第104話 悪魔が要らない世界
今回はサタンの過去の話の続きとなります!!ギリギリとなってしまいましたが、一応2話公開できてよかったです……。段々と変わっていくサタンの様子に注目すると面白く読めるかと思いますので、しっかりと読んでいって下さい!!
それでは、どうぞ!!
7歳になったサタンとディアボロスは、あの悪魔の人たちの推薦として、地上へと降りてきていた。
サタンが目の前の魔王城を見て言う。
『ここが……フェニキア大陸の、魔王城……。』
目の前にはいかにも魔王がいる場所と思わせるような、とても大きな黒い城が建っていた。ただ城の前にいるだけなのに、思わず緊張してしまう。そう思っている時、ディアボロスに声をかけられた。
『と…取り敢えず…入ってみようよ…、サタン君。』
サタンはディアボロスにそう言われ、我に返って言葉を返した。
『そうだね…じゃあ、行こうか。』
2人は、魔王城の中へと入っていった。
『君たちが、この城に推薦された悪魔の子たちだね…?』
『はは、はい!!』
サタンはあまりにも緊張しながら返事をした。それもそのはずである、何故なら前にいるのは、魔王、カイロス=ワーデルなのだから。ワーデル王は続けて言う。
『確か…ディアボロス君が炎、サタン君が大災害だったね……どちらも素晴らしい力だ。こんな悪魔の子が2人も来るなんて、とても珍しいことだ、私にも、やっと運が味方してきているのかもな。』
ディアボロスもその言葉に緊張しながら返事をする。
『も、勿体なきお言葉、ありがとうございます!!』
ワーデル王はそのディアボロスの言葉の後に言った。
『すぐに君たちの悪魔についての学習をとても分かりやすく教えてくれる素晴らしい者らを手配しよう、だが………。』
その後に、ワーデル王はため息をついてから話した。2人はそのため息に不思議に思った。
『はぁ……実は、君たちには申し訳ないのだが、現在私たち、魔王軍は人間との和平を考えていてね……。君たちを『一流の悪魔』に育てることは出来るが…その後の将来については……保証出来ない……すまない。』
その言葉にサタンとディアボロスは驚いた。『人間との和平』がもし成立してしまったら、自分たち、悪魔の存在意義が無くなってしまうからだ。
この世界にとって悪魔は、ドラゴンのさらに上の存在、人間に脅威をもたらす存在として生まれてくる魔物とされていた。だからこそ、自分たちがいらない世界になってしまうと2人は危機感を覚えた。だが、ワーデル王は続けて言った。
『…だが…『人間との和平』が今すぐにでも成立させられるかと言ったら……無理だろう。まだ向こう側が受け入れてくれてないからな、恥ずかしい話だが。だから、取り敢えずここで悪魔になる為に必要な事を身につけて、その後の将来は自分たちで決めなさい。やりたい事をやるのが、この世界では許されるからな。』
サタンはその言葉を聞いても、元気よく、「はい!!」とは言えなかった。故に、俯いて、悲しそうな顔をして言った。
『分かりました……。』
ガチャッ……
そうしていると、その部屋にある人物が入ってきた、そして言う。
『ワーデル様、準備が出来ました。今すぐにでもご案内できます。』
入ってきたのは、ダークエルフのメイドだった。どうやら、自分たちに一流の悪魔になるために必要な事を教える準備が整ったようだ。ワーデル王はそれを聞いて言葉を返した。
『ああ、じゃあこの2人を連れて行ってくれ。きっといい『悪魔』になる。それでは、君たち、次会う時は、一流の悪魔になった時だ。楽しみにしているからな。』
ディアボロスはそのワーデル王の言葉に笑顔で、『はい!!』と言った。一方サタンは小さい声で『はい…。』と言った。
2人は、そのメイドに付いて行った。
メイドに道を教えてもらいながら、目的地に向かう途中、サタンとディアボロスは広い庭で、ある悪魔と人間の子供が戦っているのを目にした。
『はぁっ…はぁっ……くそっ……!!』
どうやら人間の子供がその悪魔を追い詰めているらしい、その人間の子供は言った。
『おいおい、こんなものか?弱いものいじめばかりをしていたから、強くなれなかったんじゃないか?』
悪魔はその言葉に対して言い返すように言う。
『人間風情が……調子に乗るなっっ!!!』
その悪魔はそう言ってその人間の子供に飛びかかった、だが、その人間の子供はその攻撃をするりと綺麗に避け、その悪魔の子供の背中に思いっきり肘を当てた。
ドゴオオォォン!!!
あまりの衝撃に耐えきれず、その悪魔は地面に叩きつけられ、少しめり込んだまま、気絶した。
その人間の子供は、後ろにいた悪魔に言った。
『大丈夫だったか?…これでもまだいじめてきたら、俺に言え、また助けてやるから。』
そう人間の子供が悪魔に言うと、その悪魔は泣いて人間の子供にお礼を言った。その後、その人間の子供はこっちに気づいたのか、走ってやってきた。その人間の子供は案内をしてくれているメイドに言った。
『こんにちは、ティエン。この子たちが新しいうちに推薦された悪魔の子たちか?』
サタンはその人間の子供の言葉使いに不思議に思った。明らかにメイドの方が年上に見えるのに、敬語を使っていないからだ。だが、逆にメイドが敬語を使ってその人間の子供に向かって話し出した。
『グレム様!!私の名前を覚えてくださっていたのですか…!?』
どうやらその人間の子供は『グレム』と言うらしい。なんで様付けなんだ?とサタンとディアボロスは思う。その人間の子供はメイドに言葉を返した後、こちらに声をかけてきた。
『うちで働いているメイドの名前は全員覚えてるよ。名前で呼んだ方が、親近感が湧くだろう?だから覚えたんだ………、あと、君たち、初めまして。俺の名前はカイロス=グレム、名前でわかると思うが、カイロス=ワーデルの息子だ。宜しくな。』
彼はニコッと笑顔で言った、これが、サタンとディアボロスが初めてグレムに会った時だった。
サタンはその言葉を聞いてすぐに頭を下げて返した。
『サ…サタンと申します!!よろしくお願いします!!』
グレムは本当にそう思っているように優しく声をかけた。
『そんなに畏まらなくていいって、タメ口でいいよ。年齢は同じくらいだろう?だったら敬語なんていいって、従者でも無いんだし。』
『なんて優しい方だ…。』とサタンとディアボロスは思った。グレムはその後に続けて言った。
『じゃあ、俺はもう行くから。2人が大悪魔になる事を期待しているよ。『炎』と『大災害』の悪魔たち。』
そう言って、グレムは走り去っていった。サタンとディアボロスは、何故能力を知られていたのかと不思議に思った。案内してくれているメイドは、グレムが去った後に尊敬するような言葉使いで言う。
『あれが……ワーデル様の息子、グレム様です。魔王の子供とは思えないほど優しくて、寛容な方です…。まぁ、見ていたので分かったかとは思いますが……。お2人も、何か問題があったら、グレム様に相談してみるのもいいかもしれませんね。きっと、受け入れてくれます。では、案内を続けますね。』
そう言って、またメイドは案内をしだした。ディアボロスは目を輝かせていた、まるで、あんな風になりたいというように…。だが僕は違う…僕はもっと…悪魔として……。
『こちらです。』
そのメイドの言葉を聞いてサタンは我に返り、また付いていった。
『ここが、サタン様とディアボロス様のお部屋になります。』
メイドがそう言うと、ディアボロスは感動するような声を上げた。
『おぉ〜!!広い!!しかも綺麗!!ベッドもふかふかだ!!』
そう言って最後にはベッドに飛び込むディアボロス、悪魔としての威厳を少しは保って欲しいなとサタンは思った。そのディアボロスの言葉を聞いてメイドは言う。
『嬉しく思って頂けて何よりです。…明日から、悪魔について学ぶ時間を取りますので、今日は部屋でゆっくりしていてください。夕食時にまた呼び出しに来ます。それでは、ごゆっくり……。』
バタン…
そう言って、メイドはその部屋から去っていった。その後、サタンは部屋内を探索した。
2人分の机、2人分のベッド、2人分のクローゼット、2人分の椅子……。今のところ学ぶのに使えそうな物は無い。本当にここは最高の環境なのか?そう思いながら探索を続けていると……
あるタンスを開けると、中に悪魔についての本がずらりと並べられて置いてあった。「やはりあった」そうサタンは思って、早速その本を読み始める。
難しい言葉ばかり並べられているが、必死になってサタンはその本を読んだ、彼はかなり必死だった。この世界でこれから『悪魔』として生きていくには、『一流の悪魔』などではとても力が足りない、だから、『大悪魔』にならないと生きていけないと思ったからである。
本当に『人間との和平』が成立してしまうのなら、強くなければいけない。それも、誰にも負けないほどの。サタンはそう思って、そのタンスの中にあった本を出来るだけ読み漁っていた。
夕食が終わって、消灯される時間となった。サタンはベッドの中にまで本を持ち込んで読んでいた。すると、ディアボロスがベッドに寝ながら聞いてきた。
『ねぇ、サタン君。』
『なんだ?今ちょっと忙しいんだが。』
ディアボロスはそう言われて少し弱気になり、聞こうか迷う……だが、よっぽど知りたかったのか、心を決めて聞いてきた。
『サタン君は……どんな悪魔になりたい?』
サタンはその言葉を聞いた瞬間動作が停止した。どんな………悪魔にだって……?サタンは5歳の頃を思い出す。
あの頃は…『自分がどんな悪魔になれるのか』と希望を持っていた…だが、現実を突きつけられて、その考えは塵と化した……。もう自分には選択権がない、ただ、1つの道しか残されていなかった。
そう思って、サタンはディアボロスの言葉に、こう返した。
『誰よりも強い力を持って、圧倒的な力で世界をも滅ぼせるくらいの『大悪魔』になりたい。』
そう言ったが、ディアボロスは別に驚きもせず、『そっか』と言った後、自分の考えを述べた。
『僕は……さっきグレム様を見て思った。ただ強さのみを求める大悪魔じゃなくても良いかなって。だから、誰かを助けられるくらいのそれなりの力を持って、困っている人を助けられれば良いかなって。悪魔の考えとしては少し綺麗すぎるけど、それもありなんじゃないかなって、そう思ったんだ。……長々と聞いてくれてありがとう、お休み。』
サタンはその言葉に返す。
『お休み。』
サタンはそう言った後、ディアボロスを軽蔑するような目で見て小声で言った。
『悪魔をやめろ、この平和馬鹿が。』
どうでしたでしょうか?
次回もサタンの過去の話になります……「早く戦ってくれ」とか思うかもしれませんが、かなり重要な部分でもあるので、許してください…。
それでは、また次回お会いしましょう!




