第115話 『最高のさよなら』で
お待たせしました!今回は前回の後書き通りの話となります…。グレムは自分が持つクラスの生徒たちとどのように別れるのか、そして、前々から出てきている『星の導き』とは一体何なのか…。しっかりと読んでいってもらえると嬉しいです!
それでは、どうぞ!
「みんな、いきなりだが、俺は今日で先生を辞める事になった!!今までありがとうな!!」
一瞬、クラスが静まり返った。その後、みんなは、あまりの突然の発言に驚き、パニック状態に陥った。
だが、アラナは…アラナだけは、その言葉をしっかりと聞いて、グレムを見ていた。
グレムのその言葉を聞いて驚いた女子生徒が言う。
「そんな事…聞いてませんよ!?辞めるなら辞めるで、前々から言っておいて欲しかったです……こんないきなり……そんなのってないです!!」
そう言って、彼女は涙を流して泣き始めた。その時、みんなは彼女と同じような顔をして少し俯いていた。他の子達もそうなのだろう。その泣いている彼女と、全く同じ気持ちなのであろう。
その彼女の涙が、みんなの驚きを悲しみという感情に変えてしまう引き金となった。クラスは静寂に包まれる、決して良くは無い雰囲気になってしまう。そんな中、グレムは言った。
「泣くんじゃない、悲しむんじゃない。……突然の事で驚かせてしまったが、俺は君たちのそんな顔を見てここを出て行きたくない。」
グレムのその言葉に、一斉にクラスの生徒たちは俯かせていた顔を上げた。グレムはそれを見てから、また話し始める。
「寂しいかもしれないが、まず第一に俺は冒険者だ。決して、誰かの先生になれるような存在じゃない。本来はここよりもっと、下の場所で生きていた身だ。学園の教師なんて、冒険者には荷が重すぎるんだ。」
そうグレムが言うと、マルロは涙を流しながらも突然立ち上がってこう言った。
「どんな世界で生きてきたとしても!!そこがどれだけこことは違う世界だったとしても!!あなたは僕たちのたった1人の先生でした!!先生以外に、僕たちを満足させられるような人は、例え世界中を探し回っても1人もいません!!」
グレムはマルロのその言葉に、少し心が痛くなるのを感じた。その後に、今度は急にリーシャが涙目で立ち上がって言った。
「マルロ君の言う通りです!!私たちは先生に大切なものを教わりました!!色んな世界を教えられました!!私が実技テストで頑張れたのも、先生のおかげです!!私たちは、グレム先生がいなかったら凡人のままでした!!それをこんなにまで成長させてくれたのは、グレム先生!!あなたなんです!!」
また、グレムは心が痛むような感じがした、先程より、痛みが増したようだった。
また今度は、ルミノが立ち上がって、涙を袖で拭いながら言ってきた。
「2人の言う通り、僕たちにはあなた……グレム先生しかいないんです!!あなたがいなければこのクラスは成り立たないんです!!だから……このまま、行かないでください!!……。」
また、グレムは心が痛む。自分も腹を決めていたはずなのに、このクラスにいる生徒たち全員の悲しみを感じてしまった。その時に、マーズが言った。
「お前ら、やめろ。先生が困っているだろう?」
マーズのその言葉に、マルロが言う。
「お前……お前は…なんとも思わないのか!?あれだけの事を教えられておきながら、まだそんな事を」
マルロの言葉を遮ってマーズは机をバンッと叩いてから言った。その行動に、みんなは少し驚く。
「何も思わないはずが無いだろう!!」
そのマーズの発言にも、他の生徒たちは驚いた。マーズは涙を流し始めながら続けて言った。
「この、今まで『はみ出し者』とか、『異端児』がいるクラスを、1つにまとめてくれたんだ!!そんな…そんな先生は他に誰もいなかった!!直そうともせず、むしろ知らんぷりしていた!!だが、この先生は違った!!あんなにバラバラだったクラスを、こんなにもまとめ上げてくれたんだ!!そんな先生に…何も思わないはずが無い!だから…だからこそ!!止めるなんて事をせずに!!みんなで笑顔で送り出してやろうと思ったんだ!!このままだと、グレム先生は、悲しい気持ちのまま出ていってしまうぞ!?それでもお前たちはいいのか!?」
そのマーズの言葉に、立って話した3人は驚きながらも、体に衝撃が走る感覚を覚えた。そして、まだ涙を流しながらも、その3人は席についた。
グレムは自分のクラスの生徒たちの素晴らしさに感動していた。まるで、無造作にバラバラにされたパズルのピースが、1つずつ、元の位置にはまっていくような、そんな感じがした。
すると、アラナが立ち上がり、前に出てきて、グレムに向かって言った。
「この通り、私たちは、もう大丈夫です。例え先生がいなくなったとしても、みんなで褒め合い、許し合い、まとめ合いながら、このクラスは、1つになったまま、続いていくと思います。だから……だから先生は………。」
アラナは我慢していたのであろう、そこで、涙を流し始めた。それでも俯かず、しっかりとグレムの顔を見て少し涙声で言った。
「……だから先生は、私たちのことを心配せずに…笑顔でこの学園を去っていって下さい……。これが私たち…このクラス全員の出来る限りの…最高のさよならです…。」
グレムは少し涙を流した。たった数週間の事なのに、このクラスで起こった事が幾つも思い出されていく。
幾つも幾つも、尽きないほどの思い出が頭の中で思い出されていく。最初、初めて顔を合わせた時のクラスの様子が目に浮かぶ、魔術を教えていた頃の自分が目に浮かぶ、みんなが目を輝かせながら、自分の火の魔術を見ていたのが目に浮かぶ。そして………最後に、優勝した時のアラナの笑顔が目に浮かんだ、最初は、ただの『はみ出し者』であった彼女である。その彼女が優勝した時の笑顔は、何よりも尊かった。グレムはやっと自分の本当の気持ちに気づいた。
「(ああ、やっぱり俺はーーーーーー
ーーーーこのクラスが、この生徒たちが成長していくことが、何よりも嬉しかったんだ。)」
グレムは目の前で涙を流しながら自分を見ているアラナの頭を撫でながら言った。
「みんな、これで俺はお別れになるが、絶対に忘れないでいて欲しいことが一つだけある、それは……………」
学園内を出ようとすると、カイル校長が走ってきて、息を切らしながら言う。
「グレム先生、本当に、本当にありがとうございました……ハァ…ハァ…。報酬の……」
そう言って、ギルが入っているのであろう袋を渡そうとするカイル校長の言葉を遮って、グレムは言った。
「クラスをまとめあげることに、報酬なんていりませんよ。」
そう言ってグレムはその場を去っていった。カイル校長は、去っていくグレムの背中に何度も何度も、お辞儀をした。
ベルディア王城内にて……
グレムは、呼び出されていたので城の中でエルとルリに合流する、エルが言った。
「遅いですよ!ご主人様!!」
グレムはなんだか久しぶりに思えるご主人様呼びに少し戸惑いながらも言葉を返した。
「すまん、学園の話が長引いてな……申し訳ない……。」
すると、ルリが近づいて来て、グレムの目元辺りを触って言った。
「湿ってる……ご主人様…何か悲しいことでも…あったの……?」
そう心配するルリの頭を撫でて、グレムは言った。
「何でもないよ、気にするな。」
ルリは「?」と疑問に思っているのであろうか、少し首を傾げた、その時に…
「集まりましたか…グレム様。」
アリシア王女が正面にある階段から降りてきた、そして続けて言う。
「ここで立ち話は難ですし、どうぞこちらへ。」
そう言って、アリシア王女は王城内を案内してくれた。
着いたのは……客間だった、アリシア王女が言う。
「どうぞ座ってください。」
あるソファに向かってそう言われたので、グレムたちはそこに座る、すると、アリシア王女は反対側のソファに座って、自分が着けている月形のネックレスを外し、グレムたちと、アリシア王女の間にある机の上に置いてから話し出した。
「グレム様方は、星の導きというのを知っていますか?」
突然の質問に、エルとルリは驚きながらも、首を傾げた。だが、グレムは言った。
「はい、知っています。」
エルとルリは、ご主人様の言葉に驚いた、そしてエルは問いかける。
「ご主人様……私達も知らないことを……いつ、知ったのですか?」
グレムはエルにすぐ言葉を返した。
「あの〜アルガルド王国で俺だけダンジョン前にいたお爺さんに呼ばれた事があったろ?あの時だ。」
それを聞いて、エルとルリは「成程」と頷いた。すると、アリシア王女は言った。
「お2人は知らないようですし、最初から話しますね。」
エルは頭を下げて言った。
「ありがとうございます!!」
アリシア王女はすぐに返事を返してから、話し出した。
「いえいえ、このくらいのことはお礼なんていりませんよ。……それで…『星の導き』というのは、これの事です。」
そう言ってアリシア王女は1冊の新しそうな本を出した、その本の名前は…『八神官と星の導き』というものであった。
その本の名前をグレムたち3人が確認し終わったのを察したのか、アリシア王女はその本を開きながら言う。
「この中に、『星の導き』とは何かが書かれています。というかこの本自体が、その呼び名が広がった元となっています。」
そうアリシア王女は話しながら、本のページをパラパラと捲っていく。そして……何かを見つけたようで、途中でページを捲るのを止め、言った。
「丁度ここ辺りですね……。」
3人はアリシア王女が指で教えてくれている所を見るが、エルとルリは言った。
「え〜と、これは…何語ですか?読めないです…。」
「ルリも……分からない……。」
そんな中、グレムは言った。
「これは…古代文字だな…。つまりこの本の表紙が新しげだったのは…修繕したんですね…?」
アリシア王女はコクリと頷いてから言った。
「その通りです、瓦礫の下から見つかったため、あまりにもボロボロでしたので、直させてもらいました。」
アリシア王女のその言葉よりも、早く内容が知りたそうにしているエルとルリをグレムはちらっと見て、その内容を読み始めた。
「え〜と、なんだって?……『昔、世界は悪と名乗る者と、正義を名乗る者たちで争いが絶えず、世界の均衡は今にも崩れ去ろうとしていた。
だが、神はそんな私たちに、『人間』と思われる神の使い、8人をお与えくださった。その者たちの力で、世界は均衡を取り戻し、長く続いていた争いは止められ、世界の均衡は保たれるようになった…。
人々は、その神の使い、8人にそれぞれ、ある名前をつけた、神官という名前を。そして、そのそれぞれの『神官』が得意とする魔法の属性で、名前を分けた。
そして、その神の使いの8人の中の1人は言った。
『我はこの者たち、7人の神官を統率する者、即ち大神官である。今後、我らの事はこう呼びたまえ。『火の神官 ドゥーベ』、『水の神官 メラク』、『風の神官 フェクダ』、『雷の神官 メグレズ』、『氷の神官 アリオト』、『光の神官 ミザール』、『闇の神官 アルカイド』そして……我、『大神官 アウストレラス』と。』
それを聞いた人々は、七人の各神官につけられた名前から、彼らのことを『星の導き』と呼ぶようになった。さらに、あるものを2つ、その『大神官』から渡された。そしてこう言われた。
『世界の均衡が危うくなった時には、すぐにそのネックレスを強く握り、願え。さすれば我らはすぐに駆け付けるだろう。』
そのネックレスは、太陽の形をしたものと、月の形をしたものだった。人々はそれをこの世界を統治するのにふさわしい者2人に与えた…………』と……これから先は読む必要は無さそうだな。」
そう言って、グレムは本を読むのを止めた、すると、アリシア王女は言った。
「私…実はあなたたちが大悪魔サタンを倒しに行った時、このネックレスを強く握って、願ったんです…これを私に渡した人物が、『国に大きな被害が起こりそうな時はそれを強く握って願え、すぐに助けが来るはずだ。』って言ったので……その時……。」
グレムはアリシア王女が途中で言葉を止めたのを不思議に思って聞く。
「『その時』…何ですか?」
アリシア王女は、言いにくそうな顔をしていたが、ようやく決心したのか言った。
「この月形のネックレスから声がして言われたのです…、『彼らなら……大丈夫だ……安心しなさい…。サタンはすぐにその者たちにやられる…。そして、申し訳ないが…その後にその者たちを我らの元に寄越してくれないか。』と……。」
グレムたちは訳が分からなくて3人で同時に言った。
『はい…?』
どうでしたでしょうか?
次回は……長かった第8章も最終回となります…。詳細は…今回は言いません!!なので、投稿されてから、その内容をじっくりと見てもらいたいと思います。
それでは、また次回お会いしましょう!




