第102話 大災害の悪魔、サタン
今回は前回の後書き通り、過去の話から始まっていきます…。しっかりと読んでくださっている方々には、「あれ?この人は……。」と思わせるような人物が出てくるので、注意しながらも、楽しんで読んでくださったら、と思います!
それでは、どうぞ!
ベルディア王国での、何年も昔の話…
『みんな〜!!!!逃げろおぉぉぉぉぉぉ!!』
教会の中にいたある男の声が王国中に響き渡る、その男の後ろには世にも恐ろしい黒い翼と体を持った、悪魔が召喚されてしまっていた。
その男は叫んだ後に目の前にいた、その悪魔を復活させた男に言う。
『どうして…どうして復活なんてさせた!!!マグヌス!!!それも…自分の嫁を犠牲にしてまで!!!』
そう問いかけると、その男…マグヌスは笑いながら言った。
『こうすることで、世界をリセットさせるのさ!!こんな世界、もう要らない!!魔法だけしか優遇されないような、こんな世界なんて!!……消えてしまえばいい!!』
マグヌスがそう言うと、その悪魔、サタンが話し始めた。
【我を復活させたのは……お主か…?人間よ…。】
そうサタンが言うと、マグヌスはすぐに返答する。
『ああ、そうだ!!俺はアナスビア=ストール=マグヌスという!!あんたにこの世界を滅ぼすほどの大災害を起こして欲しいから、復活させた!!』
サタンは少し笑ったあとに言った。
【フフ…ハハハハハ!!!自らこの世界を滅ぼしてくれと頼まれたのは初めてだ!!それに…この世界をリセットしてしまうのも確かに面白そうだ…お主の望み通り、全てを破壊し、飲み込み、この世界を最初からやり直させてやろう…。】
そうサタンが言うと、マグヌスは喜ぶような声を上げた、その時に男はそれを止めようと剣を抜き、サタンに向かって振りかざす。
『うおおおおおおお!!!!』
ザクッッ!!!
剣を持っていた男の左腕が、サタンによって落とされた、男はあまりの痛みに叫んだ。
『ぐ…ああああああぁぁぁ!!!』
それを見てマグヌスは笑って言った。
『ハハハハハハハ!!!無様だな!!マルタール=アドミネ=ミタール!!お前もどうせ俺の事を友達と言いながらも馬鹿にしていたんだろう!!』
ミタールは腕に走る痛みに耐えながらも必死に言葉を返した。
『そんな……ことは無い…!!お前は…たとえ魔法が使えなくとも……俺の…1人だけの親友だった……!!あの時お前が声をかけてくれなければ……!俺も…独りぼっちだった!!馬鹿になんてするものか!!……たった1人の…友人は失いたくない……俺は本気で……!お前を友達と思っていたん』
ズバアァァン!!!
言葉の途中で、ミタールはサタンによって上半身と下半身に分けられた。サタンは言う。
【うるさいわ…人間の分際で…これから始める大災害の邪魔だ、そこで横になって死んでおけ。】
サタンはそう言って、教会から出ていった。その時、マグヌスはミタールの言葉を聞いて、泣きながら駆け寄り、彼の冷たくなった手を握った。
『そうだ……そうだった……お前も独りぼっちだったんだよな……。だから……だから声をかけたくなった…俺と同じだったから……そんな友人を俺は……俺は……!!!』
そう言ってマグヌスは泣き叫んだ、その涙はたった1人の同じ境遇を持った者を、いや、その親友を思って出した、全く偽りの無い本物の涙であった。
マグヌスはミタールが着けていた月形のネックレスを取り、自分に着けて、手で握りしめ、こう唱えた。その時、ベルディア王国は、既にサタンの大災害により、廃墟と化していた。
『大女神ソアラ様……私は自分の罪に対する罰を全て受け止めます…。だから1度だけ…この1度だけでいいです…。この国を…世界をお救い下さい…。星の導きのままに…。』
マグヌスがそう唱えた数秒後、サタンの悲鳴が聞こえた。
【ぐああああああぁぁぁ!!!我に…この我の力に屈しないとは……お主…何者だ……!!】
すると、次はある人間の声が聞こえた、男性だった。
『俺はアウストレラス……この世界の均衡を保つ神官の中の頂点に位置する存在…大神官アウストレラスだ…。この世界を滅ぼそうとする者をある願いに従って、排除しに来た。』
その言葉を聞いてマグヌスは驚く。
「(まさか…ミタールが言っていた、『星の導き』の話は本当だったのか!?そうだとしたら…このネックレスを着けていたのは……。)」
マグヌスはその月形のネックレスを胸元に持ち、握りしめる。すると、ミタールとの思い出が走馬灯のように蘇ってきた。そして、一筋の涙を流して思った。
『(ミタール…ごめんな……そしてありがとう…守ってくれて……ありがとう…。)』
その時、マグヌスにはミタールの姿が見えた、死んでいるはずなのに、もうここにはいないはずなのに。そのミタールはマグヌスを抱きしめて言った。
『礼なんていいんだ、友達だろう?…助け合うのが普通なんだ、だから、気にしないでくれ。それと、そのネックレス…俺の娘に着けてやっておいてくれないか?これが本当に最後の…最期の約束だ…。』
マグヌスは涙を拭ってミタールに言った。
『ああ、約束する。絶対に…忘れない。約束も…親友であった、お前のことも…。』
そう言うと、ミタールは笑顔で消えていった。確かにあった感触が無くなる。すると、またサタンの声が聞こえた。
【ぐあああああああああ!!!馬鹿な!!こんな馬鹿なあああ!!!また、また私は…封印されてしまうのか!!!】
アウストレラスは言う。
『ああ、もう起きるなよ。こっちは大迷惑なんだ。』
そう言って、アウストレラスは持っていた小さな球を出し、サタンに近づけると、サタンはその球に吸い込まれていった、まだ声が聞こえる。
【絶対に…絶対に許さない……!!お前らを!!また潰しに来てやるからなああああぁぁぁぁぁ……。】
サタンはその球に完全に吸い込まれて、封印された。マグヌスはそれを見て、アウストレラスという人物の目の前に出ていく。
アウストレラスは、すぐにマグヌスに気づき、その月形のネックレスを見て、言った。
『君か…僕を呼んだのは……っあぁーー!!せっかく寝てたのに…完全に目が覚めちまったよ。』
マグヌスは申し訳なさそうに言う。
『このネックレスは…本当は…たった1人の友人の物で……私の物ではありません………しかも…サタンを呼び出したのは私でして……』
言葉の途中で、アウストレラスは暗い顔をしていたマグヌスに言った。
『まぁ、それまでに色々あったんだろう?ならしょうがないさ、済んだ話だ。もっとも、僕を呼び出さなかったらこの国どころか世界も……いや…それはないか……。…とにかく、国がこんな有様にはなってしまったが、助かったのなら良かった。今度からは悪魔を呼ぶ時は気をつけろよ?』
マグヌスは頭を深く下げてから言った。
『本当にありがとうございました、『星の導き』のおかげで助かりましたが…迷惑をおかけしました…。』
アウストレラスは笑って笑顔で言った。
『礼なんていいって。そもそも、これが、俺たち『神官』の役目だ。ただ役目を果たしたまでだよ、気にしなくていい。それと…その『星の導き』ってなんだ?何のことをそう呼んでいる?』
『ああ、それはですねーーーーー』
グレムは学園から飛び出し、走っていた。かなり急いでいたので、すぐに目的地に着く。そこは宿だった。そして、どうやらエルとルリはあの音に驚いて外に出ていたらしい、エルが言う。
「ご主人様〜!!なんか凄い音が聞こえたのですが何かありましたか?」
まずい状況になっているのを分かっていないようだが、とりあえずグレムは2人に言う。
「それが…かなりまずい状況なんだ。説明している暇は無い、取り敢えず、付いてきてくれ!!」
そう言ってまたグレムは走り出した、その速さにルリは付いてきているが、エルは段々と引き離されていく。
それを見てグレムはもっと速いスピードでエルのところまで戻り、エルをお姫様抱っこして、また走り出した。エルが言う。
「ご主人様!!いいですって…自分で付いていきますから!!……少し…遅れるかもですけど…しかも…さすがに少し重いと思いますし…。」
エルは俯く、グレムはその言葉に走りながら返す。
「じゃあ、俺がエルをお姫様抱っこしたかったってことで。…それと、重くないぞ。エルは軽すぎる方だ。」
エルはその言葉に少し顔を赤くして言う。
「ずるいです…ご主人様は…。」
グレムはその言葉を聞いてニッコリしながら思う。うん、やっぱり可愛い。嫁にしたい、というかする。そう思った後にグレムは走りながら言う。
「今の状況を走りながら話そうと思う、ルリ、走りながらでも大丈夫か?」
ルリは首を縦に振ってから言った。
「うん……大丈夫だよ…ご主人様…何があったの…?」
グレムはそれを聞いた後、すぐに話し出した。
「実は、この王国の中央の地下に書庫があるだろ?…その奥に悪魔が封印されている所があるんだ。そしてそこに、誰かが入った、だから警報みたいな音が鳴ったんだ。で…さらに…。」
話している間にも、グレムは「ちくしょう」と思い、思わず言葉を止めてしまう。そうして数秒間が空いてしまった後、ルリが聞いてくる。
「ご主人様…『さらに…』、何があったの…?」
グレムはルリにそう言われて我に返る、そして言った。
「実は…俺が担当しているクラスの生徒が1人…悪魔召喚の犠牲にされるかもしれない。」
それを聞いてエルは驚く。
「えぇっ!!?まずいじゃないですか!!」
グレムは首を大きく縦に振ってから言った。
「だから『かなりまずい状況なんだ』と言ったんだ。」
ルリは疑問に思ったのか、聞いてくる。
「ご主人様…『悪魔召喚の犠牲に』って…どういうこと…?」
グレムはそれに答える。
「この王国に封印されている大悪魔サタンは、人1人の魂を捧げることで復活をする…。だから、毎回復活か、召喚する時には人を犠牲にしないといけない。その時の犠牲だ。」
それを聞いてルリは顔を強ばらせた。
「人1人を……犠牲に…。ご主人様…かなり急がないとまずい…。」
グレムは「分かっている」というような顔をして言う。
「だから力を入れて走っているんだ、そうだろう?」
ルリは首を横に振って言う。
「そういう事じゃなくて…だったら…ご主人様はもっと全力で走って…あとから私たちが来ればいい…ご主人様がいければ…大抵何とかなる…はず…だから…。」
グレムは緊張していた空気をぶち壊すような言葉使いで言う。
「はぁ…それがなぁ…ルリ、エル。あいつを説得させられないでいざ戦うとなったら…かなりめんどくさいんだ、2人がいてくれた方が助かる。だから、2人の速さに合わせているんだ。」
エルとルリはとても人1人の命が関わっているこの状況に対して不適切なその言葉を聞いて、驚く。エルが言う。
「ご主人様!?『めんどくさい』とか言ってる場合じゃないと思うのですが!?その子の命がかかっているんですよ!?」
エルがそう言うとグレムはとても悲しそうな顔をして、言った。
「実は…たとえ俺が全力で走っても…もう間に合わないと分かっていたんだ…。だから…その子の命を助けるには…」
その時、ドンッッッ!!!と地下から音がしたと思うと、王国の中央の大きな穴から、とてつもない闇の魔力が込められた闇の柱が天へと伸びていった、グレムは言う。
「な?……言っただろ…。『もう間に合わない』って…。」
すると、その後に王国の中央の大きな穴から、今度は大きな黒い影が飛び出してきて言った。
【何年この時を待ちわびたか……今度こそ…世界を滅ぼしてやろうぞ…。】
グレムは、その出てきた悪魔、サタンを睨むような目で見ていた。
どうでしたでしょうか?
次回は今度は『サタンについての過去の話?』に入っていきます…。サタンはどうやって『大災害』を引き起こす悪魔になっていったのかが、次の話から暴かれていくのでお楽しみに……。
それでは、また次回お会いしましょう!




