第116話 さようなら、大好きな人
遅くなりました…第8章、最終回となります…。予告はしませんでしたので、是非、自分のその目で、最後まで読んで頂けたら、と思います。
それでは、どうぞ!
グレムたちは、昨日、王女から聞いた話から、次の目的地に向かうためにベルディア王国内から出ようと、門の方へ歩いていた。グレムは言う。
「色々あったなぁ……。」
グレムはその色々な事を思い出しながら言う、エルは不満そうに言う。
「でも、ご主人様はこの国では大悪魔を倒す時以外、私たちは放ったらかしにしてましたけどね。」
エルがそう言うと、ルリが2度、コクンコクンと頷いた。グレムは申し訳なく思って言う。
「それに関しては、本当にすいませんでした…金輪際、こんな事は無いようにしますので……。」
エルはぷいっと反対側を向きながらその言葉にこう返した。
「まぁでも、ご主人様の教え子の試合が見れて良かったですけどね!」
ルリも言う。
「うん……あの子の魔術……ご主人様ほどじゃないけど…凄かった……。」
グレムは驚いて言う。
「え!?2人とも、見に来てたのか!?言ってくれよ〜だったら校長先生に頼み込んで、専用の席まで出してもらったのに……。」
エルはそのグレムの言葉に顔を赤くしながらこう返した。
「いいんですよ!ご主人様の隣にいたら…いちゃつきたくなりますし……。」
エルのその言葉に、グレムは思った。
「(うん、ダメだ、隣にいたら俺の理性も危ない。)」
だが、ルリはエルのその言葉に対してあまりよく思っていないように言う。
「でも……ずっとご主人様の腕に抱きついてられたかもしれないのは……ちょっと後悔した……。」
グレムはそのルリの言葉にも思った。
「(「いやお前ら可愛すぎか!?」って言いそうになった…危ない危ない……。)」
そう思っていると、エルが言い出した。
「まぁ、もう済んだ事ですし、いいですけど!!……放ったらかしは…嫌です……。」
グレムはその言葉にすぐこう返した。
「よし、じゃあ次こんな事があったら2人も一緒に連れていくよ。なんなら俺の腕に抱きついてくれててもいいぞ。」
そのグレムの言葉に、ルリは目を輝かせたが、エルは少しモジモジしながら言った。
「それは…ちょっと恥ずかしいです……。」
その言葉を聞いて、「じゃあどうすればいいのか」とグレムは思ってしまった。
そんなたわいもないような会話を続けていると、ベルディア王国の門に着いてしまった。門を出た先には、アリシア王女がわざわざ用意してくださった馬車があった。グレムは言う。
「この国ともお別れか……自分の持っていたクラスの生徒を思い出すな……。」
グレムが悲しそうにそう言って空を見上げているのを、エルとルリも少し悲しそうにしながら見ていた、その時であった。
バタバタバタバタバタ!!!と後ろから、誰かが走ってくるような音が聞こえた。気のせいか、「先生〜!!!」という声も聞こえる。
「なんだ?」と思ってグレムが振り向くと、グレムが持っていたクラスの生徒たちがこちらに向かって走ってきていた。そして………
『グレム先生!!ありがとうございました!!』
と、ほぼ全員で言いながら、グレムに抱きついてきた。あまりの数の多さに、グレムは後ろに倒れる。グレムは倒れた後に聞く。
「な、なんでみんながここに?授業中じゃないのか?」
そうグレムが言うと、生徒たちの後ろで、「オホンッ!」という咳払いが聞こえた。その音の主は、カイル校長であった、彼は話し出す。
「先日、グレム先生は報酬を受け取らなかったので、これは、その代わりです。まぁ、このクラスの生徒たちが、あなたが違う所に行ってしまうと言ったら聞かないものですから…という理由もありますが…。」
そう校長が言った後、グレムは生徒みんなに言う。
「君たちにはもう最後のお別れを済ませただろう、なんで来たんだ。」
そうグレムが言うと、アラナが「ふんっ!」と言って、顔を横に向けながら言った。
「先生がどこかへ行ってしまうのなら、見送りに来るぐらいいいじゃない!!け、けど、別に先生が気になった訳じゃないからね!?勘違いしないでよね!!」
グレムは「なんだそのツンデレの王道みたいな喋り方は」と、思って笑った。
「あはははははっ!!本当に面白いな、君たちは。俺は君たちの先生になれて良かったよ。」
そうグレムが言うと、生徒たちは声を合わせて言った。
『私たちも!!グレム先生が先生で良かったです!!』
グレムたちは馬車に乗り込む、そして、グレムは窓から顔を出して生徒たちに言った。
「じゃあ、元気でな!!みんな!!」
そうグレムが言うと、生徒たちからは歓声が返ってきた。
『先生もお元気でーーー!!!』
その後に、馬車が動き出す瞬間に、アラナの声が聞こえた。
「私!!やっぱり!!グレム先生の事が好きー!!!」
グレムはそれを聞いて、窓から「伝わったよ」と手を振った。
そして、生徒たちは、馬車が遠ざかって行くにつれ、それぞれが泣き出した。カイル校長が言う。
「よく我慢した……最後まで、笑顔で送れたな。グレム先生も、きっと喜んでいるよ。」
そう言って、カイル校長はその場にいた生徒たちを慰めた。
グレムは目の前で涙を流しながら自分を見ているアラナの頭を撫でながら言った。
『みんな、これで俺はお別れになるが、絶対に忘れないでいて欲しいことが一つだけある、それは……………俺たちは、離れ離れになっても、決していなくなったわけじゃない。』
そう言ってグレムは自分の胸に手を当てて、今にも泣き出しそうな生徒たちに向かって言った。
『みんなと俺は、常にここ……心の中で繋がっている。だから、絶対に忘れるな。俺がここからいなくなっても、みんなの心の中には、例えどんな時でも、間違いなく、俺がいるから。』
エルが突然馬車の中で抱きついてきて言う。
「えいっ!!これで、好き放題イチャイチャ出来ますね!!」
グレムは突然だったので驚く、エルの胸が顔に当たる。グレムは戸惑って言う。
「ちょっと…エルっ!!抱きしめが強い……。」
そう言うと、ルリはエルが羨ましかったのか、グレムの背中に抱きついた。そして、顔をすりすりと背中に擦らせる。
「えへへ……ご主人様の匂い……久しぶり…嬉しい…。」
すると、どこからか声が聞こえた。
【我がいることも忘れるでないぞ。】
エルとルリは馬車内を見渡すが、誰の声か分からない、その時、グレムは腰に着けていた剣を出して、2人に言った。
「これだよこれ、この剣が話しているんだ。」
それを聞いて、エルとルリは不思議そうにその剣に近づいて見ていると……
【ワッ!!!】
その声に2人はビックリして思わずグレムに抱きついた。……いや、なんで俺?
そうグレムは思いながらも、剣に話しかける。
「おいおい、あまり遊びすぎるなよ、サタン。」
そのグレムの言葉に、エルとルリは再び驚いて同時に言う。
『サ、サタン!!?』
その剣は笑って言う。
【ワーッハッハッハッハッ!!!そうだ、我だよ。これから世話になるぞ、エルと……ルリとやら。】
エルがグレムに問いかける。
「ご主人様、これは一体……。」
グレムはまだ2人に抱きつかれながらも説明し出す。
「ああ、実はな……
【じき、私も消えるだろう、今回は封印される物も何も無いからな。だから…お別れだ……最後にお前と戦えてよかった……グレム……。】
サタンは足元から体が透けていく、一旦ではなく、完全にこの世界から消えてしまうのだろう。だが、グレムはまるで以前から決めていたように、サタンに言った。
『サタン……俺たちと一緒に……冒険しないか…?』
サタンはあまりの思わぬ言葉に、言葉を失った。
数秒経った後、サタンは我に返り、グレムに言う。
【何を言っている、我と冒険など、もう……。】
グレムは次にサタンが言おうとしていることを予測して言った。
『いいや、出来るさ。<<複製>>。』
そうグレムが魔術を唱えると、1つの黒い剣が出来上がった。それを見てサタンは言う。
【それは……まさか……。】
グレムはサタンの言葉に続けるように言った。
『ああ、複製した物ではあるが、『封魂剣』だ。これなら、お前をこの中に入れて、お前の力を存分に発揮しながら、一緒に戦える。……どうだ?一緒に行かないか……?』
サタンは笑って言った。
【ハハハハハハ!!!敵だった我を冒険に誘うとは!!本当に面白い奴だ!!お前は!!元々、我はお前に負けた身だ。それならば、もう答えは決まっていよう……。】
そう言って、サタンはその封魂剣の中に入っていった。すると、サタンの闇の力がその剣に力をもたらし、闇の魔剣となった、その魔剣が喋る。
【では、これから宜しくな…グレムよ。】
グレムは笑って言った。
『こちらこそだよ、サタン。』
………という訳だ。」
その話を聞いて、エルは頭を抱えて言う。
「またご主人様は……人がいいんだか悪いんだか……。」
だがルリはその魔剣を見ながら言った。
「本当に……どこまでも……優しい…ルリは…そういう所……好き…。」
グレムはその2人の言葉を聞いて言った。
「これでみんなに強力な武器が行き渡った!!これからは楽しくなるぞ〜!!」
そう言って、グレムは馬車の中で笑っていた、他の2人…いや、3人も、後から同じように笑いだした。
今でも、先生だった頃の自分を思い出す。生徒たちからは、『友情』と『努力』…そして何よりも、『成長』を感じ取れた。
人間は不思議だ。たったこれだけの事に、心を動かされる。たったこれだけの事に、感動してしまう。
だからこそ、大事な事ほど忘れてしまうのであろう。だが偶に、そんな出来事を思い出してしまう、そして、また心を動かされる、心に残る。
だから、俺は言った。わざわざ絶対に忘れるなと念を押して。
記憶にはあまり残らないかもしれない、すっかり忘れたと思ってしまうかもしれない。だが、偶に、偶にでいいから思い出すんだ。
例えどんな時でも、先生は心の中にいると…。
どうでしたでしょうか?
次回からは第9章、開幕となります…。
ストーリーは、グレムたちの冒険を邪魔するように進んでいく…?楽しみにしていてください!
それでは、またお会いしましょう!




