4.面倒くさがり、注目を浴びたくない。
誤字脱字あれば、なんなりと!
では。
4.
誰しもがみな、傾いた天秤に左右される。
それが自然の理であるかのように・・・
午後の授業を終え、帰宅の準備をする。
前の席の女の子、京は疲れたぁー!といって座ったまま伸びをしている。伸ばした手が僕に当たりそうなんですが。
「お疲れ様。授業の質が格段に上がったから中々疲れるよね」
と、何気なしに京に話しかける。
「ほんとにねー、やんなっちゃう・・・」
授業ついていけるかなぁ、などとぼやきながら京は僕に同意を示す。
「まぁ嫌いな科目とかはないから、なんとかやっていけるかなって感じではあるけどね」
勉強が嫌いなわけではない。むしろ何かに集中する事は嫌いじゃない。面倒な事があれば思考放棄の為に勉強したりするし。
「お〜?ゆっくんはお勉強できる子だったのか・・・。羨ましい」
「別に得意ってわけじゃないよ。必要以上に勉強したりはしないし。」
「それでも、嫌いじゃない分やりようはいくらでもあるでしょうよー。私はあんまり勉強好きじゃないからなぁ」
うへぇ、と言いながら京は疲れた顔をする。かと思いきや、何かを思いついたかのようにパッと表情が明るくなり
あ、これやな予感す
「そうだ!困ったときはゆっくんに教えてもらおーっと!」
予感的中。
「やだよ、面倒くさい。」
即座に撃墜!
「・・・・・、やなの?」
しかし、敵は強かった!
「や、やだよ・・・?」
「ほんとに?ほんとのほんっとーに、や?」
ズルイです。ずるいずるい
そんな顔されたら断ってる僕が酷いやつみたいじゃないか。
「・・・はぁ。本当にわかんなかったら、いいよ。」
「わーい!ありがとぉー」
えへへ〜と笑いながら京が言う。
ずるい。ほんとに。
と、京に負けた僕がため息をついていると
「おーい、ゆかりぃ〜。帰ろうぜー!」
教室の入り口から聞き覚えのある声が聞こえてきた。そちらを見ると、
「ゆかり、帰りましょう」
「ゆーくん、帰るよ〜」
「ゆかりくん、一緒に帰りましょう」
そこには美男美女の集団が!
そして現れる天秤
他人のふり>近寄っていく
よし、解は導き出された!
「ゆっくん、あれ。ゆっくんのこと呼んでるんじゃない?」
解は破壊された!なんちゃって!
「多分別の人だよ。」
僕は知らないふりを決め込む。悪目立ちしてる。ほんとやめて。面倒くさいから!
「おーい、橘花縁ぃ〜。当然のように無視するなー?」
海斗、空気読め!このあほ!
「えっと、ゆっくん。ぜったいゆっくんの事呼んでるよ?」
京がきょとん、とした顔で僕に言う。
ちょっと癒された。
そしてざわつき始める教室。
「え、めっちゃイケメンいるんですけど・・・」
「え!あの人格好いい・・・何組だろ」
「おいおい、美人が3人もいるぞ!なんだあれ!」
「美人ならうちのクラスにもいるだろ・・・にしても負けじ劣らず美人だな」
「あれぞ美男美女って感じよね・・・」
などとあちらこちらから、聞こえてくる。
はぁぁぁーーーっ。めんっどーーーくさい!もう!
「ゆかり。帰ろうぜ!」
ぽんっと僕の肩に手を置くあほ。
「え?美男美女の知り合いってあの人・・・?」
「なんか、ふつー。」
「ねー。つりあってなーい」
「あいつ、いつもあんな美女たちと・・・?」
「許すまじ」
「美男×フツメン・・・、あり。ブフゥっ!!!!!!」
最後の人なんか鼻血吹いてたが、大丈夫か・・・?
「おい、ゆかりって・・・、ん?ゆかりが、女の子と、喋ってる・・・?あの、ゆかりが・・・」
と海斗がこの世のものではない何かを見たようなリアクションを。いや失礼すぎだよ。
「あらあら、まぁ。」とかりん。
「ゆかり・・・成長しましたね・・・」
と、秋。おとんかっ。
「「ゆーくん・・・」」
いや、なんで夏生とゆかは微妙な反応なんだよ。こっちまで気まずくなるだろ・・・。
「あの、えっと・・・?ゆっくん?」
うん、京。空気読もうね。
「「「ゆっくん!?!?!?」」」
ひゃあっ!?と小さく悲鳴をあげる京。
「ねぇねぇ、ゆーくんとどんな関係?もう仲良しなの?」
夏生が興味津々に京に詰め寄る。
「や、そのえっと。んと。」
「夏生、京が困ってるだろ」
ぐわんっと夏生がこちらを見た。
「今、京って・・・。京、なにちゃん?」
「え?いや、東 京だぞ。京の名前。」
「はい?ゆーくん、この子と名前で呼び合う関係なの?」
今度は僕に詰め寄る夏生。いや、だから近いって。なんでみんなそんな躊躇いなく近寄ってこれるの?怖い。美人だから尚更怖い。
「ん?あぁ、京が名前で呼ばないなら無視するって言うから・・・」
僕は事実のみを簡潔に説明しただけですよ?
「そう・・・、それでっ、東さん?」
「はっ、はいっ!」
「うちらのゆーくんと、どういう関係?」
今まで目の前にあった夏生の顔が瞬間、京に詰め寄る。うん、君らパーソナルスペースって言葉知ってる?
あ、でも男子の方が縦長でうんちゃらって感じだったなぁ。どうでもいいけど。てかうちらのってなんだよ。いつから僕は君らの所有物になったんだよ。
「えっと、ともだち・・・?だよね?」
疑問形。
こちらにふってくる京。もー、面倒くさい。
「なんか、気がついたら仲良くなってた友達だよ」
フォローっぽくないフォローを入れる。
僕の言葉で、渋々納得?した夏生は、京から離れた。
「・・・そう。ならいいんだけど」
なにかひっかかる感じの言い方。
「そうか、ゆかりにも俺ら以外でついに友達が出来たのか・・・。んなら、今日から俺らとも友達だな。俺は弓弦 海斗。えっと、東さん?でいいのかな?」
海斗がにこりと笑いながら京に聞く。
「東 京です。みやことか、きょーちゃんとか呼ばれてます。あとはあずまさんとか?」
「なら、京って呼ぶわ。ゆかりがそー呼んでるし。俺は海斗でいいよ」
と海斗が言う。
「んでこっちが、」
「宗谷 秋です。よろしく、京さん。」
「しゅーくん」
海斗が視線で秋を見て、秋は自己紹介をする。それに合わせて京が秋の呼び方を決める。
「うちは、弓弦 夏生。これの双子の姉です。よろしくね、きょーちゃん」
「うん。よろしくね!なっちゃん」
と海斗を指差し言う夏生。なんだかんだで、仲良くなれそうだ。この二人。
「私は結城 かりんです。よろしくお願いしますね、みやちゃん」
「ん、よろしくね。かりんちゃん」
丁寧にかりん。京的にその呼び方ありなのか・・・。納得してるっぽいしいいか。
「んで、こっちは」
と、海斗。ゆかを見る。少しだけ人見知りしているのか、もじもじとしてる。
「えっと・・・、橘花 紫です。」
「ゆかちゃん!・・・あれ?橘花?んと、もしかしてだけど、ゆーくんのお姉さんの妹さん?」
勘のいい子は以下略
「そ。姉さんの妹。んで、僕の家族」
と軽く補足。
「そして、この美男美女の引き立て役、橘花 縁です。以上、解散っ!」
解散っ!
「ふふっ、なにそれ。変なゆっくん」
なにが可笑しいのかわからないが、京が笑う。僕変なこと言った?
てか、アレだな。騒ぎが大きくなりすぎてる。廊下まで人集りができてる・・・。
恐るべし、美男美女。
「えとさ、場所変えない?」
と提案する僕。
美男美女たちも騒ぎにようやっと気が付いたのか、
「そうだな・・・」「そうね・・・」「そうしましょうかね・・・」
三者三様の答え方ではあるものの、みな苦笑いしつつ満場一致。
場所を移すことにした。