第110話 開幕、実技テスト
今回は皆様がお待ちかね(?)の『実技テスト』の話となります!!色々な生徒たちが、個人で奮闘している様子を読んで、見て、楽しんで頂けたらと思います!
それでは、どうぞ!
カイル校長はずらりと各クラスに分けて並べられた生徒たちの前に立ち、拡声器を使って言った。
「え〜、色々と問題が起こりましたが、いよいよ今日はほんっっっとうに実技テストを開催します!!」
言葉を言い終わると、生徒たちは歓声を上げた。おそらく、数日前のサタンの件で一旦実技テストが中止になったのがよっぽどもどかしかったのだろう。カイル校長は続けて言う。
「この間も言ったように、互いに相手を尊重し合い、大怪我などを起こさないよう、実技テストに取り組んで頂きたい!!それでは、以上!!」
カイル校長が頭を下げて、生徒たちの前から去ると、大きな拍手が送られた。「いよいよか…」とグレムは思う。
代表である先生が、カイル校長から拡声器を受け取り、前に出てきて言った。
「それでは!!トーナメント表を配布します!!」
その代表の先生は、クラスごとに並んでいる生徒たちに紙を配り始めた。
「うわ〜私トーナメント表でDだった〜。」
「私はCね、アラナちゃんは?」
突然隣にいた同じクラスの女子生徒に声をかけられたので、少しだけ戸惑いながらもアラナは返答する。
「私は……Aね…。」
そうアラナが言うと、その隣にいた女子生徒2人は驚いた。
「え……A!?強豪揃いのトーナメントじゃない!!アラナちゃん……大丈夫?」
アラナは気にしないでというように返す。
「やってみないと分からない事だってあるわ、それに……あなたたちも私より、自分の心配を先にした方がいいわよ。」
そうアラナが言うと、その女子生徒2人は声を合わせて言った。
『アラナちゃんを心配するに決まってるでしょ!!』
アラナは突然の言葉に少し疑問を浮かべる、そうしているとその2人のうちの1人がアラナの手を握って言った。
「前までは……あなたをはみ出し者にすることに加担していたけど………今は違う!!あなたは私たちにとっては大切な友達なんだから!!」
アラナはその言葉に衝撃を受けた、今まで、1度も『友達』と自分に言ってくれる人はいなかった。親しい間柄になってくれたのは、先生くらいしかいなかった。だが、同じ年齢層で、さらに『はみ出し者』が普通のようにされたクラスで、初めての『友達』が出来たことにアラナは思わず涙を流した。すぐにその『友達』が心配してくる。
「あ!!どうしたの!?泣かないで!!何か悪いこと言っちゃった……?私……。」
アラナは自分の言葉に心配し出したその子に向かって止まらない涙を拭いながら言う。
「いや……これは…嬉し涙……。『友達』なんて言われたの…初めてだったから…嬉しくてつい…。」
そう言われた2人は互いに目を合わせ、少し笑ってから、そのうちの1人が言った。
「『友達』なんだから、これくらいの事、当たり前でしょ?それと…これからもよろしくね、アラナちゃん!!」
アラナは涙を流しながらも笑顔で「うん!!」と言った。
グレムはこの実技テストのトーナメント表を見ながら思っていた。
「(どうやら、この大会は学年ごとに分けられた後、さらにランダムで、A、B、C、Dのトーナメント表にそれぞれが振り分けられ、その振り分けられた相手と、1対1で試合をするのか……。誰と当たるのか分からないのが面白い……ただ、前回優勝者が……Aにいるのか、しかもマーズじゃないのか……意外だな。初戦は誰と当たるんだ?この子は……。)」
そう思って、その前回優勝者の名前の隣を見ると、アラナと書かれていた。グレムは思わず驚いて目を少し擦ってからもう一度見る。だが、確かに『アラナ』と書かれていた。
「(おいおい、最初っからめんどくさい敵と当てられたなぁ……アラナ。やりすぎるなよ〜?」
グレムはそう思って、トーナメント表を持ちながら、自分のクラスの子たちが試合を行っているところの状況を見に行った。
ここでは、リーシャが試合を行っているらしいな。最初に会った時、『どうやってドラゴンを倒したのか』とか聞かれたっけ。とグレムは思いながらリーシャの試合を見る。どうやら、リーシャが押しているようだった。相手の生徒が押されながらも魔法を使う。
「くそっ!!<<巻き上がる渦潮>>!!!」
リーシャは確か火の魔法を得意としていたな。さぁ、リーシャ、どう返す?
リーシャはそれを読んでいたかのように詠唱をすぐ始めていた。
「<太陽よ!今こそその熱き光で!全てを干からびさせる日照りを起こせ>!!」
「<<干天の太陽>>!!」
ピカアアアァァァァァ!!!と、眩い光が当たりを包み込む、それは、大火傷をするくらいの熱い光だった。相手が出した水魔法はいとも容易く干からび、消え去った。そして同時に……
「うわああああああ!!!熱い!!熱い!!!」
相手は腕を火傷したようで、余程それが痛かったのか、地面に倒れこんだ。その瞬間、審判が止めて言った。
「勝負あり!!勝者、アルマル・リーシャ!!」
そう審判が言うと、リーシャは笑顔になってぴょんぴょんと飛びながら喜んだ。
「やった〜!!!初戦勝てたの初めて!!嬉しい〜!!」
「可愛い…」とグレムがそう思いながら彼女の様子を見ていると、リーシャはこちらに気づいて、近づいて来て、そして言った。
「グレム先生!!ありがとうございます!!先生のおかげで勝てました!!」
グレムはその言葉にリーシャの頭を撫でながらこう返す。
「いいや、これはリーシャの努力が大きな勝因だよ、よく頑張ったな。しっかし、魔法を使わないで魔術で勝つとは……考えたな。」
そう言ってリーシャの顔を見ると、顔は太陽のように真っ赤になっていた、グレムはすぐに察して言った。
「ああ!ごめんリーシャ!!つい頭を撫でてしまって……嫌だったよな…?」
リーシャは最初の言葉は大きな声で言ったが、その後の言葉は小さい声で言った。
「いえ!嫌ではないです!!大丈夫です…。むしろ…嬉しいくらい……。」
グレムは少し安心して言う。
「嫌じゃなかったなら良かった、ごめんな、突然頭撫でたりして……それで、その後なんて言って………ああ、もうこんな時間か、後で聞くことにするよ。すまん、次の試合も見逃せないんだ。リーシャ、また後で!!」
そう言ってグレムは走り去っていった。リーシャは、グレムが走り去った後も彼の背中を見ながら、顔を赤くしていた。
次はグレムはルミノの試合を見に来ていた。まだ始まってないのを見て、グレムは安心して息を整える。そして、こう思った。
「(確かルミノ君は……雷魔法が得意だったよな……?どんな試合が見れるか…楽しみだ。)」
そう思っていると、審判が試合開始の合図をした。
「では、スタート!!」
開始の合図がなると同時に、ルミノは詠唱をしながら、雷を纏い始めた。
「<雷の精よ!今こそ我に、天をも支配する、雷神のごとき力を与えたまえ>!!!」
ドカアアアアアァァァン!!!
空は晴れているはずなのに、どこからともなく雷がルミノに落ちてきた。
バチバチバチッ!!バリバリッ!!
「<<雷神の加護>>!!」
ルミノは雷を纏い、少し宙に浮いていた。その様子を見て、相手は少し怖がるが、魔法を使ってきた。
「だ、<<闇の荊>>!!!」
相手がそう言って地面に手をつくと、黒い荊が、ルミノに迫ってきた。だがルミノは、雷のような速さでそれを避け、そのまま相手を競技場の枠の外まで押し出した。
一瞬の事だったので、審判は数秒驚いていたが、言った。
「しょ、勝負あり!!勝者!ワイルス・ルミノ!!」
周りの人達も驚いていた、全く見えなかったのであろう。グレムはそれが見えていたので別のことを考えていた。
「(競技場の外に出すだけでも勝利なのか…見落としてたな。)」
そう考えていると、ルミノがこちらに近づいてきて言った。
「先生!!どうでしたか!?僕の魔法は!!」
グレムは返答する。
「おお、かなり良かったぞ。それにしても、雷魔法を纏うとは……もしかして……俺の真似か?知っていたのか…?」
ルミノは笑顔で返事をした。
「はい!!雷を纏ってドラゴンを倒した英雄がいるという話を聞いて、調べてみたら、グレム先生に辿り着きました!!だから……もしかしたら魔法でも同じことが出来るんじゃないかと思いまして……。どうでしたか?」
グレムは少し考えるような素振りを見せたが、すぐに言った。
「う〜ん、そうだな〜。まぁ、100点かな!応用も出来てるし、ミスもなかった!素晴らしかったよ、おめでとう。」
そう言ってグレムは2回優しくルミノの背中を叩いた。すると、ルミノは言った。
「もう少しで…アラナさんの試合が始まりますね………先生!!見に行ってあげてください!!」
ルミノは自分の嬉しいという感情より、先に他人の心配を優先して言った。グレムはその言葉にこう返した。
「うん、性格も100点!!いい思いやりだ!!じゃ、行ってくる!!」
そう言ってグレムは走り去っていった、ルミノはその様子を笑顔で見て、手を振っていた。
「(相手はあの問題児のクラスのはみ出し者……初戦は楽勝だな。)」
前回優勝者、メイルド・ワーカーはそう思っていた、その正面にアラナが立って、頭を下げて言う。
「対戦宜しくお願いします。」
ワーカーは少し笑みを浮かべながらこう返した。
「ああ、宜しく、『はみ出し者』さん。」
アラナはそう言われても全く気にしていないような素振りを見せた。グレムはなんとか試合が始まる前にアラナの試合を見にこれた。グレムはアラナに笑顔で、さらに、大声で言った。
「頑張れよ!!!アラナ!!!」
アラナはその声が聞こえた方向を一瞬だけ見て、また正面に顔を戻し俯きながら顔を赤くした、そして小声で言う。
「恥ずかしいでしょ……ほんと、馬鹿なんだから…。」
すると、審判が試合開始の合図をした。
「それでは、試合、開始!!!」
その瞬間にワーカーは闇の魔力を右手に込めて突っ込んできた。
「(すぐに終わらせてやるよ……見てろ!!あの先生に何も言わせなくさせてやる!)」
その時、アラナは言った。
「そう来ると思った、最初から私を舐めているようだったものね。」
ワーカーはその言葉にこう言った。
「何を………!!」
その瞬間、ワーカーの足元に緑色の魔法陣が光りながらほとばしった。
「<<風神の罠>>」
そうアラナが唱えると、ワーカーは下からとてつもない風力で上に、さらにかなり後ろに飛ばされた。
そして、ワーカーは、競技場の外へと出てしまった、アラナはその瞬間に言う。
「私を舐めるんじゃないわよ……三下が……。」
審判は少し戸惑いながらも告げる。
「し…勝負あり!!勝者、アラナ!!!」
周りから歓声が巻き起こった。誰も、こんな結果を予想出来なかったからである。アラナは試合後にグレムの元へと来て言う。
「あんな応援のされ方したら!!恥ずかしいでしょうが!!」
グレムはハッと気づいたような顔をして言う。
「確かに……、ごめん……。」
アラナはそう言ったグレムにこう返す。
「別に……そこまで反省することじゃないわよ!!それに…少しだけ…少しだけよ!?……う、嬉しかったし……。」
あかん、この子、ツンデレだったのか。ツンしかないのかと思った……。めちゃくちゃ可愛いな。そう思って黙っているグレムにアラナは言う。
「黙ってないで、何か言いなさいよ!!」
グレムは我に返って改めてアラナに言う。
「おめでとう、アラナ、めちゃくちゃ可愛かったぞ。」
アラナは突然の可愛いに顔を赤くしながら言った。
「そこは普通、勝負の結果のことでしょうが!!もう知らないんだから!!」
そうアラナは言って、顔をぷいっとこちらから逸らして歩いていった。
だが彼女は内心、嬉しさで心臓が爆発しそうだった。
どうでしたでしょうか?
次回は実技テストの中盤戦と、グレムと各クラスの女子生徒たちとの会話がメインとなります……一体、誰が最後まで残るのか…予想しながら、お待ち頂けたらと思います!!
それでは、また次回お会いしましょう!




