第106話 自分だけの道
今回は過去のサタンと過去のグレムの戦いがメインとなります…一体どのような展開となるのか、そして…サタンがグレムに教えられた事とは…?これより前の作品から気になるところを探しながら、この作品でその答えを見つけるように読んでいってください!
それでは、どうぞ!
トントントン……
サタンは階段を上る、そこは魔王城の闘技場に続く階段であった。
『…………っ!!!』
階段を上りきったサタンは目の前にいる男のあまりの強者のオーラに少し身震いする。その男は振り向いて、言った。
『………来たか……待ってたぞ。『サタン』。』
これだ、我が求めていたものは。紛うことなき最強、そして、誰よりも優しい………。この男を超えずして最凶や、大悪魔など語れない。この優しすぎる強者を倒す事によって、やっと我は『最凶』となれるのだ。
サタンの目の前には、若き頃のグレムが立っていた。その頃からもう、彼は誰からも一目置かれる存在であった。
その他を寄せつけない圧倒的な力、そして、一大陸くらいある寛容さ。どこを取っても、誰からも、尊敬されるような男……実はサタンもディアボロスと同じように、彼の背中を追っていた。
その優しさはともかく、サタンは圧倒的な力を持つ存在になりたかった、その強さ故に、誰からも一目置かれる存在となりたかった。だから、ディアボロスよりも、いや、誰よりもグレムの背中を追っていた。
だが、いくら知識をつけようが、戦闘での実力をつけようが、何をしても彼の背中には届かなかった。
努力だけでは、到達できない領域に彼はいた。決して付いてはいけない場所に立っていた。
だから…だからこそ追いつきたかった。彼が見ている世界を自分でも見てみたかった、だが、その夢は本当にただの『夢』だった。1度ふぅっと息を吹けば消えていってしまうようなものだった。結局、辿り着けなかった………
『な〜に暗い顔してるんだ。俺を倒すことで、お前の理想が叶うんだろ?なら、明るい顔をしようぜ。』
グレムは笑顔でサタンにそう言う、サタンは「余計なお世話だ」と内心思いながら、頭を下げて言葉を返す。
『突然の頼みを受けてくださってありがとうございます。グレム様。』
グレムはそのサタンの言葉使いに気に入らなかったのか、言った。
『これから戦うんだ……上下関係とかは無しにしよう。公平に戦いたい、そうだろう?』
サタンはその言葉を聞いて、言葉使いを改めた。
『我は絶対に負けない……あなたにここで勝って、『最凶』の悪魔になってやる……。』
グレムは笑いながら言った。
『そうそう、お前はそういうのが似合うよ………じゃあ、始めるか……。』
サタンはその言葉を聞いた瞬間、闇のオーラを纏った、グレムも同じように、闇のオーラを纏う。サタンは言った。
『いいのか?闇を得意とする我には、闇の魔術や魔法なぞ効かない……そんなこと、分かっているのだろう?』
グレムはニヤリと笑って言った。
『闇を持って闇を制す……今の俺にぴったりだ…お前が思っている尽くを凌駕してやろう。』
サタンは「これは私の方が有利だな」と思ってニヤリと笑い、言った。
『では、行かせて頂く!!!<<闇の光>>!!!』
闇の魔力が込められた小さな球が、グレムに恐ろしい速さで向かっていき、グレムの目の前で光り、爆発を起こした。
『(完全に当たった…。)』
そう思ったサタンは、その後の闇の霧が消えた後の光景に思わず言葉を失った。
『お〜お〜お〜!!結構いい威力だ。食らってみたが、これはかなりいいな…悪魔になるには相応しい程だろう。』
目の前には、攻撃を食らったのにも関わらず、無傷のグレムが立っていた。サタンは訳が分からなかった。
『(悪魔の魔法を…食らっても効いていない…?そんな人間、この世にいていいはずが………)』
そう思っていると、グレムが話しかけてきた。
『おいおい、この程度で何驚いてるんだよ。まだ勝負は始まったばかりだろう?』
サタンはその言葉を聞いて思う。
『(そうだ!!驚いている暇は無い!!あれで無傷なら、もっと威力のある魔法を使って、立たなくなるまでやってやればいいんだ!!!勝つことだけを考えろ!!)』
そう思い、サタンは次の魔法を繰り出した。
『<<闇の雨>>!!!』
サタンは右腕を上に上げ、その右の掌に闇の魔力を込めて闇の球を作った。その後にその闇の球から、更に闇の球がグレムに向かって追尾するように降り注いだ。
グレムはサタンがまるでそれをやってくるのを知っていたかのように詠唱をしていた。グレムの足元に黒い魔法陣が光りながらほとばしる。
『<我闇を操る者なり。今、目の前の敵を全滅させる圧倒的な力をこの場に示さん>!!!』
『<<殲滅する闇雨>>』
グレムもサタンが出した<<闇の雨>>と同じような魔術を繰り出した。
サタンが出したその闇の魔法は、グレムの魔術に1つずつすべて打ち消されるどころか、貫かれ、そのままサタンを追尾するように向かってきた。
『(我の魔法を…こんな簡単に…!?)』
そう思いながらも、サタンは防御魔法を張ろうとするが……
『<<闇の壁>>!!』
パリィン!!!!
確かに張った筈の闇の防御魔法が、音を立てて割れた。
『<<妨害>>』
グレムは、そのサタンの防御魔法に対して、妨害魔術を使っていた。
サタンに向かって、グレムの出した闇の雨が降り注ぐ、だが、サタンはこう思っていた。
『(いくらグレム様の魔術とあれど!!所詮は闇魔術!!私の体力が回復するだけだ!!吸収してやる!!)』
サタンは防御魔法を妨害されたので、その闇の雨を自ら受けた、すると……
ドドドドドドドドドドドンッッッ!!!!!
『ガッハッ!!!』
その闇の雨は、吸収どころか、それすらも貫通してきた。サタンの体に、いくつもの風穴が開く。サタンはあまりのその雨の数の多さに耐えきれず、血を吐いた。
『舐めるんじゃない……こちらは言っただろう?『闇を持って闇を制す』と……お前はこちらの闇魔術を吸収しようと思ったのだろう?残念だったな……俺の魔術は、お前が吸収出来るほど弱くない。覚えておけ……。』
サタンはグレムがそう言っている間にも、闇の魔力で自分の体を治療する。
『(そんな簡単にやられてたまるか……!!この何年も、あなたの背中を追い続けたんだ……!!こんな…こんな差があるはずがない!!!こんなに立っている場所が遠い筈がない!!)』
サタンはそう思って、まだボロボロのまま立ち上がりながら、次の魔法を唱えた。
『<<闇の百矢>>!!!』
サタンの周りに、闇の穴がいくつも出来て、その穴の中から、何百もの矢がグレムに向かって飛んできた。グレムはまるでそれに対抗するかのように魔術を使った。
『<<闇に染まる暗黒剣>>』
サタンは「この何百もの矢をそんな細い剣で防ぎきれるものか!!!」と思いながら、ありったけの闇の矢を、グレムに向けて撃ち込む。
すると、グレムは自分から矢に当たりに行くかのように、サタンに向かって前へと進んできた。
キィンキィンキキィンキキキキキィン!!!!
恐ろしいほどの数の矢を全て剣で受け流し、グレムは突っ込んできた。サタンはその光景に驚きながらも、畳み掛けるように魔法を使う。
『<<消魂の暗黒>>!!』
ブワッと、全ての矢を剣で弾きながら近づいてくるグレムに向かって、闇がサタンから放たれる。
『(この闇の中に入れば最後だ!お前の魂は消えるだろう!この距離はさすがに避けられまい!)』
そうサタンが思っていると……
ズバァン!!!!
その闇は、グレムの闇の剣によって両断された。そして、そのままグレムにサタンは目の前まで距離を詰められ、何度も体を斬りつけられた。
ズバァンズバァンズババババン!!!!
『グアアアアアアアアァァァ!!!』
あまりの痛みに悲鳴を上げてしまうサタン、だが、グレムはその剣撃をやめることなく、何度も何度も斬りつけてきた。
ズバババババババババンッッッ!!!!
殺される……このままでは……我は殺されてしまう…もう、対抗策が無い。ここまで距離を詰められれば、出来ることが無い。なんとか……何とか一旦距離を取らなければ……!!
そう思って、ほぼ最後の力を振り絞り、サタンは高くジャンプをしてグレムから離れようとした。すると、突然、上から声が聞こえた。
『そうだよな…距離を取る以外に選択肢は無いものな、今のお前には。……堕ちろ、サタン。』
サタンがこう動くと分かっていたグレムは、サタンがジャンプをした頭上から、思いっきり地面に向かって殴りつけた。
ドグオォン!!!ドガアアアァァン!!!
『グッッッハッッ……。』
サタンは思いっきり地面に叩きつけられ、地面にめり込んだ。グレムは上から下りてきて、サタンが倒れている前で言う。とても起き上がれそうには無かった。
『自分でも分かっていたんだろう?……俺には勝てないと…それでも、諦めきれなくて俺に勝負を挑んだ。お前が見てきた中で、一番俺が強かったからだろう。……人の背中を追いかけるのもいいが、自分だけの道を見つけて歩むことも大事だ。お前も、少しは考えろ、自分の事だろう?』
グレムはそう言ってその場を去っていこうとする、サタンは動こうとするが、限界なのか、体が動かない。それほどまでの力を押し付けられたのかと理解する。改めて、この男が最強だということを分からされた。
『自分だけの道』か…それなら…我は……我は……。
ーーーーー地上で誰にも恐れられる『大悪魔』になってやる。敵わない敵がいたって関係ない。我は、最凶の悪魔ではなく、大災害の悪魔なのだから。
【思い出したよ……グレム…久しぶりだな。】
そう言って、闇の魔力が込められたとてつもなく大きな球をサタンはしまう。グレムは笑って言う。
「思い出してくれたか……なら話が早い。戦う前に、話し合いをしないか?」
サタンは有無を言わさずに即答した。
【断る、なぜ我がそなたと話などしなければならない……それとも、それほどの理由があるのか?】
グレムは一度俯いて、数秒経たせてから顔をサタンに向けて言った。
「お前を召喚するための生贄になった人を返して欲しい。大切な人なんだ、頼む。」
サタンはその言葉を聞いて笑いだした。
【ハッハッハッハッハッ!!!!ア〜ハッハッハッハッ!!!お主は、我に死ねと申すのか?人間の分際で……。】
グレムは申し訳なさそうに返した。
「ああ、すまないがそうなる。それしか…方法が無い、こればっかりはどうしようも無いんだ。分かってくれ。」
サタンは威圧するような言い方でグレムに言葉を返す。
【『大悪魔』の我が……せっかく封印が解けて出てこれたのにも関わらず、すぐに死ねと……?……笑わせる。身の程をわきまえろ、人間。】
グレムは「やっぱりな」と思ってから言った。
「じゃあ、久しぶりにやり合うしかないかな、サタン。さっきの言葉から察するに…覚悟は出来てるんだな…?」
サタンはニヤリと笑って言った。
【私もあの頃から成長を重ねた……以前の私とは比べ物にならないくらい力が跳ね上がっているという事を教えてやろう……。】
グレムとサタンは対峙し、互いにとてつもない闇のオーラを出す。そして、その後に、グレムは飛んでサタンに突っ込んだ。
「行くぞ!!!サタン!!!」
【迎え撃つ……グレム…!!】
どうでしたでしょうか?
次回はやっと、今のグレムとサタンの戦いになります…皆様が予想できない展開が待っているかも…?乞うご期待です!!
それでは、また次回お会いしましょう!




