8.面倒の前触れ
でゅあ!
8.
それぞれが帰路に着き、僕と姉さんとゆかは3人で家に帰る。
「「「ただいまー」」」
「おかえりなさい」
パタパタとリビングから足音がする。
ガチャリと開いたドアから母さんが出てきた。
「二人とも、学校はどうだった?」
母さんが僕とゆかに聞いてくる。
僕の腕に絡みついている姉さんには触れずに。いや、母さん。姉弟でこんなことしてるんだから止めて?今すぐ姉さん引き剥がして?僕には無理だから。
「うん、楽しかったよ!あとお姉ちゃんのお手伝いもすることになった!」
ゆかが嬉しそうに話す。よっぽど頼られたことが嬉しかったのか、今日は終始ニコニコしていたように思う。あと姉さん早く離れて?
「あらそう、生徒会のお手伝いを?頑張ってね〜」
そう言いながら、母さんはまた台所へと戻っていった。あれ?ちょっと、母さん?姉さんどーにかしてくれないの?
「ゆーくんっ。お姉ちゃんがお着替え手伝ってあげるよ、さ。お部屋いこっか」
「あほか。いいからもう、離れてよ」
しな垂れかかってくる姉さんに軽くチョップを入れる。いい加減離れてくれないとちょっと鬱陶しい。
あいたっ、と言いながら頭をさすりながら姉さんはゆかにひっつく。
「ゆかちゃん〜、ゆーくんがいじめる・・・」
「お姉ちゃんが帰りもずっとゆーくんに引っ付いてるからでしょ。もう。ほら、お部屋いこ」
家に着くと姉さんはみんなの前での姉さんをやめる。そのかわり、僕とゆかにべたべたしてくる。お年頃の男の子としてはいい加減やめていただきたいと思っているが、ゆかはまだまだお姉ちゃん離れしないし、姉さんも妹離れしたがらない。その結果、姉さんも妹と弟離れが出来ずにいた。ある意味僕とゆかのせいでもあるのかもしれないな。
僕は自分の部屋に入り、制服を脱ぐ。
部屋着に着替え、課題をこなすべく机と向き合う。春の夕暮れ景色に一瞬だけ意識が向かったが、気を取り直して課題に取り組む。
1時間ほどして、一息つく。
ふぅ、とため息をつき軽く伸びをしていると、
ピロリンッーー。
ベッドの上に放り投げていたスマホが鳴る。
ふと気になった僕はベッドの上にあるスマホを手に取り画面を見た。
そこには
『やっほー、京ちゃんだよー』
とトークアプリにメッセージが届いていた。
トークアプリで夏生あたりが僕の連絡先を京に教えたのだろう。
『登録しました、おやすみなさい』
僕はそれだけ打って携帯を閉じ
『え、冷たい!折角お友達になったんだし、もっと仲良くして!』
ようとしたらすぐに返事がきた。
文字打つの早いな・・・
『いや、僕とトークしても楽しくないでしょ。夏生とかかりんとかと話したら?』
『してるよ〜』
『今みんなと話しながら、ゆっくんともしてるの!』
最近の女の子は文字打つの早いな、どんな指の構造してんだよ。なに、指7.8本くらいあんの?
『[京]がトークに追加されました』
京と話していたら、僕らグループに京が追加されたとのメッセージが表示されたのでそちらを覗いてみる。こちらのグループトークは姉さんを筆頭に夏生やかりん、ゆかや海斗などが頻繁に話しをしている。秋もグループトークに参加はしているが、僕と同じで割と見る専門になっている。
----トークルーム(みんな)----
京 「わーい、ありがとー!」
夏生 「いらっしゃい!」
かりん「よろしくお願いしますね」
えにし「あ、みやだー!よろー!」
海斗 「よろしく!」
紫 「京ちゃん、よろしくね!」
秋 「よろしくお願いします」
ゆかり「よろしく」
京 「なんかゆっくんそっけな!」
夏生 「ねー。」
かりん「ゆかりくん、女の子には優しくしないとダメですよ?」
えにし「でも、ゆーくんが他の子に優しくしてるのはあんまり見たくないよ。お姉ちゃん心配だよ」
紫 「私も・・・」
ゆかり「僕にどーしろと」
夏生 「そこはほら、男らしく。」
海斗 「そうだぞ、ゆかりー。もっと男らしく」
ゆかり「海斗、うるさい」
海斗 「なんで俺だけ!?」
夏生 「まぁ、そりゃあ海斗だし?」
えにし「だしねぇ」
海斗「みんな、ひどくね!?」
といった感じでぐだぐだとトークが進み、少し見ないだけで未読がすぐに溜まるが、僕はあまり気にならないタイプなので平気で放置したりする。
海斗の相手も疲れるので、早々に切り上げた僕は飲み物を取りに行こうと部屋を出る。
部屋を出て、姉さんの部屋の前を通り過ぎようとしたらドアが開き、何故か引き摺り込まれた。
え?なんで?
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