5.面倒くさがり、渋々所属する。
取り敢えず書き溜め全部出しておきます。
また書けたら投稿します。
では。
5.
傾いた天秤は、よほどのことがない限り元には戻らない。作為的な行為がない限りは。
移動しようとした時、海斗がそう言えばといい、
「えんねぇにおいでって言われてたんだった」
と、言うことでぞろぞろと生徒会室に向かう。いや、割と迷惑な気がするけど、姉さんなら笑って許してくれそう。てか許してくれる。
コンコンーーッ。
「はーい」
生徒会室と書かれた扉をノックすると、扉の向こう側から返事が聞こえる。姉さんの声ではないみたい。
ガラガラッーー。
「はいはーい、って。あら、どちら様?」
おっとりとした雰囲気の女性がお出迎え。えっと、確か生徒会長じゃなかったかなこの女性。
かりんとよく似た雰囲気を持つ、大和撫子感満載の黒髪ロングストレートの女性。
藤堂 伊織先輩、だったかな?
こてんっと首を傾げる。
僕らの来訪に困惑している様子。
「えっと、えんね・・・、えにし先輩に呼ばれてきました」
と海斗。
「あら、えーちゃんの。ちょっと待ってね〜。えーちゃん、お客さんだよー?」
と、中に声をかける藤堂先輩。
「誰ー?」
と姉さんの声が聞こえた。
「んと、美男美女?と普通の男の子?」
あ、それ僕のことですよね。鋭い観察眼をお持ちで。
「あ!ゆーくんたち来たの!?」
中からドタドタっと足音が聞こえる。姉さんはしたない。
「いらっしゃい!会長、私がこの間話してた子達です。どーです?凄いでしょぉ〜」
と、誇らしげな姉さん。まぁ確かにメンツは凄いと思う。
「あら、ふふっ。確かに、良い子たちばかりみたいね?」
と、藤堂先輩。手で口を隠して笑う。これを大和撫子と言わずなんという!
「さ、入って入って〜」
と、藤堂先輩に招かれる僕ら。
失礼しま〜すっと僕らは中に入った。
事の顛末を生徒会長と姉さん、書記くん会計の稲見さん、そして雑務くんの5人に話す。
「なるほどねぇ〜、ふむふむ。どういうこと?」
と、わかっていない藤堂先輩。
「ゆーくんに友達・・・、頑張ったね・・・。ぐすんっ。」
でも、女の子・・・美人・・・。
と、姉さん。泣くほどのこと?
最後の方はよく聞こえなかったけどまぁ、いっか。
「弓弦姉弟、結城さん、宗谷くん、んで橘花さんの妹さんと弟くん。あと、弟くんのクラスメイトの東さんね。」
ざっと自己紹介をして、覚えてもらえたみたい。
「はい、いつも姉さんがお世話になってます。弟兼、美男美女の引き立て役の縁です。よろしくお願いします」
自らを、正しく自己紹介しておく。
それを聞き流す先輩。
「にしても、面白いわねぇ〜。ゆかりくんとゆかりちゃん。えーちゃんとゆかりくん。なんか物語から飛び出してきたみたいな名前関係ねぇ〜」
ふふっとほほ笑みながら言う藤堂先輩。笑うサマすら女神?ぽい。こんな人いるんだなぁって。まぁ美人は見慣れているから動揺はしていないけど。
「ゆーくんと、同じ漢字です。羨ましいでしょう?」
・・・なにが?
姉さんは誇らしげ。でもね、姉さん。
これだけ美男美女いたら僕って普通に霞むと思うんだ。引き立て役。むしろ背景?一体化してまーす。
「それで、この子たちが生徒会に入ってくれるのかしら?」
「・・・は?」
聞いてない。
また面倒な事になりそうな予感が
「私の頼みなら聞いてくれますよ」
いや、問答無用ですか?姉さん。相変わらずジャイ◯ンですね?
困惑する僕らを置いて、話を進める姉さんと藤堂先輩。
そこで、京が
「あの、私も・・・?」
と、恐る恐る手を少しだけあげて聞く。
すると姉さんが、
「そうよ?ゆーくんの友達なら私たちの友達。イコール私の妹分。イコールイエス」
ジャイ◯ンだよ完璧に・・・。
それにほら、ほかのみんなだって
「えんねぇがそう言うならしゃーないな。」
「まぁえにちゃが言うなら。」
「えんねぇさんが言うなら仕方ないですね」
「えにしちゃんがそう言うのでしたら」
「お姉ちゃんが言うなら・・・」
あの、皆さま?もしかして、洗脳でもされていらっしゃる?
なんか悪い商法とか、壺とかひっかかりそうで怖いよ・・・。
「ちょっ、ちょっと待って?僕も?」
嫌だ。僕は目立ちたくない
「えっ?ゆーくん嫌なの?」
「だって面倒くさそうだし」
「ゆーくん?」
「いや、だって
「ゆーぅーくぅーーーん???」
「・・・・」
「あれ?私育て方間違えたのかなぁ。返事が聞こえないんだけど?」
「あっ、えと・・・」
困惑している京。ほかのみんなはほほ笑ましそうにしている。なに、そのいつものことでしょ。みたいな空気。やだよ。やらないよ?
「ゆーくん?お返事聞かせて?」
「やだ」
「ゆーくん?」
「・・・ぃゃ」
「んー?お姉ちゃん、聞こえないなぁ」
「・・・
(考えろ考えろ、この場を切り抜ける方法を。一世一代の大場所。ここで負けたら平穏な生活に終止符だぞ)
・・・」
「あの、私は、いいよ?」
沈黙を破ったのは京。
えっ。京の裏切り者!
「ほら、ゆーくん?あとは、ゆーくんのお返事待ちだよ?ほらほら、さぁさぁ!」
「・・ったよ・・・。」
「んー?」
「わかった、わかりましたよ!やります、やらせていただきますっ!やらせてください!」
「やーん、ゆーくん大胆。いいよ。お姉ちゃんがいっぱいさせてあげるね?」
意味が違ってくるからそういうのやめなさい。
「ふふっ、お話しは纏まったのですか?」
にこやかに話す藤堂先輩。
はい、今纏まりました。
集え!ジャイ◯ンの下に!
「さぁ〜、これから楽しくなるぞー!」
「たのしくするぞぉー?」
「「「おぉーー!!」」」
はぁ、さよなら。平穏。
僕は目の前がまっくらになった。