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第11話 3人の行く末と鳴り響く警報

初めて書いた小説がみんなに読まれるってかなり緊張しますね…その緊張にも少し慣れてきてもいい頃だとは思うんですが…


では、第11話、どうぞお楽しみください。

「うわあああああ!!!やめてくれえ!!」


住民が魔物に家を潰され叫ぶ。だがその魔物は破壊をやめない、それどころか火を吹き町を火の海にしていく。


「どうして…ここに…何で…。」


その国の王は城からその惨状を見ながら言った。


「うおおおおお!!!」


剣を持った冒険者が声を上げながらその魔物の足元に剣を振るう、だが、鱗が硬すぎて全く効いていない。そして…


「ギャオオオオオオ!!!」


魔物は叫ぶとその冒険者を潰した。


ある冒険者が諦めて言った。


「もう…終わりだ…みんな殺されるんだ…。」


響く火の音と魔物の雄叫び、そして住民の悲鳴。その冒険者は憎しみを込めながら言った。


「絶対に…絶対に許さない!!ドラゴンめ!!うおおおおお!!」


その冒険者は無謀にもドラゴンに立ち向かい、潰されてしまった。




『明日からだが…君たちには自由に生きてほしい。』


あまりの言葉に驚く3人。奴隷に『自由』などという言葉を言うのは恐らくグレムだけであろう。


『奴隷をやめて平民として暮らす…まぁ住むところが住むところだけど、あの王子の元よりかは安心だろう。』


ソアラは言う。


『私たちを…解放してくださるというのですか…?けど…私たちまだその後の暮らしを…』


グレムが安心させるように言う。


『大丈夫、心配しなくていい。準備はしっかりしてあるんだ。まぁ、細かいことは明日伝えるよ。』




グレムがドアを開けて言う。


「おはよう!!朝だぞ〜!」


ソアラはその声を聞いてベッドから起き、返事をする。


「おはよう…ございます。」


グレムの声が聞こえたのか、リンとアリカも起き出したようだ。


「朝食は食堂だからな〜準備が出来たらすぐ来いよ〜!」


グレムはそう言って先に食堂へ向かった。


3人は支度を済ませると同じように食堂へ向かった。


目の前にはグレムとエルを含んで5つ分の朝食、パンにスープ、サラダ、ベーコンエッグ、そしてデザートのプリンが置かれている。


「これを…食べていいんですか?」


リンは奴隷であったからか不安に思って聞く。


エルが言った。


「ご主人様があなたたち3人分の朝食も用意してくださったんです!ご主人様に感謝しながら食べてください。」


我が物顔でエルが言う。はい、可愛い。


3人はやはりあまり慣れていないためか、1口目はゆっくりと朝食を口に運んだ、だが、1口目を食べた後、今までには食べたことがないくらい美味しいと思ったのか、朝食に思わず食いついてしまう。


「(あの王子この子たちに十分な食べ物を与えてなかったな?許せん。)」


そう思いながらもグレムも朝食を食べ始める、するとエルも食べ始めた。そのエルの様子を見てグレムは少し笑った。


あっという間に朝食を食べ終わると、グレムは言った。


「よし、じゃあ行くぞ!」


3人はまだ何も知らされていない、何処に行くのかも分からなかった。


「とりあえずその服をどうにかするか!奴隷服は流石にもう嫌だろう。」


そう言って3人とエルを連れて、エルの服を買った時の服屋に行った。




「いらっしゃいませー!!」


前と同じ店員だ。そしてまたあの時と同じようにグレムは言う。


「この3人に外に出ても恥ずかしくない服を着させてあげてくれ。」


「わかったよ、ほら着いてきな!また随分と可愛い女の子たちだねえ。」


そう言って店員と3人は試着室に行った。




「おお!似合ってるじゃないか!」


グレムが褒めるように言うと、3人は顔を赤らめた。


ソアラはエルフなので緑色のワンピースを着せている。緑色がこうも似合うと綺麗なものだ。


リンは少し背が小さいため、少し布が余る大きめの服の方が似合いそうだと思ったのか、黄色のニットにまた色が薄目の黄色のフレアスカート、そして少し長めの黒いソックスを履いている。私服の女の子といったらこんな感じであろう。


アリカは背が高く大人っぽい感じなので白いブラウスに白のプリーツスカート。なんとも大人っぽい仕上がりとなっている。いや、俺の感想ではあるが。


会計を済ませると店員にグレムは言った。


「店長いますか?少し相談というかお願いがあるのですが…。」


3人は今の言葉に疑問を持ったが、エルはその意味に気づいたらしい。そして店員が店長を呼びに行った。


「はい、私が店長ですが…ってグレム様!?どうしたんですか!?」


男の少しぽっちゃりとした人が奥からでてきた。さすがにここまで名前が広まっていると恥ずかしい。


「お願いなんですが、彼女をここで働かせて頂けませんか?」


グレムはソアラに指を指しながら言った。


「奴隷…にですか…?」


店長は少し困った表情をする、やはり難しいか。


「"元"ですけどね。」


そう言ってソアラの首元を見せる。首の錠は予め3人とも取ってある。


「彼女は裁縫が得意だそうです。無理にとは言いませんが、ここで働かせてあげて欲しいんです。店長も服を作る人員、足りないと思っていたんでしょう?」


グレムがそう言うと、


「英雄様には本当に驚かされます。たった1、2回来ていただいただけなのに、店のそんな事情にも気づいているとは…。まるで見透かされているようですね。」


店長はそう言った後、笑顔で言った。


「ですが元々英雄様の頼みだったら承るつもりでした。良いでしょう、その子を正式採用させていただきます。」


「(よっしゃ!)」と思いソアラをグレムが見ると、ソアラは(うずくま)って涙を流していた。グレムは心配して声をかける。


「どうした?ソアラ?服屋で働くのが嫌か?」


「違うんです…子供の頃から夢だったんです…私が自分で作った服を売る服屋さんになろうと…。」


グレムは分かってたよというように言う。


「『裁縫が得意だった』、それが奴隷になる前からだったとしたら、その特技をいつか活かそうと思って頑張っていたんだろう?だったら働くならここだと思ったんだ。喜んでもらえてよかったよ。」


グレムは蹲ったソアラの背中を安心させるように撫でる。


「じゃあ明日から、よろしく頼むよ!ソアラ君!」


「はい!」


ソアラは立ち上がって涙を拭きながら笑顔で店長と握手をした。


店を出て次の目的地に向かうグレムたち。アリカはグレムに聞いた。


「もしかして…私たちに職を就けようとしているのですか?どうして…。」


「自由に生きてもらうためさ、最後にまとめて説明をするよ。」


グレムたちはそう言って足を早めた。




今度はギム商店に着いた、グレムは入口のドアをノックして言う。


「ギムさん!いますか?」


「は〜い」


商店の奥から声がして、足音が近づいてくる。そしてドアが空く。


「はいどちら様…ってグレム君!!ちょうどあの奇病の件でお礼をしようと思ってたんだ!さぁ中に入って!」


ギム商店の中に入り、客人室に通される。全員が椅子に座ったところでギムが口を開いた。


「で、話があるんだろう?グレム君が来るってことは何か理由があるからだと私は思うからね。」


「さすがギムさん、話が早くて助かります。実はこの子を商店で働かせてあげて欲しいんですよ。」


グレムは今度は横に座っていたリンの肩をポンと叩いて言う。


「ほう?だが見たところこちらにとっての利点が…」


グレムはその言葉を待っていました!と言わんばかりの顔で言う。


「彼女は計算が得意なそうです。」


ギムはまさか!と思い席を立ってしまう。グレムは続ける。


「ギムさんが言ったことが噂になっていたんですよ、『会計士がいればもう少し自分の仕事が楽になるんだけどなあ』と。」


「そうなのか…それだとしてもこの店の事情まで考えていてくれているんだね。恐れ入った、それじゃあちょっと試させてもらうよ。」


ギムはそう言うと紙とペンをリンの前に出し、5問ほど口頭で計算問題を出した。


リンは全く迷いもせずスラスラとペンを進め、書き終わらせた。その紙をギムが見て言う。


「うむ!全問正解!素晴らしいほどだ。普段であれば私でも2問はミスをしてしまうよ。それも問題が書かれているわけでもないのに正解している。記憶力も十分だ。」


「では、リンをここで働かせていただいてよろしいでしょうか。」


「勿論だ!歓迎するよ!元々君には借りがあったから頼みくらいなんでも聞いてやろうと思っていたのだがね!逆にまた借りが増えてしまったようだ。」


ギムは笑いながら言う。グレムは言葉を返す。


「貸し借りとかなしでいきましょう?確かに交渉するなら重要ですが、()()()()()()とは自分は思っていないので。」


「それを君が言ってくれて良かったよ。」


グレムとギムはそう言って握手をした。グレムはリンの方を向いて聞く。


「会計士、やれるか?」


「はい!ありがとうございます!精一杯頑張ります!」


リンもまた、少し嬉し涙を流しながら言った。




「着いたぞ。ここが最後、アリカの仕事場だ。」


グレム達はそう言ってギルドに来ていた。その事を知っていたかのようにギルドマスターが2階から降りてくる。


「話があるって?"英雄様"。」


ギルドマスターは少し冗談交じりに言う。


「その呼び方はやめて下さいって。」


グレムは笑いながら言った。その後、真面目な顔をしてこう言った。


「単刀直入に言います。アリカをここで働かせてあげて下さい。」


グレムはギルドマスターに頭を下げる。さすがのギルドマスターも焦って言う。


「頭を上げてくれ、君に頭を下げさせたのが知れたら私の評価はだだ下がりだ。……だが…どうして?」


「彼女にはこれと言った特技がないんです、やりたいことも見つけられないと。だったら、見つけたらいいんじゃないかって思ったんです。ギルドではクエスト以外にも、町の管理や、事業の注文、カウンセラーもやっていると聞いています。」


アリカはそう言ったグレムの顔を見つめた。グレムは続けた。


「だから、色んなことを知って、学んで、それからやりたいことを見つけてもいいんじゃないかと思ったんです。ギルドで働いていれば色んな情報が飛び交うので、そこで働いているうちに自分が何をやりたいかが分かるかもしれない、そう思ったんです。」


アリカはグレムのその言葉に感動していた。そこまで自分のことを考えていてくれているとは思わなかったからである。


ギルドマスターはグレムのその真剣な話を聞いて何故か笑った。


「本当に君は人が良い、もともとは他人の奴隷であったその子にさえ、わざわざ首の錠を取って、平民として生活できるように職にまで就けさせるとは…さすがに恐れ入ったよ。いいだろう。ただし、グレム君の頼みだからといって甘くはしないからね。分かったかい?アリカ君。」


アリカは元気に返事をした。


「はい!!よろしくお願いします!」




「ということで。」


町の広場に来たグレムが言う。


「君たちには明日からこの都市で自由に生きてもらおうと思う。あの宿には君たち3人が3ヶ月いられるようにお金は払ってあるから心配いらない。もう自由なんだから、その3ヶ月の間で給料や物を揃えて、自分の家を建てるも良し、新しいやりたいことを見つけたりするのも良し、自由に世界中を旅してみるも良しだ。分かったかい?」


グレムは3人に聞いた、3人は頷く。


「俺とエルは明日にはこの町から旅立つから会えなくはなるけど、たまに連絡をしたりするか…」


言葉の途中でソアラが言った。


「ええ!?それなら怪我も治してもらって、美味しい食事も頂いて、似合う服まで買ってもらって、職にまで就けてもらった恩はどう返せば…。」


グレムは言った。


「俺が3人を引き取ったのに、最後まで責任持って一緒に過ごさないのは良くないとは思う。けど俺は君たちが()()()幸せに生きていけることを1番に望んでいるから。君たちがこれから幸せに生きていくことができたなら引き取った俺への恩返しになるよ。」


グレムは付け足してもう一度言う。


「だから、絶対、幸せになってくれ。約束だ。」


3人は涙を流しながらグレムに抱きついた。そしてそれぞれが「ありがとう」と言った。


グレムは代わり代わり3人の頭を撫でた。エルはその様子を笑顔で見ていた。


その時である。


『緊急警報発令!緊急警報発令!直ちにベリル王都内住民は南門まで避難してください!繰り返します!南門まで避難してください!』


ギルドのスピーカーから大きい声が鳴り響く。


住民は急いで南門まで避難していく。


その時、グレムたちの頭上を大きな影が覆った。グレムは上を見上げて言った。


「こいつは…」

第1章も終盤に差し掛かってきています、これからラストまでしっかりと物語を連ねていきますので応援、よろしくお願いします。


では、また次回会いましょう。

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