第101話 競争の実技テスト…?
今回からこの章の物語が大きく動きだします…一体、何が起こるのか、何がなされるのか、しっかりと読んでくださると嬉しいです!
それでは、どうぞ!
「アラナちゃん!ここの問題、少し教えてくれない?」
ある同じクラスの女子生徒にアラナは声をかけられる、アラナは普通に言葉を返す。
「どの問題?見せてみなさい。」
アラナがお願いを受けてくれたので、その女子生徒はお礼を言う。
「ごめんね〜ありがとう!!」
アラナはその言葉に一言、「気にしないで」と言ってから説明を始め出した。
アラナがみんなの前で、魔術を使い、剣を作ってから早一週間、アラナは、はみ出し者と呼ばれていたのが嘘に思えるくらい、クラスに馴染めるようになっていた。
一方マーズは逆に『はみ出し者』まではいかないが、クラスの影の存在のようになっていた。ここまでやろうとは思ってなかったが…まぁ、問題を起こすよりかはマシだろう。
キンコンカンコーン!!!
休み時間が終わるチャイムが鳴る、グレムはすぐに声をかける。
「はいじゃあ、みんな、席に座って〜!授業を始めるぞ。」
グレムも、少し教師としての仕事に慣れてきている頃だった。グレムはいつものようにチョークで黒板に今日教える内容を書き出していく。
その間、マーズはグレムの背中を睨みつけながら思っていた。
「(見てろよ…グレム…!次の実技テストで、お前が大事にしているあのアラナを、魔法でボコボコにして、築き上げたものをぶち壊してやるからな…。)」
グレムは背中を向けながらも、マーズがこちらを睨みつけていることに気づいていた。
「(め〜っちゃ睨んでくるじゃん、怖いわ、子供相手だけど。だが、恐らく、次の実技テストでアラナを倒して元の状態に戻そうとでも考えているんだろうな。ま、ここはアラナの頑張り次第かな。)」
グレムはそう思いながら、黒板に内容を書き終わり、教卓に手をついて言った。
「よし、じゃあ今日教えるのはーーーー」
キンコンカンコーン!!!
授業の終わりのチャイムが鳴る、グレムはそのチャイムが鳴り終わってから言った。
「よし、じゃあみんな、明日はいよいよ実技テストだからな!自分の今までの努力と、自信をしっかりと持って取り組むように。じゃあ、解散!」
そう言うとグレムは教室から出ていった。すると、クラスの女子生徒たちが話し始めた。
「今日もグレム先生の授業、分かりやすかったよね〜!!」
「ほんとほんと!!どうしてそうなるのかまでしっかりと説明してくれるから助かる〜!!」
「ずっと先生でいてくれればいいのにね!!」
「ほんと〜!!明日先生にお願いしようかなあ。」
アラナはその話を聞いて、先日、グレムに問いかけた事を思い出していた。
『グレム先生!!あなたはいつまで教師でいるつもりなんですか?』
グレムは後ろからアラナに声をかけられて、振り向いてから言う。
『別に敬語じゃなくてもいいのに…。まあそれは置いておいて、そうだな〜。確か、校長先生には次の実技テストの後、新しい先生が来るからって言われたから…次の実技テストが終わったら教師でいるのも終わりかな。』
そうグレムが言うと、アラナは驚いて、少し感情的になりながら言う。
『次の実技テスト…もうあと3日しかないじゃないですか!!なんで早く言ってくれないんですか!?』
グレムはいつもと違うアラナの様子に疑問を抱きながらも言葉を返す。
『?どうして言う必要があるんだ?そっちからしても、突然出てきた変な先生がいなくなるだけなのだから、好都合だろう?』
アラナはその言葉に少し抵抗感を覚え、俯いて言う。
『『どうして言う必要があるんだ?』って……。』
この時、グレムは知らなかった。自分がそのクラスではかなり人気がある事を、生徒たちからは、先生を辞めないで欲しいと思われていたことを、そして、何より、色んなものをもらったというアラナの気持ちを。
アラナは少し涙を流し始めた、グレムはそれにすぐ気づいて、アラナに近づく。するとアラナは言った。
「来ないで!!!」
グレムは突然声を荒らげたアラナと、その言葉に少し驚き、止まった。
その後、アラナは振り向いてグレムから逃げるように走り去って行った。
『(私も…みんなと同じ…!!辞めてなんて欲しくない!!ずっとあのクラスを見守っていて欲しい!!私を…私を見ていて欲しい!!こんな気持ちにしたのは先生なんだから……責任取ってよ!!)』
アラナは、涙を流しながら走り続けた。いつもより、廊下が長く感じた。
「『ずっと先生でいてくれればいいのに』か……。」
アラナはそう言うと、すぐに帰る支度をして、教室を出ていった。ある決意を胸に秘めながら…。
グレムが職員室に教科書などを置きに行くと、途中で、カイル校長にある教室の中から手招きをされた。「なんだ?」と思いながらもグレムはその教室に入った。
カイル校長が言う。
「ささ、座ってください、グレム先生。」
グレムは疑問を抱きながらも指示された椅子に腰掛ける、すると、カイル校長はグレムの座っている、反対側にあった椅子に座ってから、話し始めた。
「グレム先生、最近はどうですか?1人の教師としての感想としては。」
グレムは急に質問をされたので、すぐには返せず、数秒黙って考えた後に言葉を返した。
「みんな、大事に感じました。たった1人も抜けちゃいけない。1つのクラスとしてあるには、生徒たち、1人1人が必要不可欠だということを…。」
カイル校長は、その言葉に対して、「成程」と言った後、数秒空けてから話し出した。
「実はですね…グレム先生には少し話がありまして……。」
グレムはそんな事だろうと思っていたのですぐに聞き返した。
「なんです?その話というのは。」
すると、カイル校長は言うのを少し躊躇うような仕草をしたが、しっかりと言葉に出して言った。
「グレム先生には、このまま教師を続けて頂けないかと思っていまして……。」
グレムはその言葉に驚く、自分は、ただの仮の先生を務めていただけ、そんなことを言われるとは思ってもいなかった。グレムは聞き返す。
「それは…なぜですか?」
カイル校長は話し出した。
「実は…既にあなたのクラスの生徒たちから少し言われていてですね…。」
グレムはさらに疑問に思う、それなら、早く新しい先生を寄越してくださいと言うと思ったからである。カイル校長は言葉を続ける。
「その子たちは、あなたの授業が分かりやすいことや、教師としての位置づけ、生徒たちへの対応などなど、あなたがどれだけいい先生なのかを伝えてきました。さらに、その時のその子たちの目は輝いていた…本当にそう思っているということです…それを踏まえて、どうでしょうか?」
グレムはそのカイル校長の言葉に少しも考えず、即答した。
「無理です。」
カイル校長は驚く。
「えぇっ!!?」
グレムは自分がこれまで少しの間教師を続けてきて思ったことや感じたことを思い出しながら話し出した。
「確かに、みんないい子で、教師をやっていて楽しいです。けど、ここで残ると言ってしまったら、最後まであの子たちを見届けないといけません、それも、卒業まで。そこで悲しむのは、本当の先生だけで十分です、自分は要りません。それに…このまま続けたら他の生徒たちのことも見届けてあげたくなってしまいます。私はあくまで冒険者、先生には到底なれません。だから、誰がなんと言おうと、私は辞めます。次の実技テストの最後まで、みんなを見届けたら、そこで終わりにしようと決めていたんです、さっきも言ったように、ずっと見ててあげたくなってしまいますから。」
カイル校長はその言葉を聞いて少し涙を流した。グレムは少し笑って言う。
「カイル校長が泣くことじゃないでしょう、これが普通なんですよ。結局、冒険者は誰かに、それも子供には何かを教えられるような人間ではないんです、しょうがないんですよ。」
カイル校長は泣きながら言う。
「それでも…それでもあなたはいいのですか…?悲しくなりませんか?寂しくなりませんか?ある日ふと思い出して…後悔したりはしませんか?」
グレムは少し間を空けて、自分の胸に手をかざしながら言った。
「悲しくも、寂しくもありません。なぜなら…既にみんなはこの中に…心の中にいますから、無くなることも、消えてしまうこともありません。なら、会えなくとも、絶対に後悔はしません。ここで常に繋がっていますから。」
グレムがそう言うと、カイル校長はより一層涙を流した。
翌日…
「ご主人様!!起きてください!!朝ですよ!!」
エルがそう言って起こしてくれた、あぁ…正妻…。そう思った後にエルに言う。
「おはよう、エル。」
エルはニコッと笑顔になって返した。
「おはようございます、ご主人様!!」
グレムはふと言う。
「今日で学園生活も終わりかぁ…長かったような短かったような…。」
エルがその言葉に対して頬を膨らませ言う。
「私たちは帰りを待っていますからね!!ご主人様!!冒険の続きが出来てないのですから!!ルリちゃんも少し、戦いに飢えています!ほら!」
そう言ってエルはルリの方を指さす、ルリはうつ伏せになって、枕に顔を押し付けながら、バタバタと手足を激しく動かし始め「ウーーー!ウゥーー!!」と鳴いた。かわゆす。
「じゃあ、今日も行ってくるわ。今日で終わりだから、帰ってきたらすぐ討伐へと行こう。」
ルリがそれを聞くと耳をピクリと動かして恐ろしい速さでこっちに来て、目を輝かせ、しっぽを振りながら言った。
「ご主人様……!!待ってる……!!頑張って…!!」
グレムは本当に可愛いなあと思いながらルリの頭を撫でて言った。
「ああ、じゃあ、行ってくる。」
グレムはそう言って、宿を後にした。
今日は実技テストという事で、最初から全校生徒が校庭に集まっていた。カイル校長が拡声器を使い、話し始める。
「え〜、今日は!!待ちに待った実技テストです!!相手になる者、互いに大きな怪我をしないように注意してーーー」
その時、グレムが持っているクラスの女子生徒が少し困ったような顔をして話し合っているのを見たグレムは、並んでいる他クラスの生徒の間を掻き分けて、その女子生徒たちの所へと行く。
「すまん、ちょっと通してくれ…。…何があった?」
グレムがその女子生徒たちに聞くと、その子たちは言った。
「先生…アラナちゃんが…アラナちゃんがいないんです!!」
「何?嘘だろ?なんでアラナが……」
グレムが次の言葉を話そうとすると、大きな音が鳴り響き、校庭にあったランプが赤く光り出した。
ウウウーーーーーーー!!!!!
グレムは「まさか…!!」と思い、生徒たちの間から抜け、走り出した。並んでいた生徒たちは、怯え始める。カイル校長は、落ち着かせようとする。
「みんな!!落ち着いて!!状況を確認します!!」
グレムは学校を出て、カイル校長との話を思い出しながら、走っていく。
『なんでここにランプがあるんですか?』
グレムがカイル校長に聞く、すると、カイル校長は言った。
『あのランプが赤く光るとですね、この王国の中央の地下の書庫の奥にある、ある悪魔の封印がされているエリアに誰かが入ったことを表すのですよ。まぁ、これまでそんな事があったことは無いんですがね、アッハッハッハ!!』
ーーーーもし、その悪魔、いや、サタンの封印を解こうものなら、人間を誰か1人、犠牲にしならなければならない。
さらにそれがもし…もし、アラナであったなら…。
グレムは「ちくしょう!!」と言って王国内を走り続けた。
そこには、眠らされているアラナを抱えたアラナの父親がいた。その父親は言う。
「アラナ…やっと…やっとだよ…。遂に念願のサタン様復活ができるんだ…。アラナが犠牲になる事でね……ヒヒッ!ハハハハハハハ!!!」
その笑い声は、サタンが封印されているその場所に響き渡った。
どうでしたでしょうか?
次回はこの悪魔、サタンについての『ある過去の話』が中心となります…その時に…重要な言葉や人の名前が入っているかも…?期待していてください!!
それでは、また次回お会いしましょう!




