第111話 一瞬の油断
今回は前回の実技テスト、もとい大会の続きです!!!今回は各ブロックから先鋭たちが揃っていきます……一体誰が出てくるのか…そして初戦は一体どうなるのか…楽しんで読んでいただけたらと嬉しいです!
それでは、どうぞ!
実技テストの午前の部が終わり、A、B、C、Dの各ブロックから、ブロックの勝者として、4人の生徒が出揃った。
Aブロックからはアラナが、Bブロックからはマーズが、Cブロックからはエリアスタという子が、Dブロックからはルミノが選出された。
リーシャはCブロックだったのだが、その火の魔術で猛威を振るっていたところで、そのエリアスタという子に惜しくも負けてしまった。その後の彼女はかなり悔しそうにしていた。
グレムは、先生が座る本部の席に座っていた。すると、丁度昼休憩の時間にグレムが持っているクラスと、他クラスの女子生徒が本部の近くまで集まって来て、名前を呼んできた。
「グレム先生はいらっしゃいますか!?」
グレムは振り返って、「は〜い」と返事をした後、そちらへと向かうと……何人もの女子生徒が目を輝かせて同時に言ってきた。
『グレム先生!!一緒にお昼ご飯でもどうですか!?』
グレムは特に断る理由も無かったので、その女子生徒たちにこう返した。
「いいよ…じゃあどこか場所を取ろうか。」
そうグレムが言った瞬間女子生徒たちは「きゃー!!」、「やったーー!!」と喜んで騒ぎ出した。グレムは「やれやれ」と思っていた。
本部で、ある男の先生がカイル校長に言う。
「グレム先生……人気ですね…。それも女子生徒からかなり人気が高いです…羨ましい。」
彼がそう言うと、校長先生は笑って返した。
「はっはっはっ!!羨ましいのかね?だが、あの人気は取れないと思うよ。私から見ても、彼は先生としても、一人の人間としても、尊敬をしてしまうくらいの素晴らしい男だ、きっと、女子生徒たちはそれを見抜いているんだろう。」
その男の先生は机に肘をつき、掌の上に顔を乗せて言う。
「尊敬……ですか……。」
校長先生は嘘をついたことがない。だから彼はよっぽどの人なのだろうと思い、そう言ってから何かを諦めた。
「先生!私のシートを使って下さい!!かなり広めなので先生も座れると思います!!」
ある黒髪のショートヘアーの女子生徒からそう言われて、グレムは笑顔で返事をする。
「ありがとう、じゃあお言葉に甘えさせて頂くよ。」
グレムはそう言いながら、彼女のシートに座り込んだ。なるほど、これで地面に座っても汚れないというわけか……だいぶ進んでるな、この国は。
そうグレムが思っていると、女子生徒たちは全員目をキラキラさせてこちらを見てくる、グレムは「なんだ?」と思う。すると、ある女子生徒が聞いてきた。
「先生は、誰が優勝すると思いますか!?」
「おお、急だな」と思いながらグレムは考える。う〜む、マーズはまず除外して……確かにルミノとアラナは強かった…が、エリアスタという子の試合を見れてないからな……分からん!!故に、グレムはこう言った。
「誰が勝つかは明確には言えないかな〜、みんな強いし。あと俺、申し訳ないけど、エリアスタって子の試合を見れてなくてな……どうも分からん。」
そうグレムが言うと、ある女子生徒が言った。
「エリアスタちゃんは、主に光属性の魔法を得意としています!!……まぁ…これだけではあまり役には……」
彼女がそう言いかけた時、グレムは言った。
「情報ありがとう、それで結構絞れた。」
そうグレムが言うと、周りの女子生徒たちは驚いた、そして聞いてくる。
「で、では…どうなると思いますか…?」
グレムはエルが作ってくれたサンドイッチを食べながら説明する。
「まず、全員の得意属性を確認しようか……そこの子、アラナの得意属性は?」
指名された子は答える。
「か、風でした……。」
グレムはそれを聞いて次の子を指名する。
「はいじゃあマーズ君の得意属性は?君。」
その女子生徒はグレムの質問に答える。
「火でしたね!!間違いなく…。」
グレムはその子に言葉を返してから次の子を指名した。
「正解。じゃあ、次、ルミノ君の得意属性は?奥にいる〜君!そう君だ、答えてくれ。」
少しだけ遠くにいた女子生徒は少し戸惑いながらも言う。
「か、雷でした…素晴らしいほどの…。」
グレムはそれを聞いて言う。
「そしてエリアスタっていう子は光だったな、じゃあ、考えてみよう。誰が一番有利か。」
そう言って、女子生徒たちが考えている間にグレムはサンドイッチを頬張る。しっかりとした味付けなのに、どこかさっぱりとしている。うめぇ〜これもう愛妻弁当って事でいいよね?
そう思っていると女子生徒の1人が言った。
「先生!!やっぱり分かりませんよ〜!!互いに弱点属性を突いているわけでもないですし、ノーヒントだと……あまり考えられません!!」
周りの子もその言葉に賛同するように頷く。グレムは「ちょっと難しかったか」と思ってから、その女子生徒たちに話し始めた。
「正解は……アラナだ。」
女子生徒たちは驚く、 そしてその中の1人が言う。
「それは……贔屓しているわけでは無くてですか?」
グレムはすぐに言葉を返した。
「あったり前だ!公平に見ないで勝負は出来ん!説明するからちょっと待て……?」
そう言って、グレムは最後のサンドイッチを口の中に押し込んで、飲み込んでから言った。
「まぁ、その生徒が隠し球を持っていたとしたら変わるかもしれないが、俺の見解はこうだ。まず、速さにおいて圧倒的に他の3人に負けているマーズはかなり苦戦を強いられるだろう、それに最後はたった4人のトーナメント、休憩時間も少ない……つまりこの時点でマーズが勝つことはかなり確率が低いから除外する。」
そこまでで特に質問は無かった、グレムはその様子を見て、「ここまでは行き着いていたのか」と思ってから、話を続ける。
「でだ、だったら速さにおいてはとてつもない2人、エリアスタちゃんとルミノ君のどちらかだと思うだろう。だが、それは間違いだ、なぜなら、光属性の魔法も、雷属性の魔法も、互いにほぼ一撃必殺の攻撃魔法しか持たない、その分、詠唱も必要になるし、無詠唱はさすがに簡易的なものでないと無理だろう。だが、風は違う、風は魔法でも魔術でも、詠唱の言葉が少なく、無詠唱だって簡単だ。それ故に、1番先に相手に攻撃を食らわせる風が1番有利になるわけだ。」
そうグレムが言い切ると、女子生徒たちは納得したようで、「なるほど……」と言った顔をする。ある女子生徒が質問してきた。
「グレム先生!!それだと、ルミノ君みたいに、雷を纏うということをされたら結果が変わりませんか?」
グレムはその質問に待ってましたというように答える。
「残念ながらそれは違う……とは言い切れないから、ほぼ間違いということにしよう、なぜなら、さっきも言ったように、風の魔術が一番早い……つまり、雷を纏おうとしている時に風の魔術で攻撃されたらどうする?詠唱は途中で止まり、纏うことが出来なくなるだろう。しかも、纏われたとしても、風属性の魔法や魔術を使っていれば、自然と雷や光属性の相手にはある弱点があると気づけるんだ。だから、風は負けない……この弱点は、実際に試合を見てみるのがいいだろう……それじゃ、シートありがとう。俺はもう戻るよ、じゃあな。」
そう言って、グレムは女子生徒たちに手を振って本部へと戻っていった。女子生徒たちは、未だに考えながらも、グレムの考えが誰もが納得する様なものであった為に、より、グレムを尊敬する気持ちを持って、昼の時間を過ごした。
本部へと戻ってきたグレムはすぐに席に座る、今、もう試合を始める準備をしている所だった。グレムは思う。
「(アラナ……見せてやれ。己の強さを、その努力を……!)」
グレムはニヤッと笑った。
試合の司会を務める先生が言う。
「さぁ!!ついにやって参りました、準決勝第1試合目!!ワイルス・ルミノ対アナスビア・アラナ!!今、すぐに試合開始です!!」
ルミノがアラナに言う。
「悪いね…この試合は負けられないんだ……女の子だからって手加減はしないよ。」
アラナは上に両手を組んで上げ、伸びをしてから言葉を返した。
「奇遇ね、私もよ。ここで勝って、私が凄いってことを証明してやるんだから。」
ルミノは「ふっ」と笑って構えた、審判が言う。
「それでは、準決勝第1試合目、初め!!!」
開始の合図がなったとほぼ同時に、ルミノは詠唱をし出した。
ルミノは思う。
「(この隙は確かに大きい……だが、僕はこの間に、雷のバリアを張れることに気づいた!!来れるなら来てみろ!!)」
「<雷の精よ!今こそ我に、天をも支配する、雷神のごとき力を与えたまえ>!!!」
だが、アラナは動かなかった、一切の攻撃もルミノにせず、ふわあぁぁと欠伸をしながら立っていた。司会者が言う。
「おーーーーっと!?これはどういう事だ!?アラナ選手、雷を相手に戦意喪失かーー!?」
ルミノは不思議に思いながらも詠唱を言い切り、こう唱えた。
「<<雷神の加護>>!!!」
バリバリバリバリッ!!!
辺りに稲妻が走る、ルミノは完全に雷を纏っていた。そして、思った。
「(なんだか分からないが、これで僕の勝ちだ!!)」
そう思って、ルミノは突撃する、すると……アラナは言った。
「やっぱりね。確かに、先生の言った通りだわ。」
ルミノはアラナが何を言っているのか分からなかったが、アラナを競技場の外へと突き飛ばそうとしたその時、緑色の魔法陣がアラナの足元に光りながらほとばしり、アラナは左腕をルミノの方へ向け、唱えた。
「<<風神の暴風>>」
ビュオオオオオオオオオ!!!!!
凄まじい程の暴風がアラナの左手から放たれて、ルミノは吹き飛ぶ。その暴風は、観客席まで届いた。アラナは言う。
「先生はある授業で言ってたわ……『光の速さに限りなく近づいた者は、必ず油断する』って、本当だったわね。「自分より速いものがない」と思うと、何も考えずに正面から突っ込んでくるんだから……だから吹き飛ばされたのよ……ルミノ君。」
そのアラナの暴風が止むと、ルミノが吹っ飛んだ方向の壁にルミノはめり込んで気絶していた。審判は、それを見て言った。
「勝者!!アナスビア・アラナ!!!」
会場から、わあああああと歓声が上がる。いとも簡単に、雷を攻略したからである。
アラナは本部で座っているグレムに向かってお辞儀をした。グレムは笑顔で拳を握りしめ、親指を立て、「グッジョブ」とアラナに伝えた。
どうでしたでしょうか?
次回は誰もが気になるエリアスタ、そしてマーズの試合が中心となります……一体どうなるのか、予想しながらお待ち頂けたらと思います!
それでは、また次回おあいしましょう!




