいくつもある。
ドラゴンが町内に降りたらその町の被害は計り知れないし、とてもドラゴンが城壁外には降り立つことは無いと言えよう。
しかも目標のそのドラゴンは現在進行形でベリル王都の上空を回るように飛んでいる。降り立とうとする前に町が燃やされてもおかしくはない。
さらに対地用拘束弾を発射する装置を運ぶにも時間がいる。狙ったところにやつが降りてこない限りはほぼ不可能である。
グレムは「(この際しょうがないか…)」と思い、ギルドマスターに提案する。
「じゃあ俺がドラゴンを住民が集まっている南門とは反対側の北門城壁外に叩き落とすのでそこを拘束してください。対地用拘束弾も動かすのはそんな容易じゃないし、人数も必要でしょう。出来るだけ時間を稼ぐので準備が出来たら合図を下さい。そしたら叩き落とします。」
周りの冒険者はあまりのおかしいグレムの発言に驚いてグレムの方を見る。
ギルドマスターもさすがにそこまでグレムができるとは思えなかったが今までの帝王熊やゴブリンロードの功績を思い出し、信じてこう言った。
「確かに、叩き落とせるんだね?」
「はい、この町のためなら。」
「君を信じるよ、頼んだよ。」
「はい、では合図は手を振ってください。それだけでいいです。それでは、お願いします。」
エルが心配そうにグレムを見つめる。グレムはエルの頭を撫でてこう言った。
「心配するな、必ず戻ってくる。約束だ。」
グレムはそう言って誰よりも先に外に出ると、
「<<飛行>>」
と唱え北門上空を目指して空中を飛んで行った。
「まさか飛行魔術も使えるとはね…計り知れない男だ。」
ギルドマスターはそう言った後みんなに言った。
「彼に続け!一刻も早く拘束弾の用意をするぞ!」
ギルド内の冒険者は大きな返事を返した。
「ここら辺で待ってればこっちに戻ってくるだろう。」
グレムはドラゴンと同じくらいの高度を保って待っていた。
あのドラゴンは町を襲おうとせずずっと都内上空を回り続けている…誰かを探しているのか?いやだがそんな習性を聞いたことはない…だとすると…まさかな…。
グレムがある事を考えているとドラゴンは突然こちらを向いた。
操っている魔導師が言う。
「ほう…飛行魔術を使えるのか…だがそんなのこのこと出てこられたらせっかくの楽しみが無くなっちまうな…だが…ここから絶望する顔になるのも悪くない。」
そう言ってドラゴンをグレムに向かって突撃させるように操作した。
「やべっこっちに気づいた!というか突撃して来ている…?むしろ好都合ではあるが…やはり仮説は合っていたということかな。」
グレムはそう言うと突撃してくるドラゴンを真正面から迎え撃とうと空中で仁王立ちをしている。そして言った。
「ようドラゴン!自由に飛び回ってるところ申し訳ないが、ここは俺やみんなの思い出が詰まった大切な町なんだ。だから、止めさせてもらうよ!」
ドラゴンを操っている魔導師が言った。
「絶望した顔で死んでいけ!バカな冒険者!」
ドラゴンがグレムにぶつかる瞬間である、ドラゴンが後ろに仰け反った。
「は?」
あまりの驚きに言葉を失う魔導師。
「ふぅ…そういえば久しぶりにドラゴンを殴ったな…こいつの顔面殴るのマジで気持ちいいんだよな〜スカッとするわ。」
グレムは清々した表情で満足感を感じている。
またドラゴンがこっちに向かって飛んできた、さっきの倍ぐらいのスピードである。だがそれも…
「ほらよっとお!!」
今度はドラゴンの左頬に思いっきりパンチをするグレム。ドラゴンはさっきよりも大きく後ろに仰け反った。
拘束弾発射に使う装置が準備できたことをギルドマスターがグレムに伝えようとすると、そのドラゴンが後ろに仰け反ったのを目にしたギルドマスターは言った。
「本当…かよ…。」
そしてはっと我に返りグレムに合図を送るギルドマスター。グレムはその合図に気づき、助走をつけるためさらに高く上へ飛んで行った。
操っている魔導師が言う。
「しまった!少し目を離した隙に見失った!どこへ行った!?」
ドラゴンはグレムを探すように周りを見渡す。そうしていると上から助走をつけたグレムが物凄い速さで飛んでくる。そして…
「堕ちろ、ドラゴン。」
ドンッッッ!!!
グレムの強烈なパンチがドラゴンの背中に当たり、その反動でドラゴンが下に落とされていく。
地面にドラゴンが落ちた瞬間、ギルドマスターが言った。
「拘束弾!発射!」
対地用拘束弾がドラゴンの体に刺さり、何本もの丈夫なロープで固定される。ドラゴンはもがくが簡単にはちぎれない。次に冒険者たちが一斉攻撃をしかけに行った。
「うおおおお!!!」
そう言って男の剣士がドラゴンに剣を振るう。それに続いて他のものたちもドラゴンの体に攻撃をする。ドラゴンの体は徐々に傷ついていく。
「ギャオオオオオオン!!!」
ドラゴンは悲鳴を上げる。誰もがもう少し!と思ったその時、
「グガアアアアアアァァァ!!!」
ドラゴンの大咆哮に冒険者が吹き飛ばされる。体の近くにいた冒険者は城壁まで飛ばされ、体をぶつける。
そしてさらにドラゴンは拘束弾のロープを引きちぎり始めた。段々と拘束が解けていき全てのロープが切れてしまう。
「やっぱり…無理なのか…クソッ!」
男の冒険者が地面を拳で叩く。その時、詠唱をしながらひとつの影がドラゴンに向かっていくのが見えた。
「無茶だ!独りでな…んて…」
それは…グレムだった。
「<我が内に宿りし暗黒の闇よ、今我の言葉と共にこの手に全てを断ち切る剣として検出せよ>!!」
そう詠唱すると、グレムの右の掌に黒い魔力が集まっていく。
グレムは走ってドラゴンの首元目掛け飛んだ。その時彼の手には黒い剣が出来上がっていた。そして…
「<<闇に染まる暗黒剣>>」
ズバン!!!
ドラゴンの首が胴体から離れる。
誰もがその光景を見て驚いた…エルを覗いて…。エルはご主人様の余りのかっこよさに見惚れてしまっていた。
ドラゴンの首が地面に落ち、その体は力を失って倒れた。
そして…「うおおおおおお!!!」とその場にいた冒険者たちは歓声を上げた。
グレムの元にエルは走っていって抱きつく。
「やりましたね!ご主人様!」
グレムは少し何かを考えている顔をしていたが、直ぐに笑顔になりエルに言葉を返した。
「ああ、やったな!ドラゴン、討伐だ!」
冒険者の歓声は長い間止まなかった。
「クソッまさかここまでとは!」
魔導師はあまりの悔しさに机を強く叩いた。
「グレムとやら…絶対に許さないぞ…お前の絶望した顔を見るまで、俺は諦めないからな…。」
魔導師は憎しみを込めた目でオーブに映るグレムの顔を見ていた。
その日の夜はお祭り騒ぎだった。
ドラゴン討伐に大きく喜ぶ冒険者と住民たち。笑い合い、謙遜し合い、泣き合っていた。その様子をグレムは遠くの席から机に腕を着いて笑いながら見ていた。
「ご主人様はあちらに行かれないのですか?」
エルは勧めるようにグレムに言った。
「ああ、俺がいる世界とあっちは違うからな。」
エルはグレムが何を言っているのかよく分からなかったが、満足しているような様子が確認できたので笑顔になった。
ギルドマスターが近づいてくる。
「よっ"英雄様"。」
「だからその呼び方はやめて下さいって。」
グレムは少し笑いながら言う。
「まさかドラゴンを殴り飛ばせるとはさすがに思わなかったよ。しかも首まで取りやがって、お前まだ実力隠してるだろ〜。」
冗談交じりにギルドマスターは言う。
「そうかもしれませんね。」
グレムはあまり乗り気でないようだ。それが分かったのか最後に一言かけてギルドマスターは離れていく。
「何を言おうが、ドラゴンを倒したのはお前さんだ。報酬、期待しておいていいぞ。」
グレムは手を振って見送った、そこに何人もの冒険者たちが駆けつける。そして男の冒険者が言う。
「あんたのおかげだ!みんなが吹き飛ばされた時はもうダメかと思ったが…あんたに助けられた!ありがとう!」
それに続けてもう一人の男が言う。
「よくあの鱗が硬いドラゴンの首を跳ねられたな!凄いかっこよかったぞ!男の俺でも惚れてしまいそうになったくらいだ…ありがとな!」
「そんな大したことじゃない、お礼を言う必要は…」
「ない」と言おうとするとそこにいた冒険者たちは笑いながら揃って言った。
『大したことだろ!!』
その後もグレムはグレムを囲んだ冒険者から賞賛の声をもらい続け、結構時間が経った後にやっと冒険者たちは、
「本当にありがとうな!」
と言って離れていった。褒められ続けたグレムは疲れたのかため息をついてから、エルに言った。
「ここでこうやって喜ぶのも、明日で最後か…。」
「ご主人様?何か心がかりがおありですか?」
「いや?かえってスッキリしたくらいだ。もうやり残したことは無い。」
別れが来るのが嫌なのかグレムは何処か悲しそうにしていた、それを察知したのかエルは言う。
「今日は一緒のベッドで寝てあげます。」
「どうした?いきなり。別にいいけどさ。」
グレムは少し笑いながら言う。
「そうしたい気分なんです。」
「なんじゃそりゃ、まあ、それがエルか。」
そう言ってグレムは笑った後、言った。
「明日、ここを出よう。」
「はい!」
2人はその夜は深い眠りにつけた。
いよいよ出発の朝、いつもより早く起きたグレムはエルを起こして旅立つ支度を始めた。
あっという間に支度が終わると、エルに「出るぞ」と合図をし、ドアを開け、2階から1階に下がっていった。
世話になった宿の主人にグレムは言う。
「3ヶ月、ありがとうございました。」
「こちらこそだよ、あと…その…なんだ…。」
宿の主人は言葉を出すのを恥ずかしそうにしている。が、伝えようと意志が強まったのであろう。こう言ってくれた。
「あの……元気でな!」
グレムは笑顔で言葉を返す。
「はい!…あと、あの3人のこと、よろしくお願いします。」
「はいよ!金はもらってあるんだ。やることはやってやるよ。あと、そうだ!!ギルドから連絡が来ててな…。」
そういって宿の主人は1枚の紙をグレムに渡す。
その紙には「ベリルから旅立つ支度ができたらギルドに寄ってください」と書かれていた。
それをエルにも見せ、確認させたあと、グレムはもう一度宿の主人に言って入口のドアを開けた。
「では、お元気で!」
そして、ドアがバタンと閉まった。
ギルドに到着したグレムとエルは来た瞬間、受付嬢に、「椅子に座って待っていてください。」と言われた。
グレムたちはなんだろうかと思いつつも椅子に座って待っていた。
少しすると、あるカウンターからギルドマスターが手招きしているのが見えた。そちらの方向に2人は向かう。
そしてカウンターの前に立つ。グレムが少し疑問に思い、言う。
「あの…ここでいいんですか?」
「そうだ…今から重要なことを言うからちゃんと聞いておけ…?」
ギルドマスターがいつもより更に真面目な顔をしているので、グレムは少し緊張した。
「じゃあ言うぞ。」
そう言って1枚の紙を取り出し、ギルドマスターは読み上げ始めた。
「ギルド総本部会長ゲルン=マイワーズがここに、貴殿の今回の功績を称え、『フェニキライト』ランクへの昇格を許可する。」
その言葉を聞いた瞬間グレムは、
「ええええええええ!?」
と今までにない声を上げた。
どうでしたでしょうか?
1章が終盤に近づいていくにつれ段々と小説書いてるんだなあと身に染みてきています。
次回もよろしくお願いします。それでは




