第100話 魔術だけのはみ出し者
なんと、この物語も遂に100話を迎えることが出来ました!!読んでくださった皆様のおかげで続けることが出来ました……ありがとうございます!!これからも、まだまだストーリーは続いていくので、引き続き、読んでくださるととても嬉しいです!
それでは、記念すべき第100話目、どうぞ!!
昨日、魔術がどんなに凄いのかを生徒たちみんなに伝えることが出来たグレムは、その生徒たちに、実際に授業をしていこうとしていた。
「それじゃあ、今から本格的に魔術の授業に入っていこうと思う。みんなは魔術についてはどこまで進んでいる?」
グレムがそう言うと、ある女子生徒が手を挙げて言った。
「火属性の魔術について、最初のところだけかじったぐらいです!」
グレムは座席表と名簿を確認しながらその授業の進行状況を教えてくれた女の子にお礼を言う。
「アルカちゃん、ありがとう。そこら辺か〜。」
そう言って、グレムはカイル校長に渡された魔術の教科書を開く、すると、その中身はあまりにも簡単すぎる内容ばかりで、とても9年を学業に費やしてきた子たちに教えるものとは思えないものだった。それを見て、グレムは言う。
「みんな…魔術について、難しいと思ったことはあるか…?」
グレムがそう言うと、生徒全員が全員一緒になって、
『無いです!!』
と返してきた、グレムは「やっぱりか」と首を傾げながら思った。
このままでは、魔術がいかに難しいものかを理解させることが出来ないし、授業なんてほぼ意味が無くなる…さらに、この調子で全属性を1つずつ教え始めたら、魔術の期間が長くなる…。グレムはそう思い、生徒たちに言った。
「よーし、みんな!教科書を閉じてくれ!もうこれはいらん!」
そう言ってグレムは教科書をバンッ!!と閉じた後、後ろの黒板というものに、チョークというものを使って、魔法陣を描き始めた。
カッカッカッカッカッ……
たった数分で全部で7つ、しっかりと魔法陣を描いたグレムは振り向いてみんなに対して言った。
「はい、じゃあ全員黒板の魔法陣に注目!!」
生徒たちは一体何を言うのかと少し疑問に思いながらも、黒板を見る、グレムは続けて言った。
「ここに、全部で7つ、魔法陣を描いた、まぁ見れば分かるだろう。火属性はやったんだよな?なら火属性の魔法陣はこれだと分かるはずだ。え〜っと…じゃあ、ルミノ君、どれが火属性の魔法陣か分かるか?」
名前を呼ばれたルミノは、立ち上がって、自信がなさそうにしながらも言った。
「は、はいっ!!え、えっと…1番左のだと…思います。」
グレムはニッコリと笑顔になって言った。
「ご名答、ルミノ君、座っていいぞ。」
グレムがそう言うと、ルミノは安心したように席についた。その後にグレムは黒板にまた書きながら話し始める。
カッカッカッ……
「…ちなみに…これが水、これが雷、これが風、これが氷、これが闇、これが光だ…。ここで問題だ、とても似ているが実はこの魔法陣らは見ただけで何の属性かを判定することが出来る…。さて、その違いは何か、見つけてみてくれ。」
そうグレムが言うと、生徒たちは首を傾げながら黒板を見て考える。
30秒ほどで手を挙げた生徒がいた…それはアラナだった。グレムは指名する。
「はい、じゃあアラナちゃん、どうぞ。」
そのグレムの名前の呼び方に少しアラナは思うところがあったが、立ち上がって言った。
「全属性、全ての魔法陣に、魔法の魔法陣の一部が使われています。例えば、火属性の魔術の魔法陣には、火属性の魔法の魔法陣の一部が加えられています。そのように、魔法陣において、魔術の属性と魔法の属性は対応しています。」
アラナがそう言いきった後、グレムは少し拍手をしてから言った。
パチパチパチ…
「素晴らしい、完璧だ。これを見抜けるとは…さては予習か何かしたかな…?何はともあれ、アラナちゃんの言う通り、魔法の魔法陣の一部が魔術の魔法陣には使われている。そうしないと、属性が表せない…つまり、この一部を抜くと、魔術として成立せず、どんな魔術も失敗に終わるということだ、覚えておくように。アラナちゃんは座っていいぞ。」
そう言われ、アラナは席に座り直した、すると、その直後にマーズが言った。
「さすが、魔術だけのはみ出し者さんだ。」
そう言うと、クスクスと周りの生徒たちは笑いだした。アラナは気にしないようにとはしているが、顔には悔しいという感情がはっきりと表れていた。グレムはそれを見て、マーズに向かって言う。
「お前も、魔法依存の問題児だ、同じだよ。魔術とアラナを馬鹿にするような発言は控えろ。先生はそういうのは許さないからな?」
そうグレムが言うと、次はマーズがクスクスと笑われ始めた。マーズはグレムを睨みつけている、が、グレムは気にせず言った。
「よし、じゃあ、次に進むぞ〜。」
グレムは、黒板に次にする話の内容について大まかに書き始めた。
キンコンカンコーン!!
授業を終えるチャイムが学園中に鳴り響く、するとグレムは言った。
「はい、じゃあ今日は一旦ここまで。今までに言った内容をしっかりと確認しておくように!!じゃあ、次の授業は校庭だからな、忘れるなよ。」
そう言ってグレムは教室を出ていこうとしたが、急に何かを思い出したかのように戻ってきて、アラナに手招きをした。
アラナはその手招きに従って、グレムの方に来る、そして言った。
「何よ!!あんまり注目されたくないんだけど!!」
グレムは落ち着かせようと静かな声で返す。
「この後は魔術の実習をしようと思ってる。アラナにはお手本役を頼みたい。」
すると、やはり逆に言い返されるような言い方で言葉を返された。
「なんで私がやらないといけないの!?先生がやればいいじゃない!!」
グレムは「はぁ…」と息をついてから、アラナに本来の目的を話し出した。
「逆襲を始めるんだろ?…君が魔術面でどれだけ優れているのかをみんなに見せれば、少しは今の状況が変わるかもしれない。…やってみないか…?」
そう言われて少しアラナは考えるような仕草を見せた。彼女側からも、きっと、永遠にこの状況のままで学園生活を終えるのは嫌なのだろう。アラナは数秒考えた後にグレムに言った。
「分かったわよ…けど…私も実技に関してはあんまりできる方じゃないから、難しいのはやめてよね。」
グレムはその言葉に少し喜びながらアラナに返した。
「分かってるって、じゃあ、頼んだぞ。」
マーズはそう話している2人の様子をじっと見つめていた。
校庭にて…グレムが早速声を出す。
「よし、じゃあみんな、これから実技に移っていこうと思う。まずは初歩的なものからやってみよう、アラナ、出てきてくれ。」
そう言われて、アラナは嫌々そうに出てくる。その出てくる間も、周りの生徒から少し悪口を言われているようだった。
グレムはアラナが前に出てきた後にみんなにこう声をかけた。
「今から、魔力を使って剣を作る。初歩的な事だが、割と難しい。アラナには見本を見せてもらおうと思っている。」
そうグレムが言うと、生徒たちは少し笑っていた、誰も、アラナに出来るとは思っていなかったからである。グレムはアラナに声をかける。
「アラナ、得意属性でいいからな。」
「分かってますって。」
そう言うと、アラナの右の掌に風の魔力が集まっていく。そうして出来た風の魔力が込められた球をアラナはいとも容易く剣の形に変形させた。
すると、少し生徒たちが驚いた。いくら魔術の知識に優れているとはいえ、実践では使えないのだろうと思っていたからである。すると、マーズが前に出てきて言った。
「アラナに出来るのなら、俺にも出来そうだな。」
そう言って、マーズは右の掌に火の魔力を集め、球を作った………だが、どうやっても剣の形に変形させられない。というか、どうやって剣の形にするのかが分からなかった。グレムはそれを見てマーズの肩に手をぽんと置き、言う。
「ありがとう、マーズ君。このように!!簡単そうに見えても、実際に作るのはかなり難しいんだ!みんなも試してみてくれ!」
そう言われた生徒たちは、実際に自分でも試してみる。クラスの総勢30名の中で、3人の生徒は出来たが、それ以外の生徒たちはやはり、剣の形にする所でつまづいていた、マーズも含めて。
それが出来なかった生徒たちは、すぐにアラナの元へと集まってきた。
「ねぇねぇ!!どうやって剣の形にしたの!?よく出来たね…かなり難しかったのに…。」
「ちょっと俺にも教えてくれないかな?剣の形にするのに何をすればいいか分からなくて…。」
「じゃあ、僕も!!お願い!!」
「私も!!」
アラナはその人数の多さに少し戸惑いながらも返事をした。
「分かった、分かったから!ちょっと待って……えっとね……。」
そうみんなにアラナが剣への変形の仕方を教えている中、マーズは1人、自分だけで答えを出そうと、火の球を手の上にずっと浮かべていた。
「むむむ……。」
アラナからアドバイスをもらった男子生徒の1人が手の上に光の魔力が込められた球を浮かべながら、アラナに言われたことを思い出す。
『魔力を込めた球を作ったら、1度目を閉じて、自分なりに剣の形を想像してみて。そして、その形になるように手をかざすの。』
そう言ってアラナは右の掌にある、風の魔力が込められた球に、目を閉じて、左手で伸ばすように手をかざした。すると、ただの魔力が込められた球は、すぐに剣の形へと変形した。
ある女子生徒が質問をする。
『そ、それだけで本当にできるの…?』
アラナは「心配いらない」というように首を縦に振ってから言った。
『失敗しても諦めないで、きっとみんなも出来るから。』
「(剣の形は決まった…あとは手をかざせば…!)」
そう強く思いながら、その男子生徒はその球に手をかざした、すると…
目を開いた瞬間、彼は自分で驚いた。想像した通りの光の剣が、そこには出来ていた。思わず彼は大きな声で言ってしまった。
「で、出来た!!!ありがとう!!アラナ!!」
そう彼が言うのに続いて、他の生徒からも声が飛んでくる。
「私も出来た〜…ありがとう、アラナちゃん!」
「僕にも出来た…良かった〜!アラナのお陰だよ、ありがとう。」
アラナはあまりの感謝の言葉の多さに少し照れながらも言った。
「ど、どういたしまして……。」
するとグレムは手を2回パンパンと叩いて注目を集めて言った。
「はい!大体の人が出来たかな?ならちょっとした応用を見せてやろう。」
そう言うとグレムは左の掌の上に闇の球を出し、右の掌の上には火の球を出した。その後にその2つの球を混ぜ合わせ、出来た闇の炎、黒炎の球をいつものように片手で変形させた。そして、黒炎の剣が出来上がった、その後に言う。
「はい、みんな、このように2つ以上の属性を混ぜ合わせて作ることも出来る。だから試せる人は試してみてく……」
グレムが顔を上げると目の前の生徒たちは全員目を輝かせていた。『属性を混ぜ合わせる』というのを考えた者は誰一人いなく、さらに『片手で変形させた』ことにも驚きを隠せなかったのである。1人の生徒が言う。
「先生…どうやって違う属性の球を混ぜたのですか…?そんなことが出来るとは…知りませんでした…。」
グレムはその質問に少し戸惑いながらも返す。
「どうやって?……いや、普通にだ。ただ混ぜ合わせただけだが…。」
そう言うと、他の生徒からも質問が飛んできた。
「先生!!他の属性でもできるんですか!?」
グレムは咄嗟に返す。
「あ、ああ、出来るぞ。それも全く性質が逆の火と水だって……」
間髪入れず、次の生徒からも質問が飛んできた。
「先生!!どうやって片手で剣を変形させたんですか!?教えてください!!」
グレムはあまりの質問の多さに対応し切れず、焦りながら言った。
「ちょ、ちょっと待ってくれ…。」
その後も生徒たちから「先生!!先生!!」と質問の嵐が飛んできた。アラナはその様子を見て笑って言う。
「これじゃあ、私の立ち位置がないじゃない。」
その日の授業で、質問が途絶えることは無かった。
どうでしたでしょうか?
次回からはこの章での中心となる話に入っていきます…いきなりの大波乱が巻き起こるかも…?乞うご期待下さい!!
それでは、また次回お会いしましょう!




