第105話 だから我は
今回は前回に引き続きサタンの過去の話となります…。ディアボロスを良く思わなくなってしまったサタンはこれからどうなっていくのか…そして、彼に残された道とは…?
気になるところもかなり多いと思います!楽しんで見ていってください!
それでは、どうぞ!
サタンとディアボロスが魔王城に来てから、数年が経った。
サタンは、『大悪魔』になるために、何度も何度も悪魔についての本を読み漁り、読み返し、悪魔の知識をつけていった。同様に、自分の力を引き出すことにも訓練を積み、向かうところ敵無しと言われるくらいの実力がついていた。
ディアボロスも、自分ではない誰かを助けられるようになるために、サタンほどでは無いが、悪魔の知識を深め、実力にも力をつけていっていた。
2人は、『悪魔としての実力』の順位で、他の悪魔を物ともせず、1位と2位を争うくらいになっていた。ディアボロスはその順位表を見て、サタンに言う。
『またサタン君に負けて2位だった〜!!悔しい!!…サタン君は凄いなあ、他の悪魔を全く近寄らせないほどの力を持っているのだから。』
サタンはディアボロスのその言葉を聞いて、部屋に戻ろうと振り返って、歩きながら素っ気ない返事を返した。
『別に……普通のことだし。』
サタンは他の者を寄せ付けないことが普通だと思っていた。自分は他の者とは違う、何故なら、1万年に1人の逸材だからだ。そんな僕が、誰かに負けるわけが無い。
『あ……待ってよ!!サタン君!!』
ディアボロスは部屋に戻ろうと歩いていったサタンを追いかけていった。
他の悪魔たちは、そのサタンの態度をよく思っていなかった。
『くっそ!!この野郎!!』
その悪魔はサタンに殴りかかってくる、その拳を普通にサタンは避け、その者の腹に思いっきり蹴りを入れた。
ドガッッッ!!!
『がはっっっ!!!』
相手は5人がかりでサタンに喧嘩を売ってきていた、次の者がまた殴りに来る。
『ベリアル!!……このクソ野郎が!!』
サタンはその拳をまたひょいと避け、その悪魔の顔面に拳を叩き込んだ。
ドカアァン!!!
『がっっ!!!』
今度は3人で同時に殴りかかってきた、サタンは笑って攻撃を避けながら言う。
『ハハハハハ!!!5人がかりで来て、これかよ!!そんなもんかぁ!?』
サタンはそう言うと、その3人の攻撃を避けながらも、ジャンプをして、その3人の顔面に空中で回転して蹴りを入れた。
バゴッ!!ドゴッ!!バキン!!!!
3人は、立ち上がれなかった、その横たわっている喧嘩を売ってきた5人の悪魔にサタンは冷たく言い放った。
『1人相手に5人がかりで来ておいて……どっちが『クソ野郎』だ。実力の差が大きいから、たとえ5人で来ようがお前らはこうやってボコボコにされるんだよ。悔しかったら1発でも俺に攻撃を当ててみろ、このゴミ虫どもが…。』
サタンはそう言ってその場を去っていった。その5人の中の1人が悔しそうに地面を叩いて言った。
『くっそぉ……!!!』
それ以来、いわゆるいじめの矛先はディアボロスに向いてしまった。
ドガアァン!!!
『ぐえっ!!!』
ディアボロスは急に横腹に蹴りを入れられ、跳ね飛ばされた、壁にぶつかる。
『おらおら!!どうした2位さんがよぉ!!悔しかったらやり返してみろ!!』
ディアボロスは、困っている人を助けられるようになりたい…グレム様のようになりたいと思っていたので、ここでやり返したら自分もこの人たちのように落ちてしまうと思い、やり返そうとは思わなかった、そのため…
『うわ〜ん!!!』
ディアボロスは泣き出した。
『また泣いたぞ、さすがは『涙のディアボロス』ってあだ名をつけられただけあるな。』
その悪魔たちはそう笑って、自分を馬鹿にするようなことを何度も言ってきた。
そうやって、ディアボロスは、いじめっ子の悪魔3人に、言葉攻めを受けていた。そんな時…
『グレム様!そちらに行かれては!』
グレムは付き添っている世話係に言われながらもディアボロスに近づいていく。いじめっ子の3人にグレムは言った。
『お前たち、こんなことをしていては立派な悪魔にはなれないぞ。他者をも思う心があってこそ、悪魔は強くなれるんだ。』
グレムがそう言うと、いじめっ子の3人は謝った。
『グレム様…すいませんでした!金輪際、こんなことはしません!』
3人は少し震えていた、グレムの強さは知っている。これ以上やったら、酷い目に合わされると思ったからである。
『分かったならいい、早く行け。次の授業もあるだろう。』
いじめっ子の3人はその言葉を聞いて、すぐにその場から去っていった。グレムはディアボロスに言う。
『大丈夫か?』
そう言いながら、グレムは悪魔の授業に必要な、そこ一帯に散らばっている教科書をかき集める。
ディアボロスは嬉しかった、あの憧れの人が、自分を助けてくれた。だが、少し疑問に思った。
『どうして…助けてくれたのですか…?』
グレムはディアボロスが言った後にすぐに言葉を返した。
『勿論、お前がしっかりと優秀な悪魔になれるようにと思ってだ。あんな奴らに苛められていては、学習に集中出来ないだろう。』
そう言われたディアボロスは、その『憧れの人』に、少し怖くも思いながら、決死の覚悟で聞いてみた。
『僕が…優秀な悪魔になれますかね…?』
ディアボロスがそう言うと、グレムは笑顔ですぐにこう返してくれた。
『なれるさ!だから、迷わず自分の道を進め!!お前が俺の前に、立派な悪魔となって現れることを期待して待っているぞ!』
ディアボロスはその『憧れの人』の言葉に元気をもらって、嬉し涙を流しながら言った。
『はい!きっと立派な悪魔になって、グレム様に会いに行きます!!』
そうディアボロスが言うと、グレムは笑顔で去っていった。ディアボロスは、涙を拭い、次の授業へと向かっていった。
その様子を、サタンは黙って隠れながら見ていた。自分に対していじめっ子が来ることが無くなったので、ディアボロスのことを少し心配していたのである。だが、そのディアボロスが憧れている人に助けられて、目を輝かせているのを見て、サタンは虫唾が走った。
『(やり返しもしないとは……本当に呆れたやつだ。だから舐められる。1度ボコボコにやり返してやればいいのに…つまらんな、あいつは。)」
それ以来、サタンはたとえ同室にいたとしても、ディアボロスと口を聞くことが無くなった、いや、口を聞くことを無くした。
こんな奴の近くにいれば、自分も同じようになってしまいそうで怖い。早くいなくなればいいのに…。サタンは内心そう思っていた。そうやって、段々と他の悪魔との実力と距離すらも空けていった。
それからまた数年が経った。
サタンとディアボロスは15歳となった。人間で言えば、成人になった頃くらいである。その為、体は大きく、身長も高くなり、とても人間とは比べ物にならない位の大きさになった。
だが、その時にはもう、その2人は最早、友達とは言えない関係になってしまっていた。互いに正反対の道を歩んだからである。
そして、同時に、この世界での悪魔になる為の最後の試験を受ける日がやってきた。その内容とは……
『魔王様から許可を得る!!?それだけですか!?』
試験官と1対1で話し合う個室で、ディアボロスは驚きながら椅子を立ち、試験官に言う、試験官はそれに落ち着かせるように返してきた。
『ま、まぁ落ち着いてください…。あなたたちには私たちができる限りの全ての事を教えてきました。故に、試験など必要ないという判断をされたのです…。』
ディアボロスはそれを聞いて一旦落ち着いて、席に座り直す、そして言った。
『それじゃあ…実力で順位を争っていたのは……。』
試験官は普通に答える。
『ああ、それは、悪魔同士が互いに切磋琢磨することによって、自分から、実力をつけようとするようになるだろうと、グレム様が考え出した事でして…。』
さすがはあの人だ…その通り、自分たちは常に争っていた…ただ1人を除いて…。
でも、これで自分は立派な悪魔になれたということになるだろう!!それなら、別にいいか…『力だけが全てじゃない』しね…。そう考えていると、試験官が言った。
『ですが、不合格はあります。魔王様は、見ただけで相手の実力を見抜けるので、それが悪魔での基準値に達していなかったら、不合格とつけられるかもしれません、ご了承ください…。』
サタンも同様の説明を受けていた、サタンは試験官が言う事を全て相槌も何もせず聞いていた。
そして、説明を聞き流しながら、サタンはある決意を胸に秘めていた。
『(ただ魔王様に見られるだけで悪魔になっていいって?馬鹿馬鹿しい、それなら俺が努力してきたのは何だったんだ、俺が『大悪魔』になろうとしていたのは何だったんだ。じゃあ、誰が、『大悪魔』を決める?天からこの世界を見ている女神様か?それとも、この世界で生きる人間たちか?どちらにしても、俺が目指すのは最凶で最悪の…正に『大災害』の悪魔だ。それになる為なら…俺はなんだってしてやる…だから……だから我は……!!!』
そうして、サタンは魔王、ワーデル王の前に呼び出された。サタンはワーデル王の前にある椅子に座る。ワーデル王が言った。
『君は…素晴らしいほどの才能の持ち主だな…。これは驚いた…これほどまでの実力があるとは…君なら…この世界を脅かす『大悪魔』も目指せるかもしれない…まあ、取り敢えず、合格』
ワーデル王の言葉を遮って、サタンは言った。
『あなたの息子、グレム様と戦わせてください、それを、最終試験として。』
ワーデル王は悪魔のその思わぬ言葉に、言葉を失った。
どうでしたでしょうか?
次回でディアボロスの過去編は終わりとなると思います……一体どんな終わり方をするのか、楽しみに待っていて頂けると嬉しいです!
それでは、また次回お会いしましょう!




